ローノイズ真空管アンプ(製作編16)

製作編16

リアパネルの加工の続きを行います。加工が完了したら全部品を取り付けて確認を行います。

航空コネクタ取り付け穴加工

改めてリアパネルの加工図を掲載します。

センターの円の上下がカットされた部分が航空コネクタの取り付け穴です。下穴はφ4.2で開けていたので、ステップドリルでφ10にまずは広げました。その後は平ヤスリと楕円ヤスリで地道に削ります。

取り付け穴が部品形状に近づいてきたら、削っては部品を合わせみてを何度も繰り返してなんとか部品が装着できるようになりました。

加工図面ほどシャープな穴形状ではありませんが、装着時にコネクタが回る事はありません。コネクタを取り付けるとこんな感じです。

まあこんなものではないでしょうか?

XLRパネルコネクタ取り付け穴加工

XLRパネルコネクタの取り付け穴は、シャーシパンチを使ってφ25の穴を開けます。電源トランスユニットの穴開け加工時にカッタに潤滑油を使用した事でせん断面がきれいに仕上がった為、今回も加工前にカッタへ注油しました。φ25のカッタ使用時の臼の外形はφ40で、シャーシ内寸法と同じ為にぎりぎり収まりました。

シャーシパンチのウス側は、パネルを抑える為にパネルにキズが付きますが、今回はウスがシャーシ内に納められた為、リアパネル面にキズを付けず加工する事ができました。

写真のとおり加工面はきれいに仕上がりましたが、相変わらず加工には力が必要です。変に力を加えるとケースをひしゃげてしまいそうです。試しに加工時に摺動する部分すべてに注油してみる事にしました。具体的にはカッターとセンターボルトの摺動部、ウスとセンターボルトの摺動部です。

この対応により嘘のように加工が楽になりました。こんな事ならもっと早く試してみるべきでした。見方を変えると、シャーシトップ面加工前に気づいて良かったとも言えます。

早速XLRパネルコネクタを取り付けてみました。

今回は取り付けネジの位置の後加工はまったく必要ありませんでした。これも慣れでしょうか?写真では電源用のオスコネクタ2個のみパネルの背面側から取り付けています。

背面部品取り付け確認

さらにスピーカーターミナルと航空コネクタを取り付けてみました。

スピーカーターミナルの回り止め用の樹脂部品の寸法が黒と赤で若干異なり、赤の樹脂部品装着時に後加工が必要でしたが、問題なく取り付けられました。記事を書いていておもいましたが、スピーカーターミナルの並びは逆のように思います。本番では修正します。残りの取っ手も取り付けてみました。

なかなかいい感じです。せっかくなので、入力用の3極のXLRパネルコネクタも背面取り付けを試してみました。

コネクタ取り外し用のボタンの動作が気になりましたが、問題ありませんでした。今回は全XLRパネルコネクタを背面取り付けとしてみます。次回はシャーシ上面の加工を行います。

 

つづく(製作編17)

ローノイズ真空管アンプ(製作編15)

製作編15

引き続きアンプユニットのシャーシ加工を進めます。

取っ手取り付け確認

前回の記事で、M6の小型ナットを発注するとしましたが、届きました。

値段が高いだけあって、管理がちゃんとされています。標準ナットと比較してみました。

希望どおり外形サイズが小さくなっています。直径比較で約2mm小さくなっています。続いて、取っ手金具にねじ込みできるか確認します。

ふ~、問題なくねじ込みできました。よって前回の記事で確認したアマゾンで購入した小型M6ナットが仕様違いと判明しました。おそらくインチネジだと思われます。購入してだいぶ時間経過している事と、少額なので今回は泣き寝入りとします。早速取っ手2個を取り付けてみました。

問題なくネジ締めできました。フロントビューはこんな感じです。

なかなかいい感じです。

リアパネル加工

次はリアパネルの加工を行います。フロントパネル加工時と同様に、加工図面を右用と左用に分けて、A4用紙2枚に印刷しました。

それを外形に沿って切り取り、リアパネルに貼り付けました。

その際に、ポンチ箇所が図面が2枚重ならないようにカットしました。カット位置は、部品をカットしないようにしています。続いて、パネル裏に当て板をして、ポンチで穴開け位置に印を付けます。

加工図面を剥がすとこんな感じです。

穴開けは、最初にφ2.0のビットで全ての穴を開けて、ビットをφ3.2に取り替えて全ての穴径を広げました。M3ビス固定部分以外はφ4.2のビットで穴径をさらに拡大しましした。XLRパネルコネクタの取り付け穴はシャーシパンチを使用する為、ステップドリルに切り替えてφ10の下穴を開けました。

最初は取っ手の取り付け確認を行います。下穴はφ4.2で開けているので、それをリーマーでφ6まで広げました。穴径が小さいのでリーマーによる穴拡大は大変ではありません。取っ手を取り付けるとこんな感じです。

反対側も同様に加工して、取り付け確認を行いました。

次はスピーカーターミナルの取り付け確認を行います。下穴はφ4.2で開いていますが、これをリーマーで約φ10まで広げました。拡大量が大きい事と、穴径が大きいためすごく時間がかかってしましました。

残りの3カ所はステップドリルを使ってφ10に下穴を広げたいとおもいます。次に回り止めの加工を行います。穴の下側に2x2mmの突起が収まる部分を作ります。平ヤスリのサイドを使ってひたすら削りました。

この穴に絶縁用の樹脂部品を取り付けます。

問題なく取り付けができました。この部品が取り付けられれば、スピーカーターミナルの取り付けも問題ありません。ターミナルの取り付け確認は、加工が全て終わったタイミングで行います。加工の負荷を減らす為に、残り4カ所の下穴径はステップドリルでφ10に広げました。

これにより、加工の作業時間は大幅に短縮できました。

残り2つも同様に加工しました。

これでスピーカーターミナルの取り付け穴加工は完了です。次回は残りのコネクタ取り付け穴加工を行います。

 

つづく(製作編16)

ローノイズ真空管アンプ(製作編14)

製作編14

アンプユニットのケースの加工を開始します。

アンプケース確認

今回は私がいつも真空管アンプ製作に使用するケースよりも1まわり小さいリードのMK-350を選定しました。このケースは、過去に真空管ヘッドフォンアンプ製作時に使用しましたが、シャーシ内高さが40mmと低く、実装に気を使った記憶があります。さっそく届いて放置していたケースを確認します。

専用梱包となっています。開けてみます。

ケースは薄手のビニール袋に納められています。ケース本体を取り出してみます。

記憶以上に小さい印象です。これで流用する出力トランス2個が収まるか心配になります。次はボンネットを外してみます。

固定用の専用ネジは、従来のものと変更はありませんでした。さらにシャーシのボトムカバーを外します。

ここまで気になる点はありませんでした。

フロントパネル加工準備

フロントパネル加工図を原寸大で印刷しますが、A4用紙に収まりません。これもいつものとおり、加工図面をA4用紙に設定して、左用と右用を作成しました。

画面コピーは、印刷用に加工図面を左右2つに分けた編集画面です。これを使って加工図を2枚印刷しました。

印刷した加工図面をフロントパネルの外形に沿って切り抜きます。

これでフロントパネル加工準備完了です。

フロントパネル加工

初めに先にカットした2枚の加工図をフロントパネルの外形に合わせて貼り付けました。

この後、ポンチで穴のセンターに印を付けますが、シャーシ高が40mmしかないため、いつも使っている添え板が入りませんでした。仕方がないので、10mm弱カットしてフロントパネル裏に入る寸法に加工しました。

添え板をパネル裏にセットして、さらにその板を押さえる為に、机にクランプで板を固定して作業できるようにしました。写真はポンチで印を付けた後、ドリルで穴を開けたところです。

最初に取っ手の取り付け確認をします。多少穴位置が上側にずれていたので修正しましたが、案の定標準のナットは上下のクリアランスが小さくナットを回す事ができませんでした。

こんな事を想定して小型のナットを注文していましたが、見事に失敗しました。

M6との事ですが、取っ手にねじ込めません。おそらくどちらかがインチネジの可能性があります。さらに私の確認不足でしたが、厚みは薄くなったものの外形サイズが標準ナットと変わらない為、このナットは想定したものではありませんでした。やれやれ・・・。追加でナットを発注しました。

1個259円でそれを8個と送料が250円で総額2,322円と高いです。まだ届いていませんが、これも使い物にならなかったらどうしよう。取っ手の取り付け確認は後回しにして、先に電源ランプの取り付け確認を行います。φ4.2の穴をドリルで開けて、その後はリーマーで必要な穴径に広げました。

取り付け穴径が大きくないので、容易に取り付け確認ができました。

次は電源スイッチの取り付け確認を行います。電源スイッチの取り付け穴は角穴で、スナップイン方式です。ポンチで角穴の頂点に印をつけたのでカット線を描き、ハンドにブラでカットします。シャーシの内側からカットできるエリアは少なく、仕方がないので、シャーシ内にもカット線を描いて、ハンドニブラをシャーシの外側にセットしてカットします。まずは、カット線を描く為の型紙を作成しました。

これを使って、パネル内側にカット線を描きました。

このカット線に合わせて、ハンドニブラを外側にセットしてカットを進めます。結果はこんな感じです。

まずはカット面をヤスリでならしててから、電源スイッチがスナップインする寸法へ広げていきました。多少手間はかかりましたが、無事電源スイッチの取り付けができました。

次回は小型ナットが届くはずなので、取っ手の取り付け確認を行います。

 

つづく(製作編15)

ローノイズ真空管アンプ(製作編13)

製作編13

前回の記事で実装紹介したメイン電源の通電確認を行います。

通電確認準備続き

前回の記事で、メイン電源の通電をDC36Vを入力して行う方針としましたが、その際の各部電圧分布を再掲載します。

接続する3個の電解コンデンサに電線を接続します。

正規実装時にも使える様に少し長めの配線長としています。リップルフィルタ用トランジスタは、元アンプからの流用なので、配線の端末処理のみを行いました。

準備の最後はB2出力に10kΩの抵抗を接続します。想定される負荷電流は2.8mAです。

これで通電確認の準備は完了です。

通電確認

ユニバーサル電源の電圧を+/-18Vにセットして、念のため過電流保護も100mAに設定しました。恐る恐る電源オンしましたが、過電流保護も働かず、定常電流値4mAとなっています。この状態で各部電圧を確認しました。結果は以下のとおりです。

入力電圧を36.0Vとなるように微調整しましたが、絵に描いたような結果が得られました。メイン電源回路は正しく実装できているようです。前回の記事でリップルフィルター用のトランジスタを誤って訂正した件をレポートしましたが、修正回路図を掲載します。

-5V電源実装

次は-5Vの電源を実装します。この電源の出力は、アンプのA電源と電源ランプです。初めに半波整流回路を実装します。

次は三端子レギュレータを実装します。今回NJM7905FAは秋月電子から購入しましたが、取り扱いが日清紡マイクロデバイスに移り、すでに生産は中止されています。もうからない製品は今後ますますEOLになる事を心配しています。

出力にはオーディオ用電解コンデンサを使いました。最後に出力用の2極の端子台を2つ取り付けたら完成です。

ハンダ面はこんな感じです。

単純な回路ですが、後で不具合が発覚すると面倒なので動作確認を行います。

出力はほぼ-5Vとなっています。念のためLEDの点灯確認も行いました。

問題なく点灯しています。A電源用-5V回路実装は完了です。

初段ヒーター用電源回路実装

最後は初段の12AX7ヒーター用電源回路を実装します。回路を改めて掲載します。

一番上段の回路ブロックです。他の回路と同様にまずは入力段の全波整流回路を実装します。

平滑用電解コンデンサー容量を3300uFとしましたが、三端子レギュレータの入力電圧を維持できるか心配です。次は可変三端子レギュレータLM317をヒートシンクに取り付けて基板実装します。

三端子レギュレータの消費電力は約1.3W程度なので放熱器は不要かもしれませんが、寿命を考慮して採用しました。次は電圧調整回路を実装します。あっ!半固定抵抗を買い忘れていました。やれやれ・・・。在庫を確認したところ、2KΩと5KΩがありました。仕方がないので5KΩを使用する前提で回路図を書き換えました。

基板に実装スペースがあるので大きな問題はありません。一緒に出力用端子台も実装して実装完了です。

他回路と同様に動作確認を行います。負荷が都合の良いダミー抵抗がなかったので68Ωを取り付けました。電流値は約0.19Aです。

写真は電圧調整用ボリュームを回して出力を約12.6Vに調整したところです。これでアンプユニットの電源基板実装は完了です。実装基板はこんな感じです。

次回はアンプユニットのケース加工を開始します。

 

つづく(製作編14)

ローノイズ真空管アンプ(製作編12)

製作編12

製作上のリスクを考えた結果、アンプユニットの電源基板の実装から開始します。

アンプユニット製作開始

本来であれば、ケースの加工からスタートしますが、アンプユニットの電源基板は実装リスクがあるため、電源基板の実装からスタートします。具体的には、1枚の基板にアンプユニット用の3系統の電源を実装する予定ですが、万が一実装しきれない場合は基板を増やす必要があります。その場合、追加基板実装エリア確保の為にシャーシのレイアウト変更が必要となる為です。

アンプユニット電源回路実装

改めて電源回路図を掲載します。

この回路図中でアンプユニットの電源基板に実装する回路を抜き出してみました。

点線の枠内が実装する回路です。丸で示しているのは、実装する端子台情報です。3系統の電源の中で1番複雑なメイン電源(B電源)の実装からスタートします。

メイン電源実装

実装前に改めて回路図を見直してみました。リップルフィルター用のトランジスタですが元のアンプ実装部品を使用します。

本製作用の回路図を作成するにあたり、トランジスタの型式の誤記訂正をしましたが、実はオリジナルが正解だった事がわかりました。2SC3039は誤りで2SC3309が正解です。下記は両トランジスタのデータシートの抜粋です。

紛らわしい事に、どちらも高耐圧トランジスタです。特性は似たようなもので、抜粋上のシートにはありませんが、hfeのmin値は2SC3039が15で2SC3309が20です。高耐圧トランジスタの性能はこんなものなのでしょうか?回路図は別途修正します。初めにシャーシレイアウトを考慮して、端子台の配置を決めました。

メイン電源以外は、入力用の端子台しか配置していません。メイン電源は写真奥の端子台からACを入力し、右側の端子台には、電解コンデンサ3個とリップルフィルター用トンランシスタを接続し、手前の3極の端子台から電圧を出力します。メイン電源の端子台のレイアウトはできました。実装の最初は入力段の全波整流回路です。

整流用ダイオードは、実装スペースを節約する為に縦実装しています。次にリップルフィルター用ベース回路を実装します。

大きな抵抗は91KΩ/3W品です。基板を実装するシャーシ内の高さ寸法は40mmですが、この程度の高さであれば問題ありません。ハンダ面はこんな感じです。

続いてリップルフィルターダーリントントランジスタ入力側を実装します。この高耐圧トランジスタは、最初に真空管アンプを製作した際に今後の入手難を想定して多めに購入しておいた物です。

次は一気に実装を完了させます。

400V耐圧のフィルムコンデンサーを4個実装しましたが、意外と効率的に実装できました。ハンダ面はこんな感じです。

ハンダ面には被覆ジャンパ線を使わずに実装できました。

通電確認準備

いきなり高圧のオリジナル電圧入力は怖いので、回路の動作確認ができる電圧を入力して各部電圧を確認する事で通電確認としたいとおもいます。私のユニバーサル電源は、+/-18Vを出力できるので、それを直列に接続してDC36VをAC入力へ接続してみます。基板右側の端子台へは実際に使用する3個の電解コンデンサリップルフィルター用トランジスタを接続し、B2出力にダミー負荷10KΩを接続します。その際の各部電圧を回路図に記入してみました。

この方法で回路の通電確認はできそうです。次回は実装した回路の通電確認を行います。

 

つづく(製作編13)

ローノイズ真空管アンプ(製作編11)

製作編11

電源トランスユニットの機内配線を引き続き行い、電源トランスユニットを完成させます。

電源トランス二次配線続き

前回の記事で回路変更した-5V用電源のトランス二次配線と、EL34用ヒーター用トランス二次配線を行います。

次は個別に取り付けた初段真空管ヒーター用トランスの一次配線を行います。接続先は、メインの電源トランスの100V入力タップです。

次は初段ヒーター用トランスの二次配線です。シャーシ上のトランスからシャーシより上のXLRパネルコネクタへの配線です。

アルミシャーシ上の配線は、写真中のものしかないので見た目がスッキリしています。

動作確認

基板単体の動作確認は完了しているので、いきなり動作確認を行います。確認方法は、本来アンプユニットに設置されるスイッチのダミーを作成して基板に接続して2つのトランスの二次巻線出力を確認しました。

まずはスイッチをオフにしてAC100Vを印加しました。

電源ランプが点灯しました。次にスイッチをオンします。2つのトランスの二次巻線出力を一通り確認しましたが、所定の電圧が出力されていました。1つ残念だった事は、今回選定したパワーリレーが最大定格5A品のため、動作時の音が小さくスイッチオン時にいまひとつ印象が良くありません。基板に十分なスペースがあったため、パワーアンプで採用した大容量のリレーを選定した方が良かったかもしれません。動作確認はこれで完了です。完成時のアルミシャーシ下の状態は以下のとおりです。

比較的すっきり配線できたとおもいます。アルミシャーシ上面は以下のとおりです。

配線自体が少ないのでさらにスッキリしています。

トップボトムカバー取り付け

タカチのケースには、簡単なゴム足が付属していますが、今回は先代CDプレーヤーの脚を流用します。

モールド製で接地部分のみゴム製となっています。付属品に比べて性能面でのアドバンテージはないと思いますが、見た目が改善します。回り止めの為にボスが2本立っています。

この脚を取り付けると、ボトムカバー取り付けネジと干渉してしまいますが、幸い脚に2カ所穴が開いている為、ボトムカバー取り付け用のネジ位置を合わせる事で干渉を回避できます。1つの脚の固定の為に3カ所の穴を開けます。さらに干渉防止用の穴位を加えて型紙を作成しました。

ボス径はφ2mmでしたが、穴位置が合わなかった為、全てφ3.2mmで開けました。早速脚を取り付けてみました。

本体に対して、脚が大きい気がしますが、電源トランスが重いためこのくらいのサイズがあった方がバランスがいい気がします。さらにケースに取り付けてみました。

四角の固定ネジの作業性はいまいちでしたが、普通に取り付けができるので良しとします。正面から見るとこんな感じです。

脚がサイドパネルとほぼ面一となっています。いい感じではないでしょうか?リアビューは、本記事のアイキャッチ写真としました。これで電源トランスユニットは完成です。次回はアンプユニットの製作に着手します。

 

つづく(製作編12)

ローノイズ真空管アンプ(製作編10)

製作編10

電源トランスユニットの回路図を再確認して、電源トランスユニットの機内配線を行います。

回路図の再確認

電源トランスユニットの配線を始める前に、電源回路図を改めて見直します。下の回路図は現状の電源回路です。

一方、オリジナルの真空管アンプの電源回路は以下のとおりでした。

-5V電源生成の為に5V巻線を使って倍電圧回路を組んで三端子レギュレータに入力していました。今回の設計は、初段用のヒーター回路を別トランスとした為、6.3V巻線が余った為、倍電圧回路をやめて5V巻線と6.3V巻線を直列接続にして利用する設計としていました。改めて考えてみると、-5V電源生成であれば6.3V巻線で十分な事に気がつき回路図を修正しました。

回路図がだいぶすっきりしました。

電源基板取り付け

アルミシャーシに取り付けた、六角スペーサーに基板を取り付けます。事前に取り付け確認を行っているので、問題なく取り付けられました。

取り付けてみて思いましたが、電源トランスに対向している2つの2極の端子台は基板の両サイドへ取り付けた方が配線がシンプルになったとおもいます。いまさらなので今回はこれで配線を進めます。

配線

最初に電源ランプ配線を行います。電源基板の動作確認時に電源ランプAssyを作成済みなので、ランプを交換しました。

パネルをケースに取り付けて、電線を適切にカットして所定の端子台へ接続しました。

続いてリアパネルのコネクタ配線を行います。ケースに組み立てた状態では、ハンダ作業がやりにくいので、一旦パネルを取り外しました。最初に航空コネクタのリレー制御回路配線を行います。平衡ケーブルをハンダ付けして適当な長さでカットしました。

次は航空コネクタの残り3つのピンへ、電源トランスの2次巻線用の配線をします。AWG18と線径が太いため、少し苦労しました。

作業を行う度にこの航空コネクタには苦労します。次に同様の仕様のコネクタが必要となった際には、別のコネクタを探そうと改めて思いました。この3本の電線には高圧がかかる為、念のため熱収縮チューブで保護しました。

次はEL34のヒーター用配線を行います。XLRパネルコネクタ4極です。さすがに一流メーカーのコネクタだけあって、ピン形状が線径にマッチしていて作業がやりやすいです。

ヒーター巻線のそれぞれを黒と緑の電線を使用しましたが、後の配線時にどの巻線の配線か解るように配線の被覆色を考慮しておくべきでした。コネクタ配線の最後は、初段ヒーター用電源線と-5V用の電源線の配線です。

初段ヒーター用配線は、全波整流を行うため3線で黒と緑のセットです。-5V用電源は黄色と黒のセットとしました。問題なくコネクタ配線が完了しました。配線の終わったリアパネルを改めてケースに取り付けました。

アルミシャーシの上面はこんな感じです。

次は電源一次配線を行います。後でわかりやすいように電源一次配線は全て白の被覆電線を使用しました。

ここでは、電源トランスユニットの一次配線とメインの電源トランス用リレー配線およびヒューズホルダ配線を行っています。残りの一次配線とメインの電源トランスの二次配線を行いました。

別の角度から見るとこんな感じです。

きりがあまり良くありませんが、次回も電源トランスユニットの配線の続きを行います。

 

つづく(製作編11)