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音楽の女神への挑戦(製作編6)

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製作編6

電源基板GND問題を解決し、改めて比較元アンプの音を確認します。

新しい仲間

本題に入る前に先週手に入れた低周波発振器を紹介します。KENWOOD AG-203Dです。10Hz~1MHzの正弦波と矩形波を出力できます。ヤフオクに中古品として出品されていたのを、かみさんに競り落としてもらいました。1万円渡して、落札価格+送料との差額を報酬としました。結果5900円+送料1500円で落札し、報酬は2600円となりました。見た目はそれなりで、動作をしますが、上限周波数1MHzのところ600KHzくらいで出力がダウンしています。機会をみて中を見てみたいとおもいます。新品を入手する場合は、アマゾンで同等品のKENWOOD AG-205が36,833円で購入できます。私は発振器に対してこだわりはないので、これで十分です。製作編5のディスクリートアンプの動作確認の際に早速使用してみましたが、ちゃんと使えました。また、今まで確認できなかった真空管アンプの周波数特性の測定を何れ行ってみたいと思います。

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電源回路GND問題

それでは本題に戻ります。製作編4で作り直したオペアンプ基板の動作確認の際に発覚した電源GND問題(左右独立電源の両電源間のGNDに導通がない件)の検討を行いました。組み上げたバランスボリュームの電源基板を取り外し配線の確認を行います。配線を見たらすぐに原因がわかりました。後から組み上げたチャンネル用の電源回路のGNDがトランスの巻き線の中点に接続されていませんでした。

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かろうじて動作していたのは、回路上+とー電源の中点が仮想GNDとして動作していたためです。早々に接続して音を聴いてみました。

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電源回路の音

GNDに問題があった時の音は、中高域はクリアなのに、低音がふわふわした感じで全くバランスがとれていませんでした。GND問題の対策をした後も、低音のふわふわした感じはなくなりましたが、中高域のクリアな再生に低域が負けている感じです。元の回路に戻すことも覚悟しつつ、ダメもとで元の回路に搭載されていた電解コンデンサMUSEを追加してみることにしました。100uF/25V品4個程度であればなんとか実装できそうなので早々に発注しました。結果、写真のとおり電源出力用の端子台の脇に実装することができました。

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さっそく音を聴いてみます。中域が一層クリアな感じになり、さらにうるささもなくなり、通常再生時のボリュームの位置が少し上がりました。それに伴い、低音の躍動感も増していい感じのバランスとなりました。比較用の電源としては十分な状態となりました。参考にオペアンプ負荷時の出力トランジスタ印加電圧とそのリップル波形の確認結果を掲載します。

■出力トランジスタリップル波形

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■出力トランジスタ印加電圧

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出力トランジスタには、約4.4Vの電圧がかかっているので、動作上の問題はありません。ディスクリートアンプの方が消費電力が大きいため、基板交換後に改めて確認をしたいとおもいます。MUSEを追加した現時点の電源の回路図を参考に掲載します

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トランス配置の見直し

基板を3枚実装したため、トランスと電源基板のクリアランスがあまりなく窮屈な感じとなっています。

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見栄えも良くないので、トランスの取り付け位置を変更しました。電源基板取り付けの際に見直ししていれば、より良い配置とすることができた事が少し残念です。

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これで比較のための環境の準備が整いました。次回は、残りのディスクリートアンプ基板の実装を進めます。

 

つづく(製作編7)

 

音楽の女神への挑戦(製作編5)

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製作編5

ディスクリートアンプ基板の部品実装と動作確認を行います。

回路図変更

部品実装前に、回路図を見直しました。抵抗の買い忘れで一部抵抗値を変更しました。入力抵抗は10kΩに変更して、ボルテージフォロワ構成とするために、ー入力端子の入力抵抗を削除しました。2段目のエミッタ接続の半固定抵抗を調整値を考慮して1kΩとしました。

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部品配置

95x72mm基板に2回路分のアンプを実装します。出来合いのシャーシに基板実装するため正面パネルに取り付けられたボリュームの干渉も考慮する必要があります。これらの要求からアンプ2回路を基板の長手方向に並べることにしました。入出力は、+/-電源とバランス信号入出力が必要で、3極の端子台を3個搭載します。+/-電源を信号入力用端子台と並べて配置することとしました。

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初段の実装と通電確認

実装範囲を明確にするために、1チャンネル分の基板領域の両端に+とーの電源ラインを引きます。電源とバランス入力用の端子台を基板の長手方向に均等に並べて実装しました。領域を仕切るための電源線と電源の端子台を接続しパスコン用の電解およびフィルムコンデンサも配線します。電解コンデンサは100uF/25VニチコンFG品です。仕切の電源線を起点として初段の+側から部品の実装を始めます。初段は+からー電源に向けて半固定抵抗、カスコード用のトランジスタ、初段FET、電流源用トランジスタと多くの部品が並びます。基板スペースを有効利用するため、ラジアル品の部品は立てて実装しました。カスコード接続用のトランジスタは、選別No3とNo14(hfe=180)を、定電流源用トランジスタはペアにならなかったNo.17(hfe=181)を、初段のFETは選別No1(Idss=4.5mA)をそれぞれ使用しました。

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初段の実装が完了した時点で通電確認を行います。ユニバーサル電源から+/-12.1Vを供給します。半固定抵抗を中点に調整して電源を入れます。各部の電圧は以下のとおりです。(ソース電位が間違っていましたので修正しました。2017.01.28)

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残り部品の実装

2段目は、初段に比べて実装部品が少ないですが、半固定抵抗がパネルのボリュームと干渉しない配置とする考慮が必要です。差動のトランジスタは、選別No1とNo13(hfe=231)を使用します。エミッタの半固定抵抗は、時計回りで抵抗値が小さくなりバイアス電流が大きくなるように配線しました。出力段バイアス調整用のトランジスタはペアとならなかった選別No18(hfe=169)を使用しました。バイアス調整用の半固定抵抗も時計回りで抵抗値が小さくなり、バイアス電圧が大きくなるように配線しました。2段目の発振対策用のコンデンサは通電してから対策容量を確定させて実装します。終段のコンプリメンタリペアは、NPNを選別No2(hfe=195)、PNPは選別No9(hfe=204)を使用しました。

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動作確認

いよいよトータルの通電です。2段目のエミッタ接続の半固定抵抗およびバイアス用トランジスタの半固定抵抗ともに抵抗値を大きくなるようセットして電源オンします

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終段のトランジスタがカットオフしていることを確認して、2段目のバイアス電流を調整します。両負荷抵抗4.7kのコレクタ側の電圧が-0.6前後になるように調整します。バランスがとれない場合は、初段の半固定抵抗で調整します。ある程度調整できたら、終段のエミッタ抵抗間の電圧をモニタしながら、2段目のバイアス調整用の半固定抵抗値を小さくしていきます。終段のトランジスタに電流が流れ出したところで、出力に発振波形が観測されました。気にせず終段のバイアス電流を上げていき、調整値の半分の5mA程度の状態で発振対策を行います。2段目に発振対策用のコンデンサを接続して様子をみます。ディップマイカコンデンサは価格が高いので、検討用にセラミックコンデンサを用意しました。10pFでは治まらず、22pFで発振がとまりました。この容量でディップマイカコンデンサを発注します。

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発振が治まったところで、終段のバイアス電流を10mAまで上げて、最後に出力のオフセット電圧を初段の半固定抵抗で調整しました。調整完了時点の各部の電圧は以下のとおりです。

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続けて正弦波による入出力確認をおこないます。本記事キャッチ写真は、1KHz/0.9Vppの信号入力をしたときの入出力波形です。上段が入力、下段が出力波形です。また、下図は周波数を約600KHzに上げたときの入出力波形です。私の発信器の上限周波数ですが、目立った減衰は認められませんでした。

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動作上問題はなかったので、残り3回路分の実装を進めていきます。次回はリピート作業の為、作業量のわりに説明があまりいらないので、記事が薄くなる懸念がありますが、気にせず実装完了を目指します。

 

つづく(製作編6)

 

音楽の女神への挑戦(製作編4)

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製作編4

公平な比較を行う為にオペアンプ基板も新たに作り直しました。

公平な比較

今回電源もディスクリート化しますが、公平な比較をするためには、同じ電源で音を聴く必要があります。意を決して、MUSES01のアンプ基板も新規に作り直して、新たに作る電源と組み合わせて比較評価することとしました。作り直す基板は、ディスクリートアンプ基板と簡単に交換できるように、電源および信号入出力用の端子台の位置を合わせました。このため写真のとおり、スカスカの実装基板となりました。実は、端子台の位置出しのために、ディスクリートアンプ1チャンネル分の実装を事前に行いました。ディスクリートアンプ基板実装については次回に紹介します。

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シャーシの改造

MUSES01が乗った基板を取り外します。初めに信号の入出力および電源線のハンダ付けを外します。基板固定用のネジを外し、シャーシに固定されたスタッド4本も外します。このシャーシは今回で2回目の改造となります。組立直後にハムのトラブルが発生し、トランスの配置起因と判明して、基板とトランスの位置の入れ替えを行いました。このため、シャーシには使用していない穴がいくつか開いていますが、今回の改造でさらに穴が増えてしまいます。本体にゴム足がついていますが、基板固定用スタッドのナットと干渉するため、変則的な位置としていましたが、今回もさらに変更が必要となりました。写真は基板取り付け用のスタッドを取り付けた状態のシャーシ下面です。ちょっと痛々しいですが、普段は見えないため気にしない事にします。

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組立

信号ラインは、入力端子から出力端子へL/Rチャンネルを平行して無理なく配置すべきですが、今回はL/Rチャンネルの平行配置ができませんでした。実装スペースの制約のためあきらめました。入出力用のシールド線とトランスの電源線および電源ランプ用の電線全てを現状のものを使い回しました。2芯シールド線が固く、背面側の信号入力用の端子台に負荷がかかっていますが、様子見とします。一方、電源基板は比較的無理なく実装できました。

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動作確認

初めにオペアンプなしで、電源を入れて各ピンが所定の電圧となっていることを確認します。片方のオペアンプの+/-電源電圧が基板単品確認時とは異なり、+/-ともに0.5V程度シフトしていました。さらに確認すると、左右独立電源のそれぞれのGND電位が違っていることがわかり、測定するオペアンプに合わせてGNDを取り直すと正しい電圧になることがわかりました。左右電源のGND間の抵抗値を測定しましたが、なぜかつながっていない状態となっていました。トロイダルトランスは、LRチャンネルの電源で共通の巻き線を使用しているので、どこかがおかしいです。今週の作業時間切れが近づいているため、原因の特定を後回しとして音だしをしました。改造前と比べて音が違います。音の違いは、電源のGND問題を確認した上で、改めて紹介します。

意外なところに音楽の女神が

取り外した現行基板をなにげなく眺めていたところ、レギュレーター出力用の電解コンデンサ(100uF/25V)に目がとまりました。MUSEです。一昨年(2015年)に部品選択しましたが、意識せずに、HiFiオーディオ用ということで選定していたようです。今回は同じカ所の電解コンデンサをFG(Fine Gold)と1ランク落としているので、結果への影響が気になります。

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次回はディスクリートアンプ基板の部品実装を紹介します。

 

つづく(製作編5)

 

音楽の女神への挑戦(製作編3)

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製作編3

電源基板の実装を行います。

2SC3422/2SA1359

電源回路実装に入る前に、出力トランジスタについて紹介します。東芝製のコンプリメンタリ品で、データシート上に用途として「電力増幅用」、「低速スイッチング用」と記載されています。秋月電子の在庫の中で見た目と価格(40円)が手頃のため選択しました。40V/3A, Pc=1.5W(Ta=25℃)hfe=80min, ft=100MHzと今回の用途としては十分な特性です。代表して2SA3422のデーターシート抜粋を掲載します。

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実装方針

左右独立電源の実装可否を検討します。+/-の2電源を左右独立とするには、大きく回路系は4ブロックとなります。これ以外にトランス出力を全波整流するブロックも必要です。基板の長手方向に4ブロックを並べ、その4ブロックの手前側に全波整流ブロックを実装することとします。

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部品実装

シングルアンプの電源基板で使用して大変重宝した基板端子台を今回も使用します。実装スペースを取ってしまう事が欠点ですが、それを差し引いても採用のメリットが大きかったからです。基板の長手側の端に入力用の端子台、全波整流用のブリッジと電解コンデンサを配置しました。現行の電源では、一般品の4700uF/50V品を計4個搭載していますが、今回は実装スペースの関係からニチコンのオーディオ用4700uF/50V品を2個としました。続いて、基板の短辺にそって+電源回路を実装します。アンプ片チャンネル当たり、約34mAを消費します。電源回路放電用に1mAを流しているので、トータル35mAが電源回路出力トランジスタに流れます。トランジスタの印加電圧は約5Vなので、トランジスタの消費電力は175mWとなります。このレベルであれば、トランジスタの放熱は不要です。続いて、ー電源回路をその隣に実装します。電源入力部と反対側に電源出力用に3極の基板端子台を実装し、片チャンネル分が完成です。

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ここにも音楽の女神が

製作から話が脱線しますが、今回電源基板にはニチコンのオーディオ用標準品電解コンデンサKWとオーディオ用ハイグレード標準品FG(Fine Gold)を採用しました。KWは黒のスリーブに金文字で、FGは金スリーブで黒文字と、どちらも高級感のある外観です。ニチコンには、さらにハイグレード品としてミューズを唱うKZとES(両極性)電解コンデンサがあります。このミューズは挑戦相手のオペアンプのミューズ(MUSES)と綴りが異なり、単数形の「MUSE」です。いまさらですが、記事のネタとしてKZ品を採用すべきだったと少し後悔しています。ニチコンHP上には、オーディオ用電解コンデンサとして11品種が本記事公開時点で掲載されていますが、ミューズシリーズの2品種を含めて8品種(下図型式脇に※表示のあるもの)が生産終息予定品種となっており、ここでもオーディオパーツ不遇の時代を実感させられました。

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動作確認

話を戻します。本来であれば、トランスのAC出力を基板に入力して動作確認をしますが、改造予定のバランスボリュームは、まだ運用中のためトランスを接続することができません。仕方ないので、AC12Vのピーク電圧約+/-16.8Vをユニバーサル電源から入力して動作確認を行いました。確認のポイントがあまりないので、いきなり出力電圧を確認します。+側が12.1V、ー側が-12.1Vでした。ユニバーサル電源の電流表示値は5.5mAとなっていて設計どおりの値です

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もう片チャンネル分の実装と確認

基板上に回路ブロックが均等に配置されるように残りのチャンネル分の回路を実装します。最初に実装した配線を参考にするため、短時間で実装が完了しました。懸念していた、左右独立電源実装は写真のとおりきれいに納めることができました。

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先の回路と同様に動作確認を行います。電源自体が消費する電流値は先の動作確認時の倍の、11mAとなっています。出力電圧は+が12.3Vでーが11.9Vでした。+/-のばらつきが大きいですが、ツェナーダイオードのばらつき起因と考えられます。今回の用途では影響がないのでこのまま進めます。リップル特性等の評価は、トロイダルトランス接続時に改めて実施します。

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次回はアンプ回路の実装を行います。

 

つづく(製作編4)

 

音楽の女神への挑戦(製作編2)

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製作編2

アンプ基板製作の初めに、初段用のdual FETを変換基板実装します。

初段用Dual JFET

DCアンプの初段に使用するDual JFETについて改めてネットで調べてみました。ありました。同じような事に興味を持って、調査した結果を公開しているページを見つけました。「new_western_elec」の2015年10月4日の記事です。この記事によると、記事公開当時に製造中のDual JFETはこの2SK2145しかないとの事です。特性はすでに生産中止となっている2SK117と同じで、一部特性が違うとのことですが、昨年オーバーホールしたDCパワーアンプの初段に使ったDual JEFT 2SK150相当とのことです。この記事を読んで、2SK2145に対して親近感がわきました。唯一入手可能なこのDual JFETを継続して入手できることを切に願います。

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2SK2145GR

Dual JFETは選択の余地がない事が改めて確認できたのでの今回もこれを使用します。チップパッケージの為、DIPへの変換基板と両オスの連結ソケットを使って、DIP用のソケットに実装します。Idss分類は3種類(Y:1.2~3.0mA、GR:2.6~6.5mA、BL:6.0~14.0mA)ありますが、初段のバイアス電流を1mAとしたため、GR品を選択しました。

JFETの実装

変換基板は秋月電子で購入しました。型番はSOT23で10枚で150円です。それでは罰ゲームの時間の始まりです。机に両面テープを貼り、その両面テープにハンダ付けで温度が上がらない部分選び基板を貼りつけて固定します。

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基板の片側の3端子用のランドにハンダを付けて、端の1端子を除き吸い取り線でハンダを吸い取ります。端の1端子を他の端子の位置を合わせてハンダ付けします。次に、反対側の2端子をそれぞれハンダ付けします。端子が両端の2本のみなので、こちらの方がやりやすいです。3端子側に戻り、ハンダ多めで残り2端子を固定します。端子間がショートするので、吸い取り線で余分なハンダを吸い取ります。続いて実装確認をします。ソースと2つのドレイン端子間を基板のスルーホール部分で抵抗値を測定します。約100Ω~1KΩくらいであれば正しく接続されています。抵抗値がそれよりも高い場合は、もう1度ハンダをやり直します。ゲート側は、連結ソケット用のスルーホールとチップの足の間の抵抗値を測定します。0Ω近い値であれば問題ありません。

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連結ソケット接続

変換基板をDIP用ソケットに差し込む為の足となります。BTL DCパワーアンプ製作時は、連結ソケットを目一杯変換基板に差し込み部品実装面上に連結ソケットの足が立ち上がっていましたが、チップの実装修理時に連結ソケットの足がハンダ処理のじゃまになるため、今回は差し込みを浅くしました。

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ハンダ付けの際には、チップ基板実装時と同様に熱を加えない端子を両面テープで固定してハンダ付けをしました。

実装の確認

正しく実装されていることを確認するために、それぞれのJFETのIdssの測定を行います。トランジスタ選別で使用したジグに、8pinDIPのソケットが実装されているので、それを利用して測定します。測定回路は以下のとおりです。

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各基板のそれぞれ2回路を1回路づつ測定していきます。

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測定結果は以下のとおりです。Idss自体のばらつきはあるものの、Dualの2回路間のばらつきはほとんどありませんでした。4個ともに正しく実装ができていることが確認できたため、No.1,2とNo.3,4をそれぞれのチャンネルで使用することとします。

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次回は電源回路から実装スタートします。

 

つづく(製作編3)

 

音楽の女神への挑戦(製作編1)

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製作編1

初めにコンプリメンタリで使用するトランジスタの選別を行います。

2SC1815GR/2SA1015GR

東芝製のエピタキシャル形トランジスタで、価格も安く(200円/20個)秋月電子に在庫があることから今までも使用してきましたが、この2種類のトランジスタはコンプリメンタリ品です。推奨用途は、「低周波電圧増幅用」「励振段増幅用」となっていて、Po=10W用アンプのドライバが具体的な例としてデータシートに記載されています。GR品はhfe=200~400のクラスとなります。Icmax=150mA, Pc=400mW, ft=80MHz minと今回の用途にマッチしています。購入したものはPNPのみテーピング品のため、両者でリードのフォーミングが異なっています。

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NPN品hfe測定

終段のコンプリメンタリ用のTrを選別するため、使用時のバイアス電流に合わせてIc=10mAでhfe測定を行います。まずはNPN品から行いますが、回路は以下のとおりです。

■2SC1815GR hfe測定回路

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ベース側のボリュームを調整して、エミッタ抵抗200Ωの印加電圧を2Vに合わせてIc=10mAとします。その時のベース抵抗10kΩの両端電圧を測定してIbを算出します。測定開始時にベース電位が低くなるようにボリュームをセットしておき、トランジスタに過電流を流さないようにします。測定ジグは、BTL A級DCアンプ製作時に作ったものを使用しました。

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トランジスタは、レバー付きのDIP用のICソケットを使用して取り付けます。(本記事キャッチ写真参照)配線はジャンパーワイヤーとピンソケットを使用して、自由に回路の組み替えができるようにしています。BTL A級DCアンプのドライバ測定時はトランジスタに放熱器が必要な条件で測定した為、安定するまでに時間がかかりましたが、今回の測定は発熱しないため、すぐに動作が安定しました。

PNP品hfe測定

測定回路は以下のとおりです。ベース側のボリュームを調整して、エミッタ抵抗200Ωの両端電圧を2Vに合わせてIc=10mAとします。その時のベース抵抗10kΩの両端電圧を測定してIbを算出します。NPN測定時との違いは、測定開始時にベース電圧を高くなるようにボリュームをセットして、トランジスタに過電流を流さないようにする点です。ジグは、ジャンパーワイヤーの差し替えでPNPに対応させました。

■2SA1015GR測定回路

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測定結果

今回20ペア購入して測定を行いました。測定済みのトランジスタは、部品用の小袋にナンバリングして管理します。

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以下がNPN/PNPの測定結果です。共にGR品ですが、hfeが200を割っているのは、データシート掲載値と測定条件(Ic=10mA)が違う為と考えられます。

■2SC1815GR測定結果

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■2SA1015GR測定結果

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この結果を元にコンプリメンタリペアを選択します。総じてNPN品のhfeが小さいため最大品から4個を、PNPは最小品から4個を組み合わせました。下記の表は、それぞれのトップ10とボトム10を抜き出して4個を組み合わせたものです。今回のコンプリメンタリペアのhfe誤差は5%前後となりベストマッチとはなりませんでしたが、神経質にはならずに、このペアで進める事にします。実動作条件は異なりますが、この結果をもとに初段のカスコード用及び2段目のトランジスタペアも選別します。

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次回は基板への部品実装を進めます。

 

つづく(製作編2)

 

音楽の女神への挑戦(設計編)

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設計編

構想編でまとめた内容に沿ってディスクリートアンプの設計を進めます。

電源回路

BTL A級DCアンプの電圧増幅段の電源回路を流用します。特徴は負荷変動に対する制御は行わずに、入力変動とリップルを抑えるだけですが、今回の用途にはマッチしています。搭載されているトランスは、12Vx2出力のトロイダルタイプで、この出力を全波整流すると無負荷状態で16.8Vとなります。この入力からDC12Vをつくるとき、出力トランジスタの印加電圧は4.8Vとなりオリジナル回路よりも小さくなります。BTL A級DCアンプの電圧増幅段用電源では、出力トランジスタとしてダーリントンタイプを使用しましたが、トランジスタ印加電圧を少しでもかせぐために、今回は普通のトランジスタを使用します。出力12Vとするためには、出力トランジスタのベース電圧を12.6Vにする必要がありますが、丁度いい電圧のツェナーダイオードがなかったため、9.1Vと3.6Vの直列使用で12.7Vとします。平滑用の電解コンデンサはトランスの負担になりますが、出力トランジスタの入力電圧をかせぐために、大容量のものを使用します。

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アンプ回路

アンプ部もBTL A級DCアンプの電圧増幅段の回路を流用しますが、特徴は差動動作にこだわり、無理にゲインを稼がずに裸特性を優先させています。オリジナルは、13.6Vの電源で動作させましたが、今回は12.1Vで動作させるために、回路定数の見直しをします。初段の負荷抵抗に3Vをかけ、カスコードトランジスタに、4.1Vの電圧を印加し、最大振幅時にもカットオフしないようにします。終段のコンプリメンタリのドライバには、10mAのバイアス電流を流し、エミッタ抵抗を10Ωとしました。2段目の差動回路のバイアス電流を5mAとすると、初段およびドライバ段の設計から2段目の定数が自ずと決まります。これらを反映して回路図を起こします。

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部品の選定

最初に基板を選択します。秋月電子のユニバーサル基板は品質、価格共に良かったため、今回も通販のラインナップから探します。A~Dの4種類のサイズのものがあり、それぞれの寸法は以下のとおりです。

A:155x114
B:95x72
C:72x47
D:47x36

完成済みのシャーシに納めるため、ボリューム、トランスの配置を考慮してBタイプを選択しました。下の写真のとおり、電源基板用1枚と、Lch/Rch用にそれぞれ1枚を実装します。アンプ基板1枚の固定用のネジ位置1カ所がボリュームの下となってしまうため、この基板のみ3点支持とします。

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初段のdual FETは選択の余地がなく、今回もチップパッケージの2SK2145GRを変換基板に搭載して使用します。

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トランジスタは、BTL A級DCアンプで使った2SC1815GRと2SA1015GRがコンプリメンタリ品なので、これで済ます予定ですが、バックアップとして2SA2240GRと2SA970GR品も購入しました。(本記事キャッチ写真参照)

電源回路は、左右独立電源としていますが、基板へ部品実装時にスペースを確認して、独立電源の可否を改めて判断します。出力トランジスタは、40V/3A品の2SC3422/2SA1359を選択しました。回路図を元に改造基板用の部品表を作成したので参考に公開します。

■アンプ部0.5ch分部品表

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■電源部部品表

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次回は、トランジスタの選別から組立について紹介します。

 

つづく(製作編)