A級バランスHPアンプ製作(設計編1)

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設計編1

バランス対応ヘッドフォンを入手したのでそれ用のヘッドフォンアンプを構想して、設計を行います。

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設計構想

今回の1番の目的は、ヘッドフォンのバランス駆動時の音を聴いてみることですが、せっかくつくるので欲が出てしまいます。今は比較的環境に恵まれていて、スピーカーからそれなりの音量で音楽を鳴らすことができますが、この環境もいつ変化が訪れるかわかりません。それに備えてヘッドフォンでの鑑賞環境を整えておくことも目的としたいとおもいます。最近の設計ではいろんな制約で設計的な妥協を行っていますが、2番目の目的を加えたこともあり、ここで一旦自作の原点に戻ってできる限り設計的な妥協は排除して進めたいとおもいます。それでは恒例の設計構想を箇条書きにまとめたいとおもいます。

・A級BTL駆動方式

・DCアンプ

・入力はアンバランス、バランス選択式

・出力はバランス2.5mm 4極ジャック

トロイダルトランス+レギュレータIC電源 ・放熱設計

それでは構想に従って具体的な設計を進めます。

プリアンプ

入力は利用範囲を増やすためにアンバランスとバランスの両方を設けます。アンバランスはRCAピンジャックを、バランスは3極のXLRコネクタとします。切り替えは4回路のロータリSWを使う予定です。アンバランス入力はオペアンプを使ってバランス変換します。バランス入力は各信号をボルテージフォロワで受けます。回路図はいつものとおり水魚堂様のBSch3V回路エディタを使って作成します。(本記事アイキャッチ写真参照)書き上げた回路は以下のとおりです。オペアンプは以前購入して交換により余っているMUSES8920を使用します。

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ヘッドホンアンプ設計

回路は定番のdual JFET入力差動二段構成とします。ヘッドホンとはいえ、A級動作させるため終段にはそれなりのアイドリング電流を流す必要があるため、パワーアンプ同様にドライバ段+終段の構成とします。初めに終段のアイドリング電流を決めます。今までヘッドフォンを鳴らすことに真剣に取り組んだ事がなかったので、出力がどの程度出せれば十分かわかりません。とりあえずの値として500mWを設定しました。購入したヘッドフォンのインピーダンスが45Ωなので、最大出力時の電流の実行値Imrmsは、

Imrms = SQR (0.5 / 45) = 0.1 A

その時のピーク電流Ipeakは、

Ipeak = 0.1 x 1.41 = 0.141 A

このピーク電流をA級動作で流すためのアイドリング電流Iidelは、

Iidel = Ipeak / 2 = 0.07 A

仮に終段の電源電圧を+/-12Vとしたときの終段トランジスタの損失Pidleは、

Pidel = 12 x 0.07 = 0.84 W

電源電圧を9Vまで下げられれば、ヒートシンク無しで進められそうですが、+/-12Vの場合、簡単な放熱器の実装が必要と考えます。終段に必要な電源電圧を見積もります。Ipeakが流れる時のピーク電圧Vpeakは、

Vpeak = Ipeak x 45 = 6.3 V

ヘッドフォンはBTL駆動されるので、終段の最大出力電圧Vfpeakは、

Vfpeak = Vpeak / 2 = 3.2 V

この結果から終段の電源電圧は+/-9Vとします。この時の終段トランジスタの損失Pidelは、

Pidel = 9 x 0.07 = 0.63 W

となり、ぎりぎりヒートシンクなしでいけるレベルになりました。ドライバ段のアイドリング電流は、終段のアイドリング電流値の1/10として約7mAとします。バイアス回路は、今までラインアンプで使ってきた定数の場合、コレクタ電流が小さくなりすぎる為、定数を見直します。初段および2段目の設計は従来の設計を踏襲します。これら設計を反映して回路図を起こします。

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回路図にはすでに記入済みですが、終段はA級BTL DCパワーアンプの修理の際に購入し、結局使わずに済んだ2SC3851A/2SA1488Aを使用します。ドライバを含めた他のバイポーラトランジスタは2SC1815GR/2SA1015GRを使用します。入力のJ-FETは定番の2SK2145GRを使用します。終段はサンケン電気製ですが、それ以外は東芝製です。オーディオ用として使いやすい2SC1815GR/2SA1015GRはすでに製造が終わっていて在庫販売のみのようです。ビルダー部品の調達は生命線なので今後一層厳しい状況になっていくものと思われます。次回は残る電源設計と製作にむけた部品の調達を行います。

 

つづく(設計編2)

A級バランスHPアンプ製作(構想編2)

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構想編2

バランス対応ヘッドフォンを購入しましたので現品のレビューを行います。

ヘッドフォンの購入

前回の記事でバランス対応のヘッドフォンについて調べてみました。バランス対応ヘッドフォンの統一された端子の規格はありませんが、総じてケーブルの交換ができるようになっていて、バランス、アンバランスをケーブルの交換で対応するようになっていることが解りました。今回購入したものは、価格がお手頃でバランス用のケーブルが付属しているパイオニアのSE-MHR5です。アマゾンで14,592円でした。

着荷の確認

アマゾンからはとてもヘッドフォンとは思えない大きな梱包で届きました。内情を知る友人に聞いたところ、適合した梱包のラインが混んでいると、自動的に大きな梱包箱のラインに回るとのことでした。ボーナス支給後の間もないタイミングでしたので説明どおり梱包ラインが混んでいたものと思われます。

SE-MHR5レビュー

ヘッドフォン自体の梱包はシックでありながら高級感もあり好感がもてます。

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外箱は上から被せるタイプなので、上に引き抜きます。中箱は白箱に金文字でメーカーロゴのみ印刷されています。さらに開けると、クッション材の中に携帯用バッグが納められています。携帯用バッグのファスナーを開けると、中にはヘッドフォン本体と2本のケーブルが納められていました。

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折り畳まれたヘッドフォンを取り出しイヤーパッド部分を広げてみます。

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まず目に付いたのは、イヤーカップ部ダクトです。

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メーカーのサイトによるとバックチャンバーを2重構造として遮音性を高め、なお且つ低域特性のコントロールをしているとのことです。果たしてどこまで効果があるのでしょうか?

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次に目についのが、片出しのジャックです。

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付属のケーブルをみると、4極の3.5mm端子となっており、抜け防止の鍵のような特殊な形状となっていて、位置を合わせて差し込み捻ってロックします。

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簡単な構造ですが、接続部の信頼性が高められています。話がケーブルに及んだので、付属のケーブルを確認してみます。アンバランス用とバランス用の2本が付属されてます。

■アンバランス用ケーブル

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■バランス用ケーブル

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本体側は上で紹介したとおり、4極の3.5mm端子が採用され薄ピンクの金属ボディーとなっています。他方アンプ側は、使い勝手を考慮してアンバランス・バランスケーブル共にL字の端子が採用されています。アンバランスケーブルのアンプ側は普通の3.5mmステレオ端子となっています。一方バランス用は4極2.5mm端子が採用されています。バランス方式のヘッドホンアンプの保護の観点では、通常のヘッドフォン用ステレオ端子が刺さらないように4極2.5mm端子の採用は意味があると言えます。すでに別のメーカーからもこのタイプのバランス対応のヘッドフォンケーブルが発売されており、デファクトの流れに乗るかもしれません。イヤーパッドは人工皮革のやわらかい物が採用されていますが、耳を押さえるタイプの為、ネット上には長時間の鑑賞には向かないとの書き込みがありました。

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細かな点ですが、L/Rのマーキングはオーバーヘッドバンドの根元に刻印されていて目立ちませんが、親切なデザインとなっています。

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前回の記事には書きませんでしたが、このヘッドフォンも強磁力希土類マグネットが採用されています。

携帯用バッグ

私は外で使用する予定はありませんが、付属のバッグは保管の際に埃の防止とポケットにケーブルをいっしょに保管することで必要な時に探し回る心配が減らせる利点があります。

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今回は音のレビューはしませんでしたが、作りは価格の割に良いと感じました。次回はこのヘッドフォン用のヘッドフォンアンプの構想および設計を行います。

 

つづく(設計編)

A級バランスHPアンプ製作(構想編1)

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構想編1

バランス駆動に対応したヘッドフォンを選定して、それ用のヘッドフォンアンプの製作構想を始めます。

ヘッドフォン

今まで真剣にヘッドフォンについて考えた事はありませんでした。とはいえ、通勤中のタブレット用にパイオニアのインナーイヤータイプを、デスクトップTV用にゼンハイザーのインナーイヤータイプを使っています。今回は、少し前から情報は目に入っていましたが調べることすらしていなかったバランス駆動に対応したヘッドフォンについて調べてみたいとおもいます。所有のシステムのほぼ全てがバランス対応している自称バランス派としては、ヘッドホンのバランス駆動を1度は体験してみたいとおもいます。

バランス対応ヘッドフォン

まずはどんなものがあるか調べてみました。

■AH-D7200/DENON

発売は2017年1月で同社ヘッドフォン発表50周年を記念したモデルで、木製ハウジングを採用した同社のフラグシップモデルです。

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・ダイナミック密閉型

ネオジウムマグネット

・25Ω

・105dB/mW

・1800mW

・バランスケーブル別途

・89,792円(Amazon参考価格)

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ケーブルは上の写真のとおり、ヘッドホン側に左右独立の3.5mmミニプラグが採用されていて、バランス接続時は比較的簡単に接続ケーブルが製作できるようになっています。

■TH610/FOSTEX

発売は2016年6月でこれも木製ハウジングが採用されています。同社ではプレミアムリファレンスヘッドフォンに位置づけられています。

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・ダイナミック密閉型

・25Ω

・5~45000Hz

・98dB/mW

・1800mW

・バランスケーブル別売(4極XLRコネクタ

・61,845円(Amazon参考価格)

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ヘッドフォン側は左右それぞれに2極の専用コネクタがついています。着脱式の祖ゼンハイザーの物とほぼ同じ仕様との事ですが、ロック機構の有無の違いでゼンハイザーのケーブルを挿した場合ぐらついて外れやすいとの情報がネットにありました。

■HD650/SENNHEISER

ドイツのオーディオメーカーで、昔からヘッドフォンやマイクロフォンを販売していました。このヘッドフォンの発売は2003年ですでにロングセラーとなっています。ヘッドフォン側は専用コネクタですが、ケーブル着脱式をいち早く採用したとのことです。

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・ダイナミックオープン型

・300Ω

・10~39500Hz

・103dB/mW

・バランスケーブル別売(4極XLRコネクタ

・45,739円(Amazon参考価格)

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ヘッドフォン側のケーブルコネクタは左右独立で2極の専用タイプとなっています。ロングセラーとなっていることからサードパーティー製のケーブルの入手が可能なようです。

■MDR-1A/SONY

2014年1月にハイレゾ用のスタンダードモデルとして発売されたものです。40mmドーム型アルミニュウムコートポリマーフィルム振動板が採用されています。

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・ダイナミック密閉型

ネオジウムマグネット

・3~100KHz

・24Ω

・1500mW

・バランスケーブル別売(3.5mm3極 x2)

・18,268円(Amazon参考価格)

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別売のケーブルのアンプ側は3.5mmステレオ用の3極ミニプラグです。何で3極なのかは不明です。

■SE-MHR5/Pioneer

2017年2月発売で、同社の新シリーズのヘッドフォンです。φ40mmのユニットが採用されています。

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・ダイナミック密閉型

・7~50KHz

・45Ω

・1000mW

・102dB

・バランスケーブル付属(2.5mm4極ミニミニプラグ)

・15,050円(Amazon参考価格)

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本体にアンバランス用とバランス用の両ケーブルが付属されているので、買ってすぐにバランス再生が可能です。ヘッドフォンアンプ側は4極の2.5mmプラグとなっていて、デファクトを狙っているように思えます。

バランス駆動

上記のとおり、バランス駆動用のアンプ側のコネクタに統一仕様がありません。信頼性という意味では4極のXLRコネクタに分がありますが、携帯機器用としては向いていません。最近の流れとしては2.5mm4極コネクタを採用したものが複数社から発売されている状況です。Sonyの採用する3.5mm3極 x2は後は使う側で勝手に変換してね!というスタンスのものもあります。使用者の立場としては早くデファクトスタンダード化していただきたいとおもいました。

選定

正直なところ、ヘッドフォンへの思い入れはあまりないので、今回はバランス駆動の音を聴いてみることを主目的に据える事として、一番手頃なSE-MHR5/Pioneerを試してみることにします。次回はヘッドフォンを入手し、そのレビューをします。

 

つづく(構想編2)

チャンネルデバイダ製作(番外編)

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番外編

部品の手配漏れで電源基板の組立ができなかったためバランス変換ボリュームから基板を流用しましたが、組立途中の電源基板を組み上げて元通りに戻します。

おさらい

前回の記事でチャンネルデバイダの製作は終わりましたが、組み上げの最後の電源基板の組立で定電流ダイオードの購入忘れに気づき、バランス変換ボリュームの電源基板を流用してチャンネルデバイダを組み上げました。

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時間を開けてしまうとこのままになってしまいますので、組立途中の電源基板の組み立てを再開し、完成させてバランス変換ボリュームに元どおりに戻します。写真は中断時の基板の状態です。

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組立再開

出力トランジスタベースの基準電圧生成回路の組立から再開します。基板の実装スペースに余裕がないので基準電圧生成用のダイオード3個は立てて実装します。その際に通電時に電圧を確認したいポイントのリードが基板上に出るように実装すると後で便利です。基準電圧平滑用の電解コンデンサは実装可能なMUSEの最大限の容量の物を選択しています。並列に接続するフィルムコンデンサも容量の割にはサイズが大きいです。出力回路は、平滑用のコンデンサと放電用の抵抗10kΩです。実装スペースの余裕がないので前回の実装を忠実に守ります。出力段の電解コンデンサは、在庫の有効利用のため、今回はFG品470u/25Vを使用しましたが、オリジナル品よりも径が大きくさらに実装が難しくなりました。ー電源の構成も+電源と同じなので同様に実装を進めます。

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もう1チャンネル分の+/-電源も同様に実装します。ほぼ同じ回路を4つ実装したことになりますが、繰り返しにより作業は効率は上がりますが作業に飽きてしまい効率が下がり差し引きゼロという状況です。そんな事を考えつつ全ての回路の実装が終わりました。

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通電確認

通電確認前に、実装チェックをしたところ2回路ある+電源の基準電圧生成用の定電流ダイオードの向きが反対となっている事に気が付きました。写真トランジスタのセンターの足がコレクタ、向かって右がベースで、電源側(コレクタ)からベース側に電流を流す必要がありますが定電流ダイオードのマーキングが逆になっています。通電前に気づき良かったですが、この基板で一番細かな実装部なので修理を考えると頭が痛いです。

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修理は、取り外す定電流ダイオードのハンダ付け部分にハンダ吸い取り線を当ててハンダを吸い取ります。これで部品が外れなかったら足をカットします。なんとか2カ所の実装間違いの修理が終わりました。それでは改めて通電確認を行います。基板への電源入力はトランスの代わりにDC電源を使います。AC入力のピーク電圧に相当する16.8Vをユニバーサル電源を使って入力しました。

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いきなり出力電圧の確認を行います。最初のチャンネルは出力がほぼ+/-12Vで問題ありませんでした。次のチャンネルを確認したところ-出力はほぼ-12Vで問題ありませんでしたが、+出力が約6Vと規定の電圧が出ていません。もしやとおもい、基準電圧生成用のツェナーダイオードの電圧を確認したところ、9.1Vツェナーを実装したはずの部品の両端電圧に約3.6Vしかかかっていない事が判明しました。おそらく9.1Vツェナーの代わりに誤って3.6V品を実装してしまったものと思われます。先ほどハンダを吸い取った部分を改めて吸い取る事となり、気分消沈です。めげずに部品交換し、改めて通電確認を行いました。出力電圧は表のとおりです。尚、表にはバランス変換ボリュームに搭載後の電圧値も合わせて掲載してます。

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基板の再実装

完成した電源基板をバランス変換ボリュームへ搭載します。同じユニバーサル基板を使用したので固定用のスペーサー4カ所に併せて乗せるだけで完了です。1次側の配線とPower LEDの配線をすませます。出力用の電源線はチャンネルデバイダで流用してしまったので、改めて電線を切り出して使用します。左右チャンネルともに電源の配線で再組立完了です。

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通電確認

電源SWをオンし、Power LEDが点灯することを確認し、電源の出力電圧をざっと確認しました。問題なかったので念のためアンプの出力オフセット電圧を確認しました。調整機構があるためディスクリートアンプのオフセット電圧の方がオペアンプよりも優秀でした。音だし確認もしたかったですが、簡単に準備できる環境がないので確認はここまでとします。今度こそチャンネルデバイダを使ったマルチアンプ関連の記事はこれにて終了です。次回の記事については現在思案中です。

 

おわり(番外編)

チャンネルデバイダ製作(まとめ編)

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まとめ編

チャンネルデバイダの組立が完了したので、通電確認をして音を聴いてみます。

組み上がり

前回触れる事ができなかったので組み上がりについてコメントします。部品配置に苦労しましたが、なんとか収めることができました。ボリュームと基板の配置もねらいどおり、ボリュームが基板端子台に被ることなく配置できました。LPF出力用のボリュームと電源基板、トロイダルトランス、ヒューズホルダの配置もうまくいきました。唯一2枚のフィルター基板が対向する辺の基板端子台の位置が重なり、配線がやりにくかった事が反省点です。

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リアパネルのXLRパネルコネクタ間のクリアランスがあまり取れず、特に上下間は4mmと狭くなっています。コネクタの抜き差しの使い勝手が心配でしたが、特に問題ありませんでした。

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正面パネルのボリュームの配置は、内部の部品配置の関係から他に配置のしようがなく写真のとおりになりました。格好良いとは言えませんが最低限許せるデザインとなったとおもいます。

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通電確認

組み上がった状態で、電源の出力電圧とアンプ各出力オフセット電圧を念のため確認します。

■電源出力電圧

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■出力オフセット電圧

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電源出力は問題なく、出力オフセットは多少大きいですが、バラックで運用していた時とほぼ変わりません。

音聴き

音の印象は、バラック時と変わりませんが、より腰の座った鳴り方をしていると感じました。電源トランスの余裕度から来ているのでしょうか?それではいつものとおり、いろんな楽曲を聴いてみます。

Teo Torriatte/Queen

1977年リリースの華麗なるレースに収録されています。この曲はバンドの人気の火が日本からついた事に対する感謝の意を日本語で直接伝える為に日本語の歌詞が入ったと言われています。落ち着いたメロディー進行にサビの厚いコーラスが素直に再生されます。腰の据わった低音で安定して聴こえます。

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木星/惑星

このシステムは交響曲との相性がいいです。響きが豊かに、ホールの奥行き感が再現されます。

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■WESTCHESTER LEADY/BOB JAMES THREE

アルバムタイトルどおりボブジェームス3枚目のアルバムに収録されている楽曲です。低音が豊かに鳴ります。弦楽器の音の離れがいい感じです。

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展覧会の絵/EMERSON,LAKE & PALMER

1972年リリースのライブ版です。床を振るわす低音、ボーカル独唱、ライブの臨場感がいい感じで再現されています。アンコールのクルミ割り人形はテンポ良く走り気味の進行が一層ライブ感を再現しています。ベースの基音が明瞭です。

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■曙/Moony Night

風のセカンドアルバムに収録された楽曲です。ベースが豊かに鳴りますがダンピングが効き膨らみすぎません。ベースに被った部分のボーカルも明瞭に再生されてます。

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使用感

ウーファーとそれ以外(スコーカー、ツィーター)の音量調整が独立になっていますが慣れると音質調整と同じイメージで、思いの外使い勝手は悪くはありませんでした。この操作仕様の為ウファーのみや、スコーカー・ツィーターのみの再生も簡単にでき、それぞれ単独で鳴らして聴いてみましたが、高音側のレベルで低音の印象が大きく変わる事を体感しました。比較的小容量のパスコンを電源に入れる事で低音の印象が大きく変わる事を今まで経験していますが、どちらも音の印象が高調波に影響を受ける事例だと思いました。

最後に

電源とフィルタ基板の回路図を改めて掲載します。マルチアンプの実験1から2ヶ月以上おつきあいいただきありがとうございました。

■フィルタ部回路図

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■電源回路図

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つづく(番外編)

チャンネルデバイダ製作(製作編3)

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製作編3

シャーシの加工が終わったので最後に残った電源基板を製作開始しますが・・・

基板について

私が最近製作した基板はメイン、電源を問わず秋月電子の片面紙エポキシユニバーサル基板Bタイプ(95 x 72mm)を使用しています。

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Picotec International社製で品質は安定しています。販売サイトによると、メーカーへ直接発注しているとのことで価格も良心的で1枚120円です。秋月電子が扱う多くの基板がこの会社製です。以前、別のサイトで注文した基板が高い上に品質も悪くそれ以来、基板は秋月で買っています。使う基板を統一すると、基板の載せ替えが簡単にできるメリットもあります。今回の電源基板もこれを使って製作します。

電源基板の製作

電源回路は、バランスボリューム、バランス変換ボリュームに実装したものと変わりません。部品の選定を最近組み立てたバランス変換ボリュームにあわせたため、実装はバランス変換ボリューム搭載基板と同様に行います。電源の入力側から組み立てていきます。整流用の電解コンデンサを取り付けたら、前回の製作と同じくハンダ面の作業がやりやすいように、部品面側の基板取り付け穴にスタッドを2本立てて支えにしました。

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続いてトランジスタのベースの基準電圧回路実装を行おうとしたところ、4.5mAの定電流ダイオードの購入が漏れていることに気づきました。過去に購入した余り物に在庫がないか確認したところ、袋に何の記載もない10本のダイオードが見つかりました。虫眼鏡で捺印を確認したところZ9C1とあり、調べたところ9.1Vのツェナーダイオードと判明しました。早々に袋にメモしました。残念。

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ここであきらめると約1日分の作業時間を無駄にしてしまいます。しばし考え強硬手段を取ることにしました。マルチアンプ化して出番がなくなっていたバランス変換ボリュームの電源基板を載せ替え、部品入手後に新たに組み立てた基板をバランス変換ボリュームへ戻すことにしました。

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最近忙しかったことと、製作実績のある回路の組立ということで、部品発注時に確認を怠った事が原因です。気持ちを切り替えて製作続行します。

電源基板の取り外し

バランス変換ボリュームは、チャンネルデバイダの部品配置の参考とするためにトップパネルを外して手元に置いてあります。電源基板への配線を全て外します。せっかくなので、アンプ基板への電源供給用の電線も流用することにしました。バランス変換ボリュームの基板は、今回の製作と異なりネジ止めされているので。4本のネジを取ると基板がはずれます。

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外す際に、必ず電源基板を組み上げて元通りに戻す事を自身に誓いました。

バラック解体

5月9日にチャンネルデバイダのバラック組立記事を公開したので、1ヶ月半以上バラック状態で運用してきました。

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最初はフルレンジ2発の実験環境で使用し、その後改造したNS-1000M環境でも使用しました。組立にはそこそこ時間がかかりましたが、解体は一瞬でした。ボリュームに配線されている2芯シールド線は流用を考えます。

組立

初めにばらしたフィルター基板2枚をシャーシに取り付けます。未実装基板でスタッドの位置調整をしたため気持ち良く取り付けることができました。

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基板の固定はナットです。ナット用のドライバが使えたので簡単に固定ができました。続いて電源基板を取り付けます。基板だけ取り付けて配線は後回しにします。

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次にボリュームと基板、パネルコネクタ間の信号の配線をします。できる限りバラックで使った電線を流用することにしましたが、2本のみ新規に切り出したものを使用しました。電線はバラックで使用したベルデンの2芯シールド線1503Aです。次にバランスボリュームから取り外した電源線をそれぞれのフィルター基板電源入力端子にのみ取り付けます。最後に電源基板の1次側と電源LEDの配線をして、電源基板の電源出力の配線接続のみ残した状態としました。

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これで一旦電源を入れて、電源の出力電圧を念のため確認をしておきます。ヒューズを入れてSWオンして出力電圧を測定します。2系統の電源ともに約+/-12Vで問題ありませんでした。電源を切り、放電を待ってから残った+/-12V出力の配線を行いました。これで全組立が完了です。

次回は通電確認と音出ししてこのシステムの使い勝手についても紹介したいとおもいます。

 

つづく(まとめ編)

 

チャンネルデバイダ製作(製作編2)

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製作編2

リアパネルに取り付けるXLRパネルコネクタ取り付け穴の加工から製作再開します。

XLRパネルコネクタ取り付け

前回の記事でφ21の丸穴まで開けました。パネルコネクタは図面のとおり異形のため穴の追加加工が必要です。

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初めに穴径をΦ22まで広げます。コネクタ本体が収まるようになったら、左右と下部の突起部分を収めるために丸棒形状のヤスリで削り形を出します。上部は平ヤスリで削ります。削っては収めての繰り返しです。

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今までバランスボリュームで1度に4個まで加工した事がありましたが、今回は6個もあり根気が続くか心配でした。それでもなんとか加工が終わりました。

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続いて現物合わせで、コネクタ固定用φ3.2のネジ穴を開けます。パネルコネクタを正しい位置に収めてその状態で取り付け穴のセンターにマジックで印をつけていきます。12個の印を付けたら、ポンチで位置だしをしてドリルで穴を開けます。

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現物合わせでも、穴開け後に修正しないと正しく取り付かないものが出るのが不思議です。とグチってみても始まらないので修正します。全て修正が終わったらパネルコネクタをネジ止めします。先に加工したヒューズホルダとACインレットも取り付けてリアパネルの加工は完了です。

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フロントパネル加工

リアパネルと同様に等倍で印刷した図面を外形に沿ってきりとり、パネルに貼り付けます。

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フロントパネルは丸穴のみで合計6カ所です。ボリュームの回り止めは3mmで加工を終わり、SWとLEDは4mmまでドリルで開けて残りは6mmのステップドリルを使います。LEDはさらにリーマーで7mmまで広げます。ボリュームは8mmのステップドリルで穴開けし、リーマーで9mmまで広げます。正面パネルのバリ取り作業は気を使います。誤って刃を外してしまうとパネルにキズを付けてしまうからです。最悪の場合、パネルは単品販売もされているので購入して再加工することもできます。穴開けが終わりLED、SWとボリュームを取り付けましたが、我慢できずにボリュームのツマミまで付けてしまいました。これでパネルの加工は終了です。(本記事アイキャッチ写真参照)

シャーシ加工

シャーシに取り付ける部品は、バランス変換ボリュームと変わりません。基板3枚とトロイダルトランス1個です。ボリューム2個とのクリアランスを意識してフィルター基板とトロイダルトランスの取り付け位置を決めます。基板の位置決めには未実装基板をつかってクリアランス確認をしました。位置だしができたら、取り付け穴のセンターにマジックで印をつけます。トロイダルトランスの取り付け位置もボリュームとのクリアランスを確認して決めます。位置が決まったら取り付け穴のセンターに印を付けます。印を付けたポイントにポンチで位置だしをしてドリルで穴を開けていきます。すべてφ3.2で合計16個の穴を開けます。フィルター基板の取り付けには、ボリュームとのクリアランスを稼ぐために、5mmのスタッドを使用します。シャーシへのスタッドの取り付けには、ネジを使いました。従って基板の取り付けはナットになります。位置精度が出ている場合には、この方式の方がメリット大です。精度が出なかった場合は、シャーシのスタッドの取り付け穴を加工して対応します。電源基板はまだ作っていませんが、パターン面に部品実装する可能性があるので、15mmのスタッドを使いました。同様に4本のスタッドをシャーシに取り付けます。

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最後にトロイダルトランスを取り付けます。未使用の1次巻き線の処理を前の記事で紹介した端末処理キャップで行いました。

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これでシャーシの加工は終了です。次回は電源の製作を行います。

祝1周年

昨年(2016年)の6/26に本ブログを始めたので、ブログ期間が1年となりました。趣味としてのオーディオ製作は消滅したような状況で情報交換の場がなかなかありません。一人でやっても長続きしませんが、本ブログへのアクセス数という形でのフィードバックが励みになり、これまでやってこれました。今後も趣味の範疇で続けていきたいとおもいますのでよろしくお願いします。

 

つづく(製作編3)