2018インターナショナルオーディオショウ(番外編26)

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番外編26

前回に引き続きインターナショナルオーディオショウをレポートします。

今回の印象

昨年に比べて人出が少ない印象です。例年9~10月開催でしたが、今回は11月開催という事で、秋の行楽シーズンと重なった事が影響しているかも知れません。この人出で、開催がペイするか余計な心配をしてしまいます。

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写真は上層階から受付を見たものですが、人がまばらです。それでは本題に戻ります。

テクニカル オーディオ デバイセス ラボラトリーズ

言わずと知れたTADです。気になっていましたが今まで一度もブースを訪れたことがありませんでした。ネットの情報ですが、TADはもともとパイオニアのプロフェッショナルブランドでしたが、2007年に同社が設立されてブランドを引き継いだとの事です。昨年のショウで他のメーカーの試聴会でTADのスピーカーが使われていて、好印象だったため、後で調べた所、国内メーカーでは珍しくベリリウム製の振動板を採用している事を知り、今回ブースを訪ねることにしました。疲れてくる時間帯ですが、17日の15:00~「TADエンジニアによるTAD-E1TXデモンストレーション」に参加しました。

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デモのタイトルのスピーカーは、使用されたパワーアンプと同じく9月に発表された新製品です。2chパワーアンプを2台使用してスピーカーをバイアンプ駆動していました。送り出しは、同社のTAD-D1000MK2です。

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説明は、スピーカーエンジニアの長谷さんが行いました。TAD-E1TXは、TAD-ME1ベースでウーハーを2本としてトールボーイ化したものです。使用スピーカーもTAD-ME1と基本は同じですが、ウーハーはパラレル使用するためインピーダンスを上げて、かつ駆動力を高めているとの事でした。

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中高域は、ME1と同じCST(Coherent Source Transducer)が使用されています。クロスオーバー周波数も同等の420Hzと2.5KHzとの事です。ME1は、このCSTドライバとウーハーを近接配置させ、小型スピーカーのためバッフル面積が小さい事から定位の良さが評価されていたそうですが、そのままその特長を継承させる事に苦労したそうです。単純にWウーハー化すると音場が広がってしまい定位が悪化したそうです。改善すべくいろんな事をためされたそうですが、タイムアライメントをとる事で奥行き感が出せたとの事でした。具体的には、バッフル面を3°傾斜させてCSTドライバの位置を奥に移動させました。そのまま取り付けるとユニットが上向きになるため、正面になるように取り付けを変更しています。

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また、バッフル面積を少しでも減らす為、正面上部は曲率半径の大きなラウンド形状としています。このCSTドライバのミッドレンジは9cmマグネシウム振動板を、ツイーターは2.5cmベリリウム振動版を採用しています。高級機のミッドレンジとツイーターもベリリウム振動板を採用していますが、その振動板は銅製のベースにベリリウムを真空蒸着し、その後エッチングで銅のベースを溶かす手間がかかる真空蒸着法をとっているとの事ですが、このツイーターは、この方法を使わずにホイルを圧延して整形しているとの事でした。技術説明は、まだまだ沢山ありましたが、紙面が尽きてしまうので割愛します。長谷さんの説明は、このスピーカーの特長を余すところなく簡潔に、かつ経験の基づいた裏付けも含めて説明されたので理解しやすく好感がもてました。ここからは音の印象です。1曲目は女性ボーカルで、やさしくつややかに聴かせてもらいました。低音も十分出ていて、定位も良く品の良い鳴り方をしていました。最後の曲は、大野雄二のルパン三世のテーマ'80でした。学生時代にレコード板としてもっていたもののリマスタ曲のようです。私の全てのレコードは廃棄されてしまったので、大変懐かしく聴く事ができました。この曲でさえも品良く聴かせてくれました。

エレクトリ

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時間調整でフラリと入ってみましたが当たりでした。エレクトリはいろんな会社の製品を輸入販売していますが、一番有名なブランドはMcintoshでしょうか?入った時にはMAGICOのM3(スピーカー)のデモを行っていました。

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特長は、カーボンファイバー製のサイドパネル、内部補強用に組み込まれたアルミ削りだしのフレームが採用されていてエンクロージャの振動に拘って設計されています。写真は内部構造展示ですが、アルミフレームが複数設置されてエンクロージャが補強されています。

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ツイーターにはダイヤモンドコーティングされたベリリウム振動板が採用されています。このM3を同社が輸入するMcintoshのMC611モノラルパワーアンプで駆動していました。

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このアンプはクワッドバランス回路設計が採用され、同社アンプの特長である出力トランスで結合されて出力されているとの事です。出力は出力トランスでマッチングさせるため2,4,8Ωのいずれの負荷抵抗時も600Wでを叩き出します。デモの音ですが、次元の違う鳴り方をしていました。安定感があり、低音から高音までバランスがとれていて美しく鳴っていました。価格は、M3が2本で10,480,000円で、MC611が1台で2,100,000円と、こちらも次元が違いますが、この音であればありなのかと思いました。

まとめ

再生環境は必ずしも良いとは言えませんが、無料で普段聴くことができないシステムの再生を体験でき、まる1日いても回りきれないボリュームなのでオーディオファンには外せないイベントです。次回もまた来場したいとおもいます。

 

おわり

2018インターナショナルオーディオショウ(番外編25)

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番外編25

国内最大のオーディオイベント、インターナショナルオーディオショウに今年も行ってきましたのでレポートします。

2018インターナショナルオーディオショウ

今回は第36回となり、今年も有楽町の国際東京フォーラムで11/16(金)~11/18(日)の3日間開催されました。自宅からのアクセスは、小田急代々木上原で千代田線に乗り換えして日比谷下車A2出口から約3分で会場です。千代田線はお茶の水に行くときも利用しましたが大変便利です。入場は無料ですが、受付で登録が必要です。主催は国際音声協会(JASJ)で、出展は32社、192ブランドとの事です。私は中日の17日土曜日に行ってきました。

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それでは立ち寄ったブースを紹介します。

株式会社ヤマハミュージックジャパン

ヤマハは、過去にK1-dを使用し、NS-1000Mは今でも使っていることもあり、思い入れのあるメーカーです。今回はFlagship HiFi 5000シリーズが揃ったのでぜひ聴いてみたいと考えていました。下記はネットに掲載されたスケジュール表です。せっかくなので設計者のトーク&試聴会のコマに参加しました。

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5000シリーズは、NS-5000(スピーカー)、M-5000(パワーアンプ)、C-5000(プリアンプ)、GT-5000(ターンテーブル)で構成されます。

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総額で3,900,000円のシステムです。特筆な点は、カートリッジからスピーカーまでフルバランス伝送できる事です。ターンテーブルでバランス出力ができるものは他には思いあたりません。まだアナログレコードには手を出してはいませんが、ぜひ試してみたいと思いました。

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今回のデモは、プリアンプとパワーアンプの設計者が登壇し、それぞれのアンプで拘った点についての紹介がありました。

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C-5000では全段フローティングバランスグランド方式採用と、ブックマッチコンストラクションの採用でした。プリアンプは、アンプの段数が多く、それをバランス化するとさらに倍の回路が必要になります。それを独自の工夫で簡略化してバランス構成としているようです。ブックマッチコンストラクションは、左右チャンネルの回路をそれぞれ1枚の基板に実装します。その2枚の基板の部品を鏡に映した状態に配置し、その2枚の基板をハンダ面側を対向して配置する事でGNDパターン間の距離を近づける事ができ、GNDの安定化を狙った構造との説明でした。

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M-5000はNS-5000にも採用されたPC-Triple C電線採用とメカニカルグラウンドコンストラクション構造の採用が説明されました。PC-Triple Cに関する詳細な説明はありませんでしたが、今回のデモシステムでは、機器間の全ての接続にも使用しているとの事でした。メカニカルグラウンドコンストラクションは、電源用のトロイダルトランスのセンターの固定用のボルトをシャーシと一体に固定する等、実使用時の不要な振動を押さえ込む構造をとっているとの事でした。1曲目は、5000シリーズフルシステムの演奏です。カートリッジはオルトフォンのAC6です。

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1960年録音のハイドン交響曲ですが、スピーカーまたはパワーアンプの音色でしょうか?比較的硬質な音色の印象です。チェロの音が明快で前に飛び出す勢いを感じました。2曲目以降はアキュフェーズのSA-CDプレーヤーDP-750が使用されました。2曲目はヒラリーハーンのバイオリン楽曲です。バイオリンの音の音離れが良く、スピーカーとの相性が良く生き生きと再生されてました。

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過去にオーディオ事業を行っていた国内メーカーのうち、今回のオーディオショウに出展した数少ないメーカーなので今後も頑張ってもらいたいと思います。

エソテリック

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私が参加したのは、タンノイウエストミンスターGRとアバンギャルドTRIO LUXURY EDITION26の試聴会のコマです。タンノイは、学生時代に友人がデボンをヤマハのB-6をBTL駆動して使っていたので親近感を持っています。デボンは比較的小型のスピーカーでありながら低音がゆったり鳴り、デュアルコンセントリック方式による定位の良さが記憶に残っています。デュアルコンセントリック方式は、1947年に開発され、それ以来他のマルチウェイには走らず、一貫して採用されてきた方式との説明がありました。ウエストミンスターのオリジナルは、ネットで調べたところ1982年発売との事ですが、今回はWestminster Royal/GRとしてモデルチェンジされたものです。

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演奏曲は「展覧会の絵」でしたが、ホール感がいい感じで再現できていました。ホーンツイーターによるものと思われますが、中高域音の飛び出し感が印象的で、中低域の響きが厚く、迫力ある演奏でした。続いては、セッティング変更を挟んでアバンギャルドのTRIO LUXURY EDITION26のデモです。

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写真のとおり一般家庭に置けるシステムではなく、展示会ならではの試聴体験です。向かって左のステンレス筐体がウーハーでクロスオーバーは100Hzとの事でした。右のホーン形状のユニットで100Hz以上を受け持ちます。見た目はホーンですが、ウェーブガイドとして機能していると説明がありました。音の印象は、音離れが良く、奥行き感の再現もいい感じでした。スケールが大きく音が広がる印象でした。尚、どちらの再生にもエソテリックのモノブロックパワーアンプM1が使用されていました。

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次回も引き続きインタナショナルオーディオショウをレポートします。

 

つづく(番外編26)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編32)

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製作編32

ATT基板2の残りの被覆電線を使った配線して、配線および基板単体動作確認を行います。

トランジスタアレイ入力配線

前回は、トランジスタアレイ出力とリレー操作コイル間の配線まで行いました。今回はそのトランジスタアレイへの入力配線を行います。最初は、倍率抵抗切り替えリレーとミュート切り替えリレーを制御しているTD62003APの入力の配線を行います。制御信号用の端子台3pinと4pinから紫の電線で接続しました。分圧抵抗切り替えリレーの制御はTD62308BPで行っていますが、その入力はHCT139AP出力と接続します。この部分も紫の電線を使用しました。

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次は、HCT139APの入力と残りのTD62308BPの入力の配線を行います。この部分も紫の電線を使用しました。

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被覆電線を使った配線の最後は、ATT基板1で後回しとして忘れそうになった、制御信号デージーチェーン用端子台への配線を行います。まずは、pin5のGND配線を行います。配線済みの被覆電線がじゃまになっるのでずらして配線しました。

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残りの4つの端子は、ATT基板1と同様に緑の被覆線を使用して配線します。配線元の端子台には、すでに配線済みの電線があるので、外れてしまわないように慎重にハンダ付けします。配線自体でハンダ付け端子を隠してしまうので、片側のハンダ付けを最初に行います。

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反対側は、近い側からハンダ付けを行って被覆を焦がさないようにしました。

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これでATT基板2の配線は全て完了しました。

ATT基板2配線確認

IC実装前に、配線の確認を行います。確認は2つのステップに分けて行います。ステップ1は、先に行った配線確認と同様に、電源端子台から+5Vと+12Vを供給して、ICソケットの各端子の電圧を確認します。4つのICの各端子の接続をまとめたものを再掲載します。

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先の確認では、GND, +5V, 不定の3種類でしたが、今回はそれに加えて+12Vが観測されます。+12Vが観測されるポイントは、リレーの操作コイルに接続されたトランジスタアレイの出力端子です。端から全ICソケットの全ての端子を確認していきます。

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全端子問題はありませんでした。確認のステップ2は、ICソケット間の配線です。電源供給をオフして、先に挙げた「ICの接続のまとめ」をみながら正しく接続されているかをテスタを使って確認します。この確認では、誤って隣の端子と接触している不具合が検出できません。仕方ないので、隣どおしのピンの導通確認を行いました。導通を確認した場合、故意に接続しているかを再確認します。確認の結果は特に問題ありませんでした。

ATT基板2単体動作確認

配線は特に問題なかったので、単体動作確認を行います。始めにICを装着します。足を曲げてしまわないように慎重に差し込みます。

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確認は、ユニバーサル電源から電源を供給して全制御入力に対する応答をテスタを使って確認します。確認は、アナログ入出力間の抵抗値および、アナログ出力とGND間の抵抗値です。制御入力は、ユニバーサル電源から対象の端子に5Vを直接供給して全制御入力状態を設定しました。

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地道な作業ですが、後段にトラブルを持ち越さない為に我慢して行います。ch1からch4の確認結果を一覧表にまとめました。

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全チャンネル問題ありませんでした。これでようやく8ch分の組立ができます。次回は、ATTユニットに搭載して動作確認を行います。

 

つづく(製作編33)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編31)

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製作編31

ATT基板2の制御回路部の配線の続きを行います。

ATT基板2配線続き

前回、GND配線まで行いました。このGND配線を使って制御信号入力のプルダウン抵抗を実装します。制御信号入力は、ATT基板3枚がパラレル接続されるため、プルダウン抵抗としては、大きめの330kΩを選定しています。実装方法は、ATT基板1と同等です。

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次は、+5Vの電源ラインを配線します。ATT基板1の実装に従います。ブログ用に撮った写真は、再現実装用としてはいまひとつポイントが外れていて理解に時間がかかりましたが、なんとか実装は進められました。

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次は、+12Vの電源ラインです。+12Vは、ICには供給されておらず、リレーの操作コイルの一端子のみへの供給です。ジャンパ線を駆使して、ch1/2, ch3/4の操作コイル12V供給ラインへ接続しました。敷線した電源ラインを使って、電源のパスコンを実装します。おまじない程度ですが、0.1uFを+5Vと+12Vの電源ラインに実装しました。

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実装写真の右側が+12V電源用で、左側が+5V電源用です。これで制御回路の電源ラインの配線は終了です。ここで一旦、配線の確認を行います。

制御回路電源配線確認

確認方法は、電源端子台から+5Vと+12Vを供給して、ICソケットの各端子の電圧確認を行います。4個あるICソケットの各端子の電圧を端から測定していきます。接続されていない端子の電圧は不定の為、値が安定しないので判別できます。アナログテスタでは、判別できないと思われます。測定結果は、0Vと+5Vと不定の3種類です。確認の結果1点ミスが見つかりました。HCT139の8pinのGND配線がされていませんでした。

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上の写真が、確認時のもので、写真中央のICソケット一番端の端子が未接続となっています。その端子を脇に敷線されているGND配線と接続しました。このあたりは、後で被覆線を使った配線で隠れてしまうため、この時点で修正しておかないと大変な事になるところでした。

リレー操作コイル配線

リレーの操作コイル配線は被覆電線を使用しますが、その前に左右chリレー駆動用のトランジスタアレイの入力を接続しておきます。できる限り被覆電線の使用を減らして配線をすっきりさせます。抵抗のリードをコの字形に曲げて接続しました。

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全部で4カ所接続しました。ここからは、被覆電線を使った配線となります。配線の順序は、ATT基板1と同様に、配線後の被覆電線が、後の配線でじゃまにならない順序としています。ATT基板1の配線の際には、考えながら配線を行いましたが、ブログ用に撮った写真で順番がわかるのでATT基板1の配線時よりも格段に効率的に進められました。最初は3kΩの分圧抵抗用リレーRL2の操作コイル配線です。トランジスタアレイ出力と接続します。被覆電線にはオレンジを使用しました。

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次は、1.8kΩ分圧抵抗用リレーRL3の操作コイル配線です。被覆電線は、見分けがつくように、黄色を使用しました。

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続いて、ミュート用リレーRL6の操作コイル配線をします。被覆電線は茶色を使いました。ここから、被覆電線のスパゲティー化が始まります。少しでも配線がすっきりするような敷線位置を探します。

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次は、倍率切り替え用リレーRL1の操作コイル配線です。被覆電線は白を使用しました。

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この基板の実装は、他部品とのクリアランス確保のため、スタッド長を7mmとするため、被覆電線の盛り上がり厚をそれ以下に押さえる必要があります。次は、1.1kΩ分圧抵抗用リレーRL4の操作コイル配線です。被覆電線は灰色を使用しました。

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最後の操作コイル配線は、560Ω分圧抵抗用RL5です。被覆電線は青を使いました。配線を少しでもすっきり見せるために、配線済みの被覆電線の下を通して敷線しました。

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なんとか操作コイル配線は完了しました。次回は、残った被覆電線を使った配線を行い、配線の確認およびATT基板の単体動作確認を行います。

 

つづく(製作編32)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編30)

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製作編30

ATT基板のリレー回りの配線が終わったので単体動作確認を行います。

分圧回路確認

前回ハンダ面に取り付けた抵抗の接続確認を行う為、回路のブロック動作確認を行います。この部分は、実装が進んでから手直しすることが難しいためこの確認のステップを踏みます。確認方法は、個別にリレーを動作させて所定の分圧状態となっていることを確認します。分圧状態の確認は、信号の入出力間の抵抗値と、出力とGND間の抵抗値を測定します。

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リレーを動作させるために操作コイルにユニバーサル電源から直接12Vを印加します。ミュートリレーはノーマルオンのため、他の分圧抵抗接続を確認する際にはミュートリレーを動作させて確認を行います。それでは、初期状態から確認をおこないます。

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倍率抵抗切り替えリレー確認

テスタをアナログ信号ラインの入出力間に接続して抵抗値を測定します。初期状態は、29.9kΩでした。倍率抵抗設定リレー1がオフしているので、27kΩと3kΩの抵抗が直列接続となるので設計どおりの抵抗値です。リレー1の操作コイルにダイレクトに12Vを供給して、倍率抵抗切り替えリレーを動作させます。この時のアナログ信号ラインの入出力間抵抗は、3.0kΩでした。信号ラインに直列に入る27kΩの抵抗がリレーでショートされるので設計どおりの動作です。

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分圧抵抗切り替えリレー確認

抵抗値のモニターポイントをアナログ出力端子とGND間に切り替えます。初期状態は、ミュート回路がオンしているので0Ωです。分圧抵抗切り替えリレーの動作確認をするためには、ミュートをオフする必要があります。ミュート用リレー6の操作コイルに12Vを供給してミュートオフします。このときのテスタは無限大の抵抗値を示します。分圧抵抗切り替えリレーが全てオフしているので、設計どおりです。

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ここからは4個の分圧抵抗切り替えリレーをそれぞれ動作させて確認を進めます。初めにリレー5を動作させます。抵抗値は0.56kΩで問題ありません。

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同様に1.1kΩ、1,8kΩ、3kΩ分圧抵抗切り替えリレーを動作させてそれぞれ抵抗値を確認します。確認結果は、後で一覧表に整理します。上記の確認をch2(cold)、ch3(Hot)、ch4(cold)と繰り返します。写真はch3の確認を行っているところです。

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どのチャンネルも設計どおりで問題ありませんでした。確認結果を一覧表にまとめます。表は、動作させているリレーに「○」を表示しています。確認結果が空欄の部分は、確認が必要ないと判断して測定を省略しています。

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制御回路実装

初めに、DIP IC用のソケットを4個実装します。実装位置はATT基板1に合わせます。リレー実装時と同じ要領で、基板を立ててソケットの1つの端子を仮ハンダします。

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実装の傾きを取るために、ソケットに触りながら先にハンダ付けした端子にコテを当てていきます。傾きが取れたら別のもう1端子をハンダ付けします。続いて、GNDラインを配線します。敷線の仕様はATT基板1に合わせます。デジタルGNDの配線を完結させるため、端子台の実装も行います。端子台は電源入力、制御信号入力、制御信号出力の3系統です。実装した端子台を含めてGNDラインの配線を行いました。

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次回は制御回路の配線の続きを行います。

 

つづく(製作編31)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編29)

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製作編29

2枚目のATT基板のリレーまわりの配線を行います。

2枚目ATT基板配線

前回、リレーおよびアナログ信号入出力用の端子台の実装まで行いました。リレーまわりの配線から行っていきます。初めにリレーの操作コイルの一端を+12Vに接続する配線をします。

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もう一方のチャンネル用のリレー操作コイルの一端も同様に+12V接続用の配線します。

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次に、リレーSW回路の1端子をGND配線します。このGNDはアナログGNDの為、制御回路用のGNDとは分離します。ミュート回路用リレーのみノーマルオンのため、他のリレーと配線する端子が異なるので注意します。左右チャンネルともに同様に配線します。

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続いてオーディオアナログ信号ラインを敷線します。Hot/Cold左右チャンネル分で、トータル4本です。敷線位置は、リレーSW回路端子の切り替え元の端子を挟む両側です。

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出力端子台とアナログGNDラインを接続します。信号ラインと交差する部分はジャンパーを使って交差を回避します。

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ここからは、ハンダ面に分圧用の抵抗と取り付けていきます。全基板の中で一番根気がいる作業です。抵抗は560Ω、1.1kΩ、1.8kΩ、3kΩの4種類を4チャンネル分で16個取り付けます。各抵抗は、信号ラインとリレーのSWの一端に接続します。取り付けの方法は、1枚目の基板に合わせました。ブログ掲載用に写真を撮っていたので、その写真を見ながら実装を進めました。初めは560Ωを取り付けます。

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信号ラインのハンダ付け位置とリレー端子は隣のスルーホールと近い為、慎重な作業が要求されます。別のチャンネルも同様に取り付けます。

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隣のリレーには1.1kΩを取り付けます。取り付けの要領は、560Ωの取り付けと同じです。

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さらにその隣のリレーに、1.8kΩを取り付けます。作業要領は同じですが細かな作業のため、なかなか慣れません。

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分圧用抵抗の最後は、3kΩです。やっと慣れてきたのにこれで最後です。

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16個の抵抗の取り付けが終わりましたが、なかなかいい感じです。次はミュート回路用の配線を行います。抵抗の代わりにジャンパーをリレーと信号ライン間に接続します。

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ジャンパーは、先に取り付けた抵抗のリードをコの字にフォーミングして使用しました。両端をハンダ付けするとそれなりの強度になりました。もう一方のチャンネルも同様にジャンパーを取り付けます。最後は倍率抵抗の取り付けです。3kΩと27kΩを信号ラインに直列に接続し、倍率設定リレーで27kΩをショートできるように配線します。この配線も1枚目のATT基板の配線を踏襲します。

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アクロバテックな抵抗取り付けとなっていますが、1枚目のATT基板の実績から意外と安定しています。この配線をしていて気づきましたが、基板の両端に設置したアナログ信号入出力用の端子台のHot/GND/Coldの端子順は、変わらないようにこの倍率抵抗の配線で工夫をしていました。途中まで組み上げたATTユニットの配線を見直す必要があります。別のチャンネルも同様に倍率抵抗を取り付けます。これでリレーまわりのATT回路部分の実装は完了です。(本記事アイキャッチ写真参照)次回は今回行った回路の動作確認を行います。

 

つづく(製作編30)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編28)

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製作編28

ここで一旦設計を整理して、残りの8ch分のATT基板の製作に着手します。

現状の設計

ロクハンフルレンジスピーカー+バランスBTL方式DCパワーアンプシステムで、今回製作したATTユニットを使って久々に十分音楽を聴きました。先日のATTユニットの音聴きのタイミングで、NS-1000Mのセミマルチアンプシステムを組み替えているので仕方がありません。ロクハンフルレンジは、周波数レンジは1000Mに比べれば狭いですが、さすがに定位が良く、演奏する楽曲によってはいい感じで鳴ります。

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それでは本題に戻ります。実際に使ってみた感想を含めて今回の設計について一旦整理してみます。

1)9ステップアッテネータ

実用域の音量をマッチさせたのでステップ数にあまり不足を感じませんでした。

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2)減衰量dB表示

7セグの簡単な表示ですが、実用上問題ありません。

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3)バッファアンプ入力段ATT処理

私のポリシーに反して、バッファアンプの入力の音量を絞る構成としています。次段につなぐパワーアンプの入力インピーダンスを考慮したら仕方がないと妥協しました。私が現状使っているバランスBTL方式DCパワーアンプの入力抵抗は2.2kΩと低く設定しているので仕方がありません。47kΩにしておいたら、バッファアンプ無しも検討できたのにと思いました。

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4)バッファアンプ入力段のミュートリレー

本来であればバッファアンプの出力段に入れるべきですが、基板の割付がうまくできず、配線も著しく増えるため、妥協して運用で対処する事にしました。具体的にはパワーアンプの電源オン前にATTユニットの電源を入れる、電源オフはシステム中の機器の一番最後とします。

2枚目ATT基板実装

この基板が完成すれば、このATTユニットを使ってNS-1000Mのセミマルチアンプ駆動ができます。これをモチベーションとして実装を進めていきます。1枚目のATT基板ですが、部品配置時に想定した信号の流れと反対に実装を進めてしまうミスをしました。その影響で、ロジック回路とリレーの操作コイルの配線長が長くなってしまいました。想定どおりの信号の流れに戻す事も考えましたが、同じ実装で進める方が楽なので1枚目の基板と同じ構成とする事にしました。初めに実装部品および配線を保護するためにスタッドを基板に取り付けます。

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使用するスタッド長は、部品面は実装部品の高さよりも長いもの、ハンダ面はハンダ面に実装するATT用の抵抗の保護を考えて7mmのものを選択しました。最初にリレーまわりを実装するため、1枚目の基板に合わせて入出力用の端子台を取り付けました。

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続いて、リレー12個を基板上に並べます。この12個のリレーを効率的にハンダ付けするために、この状態で一旦基板を立てて、リレーの端子にアクセスできるようにします。

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リレーは自重で傾いた状態となりますが、この状態で各リレーの1つの端子をハンダ付けします。

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この時に間違って1つのリレーの2つの端子をハンダ付けすると後で面倒なので注意します。次に傾いたリレーにそっと触りながら先ほどハンダ付けした端子にコテを当てます。この手順ですべてのリレーの傾きを補正します。つづいて、各リレーに対して別の端子を1つづつハンダしていきます。

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この時、先にハンダした端子から一番離れた端子を選択します。このハンダ付けの時は基板を裏返しているため、リレーの自重で微妙に傾いた状態となります。その傾きを補正するため、リレーを押しながら、上記でハンダした端子にさらにコテを当て直します。12個のリレー全てに同じ作業をして完成です。(本記事のアイキャッチ写真参照)次回は、この2枚目のATT基板の配線を行っていきます。

 

つづく(製作編29)