チャンネルデバイダ製作2(製作編2)

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製作編2

Midチャンネルアクティブフィルタの実装続きから再開します。

Midチャンネル実装続き

Midチャンネルの残りの配線は、段間の接続、入出力端子台配線と電源配線です。出力端子台への配線ですが、発振防止のダンピング抵抗100Ωを介して接続します。全チャンネルともに端子台に対して抵抗が同じ配置にできるように実装位置を決めました。続いて段間の接続です。まだ1本も被覆電線を使用していない為、ジャンパ線を駆使して被覆電線を使わずに配線しました。次に入力端子台とボルテージフォロワの接続をします。配線が込み合っていますが、ここもジャンパ線を使って被覆電線を使用せずに接続できました。部品面の長いジャンパ線が段間の接続です。見栄えを考慮してまっすぐな電線を使用するべきでした。

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合わせて他チャンネルの入力端子台のGND配線を行いました。まだ電源配線が残っていますが、Mid/Highチャンネルをまとめて検討をする為に後回しにします。

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Lowチャンネル実装

アクティブフィルタ回路が1つ少ないだけで、Midチャンネルと回路は同じです。出力端子台脇のエリアが空きスペースになります。初めにアクティブフィルタ回路のCR固定用のポストを4個取り付けます。

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出力端子台側のアクティブフィルタがありませんが、GNDラインおよび出力端子台への配線は、Midチャンネルのものを踏襲します。

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続いてLowチャンネルのボルテージフォロワの実装を行います。配線はMidチャンネルをまねるだけなので、単純作業です。

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残り、段間の接続および出力端子台、入力端子台への接続を行ってLowチャンネルの実装は完了です。

Highチャンネル実装

最後はHighチャンネル実装です。Lowチャンネルと回路構成は同じですが、回路の実装位置をLowチャンネル用回路とオーバーラップさせた為、GNDライン等が同じ配線ができなくなっています。初めにアクティブフィルタ回路を実装しますが、この回路はは同じ実装ができます。

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今度は基板中程が空きスペースになります。GNDラインは、オーバーラップさせたLowチャンネル用アクティブフィルタポストをよける為に、迂回させて配線しました。

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最後に残ったHighチャンネル用のボルテージフォロワの実装を行います。アクティブフィルタ用のCRを除き、全て部品実装が完了しましたが、見た目にスカスカした印象はあまり変わりませんでした。

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電源およびレベルバランスボリューム用端子台への配線は残っていますが、被覆電線を使わずにここまで配線ができました。

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電源ライン配線

+/-12Vを各オペアンプへ給電します。今回使用したオペアンプは、4pinがマイナス電源で8pinがプラス電源なのでMid/Low/High回路ブロックを+/-12Vの電源ラインで挟み込むと素直に給電できます。最初はMidブロックの配線です。

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わりと素直に配線できました。次はLowブロックです。LowとHighブロックをオーバーラップさせたため、-12Vラインの敷線をあきらめ、Midブロックのラインから給電しました。最後はHighブロックです、Low/Highブロック間になんとか+12Vラインを敷線し、給電しました。-12Vラインは基板の一番端に敷線して給電しました。

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区切りはあまり良くありませんが、次回はボリューム配線から再開します。

 

つづく(製作編3)

チャンネルデバイダ製作2(製作編1)

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製作編1

設計が終わったので、基板の実装から製作を開始します。

回路ブロックの配置

設計編1の記事のとおり、今回は片チャンネル分を1枚の基板に実装します。その記事で検討した回路ブロックの配置図を再掲載します。

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端子台の配置を決めていなかったので、追加で検討します。入力信号に対してLowのみ直接ボルテージフォロワに入力し、Mid/Highはレベルバランス調整用のボリュームを介してボルテージフォロワに入力します。

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配線の都合を考えて一旦入力信号を基板で受けて、Mid/Highのボリューム用に基板端子台から信号出力する事にします。回路ブロック配置図に端子台情報も追加してみますが、アクティブフィルタが横に3回路並ぶ部分は寸法的に厳しいので合わせて配置を見直してみました。

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LowとHighのアクティブフィルタ回路をオーバーラップさせたこの配置であれば、実装面で余裕が取れそうです。

回路見直し

基板単品の動作確認を考慮して各チャンネルのボルテージフォロワに入力抵抗を追加します。手持ちの在庫を考慮して47kΩとしました。今回は、発振防止用の出力部ダンピング抵抗を最初から入れておく事にします。抵抗値は暫定で100Ωとします。

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部品配置検討

先程検討した配置図を基に、基板上へ大物部品の配置をしてみました。

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隣り合うアクティブフィルタ定数実装用のポスト間隔を検討時に見込んでいなかった為、Low用回路とHigh用回路のオーバーラップ量を増やしてポスト間隔を確保しました。実際に部品を置いてみるとスカスカした印象です。実装が左右非対象なのも違和感があります。ケースへの基板実装の向きを手前側を入力側とすると、ボリュームまでのシールド線の配線長を減らす事ができます。この配置を考慮して電源端子台を電源基板側に変更しました。

基板部品実装

上記で部品配置したものを、そのまま基板を立ててオペアンプ用のDipソケットを仮止めします。

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各ソケット1つのピンのみハンダ付けし、ソケットを押さえながら仮止めした端子にコテを当てて直し、ソケットの傾きをとります。傾きが取れた状態でもう1つのピンをハンダします。この作業をソケット7個分繰り返します。次にMid用アクティブフィルタのCR取り付け用のポストを実装します。CR取り付け時にポストのモールドを焦がしてしまわないように、ポストのガイド用のモルールドの一部をニッパでカットします。

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アクティブフィルタ1回路分4個処理したら取り付けます。ポストもソケットと同じ要領で取り付けます。但し、ソケットよりも熱に弱いので手短にコテをあてます。そのままオペアンプとCR用ポスト周りの配線を行いましたが、前に実装した基板を参考にしたので効率的に進められました。

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パスコンを取り付ければアクティブフィルタ回路は完成です。

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次は入力段のボルテージフォロワ回路を組立ます。実装部品は入力抵抗とパスコンのみです。これで基板上で回路規模が一番大きいMidチャンネルの実装全体が把握できたので、GNDラインの敷線を検討します。ループにならないように、かつLow/Mid/Highのそれぞれの回路電流の影響が出にくい配線を考慮しました。3つのオペアンプの両側に敷線し、片側を入力と出力に接続しました。LowとHighも同様の敷線とする予定です。

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Midチャンネルの残りのLPF回路をHPF回路と同様に実装します。

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Midチャンネルの残りは、各段間の接続および入出力端子台接続と電源配線ですが、次回に続きから実装を再開します。

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つづく(製作編2)

チャンネルデバイダ製作2(設計編3)

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設計編3

ケースの選定が終わったので、リアパネルの加工図を作成します。

ケースの選定つづき

今回は初めて使用するフレーム構造のケース、OSシリーズを選定しました。前回の記事では触れませんでしたが、一旦SLシリーズを選定して記事まで作成していました。この2つのシリーズの違いは、天板と底板の材質です。SLシリーズはSPCCでOSシリーズはアルミが採用されています。下記はタカチ電機工業のHPの画面の抜粋です。

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初期選定の時は、サイズにばかり気を取られて材質の確認まで気が回りませんでした。前回の記事作成後に、他にどんなシリーズがあるか確認した際に気がつき、選択を変更して、それに合わせて記事も修正しました。気づかずに進めていたら、底板の加工に苦労していたとおもいます。

XLRパネルコネクタ寸法測定

今回はリアパネルにXLRパネルコネクタが8個付きます。今回も手加工の限界を越えているのでタカチの加工サービスを利用したいとおもいます。今まで2回リアパネルの加工サービスを利用しましたが、XLRパネルコネクタの取り付けに関して、2回とも後加工を発生させてしまいました。1度目は固定用ネジ穴の左右を違えて、手加工で穴を開けて対応しました。2度目は穴位置のズレによりネジが入らず、ヤスリで穴位置を修正しました。原因は使用したXLRパネルコネクタの図面がなく、現物から寸法を拾った際の誤差です。今回は同じ過ちを繰り返さない様に寸法を測り直す事にしました。下図は、バランス12chアッテネータユニットのリアパネル加工図です。

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CADの測定機能を使って、XLRパネルコネクタの取り付け用のネジ穴間の寸法を測っています。図面上は32.02mmです。続いて現物の測定ですが、正確に測るために工夫をしてみました。たまたま持っていた台湾の5圓硬貨とパネルコネクタの突起部分のサイズがほぼ同じだったため、この硬貨を型にして寸法記入用の紙に円を描きます。

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上記で描いたラインに沿ってカッターで丸穴を開けて、それをパネルコネクタの突起部に差し込みます。

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同様の手順でダンボールに丸穴を開けて、その穴に寸法記入用の紙と共にパネルコネクタの突起部をを差し込むと準備完了です。固定用のねじ穴のセンターおよび各辺に沿ってラインを引いたら、パネルコネクタを取り外します。

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これで固定用ネジ穴のセンター間の距離が正確に測定できます。結果は30.5mmでした。

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その差は1.52mmでネジ穴片側換算で0.76です。CADのグリッド間隔X/Y軸共に0.5mmに設定して、各ネジ穴のセンターをパネルコネクタセンター方向にX/Y方向ともに0.5mmづつずらす事でネジ穴片側で約0.7mm間隔を縮める事ができます。この対応で今度こそ後加工を発生させずに済みそうです。

リアパネル加工図

選択したケースのパネル寸法は314mm x 81mmです。さらにフレーム寸法を図面からよみとり、部品固定が可能な有効寸法を点線で描きます。取り付ける部品は、XLRパネルコネクタ8個とヒューズホルダおよびACインレットです。全て前回製作したアッテネータユニットの部品と同じ物を選定しました。その時の図面からコピーして加工図を完成させました。

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XLRパネルコネクタの取り付け用のネジ穴位置のみを変更しています。参考として選定したヒューズホルダとACインレットを掲載します。

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フロントパネルは、他機種と同様に自前で加工する予定です。取り付ける部品は、トグルSW、電源ランプおよび4連ボリュームが2個です。4連ボリュームの位置がキーとなりますが、基板実装部品とのクリアランスを確認した上で、位置を決めたいと考えて、加工図の作図は後回しとします。次回は基板実装を行います。

 

つづく(製作編1)

チャンネルデバイダ製作2(設計編2)

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設計編2

電源回路から設計を続けます。

電源回路

チャンネルデバイダの回路は、片チャンネルオペアンプ7個構成です。オペアンプ1個あたりの消費電流が約10mAなので片チャンネル当たり約70mAの消費電流となります。+/-12V電源を左右独立とするため、三端子レギュレータを計4個使用します。トランスにはいつも使っているトロイダルトランスHDL-12(L)を使用します。巻き線は12V/0.5A x2の為、全波整流後の電圧は約+/-16Vとなります。したがって三端子レギュレータの印加電圧は約4V(=16-12)となり、三端子レギュレータで消費される電力は約280mWです。データシートから放熱器は不要と判断しました。

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電源用LEDは、GNDに電流を流さない為に+/-12Vから電源供給します。L-chとR-chでバランスを取るため、残りのチャンネルにはダミー抵抗を接続しておきます。これら情報を反映して回路図を作成しました。

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電源出力部は、フィルムコンデンサのみで電解コンデンサは入れていません。

基板選定

上述したとおり、アクティブフィルタブロックは、片チャンネル当たり7個のオペアンプで構成されます。3個がボルテージフォロワで、残り4個がアクティブフィルタとなります。私の標準基板(95 x 72)では実装の都合が悪いので、今回は片チャンネル分を1枚の基板に実装する事にしました。各回路のサイズの当たりをつけるために、以前実装したアクティブフィルタ基板を引っ張り出して確認してみました。

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その結果、アクテイブフィルタ回路が50mm x 30mm、ボルテージフォロア回路が30mm x 15mmの実装エリアが必要と想定しました。秋月電子のユニバーサル基板のラインナップを調べたところ、155mm x 114mmのものがあったため余裕はありませんが、この基板を選定します。実装イメージは下記のとおりです。

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ケースの選定

いつものとおりタカチ電機のケースを選定しようと思い、HPを確認しました。バランス3wayアッテネータユニットのケースを加工した際にアナウンスがあったとおり、USシリーズは2018年9月末でほとんどが販売終了となっていました。下表は、タカチのHPに掲載された販売終了案内の一部です。

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今まで加工サービスを使っているからか、私のところに定期的にカタログが送付されています。今までのケース選定はHPで済ませていましたが、9月末の販売終了機種が多く今回の製作に適したケースを探す為に、初めてカタログを利用しました。(アイキャッチ写真参照)目に留まったものが、OSシリーズです。各面固定用のフランジが専用パーツ(フレーム)となり部品点数が増えますが、外板が平板となり加工性が向上しています。フレーム部に基板固定用のスタッドが立てられない為、従来のケースに比べて一回り大きなケースの選定が必要になります。

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実装する基板のサイズを元に機種を選定しました。OS88-32-33SSです。サイズは、W320xD330xH88です。念のため配置図を描いてみました。

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周辺の枠のエリアは、フレームが入る為基板固定用のスタッドが立てられない部分です。アッテネータユニットでは、ケースサイズに余裕がなく実装に苦労した事を考えると、かえっていいかも知れません。USシリーズでは、フロントおよびリアパネルサイズそのもが部品の実装エリアに使用できましたが、OSシリーズでは、フレームを考慮する必要があります。下図はHPに掲載されたOSシリーズのサイドビューです。

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これを見ると縦寸法88mmに対してパネルの縦寸法が81mmで、さらにフレームが5mmオーバーラップし、場所によってはさらに4mmオーバーラップするように見てとれます。従って全エリアのミニマムのパネルの縦寸法は72mmとなります。手元にあるXLRパネルコネクタの縦寸法が31mmなので上下2段の実装はぎりぎりできそうです。

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次回は今回決定したケースを前提にパネル設計を行います。

 

つづく(設計編3)

チャンネルデバイダ製作2(設計編1)

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設計編1

サレンキー方式アクティブフィルターの設計を行います。

NS-1000Mのネットワーク

1000Mのネットワークは、クロスオーバー周波数が500Hzと6kHzで遮断特性は-12dB/Octです。スピーカーユニットは3wayともに正相接続されています。クロスオーバーポイントでディップが発生しないのは何らかの秘密がありそうです。まずは一旦、上記の仕様どおり、アクティブフィルターの定数を計算してみます。

500Hz LPF

現行のセミマルチアンプ駆動用のチャンネルデバイダの定数と同じでもいいのですが、改めて設計してみる事にしました。サレンキー方式LPF回路および計算式を再掲載します。k値は群遅延一定となるベッセル特性とするため1.4としています。

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fc=1/(2πC2R2):C2(uF)xR2(kΩ)=0.3183

R2=kR1:R2=1.4xR1

C2=C1/k:C2=C1/1.4

C2として誤差の小さいフィルムコンデンサで入手可能な定数からまずはR2を算出し、C2、R2とk値からR1とC1を算出しました。抵抗は24系列からフィルムコンデンサは6系列から入手性を確認しながら定数を決めました。最後に抵抗とコンデンサの決定値からk値を算出してk値の初期設定値との差が少ないパターンに決めました。

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赤枠内が決定した定数です。k値が1.4よりやや大きくなっていますが、これで進めます。

500Hz HPF

上記と同様の手順で定数を決めていきます。

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fc=1/(2πR2C2):R2(kΩ)xC2(uF)=0.3183

R2=R1/k:R2=R1/1.4

C2=kC1:C2=1.4xC1

LPFと同様にC2とR2を決めますが、カットオフ周波数が同じ場合はR2とC2は同値となります。R1とC1はk値から算出し、それぞれ24系列と6系列から選択しました。

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LPF同様に赤枠内が決定した定数です。

6kHz LPF

500HzLPFと同様に算出式を出します。

fc=1/(2πC2R2):C2(uF)xR2(kΩ)=0.0265

R2=kR1:R2=1.4xR1

C2=C1/k:C2=C1/1.4

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表中のコンデンサはpF表記としています。10000pFは0.01uFと同値です。

6kHz HPF

最後のHPFの定数もLPFと同様に決めます。

fc=1/(2πR2C2):R2(kΩ)xC2(uF)=0.0265

R2=R1/k:R2=R1/1.4

C2=kC1:C2=1.4xC1

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部品選定

初めにオペアンプを選定します。「女神たちの争い」2018-01-26の記事に掲載したMUSESの仕様比較表を再掲載します。

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アクティブフィルタの理想的は特性を実現するには遮断域に十分なゲインが必要です。この表を見るとMUSES03が一番有利ですが、1チップ1回路の為、基板実装を考え、あきらめてMUSES8920にする事とします。入力段のボルテージフォロワは音が気に入っているMUSES01としました。バランス調整用のボリュームは、三栄電波がアマゾンで販売するアルプス電気の4連ボリュームRKシリーズ(50k/A)にしました。いつも購入しているボントンのモーター付きの物の方が圧倒的に安い(2,160円)ですが、今回はモーターがじゃまになるのであえて三栄電波のものを選択しました。三栄電波は直販も行っていますが、価格(3,090円)が同じだった為、購入手続きが簡単なアマゾンで購入しました。

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上記で決定した定数とオペアンプを回路図に反映しました。

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次回は電源回路の設計からスタートします。

P.S.今回のアイキャッチ写真は、通勤時に持ち歩いているネタ帳です。

 

つづく(設計編2)

チャンネルデバイダ製作2(構想編)

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構想編

NS-1000M用のバランス3wayチャンネルデバイダの製作を構想します。

フルマルチアンプ化

今の私のシステムは、NS-1000Mをセミマルチアンプ駆動しています。ブロック図は以下のとおりです。

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私が考えるマルチアンプシステムの大きなメリットの1つは、ネットワークを介さずにウーハーをダイレクトに駆動できる点です。一般的にウーハー用のネットワークは、信号ラインに直列にコイルが挿入され、その直流抵抗によってウーハーから見た実行的なダンピングファクタが低下します。マルチアンプ方式によってウーハーをダイレクトに駆動すると、スピーカーによってはオーバーダンプとなってバランスが悪くなる場合もあるかもしれませんが、NS-1000Mは強力に駆動した方がいい感じでした。このメリットはすでにセミマルチアンプ駆動化によって享受できています。残りは、スコーカーおよびツイーターとアンプ間に入るアッテネータとネットワークの影響の排除がメリットとなります。

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その代わりに、チャンネルデバイダのアクティブフィルタによってアンプの段数が増えてしまいます。このプラスマイナスのメリットデメリットをどのように考えたらいいか迷っていましたが、NS-1000Mはすでに購入後30年が経過し、ネットワークのコンデンサの劣化が懸念されるため、とにかく一度フルマルチアンプ化した音を聴いてみる事にしました。昨年後半の3way用のアッテネータは、上記の考えに基づいて製作を行ったものです。

回路構想

フィルター回路は、現状のセミマルチアンプシステム用のチャンネルデバイダにも採用したサレンキー方式のアクティブフィルターを採用します。特徴は、CRのみで2次のフィルターが構成でき、Q値も定数の選択で設定可能です。まずはサレンキー方式のアクティブフィルター回路をおさらいします。初めに現状のチャンネルデバイダーに搭載しているLPF回路です。

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fc=1/(2πC2R2)

R2=kR1

C2=C1/k

上記の式でk=2.4とするとバターワース特性、k=1.4とするとベッセル特性、k=1でCR2段の特性となるとの事です。LPFのアクティブフィルタは、遮断域のアンプのゲインが十分に大きくないと、所定の特性が得られないので、オペアンプの選定に考慮が必要です。続いてHPF回路です。

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fc=1/(2πC2R2)

R2=R1/k

C2=kC1

LPF回路式のCとRを入れ替えた計算式となっています。上記の式を使ってNS-1000Mのカットオフ周波数500Hzと6KHzのフィルタを設計します。

バランス調整

ここで言うバランスとは、Low/Mid/Highの音量バランスの事です。一般的にマルチウェイスピーカーシステムのスピーカーユニット自体の能率は、ウーハーに比べてスコーカーおよびツイーターを高く設定し、高い分をアッテネータで下げて調整しています。NS-1000MもMidとHighのアッテネータを搭載しています。

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マルチアンプ駆動の場合、このアッテネータをスキップする為、別にバランス調整用にボリュームが必要となります。チャンネルデバイダの使い勝手を考えて、MidとHigh用のアクティブフィルタの前に4連ボリュームを入れて、その出力を一旦ボルテージフォロワで受けてからアクティブフィルタに入力する事にします。

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上記回路図では、Mid-chにアンプが3段も入り、音への影響が懸念されますが、仕方がありません。スピーカーのネットワークとどちらの影響が大きいかがポイントとなります。次回はアクティブフィルタの設計を行います。

 

つづく(設計編1)

2018年末を聴く(番外編28)

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番外編28

バランスヘッドフォンアンプを改造して、恒例となった年末を聴きます。元旦が火曜日なので慌ただしくアップしてます。

準備

あけましておめでとうございます。早いもので昨年の「自作アンプで年末を聴く」から1年経ってしまいました。昨年同様に、年末恒例の番組を自作アンプで聴いてみます。普段使っていない物を引っ張り出すので事前準備します。下記が今回使用するシステムのブロック図です。

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今回も自作のバランスヘッドフォンアンプを使ってパイオニアのヘッドフォンSE-MHR5で聴きます。初めにTVのHDMIから光デジタル信号を分離するHDMI変換器の動作確認です。

HDMI光デジタル変換

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使用するHDMI光デジタル変換器は2016年末にアマゾンで2,599円で購入したものです。接続を変更して動作確認をしましたが全く同期がとれません。元々同期の引き込みに問題があり、何度もHDMI端子を差し直して使用していましたが、今回はいくら差し直しても全くダメでした。仕方がないので、新しい物を買おうと思いアマゾンで検索してみました。いくつもの製品がヒットしましたが、どれも私が購入したものの派生品で、信頼性向上につながらないと思われます。他に選択肢がない中、目についたのがサンワサプライVGA-CVHD5です。派生仕様ですが、サンワサプライの品質管理に期待しつつ購入を決めました。価格は5,399円と手元のものの2倍以上の価格です。

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サイズこそ違いますが間違いなく派生品です。大きな違いはACアダプタが同梱されている点です。

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正直、あまり期待せずにシステムに組み込み動作確認を行いましたが、まるで今までの状況が嘘のように全く問題なく動作しました。

バランスヘッドフォンアンプ

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これも最近使っていませんでした。パイオニアのヘッドフォンを接続して音を聴いてみます。問題なく動作しました。久しぶりに聴く密閉型ヘッドフォンの音は新鮮でした。回路図を再掲載します。

■ヘッドフォンアンプ回路図

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■プリアンプ回路図

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■電源回路図

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電源は、+/-12Vと+/-9Vを三端子レギュレータで作っています。「安定化電源製作」で三端子レギュレータの電解コンデンサ負荷の弊害を確認しましたが、このヘッドフォンアンプは、それ以前に設計製作した為、電源の負荷に多くの電解コンデンサが入っています。プリアンプ回路図には記載はしていませんが、+/-12Vの電源端子台付近に100uF品が実装されています。実際の基板は以下のとおりです。

■電源基板

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■プリアンプ基板

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■ヘッドフォンアンプ基板

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せっかくなので、これを機会に全て削除する事にしました。電源基板は、全8chの出力に全て100uFの電解コンデンサが実装されていました。削除の改造は比較的容易でしたが、組み直す際の配線が手間でした。

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続いて、ヘッドフォンアンプ基板の改造です。Hot/Coldチャンネル分で4個実装されていました。削除のついでに、発振対策で追加した出力抵抗10Ωにパラに10Ω追加して出力抵抗を下げてみました。

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最後にプリアンプ基板です。L-ch/R-ch分で4個実装されていました。

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電解コンデンサ実装されていたスペースが空いたため、どの基板もスカスカした印象です。

音聴き

ドラムのアタック音はタイトに、低音自体は厚くなった感じがします。中域の奥行き感もやや増した印象です。ヘッドフォンの音は普段使いしていなかった為、記憶にあまり定着しているわけではなく、さらに改造に時間がかかったため、改造前後の違いの音の印象は正直なところプラシーボ効果によるかもしれません。改造後の電源およびヘッドフォンアンプの回路図を掲載します。

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これで一通り準備が完了しました。

第69回紅白歌合戦

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昔ほど年末の国民的イベントではなくなりましたが、NHKがお金と手間をかけて放送するので今回も聴いてみました。低域のブースト感は相変わらずですが、今回の改造の効果なのか、耳が慣れたのか聴きやすくなった感じがします。プログラムは残念ながら8割以上聴き覚えのない曲でしたが、Liveとしての質は高くヘッドフォンで十分楽しむ事ができました。その中でもPerfumeの演奏はLiveとは思えない演出が印象的でした。

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N響第九演奏会

今年の指揮者はマレク・ヤノフスキさんです。前説では、テンポが早く、強弱の表現を大事した立体的な演奏が特徴との事です。紅白とは異なり、低域のブーストはされていないようです。演奏は前説どおりテンポ良く、オーケストラがおいていかれるのではと思うような場面がいくつかありました。夜中のプログラムなので、ヘッドフォン一択となりますが十分聴きごたえのあるプログラムでした。

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次回からは通常の製作記事に戻りたいとおもいます。

 

おわり(番外編28)