真空管HPアンプの製作(製作編5)

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製作編5

シャーシへの大物部品の取り付けが終わったので、その他の部品を取り付けて配線を開始します。

出力トランスの確認

組立に入る前に、出力トランスの確認を行いました。バランス出力する為に、8Ω出力用のタップをセンタータップとして利用し、16Ω出力から信号を取り出しますが、8Ω出力用タップをセンタータップとして使用できるかの確認です。

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まずは、0-8Ω、8Ω-16Ωタップ間の抵抗値を測定しました。それぞれ2.0Ωと1.8Ωでした。参考として1次側も測定してみました。B-P1、B-P2間はそれぞれ134.9Ω、116.5Ωと2次側同様に巻き線の線長が異なる結果となっていました。ターン数を合わせると線長が変わる事は仕方がないようです。簡易LCRメータでインダクタ測定を試してみましたが、残念ながら測定できませんでした。結論としては、細かい点にこだわらず、まずは考えたとおりに使用してみて、完成後に出力電圧を確認してみたいとおもいます。

上記記載に誤りがありました。センタータップは4Ωタップが正解です。詳細は2019-07-05 「真空管HPアンプの製作(製作編13)」を参照ください。

基板用スタッド取り付け

バイアス回路用の基板を取り付けてみます。この基板にはボリュームを実装し、シャーシの表側から調整できるようにします。ボリュームの高さは10mmです。

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スタッドの在庫を確認したところ、10mmのワンサイズ上が15mmとなり、いい感じのものがありません。仕方がないので、10mmのスタッドに平ワッシャを2枚入れてクリアランスを確保する事にしました。

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ボリュームを基板に乗せて、取り付けてみました。必要なクリアランスは取れていて、ボリュームの調整も問題ありません。

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続いて電源基板用スタッドを取り付けます。電源基板は、半田面に部品取り付けの予定はないので、部品面の有効高さをできる限りとるために、5mmのスタッドを選択しました。

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穴位置は、1カ所のみ後加工することで基板取り付けができました。

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その他部品の取り付け

平滑用電解コンデンサを取り付けます。560u/400V品でφ35です。シャーシ厚が40mmなので、クリアランスが5mmのみです。ビバホームでL字の金具を購入して取り付けました。

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インシュロック2枚分の厚みが必要ですが、なんとか収まりました。端子側はL字のラグ端子で受けて固定します。

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反対側の2端子は、リップルフィルタ用の電解コンデンサの取り付けに使用します。次はGNDと電源用の平ラグ端子板用スタッドを取り付けます。16個のラグ端子がありますが、片側8個をGND用、残り4個づつをB電源と-5V用として使用します。端子間はホリウレタン被覆の導線で接続しました。

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取り付け位置は、電解コンデンサと反対側の電源トランス脇です。

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次はリップルフィルタ用のトランジスタの取り付け穴を開けます。電源基板横に穴を開けました。

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トランジスタはフルモールド品ではないので、絶縁シートを入れてプラネジで固定します。

電源1次側配線

電源1次配線は、より線を使用しました。ACインレット、ヒューズホルダ、電源SW、電源トランス間を配線します。敷線は、可能な限りシャーシの縁としています。

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電源トランス1次巻き線部には、サージキラーを接続してから配線しました。

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本記事のアイキャッチ写真が現状です。次回は真空管のヒーター配線から再開します。

 

つづく(制作編6)

真空管HPアンプの製作(製作編4)

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製作編4

シャーシの穴開け加工が終わったので部品を取り付けます。

真空管ソケット取り付け

はじめに真空管ソケットを取り付けます。ソケットは以前の製作時にアマゾンで購入したものの残りです。8個セットだったもので、2台のアンプ製作で4個を使用し、ちょうど4個残っていました。取り付けの向きは、12AX7の捺印が手前にくるようにピンのない側が後ろになるように取り付けます。ソケット自体の装着は確認済みでしたが、固定用のネジの挿入確認までは行っていなかった為に、一部のネジが入らず、後加工をしました。その他は問題なく取り付けができました。

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ハンドル取り付け

購入したハンドルを確認したところ、加工精度がいまひとつで、取り付けに考慮が必要な事がわかりました。

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写真は、固定用のナットを一番奥までねじ込んだ状態です。わずかに上側のナットの方が奥まで入っています。この状況は個体によりばらつきがあったので、購入時に選別すべきだったと思いました。仕方がないので、上側のナットを下側と同位置となるように少し戻して装着する事にしました。シャーシの穴加工時にも説明しましたが、ハンドルの取り付け位置をできる限り端に寄せた為、シャーシ内部の溶接用フランジに固定用のナットが乗る状態となります。

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あと5mm程度内側に寄せるべきでしたが、後の祭りなのでこのまま進めます。念のため、今までは使わなかったバネワッシャを入れて固定しました。

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この方法で、フロント2個、リア2個の計4個のハンドルを取り付けました。

フロントリアパネル部品取り付け

フロントパネルにトグルSW、電源ランプ、ヘッドフォンジャックを、リアパネルにXLRパネルコネクタ2個、ACインレット、ヒューズホルダを取り付けます。全て穴あけ加工時に取り付け確認をしているので、問題なく取り付けができました。

出力トランス取り付け

取り付ける為にトランスを手に取ったところ、1次巻き線と2次巻き線が固定用のバンドを挟んで両側から出ている事に気が付きました。急遽加工図に追加して穴位置を決めて追加加工しました。

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先の加工時と同様に外形に沿って切り抜き、目印となる数点の穴位置に合わせて加工図を貼り付け、追加加工用の2箇所の穴のセンターにポンチで印をつけました。ドリルで8mmの穴を開けて部品取り付けを再開します。トランスをシャーシに置いて取り付けをしようとしたところ、ネジ4mmに対してM5用のナットを買ってしまった為取り付けができません。やれやれ。買い直すしかありません。

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写真は現状のネジを入れたものですが、わざわざ買い直しに出かけるので、見栄えを良くする為に黒ネジを買い直す事にしました。黒ネジはありましたが、8mm長のものがなく、10mmを買いました。写真は買い直したネジで取り付けた状態です。

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もう一方のトランスも同様に取り付けて出力トランスの取り付けは完了です。

電源トランス取り付け

取り付け前に、あとで唸りに悩まされないように、トランスのケース固定ネジを増し締めしました。想像以上に緩い状態だったので、増し締めの効果は期待できそうです。取り付けの向きですが、少々悩みましたが、電源基板を、リアパネル側に取り付ける為、2次巻き線をリア側配置としました。装着は問題なくでき、4点をネジ止めしました。

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この状態で、内部の配線を行っていくため、作業のじゃまにならないように出力トランスの信号線をフォーミングしています。

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これで完了と思いましたが、終段のバイアス確認用のチップジャックの取り付けを忘れていました。

チップジャック取り付け

これは、テスタのリードを差して調整をするためのものです。今回、5種類の色を購入しましたが、黒と赤はB電源確認用に後で使うので、この部分は緑と黄色を選択しました。

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今度こそ部品取り付け完了です。

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尚、電源トランスの上のダンボールは、逆さに置いた時のキズ防止用のカバーです。次回は配線を開始します。

 

つづく(製作編5)

真空管HPアンプの製作(製作編3)

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製作編3

シャーシ加工で最後に残ったシャーシ上面の加工を行います。

加工準備

シャーシ上面に取り付ける大物部品は以下のとおりです。

・電源トランス

・出力トランス2個

真空管ソケット4個

・基板3枚

・チップジャック4個

上記以外の部品は、後で現物合わせで穴を開けて取り付けをします。いつもの様に加工図を印刷して貼り付けます。

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シャーシ上面には、ボンネット取り付け用のL字フランジが付いています。

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取り付けは3点のリベット止めですが、職業柄こんな点にも目がいってしまいます。加工図面を貼る為に図面を一部カットしました。

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同様に左用加工図もカットして貼り付けたところ、左右の図面のセンター位置がなぜか合いません。

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ズレ量は約5mmの為、図面あたり約2.5mmの誤差となります。強引にセンターを合わせて貼り付けする事も考えましたが、各部品の取り付け穴の間隔もずれている事に気が付き断念しました。今回のみズレた事で思い当たる点は、プリンタの設定です。シャーシ上面の寸法は350x200mmの為、プリンタの余白を考慮するとA4用紙にシャーシ外形の長辺が入りきらない恐れがあった為に、印刷時に四辺フチなしモードを選択していました。ネットを検索したところ、アドビのFAQページに四辺フチなしモードの場合、すこし拡大されて印刷されるため、長さが合わないとの情報が掲載されていました。仕方がないので、外形が印刷されなかった場合を考慮して長辺の内側5mm位置に補助線を追加してノーマルモードで印刷をする事にしました。下記はCADのプレビュー画面です。ぎりぎり外形が点線で示される余白の内側に入っています。

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結局外形の線は印刷されたため、補助線は使わずに済みました。

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A3対応プリンタがない事で、余計な手間をかけてしまいましたが、これで加工に入れます。

シャーシ穴加工

加工図に従い、穴のセンターと角穴の位置だし用に四角にポンチで印を付けました。

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いつものとおり、位置だし用に2mmのドリルで穴を開け、M3ネジで固定用の穴のみ3.2mmのドリルで穴径を広げました。

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他の穴は、4.2mmのドリルで穴径を広げM4ネジ固定用の穴以外は、さらにステップドリルに切り替えて穴径を広げました。

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現時点の穴の最大径は10mmです。

真空管ソケット穴加工

次は、MT管用ソケットの穴加工を行います。穴径は21mmです。シャーシパンチ用に開けた10mmの穴にシャーシパンチをセットします。

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リアパネル加工時と違い、シャーシパンチの刃を表裏どちらにもセット可能なため、シャーシ上面にキズがつきにくくなるように、シャーシパンチの刃を上面にセットしました。やや面がゆがみましたが、きれいに穴が開きました。

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続けて残り3個も穴開けしますが、リアパネル加工時に当面シャーシパンチは使いたくないと思ったのもつかの間、また使う事になり、今度こそ当面使いたくないと強く思いました。

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この状態では、残念ながらソケットは入りませんでした。仕方がないので、ヤスリで穴径をさらに拡大して装着できるように加工をしました。本記事のアイキャッチ写真は、加工後に真空管ソケットを穴に装着してみたものです。

電源トランス穴加工

最後の難関、角穴の加工です。ハンドニブラセット用に開けた10mmの穴から地道に加工線にそって切っていきます。そろそろ握力が尽きかけた頃、穴開け完了しました。

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各穴にヤスリをかければ加工完了です。次回は加工したシャーシに部品の取り付けを行います。

 

つづく(製作編4)

真空管HPアンプの製作(製作編2)

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製作編2

フロントパネル加工の次は、リアパネルの加工を行います。

リアパネル加工準備

リアパネルに取り付ける部品は以下のとおりです。

・ハンドル2個

・XLRパネルコネクタ2個

・ACインレット

・ヒューズホルダ

リアパネル加工図を再掲載します。

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フロントパネル加工とは異なり、ドリル以外にハンドニブラ、シャーシパンチが必要となる手のかかる加工となります。フロントパネル加工時と同様に、A4用紙に右用と左用の2枚に分けて印刷したものを使用します。

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リアパネル加工

加工図右用と左用を外形に沿って切り抜き、それぞれ右端と左端に合わせてリアパネルに貼り付けます。

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加工部分が2枚に重なる部分は、カットして重ならないようにしました。リアパネルの部品取り付けは、左右に分かれているため単純に真ん中でカットするだけで済みます。当て木をリアパネル裏に入れて、ワークテーブルに固定して加工位置にポンチで印を付けます。

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加工図を剥がすとこんな感じです。

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今回は、穴開け位置以外に、加工の目印としてポンチを打ちました。例えば、角穴の四すみ等です。後でカット用の線引きに使用します。最初に2mmのドリルで位置出し用の穴を開け、次に3.2mmのドリルで穴径を広げました。XLRパネルコネクタとACインレットの固定用のビス穴は加工完了です。

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ドリルの刃を4.2mmに切り替えて、残りの穴の径を広げます。最後に刃をステップドリルに切り替えて、ハンドル用の穴を6mmに、それ以外は10mmに広げました。

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ハンドル取り付け

フロントパネル同様に後加工が必要でした。左右のハンドル共に、それぞれの穴径を広げて、穴を内側に広げる加工を行い無事取り付け確認ができました。

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XLRパネルコネクタ取り付け加工

今回の製作の穴開け加工の中で1番の難所となります。前回(チャンネルデバイダ)、前々回(12chアッテネータ)の製作では、加工しきれないと判断して有料の加工サービスを頼ってしまったので、セミマルチアンプ用のチャンネルデバイダの製作以来となります。

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当時は、6個の穴加工を行い、手加工の限界を感じました。今回は2個のみなので、少しは気が楽です。まずは21mmの穴を開けるために、シャーシパンチを準備します。

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このセットで16mm~30mmの5種類のサイズの穴開けができます。今回は21mmですが、フロントパネルに無事セットできました。

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刃のメンテナンスにもよるのかもしれませんが、とにかく力が要ります。これも鋸作業と同様に全身運動レベルです。なんとか回しきって穴開けができました。

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同様にもう1カ所も穴を開けましたが、当分シャーシパンチは使いたくありません。最後に、パネルコネクタ突起部分の逃げ加工を行います。角穴部分は、ハンドニブラで一噛みしてからヤスリでけずりました。

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ヒューズホルダ取り付け

10mmの丸穴をヤスリと使ってひたすら削るのみです。円を上下二つに割って、少し離した形状です。なんとか収まるようになりました。

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ACインレット取り付け

角穴の四隅の印をたよりに切取線を引きます。

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10mmの穴からハンドニブラをセットして、線に沿って切っていきます。最初にうちは余裕でしたが、途中からハンドグリップによる握力トレーニングの様相でめげそうになりましたが、なんとか切り終えました。

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カット面が荒れているので、ヤスリを掛けて完了です。

部品取り付け確認

一通り部品を取り付けてみました。フロントパネルと同様に、従来の製作よりも10mm薄いだけで緻密み見えます。

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次回はシャーシ上面の加工を行います。

 

つづく製作編3

真空管HPアンプの製作(製作編1)

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製作編1

シャーシ加工図の作成が完了したので、フロントパネルから加工を開始します。

フロントパネル加工準備

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ケースからボンネットとボトムカバーを取り外して、加工対象のシャーシ単品にします。

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過去に使用したケースよりも10mm薄いだけなのに、すごく薄く感じます。いつものとおり、加工図を印刷して外形に沿って切りとり、シャーシに貼り付けて加工の位置出しをします。MK-350のフロントパネルサイズはW350xH40の為、加工図はA4用紙には入りません。手直にA3対応プリンタがなかったので、A4用紙2枚に加工図を印刷して対応しました。

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加工図面を左用と右用の2種類準備しました。

■フロントパネル加工図左用

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■フロントパネル加工図右用

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それぞれを外形に沿って切り取ります。

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左用は左端に合わせ、右用は右端に合わせて貼り付けます。

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続いて、穴のセンターにポンチで印をつけようとした所、今まで使用したフランジをガードする為の当て木が幅が広くて使えません。急遽、幅35mmの当て木を作る事にしました。不要な端材を35mm幅でカットします。

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久しぶりに鋸を使いましたが、ほぼ全身運動なので疲れました。シャーシ加工の方が私の性に合っています。

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フロントパネル加工 カットした当て木をパネル内側に入れて作業テーブルにセットしました。これでやっと加工開始です。

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ポンチ後に加工図面を取り外すとこんな感じです。

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最初は、位置出し用に2mmのドリルで穴を開けます。

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続いてドリルの刃を3mmに取り替えて、穴を広げます。

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ボリュームの周り止め用の穴は、これで加工終了です。次に刃をステップドリルに切り替えます。ボリューム用の穴は8mmまで、他は6mmに穴を広げました。

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これで穴開けは完了です。

部品取り付け確認

まずはハンドルから取り付け確認を行います。お約束どおりそのままでは、ハンドルは入りませんでした。ヤスリで穴を広げる事で、ハンドルの取り付け確認ができました。

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いい感じで取り付けできました。写真では見えませんが、内側の固定用のナットがサイドパネルの溶接用のフランジに乗り上げていますが、気にしない事にします。トグルSW、電源ランプ、ヘッドフォンジャックはそれぞれ一穴なので、穴のサイズをヤスリで調整するだけで取り付け確認ができました。最後はボリュームの取り付け確認です。他の部品と同様に、穴径をヤスリで調整してセットしました。

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ボトムカバー取り付け用のフランジ間のクリアランスは約2mmです。ねらい通り接触せずに済みましたが、これでは配線ができません。仕方がないので、端子部のフランジをカットする事にします。まずはハンドニブラで一噛みしてから、ヤスリで必要なサイズに広げました。

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これでボリュームを取り付けた状態で配線ができます。続いてボリュームの軸が長いのでカットします。チャンネルデバイダボリューム加工時と同様に、軸の根本の取り付け用ネジのトップから8mmの位置でカットしました。

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これで必要な加工が全て完了です。加工部に全ての部品を取り付けてみました。

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いい感じにできあがりました。シャーシ厚が40mmと従来のケースよりも10mm薄いだけで緻密な印象のマスクとなりました。次回はリアパネルの加工を行います。

 

つづく(製作編2)

真空管HPアンプの製作(設計編4)

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設計編4

シャーシの加工図を作成します。

MK-350

注文したリードMK-350が届きました。専用の箱に入っています。

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開けてみるとビニールに入れられたのみで一切の緩衝材はありませんでした。ごみの発生がなくて、梱包の理想ですね。以前に使用したMK-380より一回り小さいですが、正直なところヘッドフォンアンプの筐体としては大きい気がします。選定時の弱気を少し悔やみました。実際に部品を置いてみて、加工図を作成していきます。

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フロントパネル加工図

MK-350のフロントパネルはW350xH40です。ここに以下のものを取り付けます。

・ハンドル2個

・トグルSW

・電源ランプ(LED)

・4連ボリューム

・ヘッドフォンジャック(4極φ2.5)

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部品の取り付け位置は、先に製作した真空管アンプに合わせて、ハンドルを端から15mmの位置に、トグルSWを40mm、ランプを70mmの位置としました。HPジャックは、トグルSWの位置と対称として端から40mmの位置としました。念のためネジをシャーシの部品位置に置いて確認をしました。

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特に問題なさそうなのでこの位置で製作を進めます。いつものとおりAR CADで加工図面を作成しました。丸穴のみなので作図も容易です。

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リアパネル加工図

続いてリアパネルの加工図も同様に作成します。取り付ける部品は以下のとおりです。

・ハンドル2個

・XLRパネルコネクタ2個

・ACインレット

・ヒューズホルダ

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ハンドルはフロントと位置を合わせて、端から15mmの位置に取り付けます。その内側にXLRパネルコネクタを端から50mmの位置に取り付けます。ACインレットとヒューズホルダは隣合わせで配置したかったですが、配置できずに左右に分けました。理由はシャーシセンター部分のトランスとリアパネル間に電源基板を搭載するために位置取りができませんでした。フロントパネルと同様にシャーシに部品を並べてみました。

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ACインレットとヒューズホルダ間のACラインの引き回しが気になりますが、仕方ありません。この配置で加工図を作成します。

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XLRパネルコネクタは、先日製作したチャンネルデバイダリアパネルで作図したものをコピーしました。初めて後加工をせずに済んだ図面です。

シャーシ加工図

3つの加工図の中で、一番検討が必要な図面です。大物搭載部品は以下のとおりです。

・電源トランス

・出力トランス2個

真空管ソケット4個

・チップジャック6個

・基板3枚

最初にトランスの配置を決めます。シャーシ選定の際い決めたとおり、電源トランスはセンター配置とします。出力トランスの配置を決めますが、電源トランスの漏洩磁束によりハムの量が決まるので慎重に決める必要があります。EL34ppアンプ設計の際には、実験により向きを決めましたが、今回はネット上の情報を参考にさせていただきました。ブログ「おんにょの真空管オーディオ」の「3A5トリプルプッシュプルアンプ電源トランスの誘導ハム実験」に参考となる情報が掲載されていました。この結果によると、垂直面に固定した上で、ケースを被せた状態がベストでしたが、そこまではできないので、普通に取り付けられる範囲で一番ノイズが小さくなった向きにする事にしました。

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電源トランス前面には、4連ボリュームを取り付けるので、真空管を両脇にずらして配置しました。ソケットの向きは、真空管の捺印が前面となるように確認をしたところ、12AX7は捺印の位置が揃っていましたが、6N6Pはばらばらでした。仕方ないので、12AX7の捺印が前面になるようにソケットの向きを統一しました。真空管の後ろはバイアス回路用の基板を配置します。スルーホール両面基板を使ってシャーシ上からボリュームを調整できるようにしています。電源トランスの後面は電源基板を配置します。基板サイズが小さく、全部品が実装できるか心配です。他にも細かな部品の取り付けが必要ですが、現物合わせで後で加工をしていきます。

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次回はシャーシの加工をスタートします。

 

つづく(製作編1)

真空管HPアンプの製作(設計編3)

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設計編3

電源設計が完了し、ロードラインが引けたのでアンプの回路を確定させます。続いてシャーシの選定してシャーシ設計を開始します。

アンプ回路設計

下記はEL34ppアンプの回路図です。

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この回路を踏襲して設計します。具体的な変更点は以下となります。

・出力管をEL34x2から6N6Pに変更

・出力トランスをソフトンRX-40-5から春日無線のKA-8-54P2に変更

・B電源電圧を175Vに変更

・ロードライン設計に合わせてバイアス用定数を変更

下記が上記変更を反映した回路図です。

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回路を簡単におさらいします。初段と終段ともに差動回路です。半導体を使った定電流源を使用して、理想的な差動回路動作をさせます。初段は1mAの定電流ダイオードを使用します。終段も30mAの定電流ダイオードがありましたが、特性が今一つだったので、オリジナル回路と同様にトランジスタを使った定電流回路としました。終段入力部のバイアス回路は複雑ですが、ボリュームが接触不良を起こした際の保護のために回路を組んでいます。出力トランスの二次側の8Ωタップをセンタータップとして使用前提ですが、トランス入手後にセンタータップとして使用できるか事前に確認する予定です。

センタータップは4Ωタップが正解でした。詳細は2019-07-05「真空管HPアンプの製作(製作編13)」を参照ください。

シャーシの選定

構想編でリストアップした仕様のうち、シャーシ選定に関連する項目を抜粋して再掲載します。

・できるだけコンパクトに納めたい

・安全に運用できるようにボンネットが必須

ボンネット付きのケースで思い当たるものは、前にも使ったリードのMKシリーズしかおもいあたりません。

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リードのMKシリーズのラインナップを確認してみます。下記がシリーズの仕様一覧です。

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いままでの製作で使用したケースは、MK-380でした。できれば今回はMK-300に納めたいところです。搭載場所を考慮する必要のある大物部品をリストアップしてみます。

・電源トランス(W89xD76xH69)

・出力トランス2個(W72xD51xH57)

・MT管ソケット4個(固定金具最大径34.5)

・4連ボリューム(W28xD45xH32)

・HPジャック(φ10.7xD21端子含む)

・ACインレット(W30.8xD27xH18.8端子含む)

・ヒューズホルダ(φ12.2xD33端子含む)

MK-300のフットプリントはW300xD160です。トランスと真空管の配置はできますが、シャーシに取り付ける他の部品(ボリューム等)の配置に制約がでそうなので、弱気ですが、MK-350を選択する事にしました。

部品配置検討

MK-350は従来使用したMK-380よりもシャーシ厚が薄く40mmです。影響を受けそうな部品の寸法を確認します。

・4連ボリューム(軸から端子先端まで約18mmセンター配置時の余裕なし)

・電源トランス(シャーシ内厚さ32mmと余裕なし)

・ハンドル兼SWガード(別途選定)

余裕はありませんが、シャーシ内に納める事はできそうです。大物部品を並べてみます。左右シンメトリーの配置とし、電源トランスは重いのでシャーシセンター配置としてみました。

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ボリュームは、フロントセンターとする事で、電源トランスとの間に配置可能です。電源トランスとリアパネル間には、電源基板を配置します。選定した出力トランスは、固定用のネジ穴以外、配線引き出し用の丸穴のみなので、出力トランス下は空きスペースとなります。従って、ACインレットとヒューズホルダは自由に配置ができそうです。

ハンドル選定

今まで製作したパワーアンプの正面パネルとリアパネルには、ハンドルをつけています。もともとは、ボリュームやスイッチのガードの為に取り付けたところ、移動時に思いの外便利だったため、取り付けを標準にしています。今回はシャーシ厚が40mmと薄くなった為、新たにハンドルを探してみました。近所のビバホームで探してみたところ、1/2インチ管(4分管)固定用の金具がありました。

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ネジはインチネジで1/4インチです。ナットをストッパ代わりに取り付けて使用します。この状態でパネル面から20mm出っ張ります。ボリュームのつまみとトグルSWの飛び出し量は15mm程度なのでガードとしても有効です。次回は部品配置図を製作してシャーシ加工図を作成します。

 

つづく(設計編4)