DCパワーアンプ電源改良(製作編10)

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製作編10

現行アンプから取り外した電圧増幅段用電源トランスを電源トランスユニットに搭載します。引き続き現行アンプから取り外したアンプ基板の改造を行います。

電源トランスの流用搭載

現行アンプから取り外して流用搭載する電源トランスは、東栄変成器のJ162です。16V/1Aの2次巻き線が2回路あるタイプです。本パワーアンプの電圧増幅段用電源トランスとしては、余裕の定格値です。取り外したトランスを電源トランスユニットのボトムシャーシに取り付けます。

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このトランスの出力は2組の0V-16Vタップがあります。現行アンプ搭載時の配線は、2つの0Vタップを接続してGND接続し、各巻き線の16Vタップをブリッジダイオードと接続していました。出力信号の位相を考えるとはたしてこの接続でいいのか心配になったので、確認してみる事にしました。確認方法は電源入力して、2次巻き線出力の波形をポケットオシロで観測します。2つの0VタップにオシロのGNDを接続し、2chモードで2つの16Vタップの波形をモニタしました。

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ポケットオシロの感度を設定して電源オンします。観測波形は以下のとおりです。

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無負荷動作の為か、波形は歪んでいますが、逆位相となっている事を確認しました。現行のアンプも設計どおり配線されていた事が確認できました。配線を始める前に電源の回路図を参考に再掲載します。

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初めに1次配線をします。現行のアンプと同様に110Vタップを使用して、2次巻き線出力電圧を下げて電源基板の発熱を抑えます。接続先は、ラグ端子板の100V端子です。2次巻き線の接続先はリアパネルの5極のXLRパネルコネクタです。0Vタップを1pinに2つの16Vタップを2pinと3pinに接続します。

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配線がかなり混んできましたが、スペースに十分余裕があるので束線でスッキリできそうです。合わせて5極のXLRパネルコネクタの4pinと5pinに終段トランス用電源SW配線も行いました。

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もう一つトランスの搭載が残っていますが、電源トランスユニットは以下の写真の状況となりました。

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念のため、この状態で通電確認を行いました。状態に応じて電源ランプが点灯する事が確認できました。

アンプ基板の改造

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改造項目は以下のとおりです。

・電圧増幅段電源の電解コンデンサの削除

・一部の端子接続用ポストを端子台に交換

電源の電解コンデンサは、安定化電源の動作を不安定にするので削除します。一部ポストの端子台への変更は、メンテナンス性向上の為に、接続先がハンダ付けされている配線用のポストを端子台に変更します。ヒートシンク温度モニタ用のトランジスタ配線も端子台化しようと思いましたが、基板配線上断念しました。ヒートシンク単位で取り外しができる為に変更不要と自身を納得させました。基板を取り外し、改造対応用に四角にスタッドを立てます。

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初めに電圧増幅段電源用ポスト脇に実装されている電解コンデンサ2個を削除しました。続けて、信号入力用と終段電源用のポストをそれぞれ2極の端子台に変更しました。最後にドライバ段のエミッタ出力用のポストを3極の端子台に変更しました。

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ハンダ面は以下のとおりです。

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最近の製作に比べて汚いですが、技量の変化という事でしょうか?アンプ基板を元通りにヒートシンクに取り付けます。

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温度モニタ用トランジスタ配線はハンダ付けし、ドライバ段エミッタ出力は端子台接続しました。残りは、本体組立時の配線となります。

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次回は、もう1枚のアンプ基板の改造を行い、アンプ本体の組立に着手します。

 

つづく(製作編11)

DCパワーアンプ電源改良(製作編9)

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製作編9

アンプ用パネルの加工が完了したので、アンプ本体の改造を行います。

アンプ本体分解

最初にアンプ本体を分解します。

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写真のとおり、比較的小さい筐体にトランス2個と基板4枚を実装しています。内部にに手が入りにくく、配線がぐちゃっとしています。この中の、終段用電源基板とアンプ基板をヒートシンクごと流用します。電圧増幅段用トランス(小さい方)は、電源トランスユニット側で流用します。フロントおよびリアパネルは、前回の記事で紹介したものと入れ替えます。初めに配線を外していきます。

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オーディオ趣味復帰後、1年以内の製作の為、現状の構造と異なります。配線には端子台を使用せず、基板ポストに直接ハンダ付けしています。今回の改造で、最低限のメンテナンス性を確保するために、一部を端子台に変更する予定です。コテを使って配線を取り外しました。

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一通り配線を取り外しましたが、さらに内部がぐちゃっとしてきました。

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次にボトムシャーシを取り外しました。

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電源基板には太い電線が直接ハンダ付けされており、メンテナンス性の考慮がされていません。一度、出力ショートによりアンプを壊してしまい修理を行った時に、最低限のメンテナンス性は必要と痛感しました。続いて電圧増幅段電源基板を取り外します。

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向かって右が取り外した現行基板で、左が先に製作した安定化電源です。トランスの容量アップとともに、今回の電源改善項目の目玉の1つです。続いて、終段用の電源基板です。BTL構成で出力を8Wに押さえる事で、終段の電源電圧を8.6Vまで下げています。これにより安価に100,000uFの電解コンデンサを実装する事ができました。続いてアンプ基板を取り外します。

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アンプ基板は正相用と逆相用の2枚実装していますが共通です。ボトムシャーシには、残りトランス2個のみ実装されています。

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このうち、左側のトランスを電源トランスユニットで流用します。

終段用電源基板改造

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改造項目は以下のとおりです

・ブリッジダイオードを16A品に交換

・入出力を直付けから端子台に変更

現状搭載のブリッジダイオードは、ショットキーバリアダイオード採用のD4SBS6で4A品です。データシート上ではフィン無しで2.3Aまで使用可能となっています。これを今回、ショットキーバリアダイオード採用のD15XBS6に変更します。定格電流は15Aと容量アップしますが、ヒートシンク無しの電流値は2.1Aと逆に下がります。影響はわずかかもしれませんが、簡単なヒートシンクを取り付ける事にしました。以前に、マルチアンプ検討時にバラックで組立たボリュームユニット用のアルミパネルを再加工してヒートシンクを製作しました。

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40x30mmと大きくありませんが、ない状態よりも放熱は改善します。穴が二つありますが、パネル加工を流用したためです。ブリッジダイオードともに交換しました。

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合わせて、電源入力と電源ランプ用に端子台を追加しています。次に、出力も端子台化しました。終段は各コンプリメンタリユニットごとに電源供給をしているため、+/-で4組(8端子)と電圧増幅段用に端子台を追加しました。

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多くの端子台が並ぶと壮観です。ハンダ面は以下のとおりです。

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従来から採用していた導電性高分子アルミ個体電解コンデンサはそのまま実装しています。全体の構成は以下の写真のとおりです。

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次回は、取り外した電圧増幅段用トランスを電源トランスユニットに搭載します。

 

つづく(製作編10)

DCパワーアンプ電源改良(製作編8)

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製作編8

リアパネルのハンドル取り付けから製作を再開します。

リアパネルハンドル取り付け加工

前回の記事で紹介したリアパネルハンドル取り付け用の穴を追加した加工図を印刷します。

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加工図上は、取り付け部品間で若干のクリアランスが取れていますが、少し心配しながら加工を開始しました。いつものとおり、加工図を外形に沿って切り取り、パネルに貼り付けて加工穴のセンターにポンチで印を付けます。今回の加工は4点のみです。ドリルでφ4.2の穴をあけました。

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ハンドルを取り付けるためにはこの穴をφ6.0まで広げる必要があります。ステップドリルかリーマーを使うかで迷いましたが、今回はリーマーで穴径を広げる事にしました。思いのほか、3mm厚のアルマイトのリーマーによる穴径の拡大は大変でしたが1つづつ広げてゆきました。

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縦並びの2個の拡大が終わった時点で、ハンドルの取り付け確認を行います。

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後加工なしにあっさり取り付ける事ができました。続いて、クリアランスが心配な入力用XLRパネルコネクタ側のハンドル取り付け加工を行います。作業は意外と大変で指にまめができそうです。上下2つの穴拡大加工が終わりハンドルを取り付けてみました。

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微妙な位置関係ですが、干渉せずに取り付けができました。改めて全部品を取り付けてみます。

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なかなかいい感じで取り付けができました。パネル内側の状態は写真のとおりです。

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信号入力用XLRパネルコネクタとハンドル間のクリアランスはいい感じになっています。残りのリアパネルも同様の手順でハンドル取り付け用の穴を追加しました。

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このパネルにも部品を取り付けるとリアパネルの加工は完了です。

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フロントパネル加工

フロントパネルに取り付ける部品は以下のとおりです。

・ハンドル2個

・自照式プッシュSW(青)

・電圧増幅段用電源ランプ(赤)

一番の難関は、自照式プッシュSWの穴加工です。パネル厚3mmのアルマイトに手加工でφ16mmの穴を開けます。いつもの様に加工図を印刷します。

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フロントパネルは未加工なので、ヘアライン処理された表側にはブルーの保護用シートが貼られていました。

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写真は加工するパネルのブルーシートを剥がした状態です。加工図を外形に沿って切り取り、パネルに貼り付けて、加工する穴のセンターにポンチで印を付けます。

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すべての穴を初めにφ4.2で穴開けしました。次はLED取り付け穴加工をします。穴径はφ7.2mmですが、リアパネルのハンドル穴加工で気力を使い果たしてしまった為、少し大きいですが、φ7.5のドリルで穴を拡大しました。取り付け確認をしてみましたが、心配する程の状況ではありませんでした。

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続いて懸案のφ16の穴径拡大です。ステップドリルを使用します。一気に穴拡大はできず、少し拡大しては、潤滑油をさして、徐々に拡大しました。1つの刃の穴径が開く直前で刃が噛み込んでしまい、その都度ヤスリでならして加工を継続しました。手間はかかりましたが、なんとかφ16の穴が開きました。

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残りはハンドル取り付け用の穴拡大です。フロントパネル加工では、ステップドリルを使ったところ4つの穴加工はあっという間に終わりました。こんな事ならリアパネルもそうすべきでした。

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まずはハンドルを取り付けてみます。

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リアパネルと同様に問題なく取り付けできました。残りのSWと電源ランプも取り付けてみました。

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フロントパネルもいい感じで仕上がりました。残りのフロントパネルも同様の加工を行い部品を取り付けました。完成したパネルを並べてみました。

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急遽リアパネルのハンドルをフロント用と同じものに変更し、ハンドルを追加購入しましたが、ビバホームの在庫が足りなかった為、1つハンドルが付いていません。現行アンプ改造時に付け替えようとおもいます。次回はアンプ本体の改造に着手します。

おまけ

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今年も9/13から台湾の仲間の所に中秋節のBBQパーティーに行ってきました。夏休み頃から台湾旅行進行をとり、なんとか記事に穴を開けずに済みました。写真は、泊まったホテル近くの雙連菜市場です。おこわを買って帰り、朝食にしました。

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つづく(製作編9)

DCパワーアンプ電源改良(製作編7)

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製作編7

電源トランスを外出しするアンプ本体のパネルの加工を行います。

アンプ本体のケース

現状のケースはタカチ電機工業のHY133-23-23SSです。トランスを外出しするため、電源の入力仕様が変更となります。これに対応するために、同じケースを購入してリアパネルの設計を変更します。合わせて、電源SWも変更するためにフロントパネルの設計も変更します。パネルはアルマイト製で3mm厚なので、リアパネルの加工はタカチのカスタマイズサービスを今回も利用しました。今回は夏休みの9日間を挟みましたが、実働8日で加工済みのケースが届きました。

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タカチ電機は、個人への販売は行っていないので、マルツオンライン経由で購入しました。わりと大きめな梱包です。あけてみると、カスタマイズ品の為か、専用の梱包はなく、ぷちぷちにくるまれた状態で、他の緩衝材とともに直接材料が入っていました。

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部品取り付け確認

初めに加工済みのパネルを確認します。対象の部品の梱包には、リアパネルのみの加工を示す「片パネル加工」と書かれたタグが貼られていました。

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梱包を解いて現品を確認してみます。

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2枚ともにきれいに加工されていました。早速、加工部へ部品の取り付け確認をしてみます。XLRパネルコネクタは、問題なく取り付けできましたが、スピーカーターミナルがはまりません。原因は、回り止め用のノッチ部分の寸法が小さく、ターミナルの樹脂部品が入らない為でした。ターミナルの図面が無く、測定寸法を基に図面を作成した事が原因です。仕方がないので追加工しました。

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向かって右が追加工済みの取り付け穴です。同様に左側も加工しました。その結果ターミナルの樹脂部品が取り付けられるようになりました。

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加工依頼した穴に全部品を取り付けるとこんな感じです。

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右側の縦並びのXLRパネルコネクタは、電源供給用のものです。加工面がきれいだったので、コネクタをリア取り付けしてみました。左側の信号入力用のパネルコネクタも同様にリア取り付けしたかったですが、パネル厚3mmに対して、コネクタ脱着用のボタンのストロークが足りずに押す事ができません。仕方がないので、従来どおりフロント取り付けとしました。もう1枚も同様に加工して全部品の取り付けを確認しました。

ハンドルの取り付け

現状の設計と変えずに一旦部品を準備しました。

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左の小さいものが、リアパネル用に準備したものです。部品準備後に、現行アンプの製作時に、ハンドル取り付けに関してトラブルがあった事を思い出して、現行アンプを確認してみました。

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当時の設計の場合、サイドパネルとのハンドル間のクリアランスが十分に取れずに、ハンドル取り付けに、通常のナットが使えずに、トグルSW付属の小型のナットを流用しました。この小型ナットを調達する為にトグルSWを4個購入した事を思い出しました。すでに信号入力用のパネルコネクタの穴加工がされているため、単純にハンドルの取り付け位置を内側にずらす事ができません。しばらく思案して、リアパネルのハンドルも正面パネル用のものを使うと、ハンドル取り付け位置をやや内側に移動する事ができる事がわかりました。改めて加工図面を作成してみました。

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従来の設計では、ハンドル取り付け用の穴のセンターはパネル端から26mmの位置でしたが、ハンドルサイズを大きくする事で、ハンドル取付穴を3mm内側にずらして、パネル端から29mmとする事ができました。クリアランス確認用に、ナットの外形とXLRパネルコネクタの外形も追加しています。余裕はありませんが、なんとかハンドルを通常のナットで取り付けができそうです。余計なコストと時間を使ってしまいましたが、なんとか製作が進められそうです。次回はリアパネル用のハンドル取り付けから製作を再開します。

 

つづく(製作編8)

DCパワーアンプ電源改良(製作編6)

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製作編6

電圧増幅段用の安定化電源の通電確認が終わったので、特性の測定を行います。

測定項目

具体的には、出力インピーダンスの周波数特性の測定を行います。過去に何度か測定を行っていますが、概要を改めて説明します。負荷電流の平均を30mAとして正弦波状に制御します。正弦波の波高値を60mAppとします。この状態で安定化電源の出力の変動を観測して、出力の等価インピーダンスを算出します。仮に出力の変動が60mVppとすると、この状態の等価出力インピーダンスは1Ω(60mVpp/60mA/pp)となります。測定用のジグの回路は以下のとおりです。

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回路は、+電源用と-電源用に分かれています。制御信号として外部から正弦波を入力し、その周波数とレベルをパラメーターとして調整します。平均電流は回路中の半固定抵抗で調整します。ジグ回路中の負荷抵抗は50Ωなので、所定の負荷電流に調整すると、平均電圧が1.5Vで、3Vppの信号波形となります。安定化電源の出力変動は小さいので、波形観測用に10倍のプリアンプ(下記)を通してオシロで観測します。

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+電源出力インピーダンス測定

製作した安定化電源へは、ユニバーサル電源から18.45Vを供給します。出力変動観測用のプリアンプへは、ユニバーサル電源から+/-6.15Vを供給しました。もっと高い電圧を供給すべきですが、ユニバーサル電源のサブチャンネルのMax出力電圧による制限です。配線を間違えずに慎重に接続します。

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負荷電流をモニタしながら発信器の出力レベルを調整しました。下記はch1へ1KHzの負荷設定したときの波形です。

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青の波形は負荷電流波形です。黄色の波形はプリアンプで10倍に増幅した出力変動波形です。増幅後の変動レベルは40mVppと、過去の結果に比べてレベルがやや大きくなっています。原因は黄色の波形に乗っているノイズと考えられます。環境をいろいろ変えて確認しましたが、状況は変わりません。念のため安定化電源をオフして確認してみました。

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約10KHzで18mVppのノイズが確認できました。このノイズは安定化電源起因ではなく、測定系起因と考えられます。結果は少し悪く見えてしまいますが、この状態で測定を進める事にしました。10KHz以上で変動量が大きくなりますが、誤差アンプに取り付けた位相補償用の470pF起因です。470pF無しの方が、測定帯域の結果は良くなりますが、矩形波応答特性が著しく悪くなるため、取り付けています。10Hzから100KHzまでの観測結果は以下のとおりです。

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ピンクのラインは、以前に製作した同回路12V電源の測定結果です。この時は測定系のノイズ発生がなかった事から、全帯域で今回の結果よりもやや良くなっています。このノイズの影響を除くと、3枚の基板の特性は揃っています。下のグラフは、現行の回路構成と同等の12V電源の測定結果と比較したグラフです。

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現行電源の特性は、1KHz以下で約1Ωと安定化電源に比べて10倍以上等価出力インピーダンスが高くなっています。20KHz以上では、特性が逆転していますが、出力部に取り付けた電解コンデンサによる効果です。安定化電源では、動作が不安定となるので同様の対策はとれません。今回の対象のアンプは、マルチアンプシステムのウーハーを担当するため、使用帯域は700Hz以下です。この用途ではこの帯域の影響はあまりないと考えます。

-電源出力インピーダンス測定

同様に-電源の特性も測定します。測定結果は以下のとおりです。

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+電源と同様に過去に製作した-12V電源に比べてやや特性が悪化しているように見えますが、ノイズの影響を除くと基板3枚ともに特性は揃っています。同様に現行回路同等電源の結果と比較してみます。

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+電源と同様の比較結果となっています。今回のアンプの使用帯域では、インピーダンスが0.1Ω以下と音への効果が期待できます。BTL方式のアンプは電源インピーダンスの影響を受けにくいと考えられますが、各アンプが理想動作をした上でのBTL動作なので、早く完成させて音を聴いてみたいとおもいます。次回はアンプ本体の改造を行う予定です。

 

つづく(製作編7)

DCパワーアンプ電源改良(製作編5)

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製作編5

前回実装した電源基板に-13.5Vの回路を実装します。同様の手順で2枚目の基板の実装も行います。

マイナス電源実装

プラス電源実装時に、端子台、ヒートシンク、誤差アンプ用のソケットの取り付けを行なっていました。前回の記事で説明を省略しましたが、誤差アンプ用のオペアンプは+/-電源を1つのオペアンプで構成できますが、実装の都合で2個使用しています。2回路中の残りの1回路はボルテージフォロワ接続して誤差信号を入力してダミー動作をさせています。+電源回路とオペアンプを反対向きに実装します。その関係で周辺部品の実装も+電源回路と少し異なります。この実装方法は、以前の製作に合わせています。

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ハンダ面には、+電源と同様に470pFの位相補償用のセラミックコンデンサを取り付けました。

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部品実装が完了したので、オペアンプを装着します。

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これでマイナス電源の実装は完了です。

マイナス電源通電確認

出力電圧調整用の半固定抵抗を+電源と同様に1.6KΩと3.4KΩの位置にプリセットします。入力は、ユニバーサル電源から-18.45Vを供給します。電源オンして出力電圧を確認すると、約-12Vが出力されていました。出力電圧調整用半固定抵抗を調整して出力電圧を-13.5Vに合わせました。+/-電源どちらも、時間の経過によって出力電圧の絶対値が少しづつ大きくなってゆきます。回路部品の温度上昇に伴う特性の変化起因と考えられます。無負荷時の電源自体の消費電流は、+電源より1mA少ない25mAでした。

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出力電圧が安定した状態で各部の電圧を確認しました。結果は以下のとおりです。

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設計どおりの動作をしている事が確認できました。せっかくなので、+電源も動作させてLEDの点灯の確認も行います。LEDの点灯回路は、+/-電源のバランスを崩さず、GNDに電流を流さない為に、+電源と-電源に接続しています。LEDを接続用端子台に直接接続して電源オンしました。

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無事点灯しましたが、このときの電源の消費電流を念のため確認しました。

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+電源無負荷時の消費電流が26mAなので、LEDには12mAが流れています。これで1枚目の電源基板の製作完了です。引き続き、この基板の特性測定を行う事も考えましたが作業効率を考えて、2枚目の電源基板の実装を先に行う事にしました。

2枚目電源基板実装

2枚目の基板実装は、1枚目の実装を見ながらまねをするだけなので気が楽です。最初にヒートシンクを取り付けました。

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続いて、出力用の端子台2個と、オペアンプ用のソケット2個を向きに注意して取り付けます。

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さらに+電源回路部品と、入力部平滑回路を実装します。

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最後にLED用端子台を取り付けたら、+電源回路の実装は完了です。

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半田面は以下のとおりです。

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2枚目基板+電源通電確認

出力電圧調整用半固定抵抗をプリセットして、オペアンプを装着したら通電確認準備完了です。

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1枚目基板と同様に通電確認を行いました。基準電圧用ツェナーダイオードの半田不良があり、初期状態では動作しませんでしたが、半田修正により正常動作を確認しました。各部の電圧は以下のとおりです。

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2枚目-電源実装

詳細は省略しますが、同様に実装を完了させました。写真はオペアンプを装着した状態です。

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1枚目基盤と同様に通電確認を行い、正常動作を確認しました。各部の電圧は以下のとおりです。

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これで2枚の電圧増幅段用電源の実装か完了しました。次回はこの基板の特性の測定を行います。

 

つづく(製作編6)

DCパワーアンプ電源改良(製作編4)

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製作編4

アンプ本体の電圧増幅段用の電源を製作します。

改良の方針

現行のアンプの電源回路は以下のとおりです。

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この回路中の電圧増幅段用電源を下記の安定化電源に変更します。

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誤差アンプに単電源の高速オペアンプを使用しています。電圧はやや異なりますがチャンネルデバイダ製作時に設計した回路をそのまま使用します。設計を念のため見直しましたが、そのままで特に問題はなさそうです。安定化電源性能改善記事の中で、3種類の電源回路の出力インピーダンス特性の比較を行った結果を再掲載します。

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現状アンプに搭載している電源は、上記グラフ中の「定電圧」の特性の回路とほぼ同じ構成です。このアンプはマルチアンプシステムのウーハーを担当するため、信号帯域は700Hz以下となります。モノラルBTL方式のアンプの電源電流は理想的には定電流になるものの、さすがにこの特性は気になるため、グラフ中の性能改善ディスクリートタイプの回路変更して性能を改善します。

電源製作

ドライバ用トランジスタの放熱器の購入を忘れていました。設計見直しの結果、0.19Wの発熱量を算出しましたが、ぎりぎりヒートシンク無しでもいけそうです。しかし、信頼性を考えると取り付けるべきなにで、ジャンクの箱をあさり、一番最初に設計した誤差アンプトランジスタタイプの安定化電源基板を見つけました。

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まだ動作しますが、今後そのまま使う可能性は低いので、ヒートシンクを取り外して流用する事にしました。トランジスタ固定用のプラネジを外すだけで簡単の取り外す事ができました。

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基板は、いつも使っている標準基板を使用します。いままでは+/-各2系統、合計4系統の電源を実装していたので、今回は余裕で実装できます。初めに作業改善用に4角にスタッドを取り付け、先ほど外したヒートシンクを取り付けます。

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次に、ドライバ用トランジスタと誤差アンプ用のソケットを取り付けます。

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以前に製作した基板を参考に、最初にGND配線を行いました。出力用の端子台は、2台のアンプへ電源供給するために、2個取り付けています。平滑用の電解コンデンサニチコンのオーディオ用KWの4700uF/50V品を使用しました。

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オーディオ用のディスクリート部品は知らないうちに廃品種になっている事があるのでメーカーのHPの定期的な確認が必要です。ここからは+電源の製作を行います。実装部品は多くはありませんが、それなりに手間がかかりました。

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通電確認を行うために、入力側の部品実装も完了しました。

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実装を忘れていましたが、電源ランプ用出力端子台も追加で実装しました。

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以前の製作時の結果に従い、位相補償用のセラミックコンデンサも取り付けました。

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通電確認

組み上がった+電源回路の通電確認を行います。最初に出力電圧調整用の半固定をプリセットします。5KΩの抵抗を1.6KΩと3.4KΩの位置に設定しました。最後にオペアンプを実装します。

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電源は、ユニバーサル電源からDCを供給します。本来であれば実用時に合わせて20Vを供給したいところですが、ユニバーサル電源の供給最大電圧が+/-18.45Vなので最大値にセットしました。緊張しながら電源オンしましたが、正常動作しているようです。出力電圧を13.5Vに調整して様子を見ます。

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電源自体の消費電流は26mAと三端子レギュレータに比べて大きくなっていますが、半分が誤差アンプの負荷で、残りの大半が誤差アンプで消費されています。(本記事アイキャッチ写真参照)各部の電圧は以下のとおりでした。

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設計どおりの動作が確認できました。次回は残りのー電源を実装して動作確認を行います。

 

つづく(製作編5)