DCパワーアンプ電源改良(まとめ編1)

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まとめ編1

パワーアンプの電源改良改造が終わったので音聴きの前に今回の改良をまとめます。

パワートランスユニットまとめ

今回の電源改良の発端は、電源トランスの唸り対策です。今までに数回対策を行ってきたものの、十分な結果には至らなかったために、唸りの元の電源トランスを外に出して対策する事にしました。せっかくの電源改良の機会なので、終段用の電源トランスを現実的な範囲で最大容量のものに換装しました。具体的には2次巻き線の定格電流値を従来の5Aから20Aへ容量アップしています。この容量アップによって、選択した電源トランスの構造が、一般的なオーディオ用電源トランスと同様にコアをネジで固定するタイプに変更となりました。

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写真は選定した東栄変成器のJ-1220です。シャーシ搭載前にコア固定用のネジを増し締めしました。電源ランプやヒューズを含む電圧増幅段用電源トランス一次回路を除き、L/R独立回路構成としています。アンプユニットへの電源供給はXLRコネクタ仕様3極およぶ5極のケーブルを使用しています。参考に回路図と外観写真を再掲載します。

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アンプユニットまとめ

アンプユニットも改造の趣旨からすると、電源トランスを外に出すだけですが、こちらもせっかくの改良なので、電圧増幅段用電源回路を改良しました。従来はツェナーダイオードによる定電圧電源にトランジスタバッファを追加した簡単なものでしたが、誤差アンプに単電源オペアンプを使用した安定化電源に変更しました。この変更により、このアンプが受け持つウーハー帯域(500Hz以下)の電源インピーダンスは約0.1Ωと変更前の約1/10に改善しています。

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他に、メンテナンス性改善等の細かな改良も加えています。部品および外観の写真を再掲載します。

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NS-1000Mマルチアンプ駆動システム

紹介のついでに、今回改良したユニットを組み込むマルチアンプシステムについて簡単におさらいします。下記は改良前のマルチアンプシステムのブロック図です。

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これが今回の改良で下記のとおりになりました。

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各ブロックについて改めて簡単に紹介します。

マルチアンプ対応NS-1000M

ネットワークを取り外して、代わりに各スピーカーユニットに直結したターミナルを設置しています。バッフル板に取り付けたままとなっているアッテネータもバイパスしています。各部写真を再掲載します。

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12chアッテネーター

バランス3wayマルチアンプシステム用に設計したシステムボリューム用の12chアッテネーターです。リレーと表示制御用に汎用のマイコンボード(Arduino UNO)を搭載しています。C++ベースの実用ソフトの作成経験がなく、単純な処理ですが苦労しました。実装するリレーの数を減らすために、現システムに必要な最低限の減衰量を設定しました。それでもトータルで36個のリレーを搭載しています。

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3Wayチャンネルデバイダー

本機もバランス3Wayシステム用に設計したチャンネルデバイダーです。オペアンプ(MUSES01)を使用したアクティブフィルター構成で、フィルター特性は群遅延特性が一定となるベッセル特性を採用しています。クロスオーバー周波数は、1000Mのネットワークに合わせて、500Hzと6KHzとしています。

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Midチャンネルパワーアンプ

響きが美しく、音楽性豊かに鳴るEL34パラレルシングルアンプです。出力はバランス方式ですが、回路はこのシステム中唯一アンバランス動作しています。出力回路はパラレルとする必要はありませんでしたが、EL34プッシュプルアンプと音の比較を私なりにフェアに行うためにあえてパラレル方式としました。

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Highチャンネルパワーアンプ

オーディオ趣味復帰後、最初に大物製作したものです。この製作以前は、私の視野に真空管アンプは入っておらず、設計に関する知識も全くありませんでした。設計本1冊熟読した上で設計した私の真空管アンプ1号機です。最初に音を出した瞬間に響きの美しさに感銘を受けて、マルチアンプシステムのMidおよびHighチャンネルに真空管アンプを採用しました。製作当初はNFBをかけていましたが、運用の途中で試しにNFBを外してみたところ、音がのびのびと鳴る事がわかり、シングルアンプを含めてNFBを外して現在は使用しています。出力回路もバランス方式として、スピーカー電流がGNDに流れ込まないようにしています。

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次回は完成したシステムで音を聴いてみます。

 

つづく(まとめ編2)

DCパワーアンプ電源改良(製作編22)

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製作編22

今回の改良の最後となるColdチャンネルアンプの改造を行います。

Coldチャンネルアンプ取り外し

Coldチャンネルアンプは、フロントから向かって左側のヒートシンクに取り付けられています。改造の為に左側のヒートシンクを取り外しました。写真はヒートシンクを取り外したアンプユニットを左サイドから撮ったものです。

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ヒートシンクを取り付けてしまうと作業がやりにくくなるので、この段階で電源配線を束線しました。作業がやりやすいのでいい感じに束線できました。

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取り外したヒートシンクは写真のとおりです。

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さらにアンプ基板改造の為に基板と取り外しました。

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基板改造も4枚目となるので改造の詳細は省略します。改造後のハンダ面は写真のとおりです。

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Coldアンプ通電確認

今までの基板と同様に、基板単体で通電確認を行いました。確認も4枚目なので慣れてきました。

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特に問題なかったので、終段のバイアス電流を、本来約0..8Aですが実装後の通電確認用に一旦0.16Aに調整しなおしました。最後のチャンネルなので、調整後の各部電圧を参考に掲載します。

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次に確認後のアンプ基板をアンプユニットに組み込みます。ヒートシンクの取り付けは、ボトムカバーを取り付けたままでできるので容易です。

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続いて電源配線を行います。初めに電圧増幅段の電源配線を行ないますが手慣れたものです。

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次は電源配線最後の終段の配線をします。

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電源トランスユニットと接続して電圧増幅段から通電確認を行いました。特に問題なかったので、終段の電源もオンします。しばらく様子を見た後で終段のバイアス電流調整を行いました。調整も問題なく完了しました。先に通電確認を行ったHotチャンネルの終段バイアス調整も同様に行いました。調整後にしばらく様子をみましたが、特に問題ありませんでした。

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動作確認

動作確認は、音声信号を入力して音を確認します。確認用に最後に残った入力配線を行います。XLRパネルコネクタ側の配線は終わっているので、その電線をアンプ基板の信号入力用端子台に接続しました。最初のアンプユニットの動作確認と同様に、ロクハンフルレンジスピーカーと接続し、入力はボリュームユニットを介してUSB DACと接続しました。CDを再生してボユームユニットの減衰量を下げてゆきます。1台目のアンプユニットと同様にねばりのあるベース音でした。最後の確認が終わったので束線を行いました。束線はヘマタンタイトの100mm品を使っています。

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通電確認まとめ

全ての確認が終わったので通電時の状態を改めて確認します。終段用電源トランスの容量を上げた為、終段電源電圧がやや上がりました。念の為に終段のバイアス電流の変動をモニタしました。PNPとNPNのエミッタ抵抗の両端電圧をモニタしました。測定間隔は30秒です。(本記事アイキャッチ写真参照)正確に測定するには、2つのPNPまたはNPNのエミッタ電流の和を測定する必要がありますが、今回は測定を簡略化しています。従って、終段のバイアス電流は今回の測定値のほぼ2倍となります。

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横軸は経過時間で縦軸はバイアス電流(1回路分)で、設計値は0.38Aです。2台のアンプのHot/Coldアンプ基板の測定を個別に行った為、測定に2時間以上もかけてしまいました。Lチャンネルに比べてRチャンネルの方がやや低目の値となっていますが、最初に調整した為に熱暴走を心配して調整値が低くなっています。15分を経過したあたりからフィードバックにより緩やかにバイアス電流が減少傾向となっています。いい感じの熱補償の状態だとおもいます。最後にヒートシンクの温度を測定します。測定には非接触温度計を使用しました。測定点は、電圧増幅段用電源のドライバトランジスタと終段用電源のブリッジダイオードとアンプ終段用ヒートシンクです。ブリッジダイオードのみ非接触温度計でうまく測定ができなかったので、接触式の温度計で測定しました。

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どのポイントも問題のないレベルに収まっていました。次回はシステム音聴きの前に今回の改良をまとめます。

 

つづく(まとめ編1)

DCパワーアンプ電源改良(製作編21)

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製作編21

2台目のアンプの配線を続けます。

アンプユニット内配線準備

ボトムカバーを取り付ける前に、アンプユニット内の全配線の準備を行います。初めにアンプ終段の電源配線を確認します。Hotチャンネル側の電線が短く、電源基板まで届きません。

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1台目のアンプと同様に電線を継ぎ足して必要な電線長を確保しました。長めに設定しておき、電源基板へ接続時に長さを調整します。

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ボトムカバー取り付け

全配線の準備ができたので、電源基板取り付け済みのボトムカバーをアンプのシャーシに取り付けました。次に各電源基板の入力配線を行います。終段用電源は3極のXLRコネクタと接続します。すでに電線はXLRコネクタ側にハンダ付けされているので、長さを合わせてカットして電源基板の端子台に接続するだけです。

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電圧増幅段の入力も同様に配線しました。この段階で一旦通電確認を行います。電源トランスユニットと接続して、電源オンして各電源基板から所定の出力が出ている事を確認しました。特に問題がなかったので、電源ランプ配線を行います。最初に赤のLEDを電圧増幅段用のLED用端子台へ配線しました。

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同様に終段用電源基板のLED用端子台へ自照式プッシュSWの電源ランプ配線を行いました。

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ここでも通電確認を行い、正しく電源ランプが点灯する事を確認しました。

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アンプ基板の改造前に、各アンプの終段用電源配線を一旦行います。電線を必要な長さにカットして被覆を剥き、電源基板の出力端子台へ接続してみました。

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接続確認ができたのでアンプ基板改造に備えて接続を外します。

Hotチャンネルアンプ基板改造

フロントパネルから向かって右側のヒートシンクを取り外し、アンプ基板の改造を行います。

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基板改造の為に、基板をヒートシンクから取り外しました。

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この基板に対して以下の改造を行います。

・+電源ライン敷線変更(スタッドショート改善)

・電源ラインの電解コンデンサ削除(2個)

・基板ポストの端子台化(3カ所)

写真は全ての改造を行った基板の部品面です。

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同様に次の写真は改造後の基板のハンダ面です。

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Hotチャンネルアンプ基板通電確認

基板改造が終わったので、基板をヒートシンクに取り付けて通電確認を行います。電源は、ユニバーサル電源から供給します。

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初めに電圧増幅段に通電してみました。配線して電源オンしたところ、ユニバーサル電源に表示されるマイナス側電流値がゼロでした。一旦電源オフして改造箇所の確認をしてみました。1点ハンダが怪しい箇所があり、再ハンダしたところマイナス電源にも所定の電流が流れる事が確認できました。続いて終段の電源配線を行いアンプ全体の通電確認を行います。通電後に終段のバイアス電流を一旦、0.1A程度に再調整し直しました。しばらくこの状態で様子を見てみましたが問題ありません。電源をオフして確認完了したヒートシンクをアンプユニットのシャーシへ取り付けます。

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アンプ基板と終段の電源配線を行います。終段用電源ラインは一度配線しているので、接続し直すのみです。写真は、全電源配線が終わった状態です。

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電源配線が終わったので、アンプユニットの電源基板を使って通電確認を行いました。(本記事のアイキャッチ写真さ参照)写真向かって右側が改造済みのHotチャンネル用アンプです。先のアンプユニットの通電確認の経験から通電確認と調整はすんなり終わりました。写真は、通電確認時の電源トランスユニットですが、Lチャンネルの動作を示す緑の電源ランプが点灯しています。

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次回は最後に残ったColdチャンネル用アンプ基板の改造および通電確認を行います。

 

つづく(制作編22)

DCパワーアンプ電源改良(製作編20)

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製作編20

2台目のアンプユニットのボトムカバーの加工から再開します。手順は1台目と変わりませんが、1台目の加工時に伝えきれなかった部分もあるので、繰り返しになりますが紹介します。

ボトムカバー加工

ボトムカバーは、前回取り付けられていた部品を全て取り外し、現状は板金状態となっています。加工は電源基板2枚の取り付け用の穴8点と、ヒートシンクを取り外す為のネジアクセス用の穴4点の追加です。基板取り付け用の穴の加工図はすでにあるので、今回はその加工図に、ネジアクセス用の穴4点を追加しました。

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1台目のネジアクセス用穴開け対応は、現物合わせした為に穴4カ所のうち、3カ所で追加工が必要となりました。この反省から今回はこの穴位置も加工図に追加しています。但し、4カ所のネジ位置が4部品(フロントとリアパネル及びサイドパネル2枚)の組み付け状態で変わるため、最終的には現物合わせが必要となる可能性があります。加工図はA4には入りきらない為、ボトムカバーフロン合わせ用とリア合わせ用の2枚の加工図を印刷しました。いつものとおり、外形図に沿って切り取り、ボトムカバーに貼り付けました。

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全12箇所の穴のセンターにポンチで印を付けて、加工図を剥がしてドリルで穴を開けました。ヒートシンク固定用ネジアクセス穴位置の確認を行いましたが結局1カ所追加工が必要となり、やすりで地道に削って位置出しをしました。

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基板固定用のスタッドを取り付けて、無事2枚の基板の取り付けができました。

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次に取り付けた電源基板のGNDをシャーシへ接続します。写真は電圧増幅段用電源のみ接続した状態です。

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これでボトムカバーの加工は完了です。

フロントパネル加工

最初に赤の電源LEDの配線をします。1台目と同様に基板を小さく切ってその基板に実装し、その基板から電線を引き出しました。

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1台目では、引き出し電線の極性を間違える失態をしてしまったので、確認してからハンダ付けを行いました。続いてプッシュSWの自照ランプの電源配線をします。5端子のうちの外側の2極がLED用の端子です。

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次はプッシュSWの電源配線をします。このラインは終段用電源トランスの1次側となり、接続先はリアパネルの5極のXLRコネクタです。プッシュSWの端子間は狭いので、ハンダ付け後に熱収縮チューブを被せてインシュロックで固定しました。

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熱収縮チューブは今まで、近所のスーパービバホームで購入していましたが、今回初めてアマゾンで購入してみました。

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ケース付き12サイズ560pcsで998円でした。1pcsの長さが長いのでを半分に切って使用しました。使うサイズがほぼ決まっているので、今後は必要なサイズを継ぎ足していく事になりそうです。

リアパネル加工

次はリアパネルのXLRパネルコネクタの配線をします。3極のコネクタは終段用電源配線となるので、1.25sqの電線を使用します。5極のコネクタ3つのpinは、電圧増幅段用電源配線なので、0.75sqの電線を使用しました。残り2極はフロントパネルの配線済みのプッシュSWと接続します。

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信号入力配線は1台目と同様に現行アンプの電線を流用しました。

シャーシ組立

必要な配線が全て準備できたので、シャーシの組立を行います。最初はリアとフロントパネルおよび2枚のヒートシンクを固定します。

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全ての配線が片側のみの接続の為、未接続の配線がシャーシから飛び出しています。ここからは、ボトムカバーを取り付けてしまうと接続や加工がやりにくくなる部分を先に行います。初めにフロントのプッシュSWとリアの5極のXLRパネルコネクタ間を接続します。配線を弛ませると配線のフォーミングが格好がわるくなるので、余裕を取らずに接続しました。

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XLRパネルコネクタ側の端子は4pinと5pinです。接続の全景は以下のとおりです。

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記事のきりが今一つですが、次回は2台目アンプユニットの配線の続きを行います。

つづく(制作編21)

DCパワーアンプ電源改良(製作編19)

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製作編19

片チャンネル分のアンプが完成したので、残りのチャンネルのアンプの改造をスタートします。

アンプ分解

最初のアンプと同様に、改造の為にアンプを分解します。元の状態は写真のとおりです。

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部品がぎっしりつまり、ケースが深く手が入らない為、束線がきれいにできていません。初めに配線を全て外します。端子台が採用されていない為、全ての端子がハンダ付けされています。この状態でボトムカバーを取り外しました。

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さらに基板を取り外します。終段用電源基板は改造して再搭載します。

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残りの電源トランスとラグ端子板を取り外しました。

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電圧増幅段用の電源トランスは、電源トランスユニットで使用するため電線もきれいに外します。

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最後に残った基板固定用のスタッドを取り外すとボトムカバーは板金状態となりました。

電源トランスユニットの組立

取り外した電源トランスを電源トランスユニットに搭載します。搭載前の状態は写真のとおりです。

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取り付けはφ4のネジを使用しました。

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続いて取り付けたトランスの配線を行います。1次側はラグ端子板へ接続します。2次側は、リアパネルの5極のXLRコネクタへ接続します。電源トランス側のみハンダ付けして、適当な長さで電線をカットしておきます。

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この状態で、一旦フロントパネルを正規に取り付け、リアパネルのXLRコネクタへの配線を行います。配線は先に行ったものと同じなのでまねするだけです。

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2次側のセンタータップを5極のXLRコネクタの1pinへ接続し、残り2本を2pinと3pinへ接続しました。これで全ての配線が完了です。束線を行いリアパネルを元の状態に戻したら電源トランスユニットはほぼ完成です。

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終段電源基板改造

次に取り外した終段用電源基板の改造を行います。改造ポイントは以下のとおりです。

・入出力の端子台化

・ブリッジダイオードの変更

・ブリッジダイオードへ放熱板取り付け

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まずは、ブリッジダイオード用の放熱板を作成します。以前製作したバラック版のチャンネルデバイダのパネル流用し、カットして作成します。

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アングル取り付け用のネジ穴を取り付け穴として使用します。パネルの角を利用して2x4cmの長方形に切り出しました。カットはハンドニブラで行ったので、カット面をヤスリで成形しました。

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これをブリッジダイオードにネジで取り付ければ完成です。

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これを元々実装されていたブリッジダイオードと交換します。尚、この基板で取り扱う電線は太いため、ハンダこてにパワーが必要な為、40Wのコテを使用しました。入出力は各ラインに直接ハンダ付けされていましたが、全て端子台化しました。改造完了時の部品面は以下のとおりです。

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同様にハンダ面は以下のとおりです。元から実装されていた導電性高分子アルミニウム固体電解コンデンサは、そのまま実装しています。

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これで終段用電源基板の改造は完了です。単純な回路なので通電確認は省略し、シャーシ実装時に確認する事にします。次回はボトムシャーシの追加加工からスタートします。

 

つづく(製作編20)

DCパワーアンプ電源改良(製作編18)

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製作編18

ようやく泥沼から這い出る事ができ、Hotチャンネルの通電確認が終わったので、Coldチャンネルの配線および通電を行います。

Coldチャンネル確認

Hotチャンネルと同じミスをしないように、改めてアンプ基板の改造を行います。改造前に念のため電圧増幅段+電源と、ヒートシンク間の導通を確認しましたが、問題ありませんでした。

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おそらく基板配線はリスクを持った状態になっているはずなので、基板を外して確認します。

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案の定、スタッドと+電源配線間の接触リスクを持った状態となっていました。Hotチャンネル基板と同様に、+電源配線を変更してリスク回避の改造を行いました。

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続いて端子台化しなかった電圧増幅段の電源配線を行います。電線の被覆を剥いて事前にハンダ処理を行いますが、簡単なジグを購入しました。自在アームにクリップが付いただけのものですが、自由に電線の固定ができて思いの外便利でした。

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Hotチャンネル基板と同様に、アンプ基板単体で通電確認を行います。通電は問題ありませんでしたが、アンプ実装時の熱暴走リスクを考慮して終段のバイアス電流の調整値約0.8Aを一旦0.1A程度に下げておきます。

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アンプ基板の組み込み

単体通電確認が終わったところで、ヒートシンクごとアンプ本体に取り付けます。

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改めて電源の配線を行います。電源基板側の接続は全て端子台なので、電線の長さを合わせるだけで、比較的楽に配線できました。

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配線が込み合って美しくありませんが、束線はColdチャンネルの通電確認が終わってから行います。

Coldチャンネル通電確認

今回は十分な事前確認を行ったので、あまり心配はありません。初めに電圧増幅段の電源をオンして、しばらく様子をみました。続いて終段の電源もオンします。自照式のSWのランプが点灯して終段に電源が供給されていることがわかります。

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この状態で、出力オフセットおよび終段のバイアス電流をモニタし、安定したところで所定の終段のバイアス電流に調整し直しました。調整の手順は製作編17で紹介したとおりです。合わせて、最初に通電確認を行ったHotチャンネルの終段バイアス電流の調整も行いました。長い道のりでしたが、ようやく1台目のアンプの調整まで完了しました。

アンプ動作確認

動作確認の前に、配線の束線を行いました。

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アンプ内部はそれなりにすっきりしました。待ちに待った動作確認を行います。システムの中ではウーハーチャンネルを受け持ちますが、今回はフルレンジスピーカーを接続して、フル帯域のモノラル再生を行います。DAC出力を昔使っていたボリュームユニットに入力して、その出力をアンプに入力します。フルレンジスピーカーは以前に組み立てたFostexロクハンのフルレンジユニットを使用したものを久々に引っ張り出しました。

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おそるおそる音量を上げていきます。最初の音の印象は、粘りのあるベースの音です。悪くはないとおもいます。ステレオのソースをモノで聴くときのディスアドバンテージを考えるとむしろいい感じで鳴っています。はやくもう片チャンネルを完成させてステレオで聴いてみたいとおもいました。トップカバーを組み付ければ完成です。次回はもう1台のアンプの改造に着手します。

 

つづく(製作編19)

DCパワーアンプ電源改良(製作編17)

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製作編17

改造完了した定電圧電源を取り付けて通電確認を行ったところ、今までのトラブルの原因がわかりました。

定電圧電源基板取り付け加工

この基板は元々このボトムカバーに取り付けられていましたが、取り付け位置を変える必要があるので、ボトムカバーを追加加工します。先に作成した基板取り付け用加工図にこの基板の取り付け用の穴4個を追加します。基板の取り付け位置は、安定化電源基板と基板のセンター位置を合わせました。

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いつもの様に加工図を印刷し、フロントラインに合わせて、追加4個の穴が含む状態で加工図をカットしました。写真は終段用電源基板を外さない状態で加工図を貼り付けたところです。

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この状態で、4カ所の穴のセンターにポンチで印を付けてドリルでφ3.2の穴をあけました。基板取り付け用のスタッドは、ハンダ面に電解コンデンサを取り付けた事から10mmから15mmに変更して基板を取り付けました。

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定電圧電源通電確認

ボトムカバーをアンプに取り付けて、定電圧電源の入力配線のみ行って通電確認しました。所定の電圧が出力されている事が確認できました。

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次にアンプの電圧増幅段の電源配線のみ行って通電確認を行います。少し緊張しながら電源オンしたところ、定電圧電源の+電圧出力が異常です。電源のドライバ用トランジスタに触れたところ、異常に発熱していました。即座に電源を切りアンプの電源配線を外して定電圧電源のみ通電確認を行ったところ、+電源が故障していました。見込みが大きく狂いましたが、今回のトラブルの原因はアンプ側電圧増幅段回路以外考えられません。

原因の特定

このままの状態で、シャーシGNDと+電源入力端子間の抵抗値を測定してみました。案の定2.3Ωとどこかでショートしている事がわかりました。

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ヒートシンクを取り外して、アンプ単体で改めて確認してみました。ヒートシンクと+電源入力間がショートしています。

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この状態で、左手前の基板取り付けネジを外して基板を浮かせたところ抵抗値が正常になりました。早速アンプ基板を取り外して確認したところ、+電源ラインが基板取り付け用穴近くにあり、スタッドと接触している事がわかりました。

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直角に配線されたこのラインを、斜めに配線して取り付け穴とのクリアランスを確保する事で対策をとりました。電源が壊れる原因がアンプ側にあった事がわかったので、故障していた安定化電源を再度修理して、電圧増幅段用の電源を当初の予定どおり安定化電源に戻しました。

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通電確認?回目

改めてアンプを組み上げて通電確認を行います。始めに電圧増幅段のみ電源オンして状態を確認しました。しばらく放置しても問題ありませんでした。意を決して終段の電源もオンします。

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プッシュSWの自照ランプが点灯して、終段に電源供給されている事がわかります。写真後ろに電源トランスユニットが写っていますが、赤のランプと右側の緑のランプが点灯しています。しばらく放置してから出力オフセットと終段のバイアス電流をモニタしましたが、問題ありませんでした。(本記事のアイキャッチ写真参照)原因が解ってしまうとたいした事ではありませんでしたが、ようやく泥沼から這い出る事ができました。

今回の顛末まとめ

今回はいろんな事象が重なり、原因特定に手間取ってしまいましたが、今後の為に状況を整理してみました。

・最初に組み立てた際は、アンプ基板の取り付け時に、スタッドとのショートリスクを把握して組み立てを行った

・今回アンプ基板改造後の組立は、リスクを忘れて組立を行ってしまった

・アンプ単体の通電は、ヒートシンクが+電位となるものの正常動作するため、ヒートシンクが+電源とショートしている事に気づけなかった

・組立状態の通電では短時間で電源が故障するため、状況の把握ができなかった

・安定化電源の安定性を疑ってしまった

以上の事から、「リスクをもった状態を放置すると後で痛い目にあう」事が今回の教訓です。再発させない為に肝に銘じました。次回は、Cold側のアンプの通電確認を行い、全体の調整とアンプ総合の動作確認を行います。

 

つづく(製作編18)