バランス方式ボリューム製作(製作編)

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製作編

前回の記事で設計完了したバランス方式ボリュームを製作します。その音の印象およびリモコン化についても紹介します。

部品の選定

ケースはタカチのUS-260LHを使用します。特段デザインが良いわけではありませんが、前に作ったアンバランスバランス変換器と同じものを選択し、デザインを合わせることとしました。オペアンプは、ネット上の評判と値段を考慮してJRCのMUSES8920Dを選択しました。その上位モデルのMUSES01との選択肢もありましたが、価格が7倍強の3500円と高く、使うとしてもその違いを実感する必要があると考えて、まずはMUSES8920Dとしました。ですが、完成後すぐにMUSES01を注文したことは言うまでもありません。4連ボリュームは、アルプスのSK27にしました。モーター付きでA特性です。アルプスの資料上で該当モデルが見つからなかったので、どこかのメーカーがカスタムで作ったものが市場に流れたのかも知れません。モーター付きなのでリモコンボリュームにすることができます。ボリューム用のツマミも見た目重視で探しました。共立エレショップで見つけたものですがサトーパーツのアルミ削りだし、φ45のもので1902円です。これって贅沢なのか、無駄なのか判断に迷いましたが注文してしまいました。電源トランスは、一度は使ってみたかったトロイダルトランスを選択しました。オペアンプ4ch分の駆動には、無駄としか言えないような気がしますが、これも共立エレショップで2057円で出ていたので決めました。

製作

前に作ったバランスアンバランス変換器とフロントパネル上のボリュームの位置を合わせるためには、入力XLRネクタ側にトランスを配置するとトランス、ボリューム本体、基板のクリアランス上何ら検討がいらないため、この配置で一旦作り上げました。 突貫で完成させてアンプに繋いで電源を入れたところ、あろう事かバランスアンプにも関わらずハムが発生しました。XLRコネクタとボリューム間の配線の位置をずらすと改善することから、トランス、ボリューム、基板の配置起因と考えられます。一旦はボリューム配線の配置の工夫でしのぎましたが、気持ちが悪く、翌週に基板とトランスの配置を見直しをしました。この見直しにより基板上にボリュームがきています。(写真参照)

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アンバランス・バランス変換器使用時と比べてまさにベールが1枚はがれた印象の音です。実際にアンプが1段減っていますが。もう元には戻れません。その音をしばらく聴いた後に、オペアンプをMUSES8920DからMUSES01に交換しました。交換後の音は、高音のきらきらした感じが後退し、その代わりに中高域が艶やかな印象の音に変わりました。派手さはありませんが、私はこちらの方が好みなので、このまま使っていきます。MUSES8920DとMUSES01のスペックを比較すると、全ての特性においてMUSES8920Dの方が勝っていますが、そのスペックと引き替えに音質重視の回路設計となっていると、勝手に解釈しています。またフレームに無酸素銅を使っていることも大きな特徴です。

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MUSESスペック比較表

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おまけ(リモコンボリューム化)

折角ボリュームにモーターがついているので、まずは簡単にプッシュSW2個と、5VのACアダプターを使ってワイヤードリモコン化しました。設計編のキャッチ写真の背面中央にある端子にボリューム駆動用のモーター端子が接続されていて、ここにワイヤードリモコンを接続して使います。私はArduinoも使っているので、プログラムを組んでリモコン制御基板をつくることも考えましたが、手間もかかる上にデジタル回路を混在させたくないと考えてやめました。ふと目に入ったのが、エルサウンドのパッシブプリ(セレクタとボリューム)です。アンバランス用のため、使わずに埃をかぶっていましたが、このパッシブプリはボリュームコントロールのリモコン機能があり、なおかつアルプスの同タイプのモーターボリュームが使われていることを思いだしました。このボリューム駆動用の制御電圧をのっとり、そのままパッシブプリをリモコンユニットとして使うこととしました。制御電圧を外部に引き出しプラグをつけて、ワイヤードリモコンの代わりに接続します。これで実使用時の使い勝手が格段に良くなりました。

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部品表

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あとがき

このバランス方式ボリュームの製作時期は2015年12月頃で、真空管アンプ製作の直前でした。今後はこのシステム前提で、製作・音の確認を行っていきます。前回の記事で宣言したとおり、次からはトランジスタアンプの設計製作を記事にしていきます。但し、平日にはなかなか時間がとれないため、最低でも週末の更新を行っていきたいと思いますので引き続きよろしくお願いします。

 

おわり(バランス方式ボリュームの製作)