DCパワーアンプメンテナンス構想編1

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メンテナンス構想編1

今回メンテナンスを行うDCパワーアンプの概要を紹介します。

このアンプについて

メンテナンスするDCパワーアンプは学生時代に設計製作したもので、私にとっての本格的なオーディオアンプ1号機です。すでに製作から30年以上経過していますがまだ一応動作します。大学卒業後は実家に置きっぱなしにで、帰省した際に時々火を入れていましたが、一切メンテナンスはしてきませんでした。2008年の実家の建て直しの際に、YAMAHAのNS-1000Mとともに今の住まいに引き上げました。この時に今では手に入らない貴重な部品や、レコード、各種機器を全て廃棄されてしまい、残念な事をしたと思っています。ケースは、なくなってしまった鈴蘭堂のSRシリーズです。当時の金田式アンプで使われたシリーズです。正面パネルには大型のVUメーターが取り付けられていますが、このブログに何度か登場している大先輩にいただいたものです。業務用機器に搭載される本格的なもので、600Ωのインピーダンスで駆動するとVUメーターの規定に従って動作すると伺った記憶があります。但しレベルは、実用域で針の振れが見られるように、8Ω負荷1W出力を0dBに合わせてあります。

部品・配置

次の写真はシャーシ上部のもので、搭載部品については配置図を参照ください。積もった埃が30年の経過を示しています。スペースが許されるだけ電解コンデンサを詰め込んだ状態となっていますが、おそらく全ての電解コンデンサの交換が必要と思われます。

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電解コンデンサ

センターの一番大型の電解コンデンサーは、終段用電源平滑用のもので、表示はNTK 47000uF 50VDCとなっています。これもいただきもので、通信機器用のブロック電解コンデンサーと伺った記憶があります。ケース内に納めるためにシャーシを電解コンの外形サイズでぶち抜いて、取り付け位置を下げています。他電解コンデンサも含めて、同形状のものの入手は難しいので、形状の異なるものの取り付けが今回のメンテナンスのキーになると考えています。

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トランス

2つのトランスが搭載されていますが、どちらもタンゴ製ですが廃業により新品の購入は難しい状況となっています。一つはシリコンアンプ電源用のDC-35で終段用として最大20V/3.8A x2が取り出せます。もう一つはチョークコイルCH-3-0.25W(正確にはトランスではありません)ですが、電圧増幅段の電源はチョークインプット方式となっています。

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チョークインプット電源

当時私は大学の研究室で助教授誘い乗っかり、「ラジオ技術」誌投稿用のアンプの設計製作を行っていました。あくまで空き時間にです。投稿用アンプの1つの特徴が大容量電解コンデンサチョークコイルによるチョークインプット電源でした。トランジスタ式のDCアンプ電源で、終段も含めてチョークコイルを使用する例がなかったからか、記事として採用されたのかもしれませんが、今考えると物量に物を言わせる強引な方法だったとおもいます。このアンプでは、負荷変動が設計的になく消費電流も小さい電圧増幅段にのみチョークコイル+大容量電解コンデンサ構成のチョークインプット電源を採用しています。

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話が脱線しますが、「ラジオ技術」誌への投稿は、部品調達を含めた雑誌社との交渉および回路のラフ設計、記事自体を助教授が担当し、私が詳細設計および製作評価を担当しました。私が所属した研究室では、毎年1人が選ばれて(いけにえ)お相手をする事が恒例となっていたようです。1ページあたりの原稿料はいくらだったか知らされていませんでしたが、1つの記事で数千円助教授からもらった記憶があります。好きなことを、金銭的な持ち出しをせずに、当時無尽蔵にあった時間を使っていくばくかの報酬を得るということで、雑誌社、助教授、私との間でwin-win-winの関係だったとおもいます。ホントいい時代でした。

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次回は終段のトランジスタ詳細を含め、回路を紹介します。

 

つづく(構想編2)