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2016真空管オーディオフェア(番外編3)

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番外編3

10/9~10/10に真空管オーディオフェアーが開催され、見学してきましたので感想を含めて紹介します。

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真空管オーディオフェア

今年(2016年)の開催は第22回になりますが、開催場所はJRのお茶の水秋葉原の丁度中間にある損保会館でした。今年の2月に開催されたMJ誌主催のオーディオフェスティバルと同じ会場です。主催は真空管オーディオ協会で協賛にはオーディオ雑誌を扱う主要5社が並びます。今回近隣ホテルに第二会場が設定されましたが、そちらは1日では回りきれませんでした。損保会館内を回った中から印象的なデモについて紹介します。

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幻の銘球GEC DA100と東芝813シングルアンプ聴き比べ

5Fのイベントルーム開催の第1弾のデモとなり、進行はライターの柳沢正史先生でした。タイトルとなっている真空管はどちらも送信管で、印加電圧が通常の真空管に比べ、2~3倍(1000V~1500V)まで、Ipは2~5倍程度(100mA~300mA)まで流すことができます。音の傾向は雄大かつ音の抜けが良いと言われています。GEC DA100は(写真一番手前と一番奥)Ep=1000V, Ip100mA, Po=30Wのスペックを持った送信管です。一方東芝813は(写真中側の2台)、Vp=1500V, IP=300mA, Po=260Wの送信管です。

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デモに使用されていたスピーカーは、JBLS3900BGで、3Way 4Speakerでスコーカーとツイーターにはピュアチタンダイアフラムが採用されています。価格は1本49万円です。見た目とは異なり、私には往年のJBLサウンドにつながる音を感じとる事ができました。

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デモは、CD, LP, EP, SPをとりまぜ、洋楽のクラッシックが中心でしたが、今回のデモの目玉として、デッドストックされていた青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」が準備されていました。過去にデモで選曲した事もあったそうですが、その際はLPを音源に使っていたそうです。EPは回転速が早い分だけ良い上に、板の状態が良いうちに聴いてもらいたいと考えて持ってこられたそうです。1968年に発売されたものなので、約50年前の録音になりますが、青江三奈のため息を含めてすばらしい鳴りっぷりでした。このデモで印象的だった事は、柳沢先生が1曲かけるごとに会場の後ろまで行って必ず再生音を確認されていたことです。自分が紹介する音への責任の現れでしょうか?印象に残りました。

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株式会社サンバレー

所在地は愛知県刈谷市で、「ザ・キット屋」という通信販売専門店を運営しています。中心は、キット販売の真空管アンプですが、真空管アンプの完成品、スピーカー完成品のラインアップもあります。キット中心は、電安法対応のコストと工数対策のためでしょうか?商品の価格は比較的リーズナブルだと思います。このコマで今回のイベントの中で一番参考になった聴き比べをさせていただきました。曲を含めてシステムを変えずにパワーアンプのみを切り替えての試聴です。聴き比べたアンプは以下のとおりです。

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・SV-S1616D/EL34(シングル)
・SV-S1616D/300B(シングル)
・SV-P1616D/EL34(プッシュプル)
・SV-P1616D/300B(プッシュプル)
・SV-S1628D/845(シングル)
・SV-S1628D/211(シングル)

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使用された音源は、井筒香奈江さんの「リンデンバウムより」から「無意識と意識の間で」です。このアルバムは、この曲を含めてすべてがカバーされたもので、この曲のオリジナル歌手は斉藤和義さんです。録音およびアルバム内の選曲がよかったので帰宅後にCDを注文してしまいました。

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スピーカーは同社のフロアー型システムLM69(写真右から2番目)です。スピーカーユニットは今では珍しい楕円形状で15x22cmのフルレンジユニットが使われています。価格はペアで37.8万円です。同社のネット上の解説では、60~70年代のヨーロッパサウンドを目指したとのことです。

比較試聴の結果

EL34シングルと300Bシングルの比較では、中音域の艶と響きはさすがに300Bの方が魅力的でした。全体的なバランスという観点ではEL34もそんなに悪くはないとおもいます。プッシュプル機は、それぞれのシングルの球の印象を残しつつ全体的に駆動力が上がっているように聴くことができました。私が使っているNS-1000Mの駆動を考えるとプッシュプルに分があるように思いました。最後に送信管845と211のシングルアンプの聴き比べです。両送信管は構造が同じで捺印以外見た目には区別ができませんが、211は845のEp、Ipのスペックをグレードダウンさせたものとの事でした。送信管のシングルアンプは、今まで聴いてきたのもと比べスケールの大きさを感じました。485と211では、211はボーカル等の中音域を明瞭に鳴らす際には真価が発揮されると思いました。進行される方もおっしゃってましたが、使用されるスピーカーによって選択を変えると良い結果が得られると思いました。

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PHILIPS4624単段シングルパワーアンプ

ライターの新忠篤先生が設計製作してみずからデモを行ってました。デモの中でも紹介されていましたが、ラジオ技術11月号に投稿されているとのことで、出版社連動企画かと思っていましたが、記事によると、隣に展示されていたトランスメーカー橋本電気のデモという事でした。このモノラルアンプは単段ということで真空管1本で構成されていますが、そのかわりにチョークコイルを含めてトランスが5個も搭載されており、その全てが橋本電気製でした。実は12時台のデモが終わったタイミングで入室し、アンプを見てどうしても音を聴いてみたいと思い、他のブースで1時間あまりデモを見て時間調整して2時のデモを聴くために戻ってきました。

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PHILIPS4624は戦後生まれの直熱3極管でEp=800V, Ip=35mA, 出力=9Wでフィラメント電圧が変わっていて7.2Vとの事です。このアンプのもう1つの特徴がアンプ回路系に一切ケミコンを使っていない事です。新先生は他アンプも含めてできる限りケミコンを排除してみたいと仰ってました。デモは、ONKYODAC-HA300 DSDプレーヤーをソースとしていましたが、さらにその元はLPレコードとSPレコード真空管フォノイコライザで再生したものをDSD化したものとのことでした。

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スピーカーはfostexのGX250MGが組み合わせられていました。先週のインターナショナルオーディオショウでスピーカーシステムの紹介をしていた方が会場につめていてケアをされていました。ツイーターがマグネシウムリッジドーム、ミッドレンジはマグネシウムHR形状振動板、ウーハーも25cmHR形状振動板が採用され、価格は1台56万円です。

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再生される音はというと、生き生き鳴り気持ちのいい音です。「真空管1本でここまで鳴らすことができるのか?」というのが正直な感想です。組み合わせて使用されたトランスの性能によるところもあるとおもいます。計画中のシングルアンプですが、考えれば考える程凝った構成になりがちですが、この音を教訓に程々に押さえたいとおもいました。

まとめ

今回の真空管オーディオフェアは、2月に開催されたオーディオフェスティバルよりも年齢層が広く、女性も会場で見受けられました。入場料は500円でしたが、高校生以下は無料という事で若者の取り込みに苦労している状況も伺えました。2週連続でオーディオショウを見学していろいろと刺激を受けましたが、次回から紹介予定のシングルアンプ設計へ有形無形の影響があるとおもってます。引き続きよろしくお願いします。

 

おわり