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音楽の女神への挑戦(決着編)

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決着編

組み上がったディスクリートアンプバランスボリュームの音だしを行い、オペアンプとの音の比較を行います。

出力オフセット

前回、基板をシャーシ実装後にオフセット調整した結果を紹介しましたが、その結果を不思議に思われた方もいたかもしれません。1つのチャンネルが-2.9mVと追い込みきれていませんでした。私自身も不思議に思い、出力をオシロスコープで確認したところテスタのリードを当てると、微小な発振波形が観測されました。左がリードを当てた際の発振波形で、右はリードを当てない状態の出力です。

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現状の発振対策はC06=なし、C01=22pFとしていましたが、C06=10pF、C01はそのままとしたところ発振波形は消えてオフセット調整も安定しました。写真は微小発振を観測したチャンネルに10pFを追加したときのものです。

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他のチャンネルも同様の対策を念のため行いました。この状態で改めて出力オフセットの調整を行いましたので結果を掲載します。

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おさらい

勝敗の決着の前に簡単におさらいをします。オーディオ全盛時代の売り文句に、「音のいいディスクリート方式のアンプを採用!」なんてコピーがありました。今はどうかと探してみたところありました。2016年9月発売のマランツ「HD-CD1」CDプレーヤーです。

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もともとオペアンプは演算用に作られたことから、GB積をかせぐ事が至上の命題となっていたため、音質への配慮はありませんでした。あれからうん十年がたち、音質を追求したと宣伝されているMUSESが販売され、使ってみると確かに悪くはありませんでした。一方、パワーアンプで採用した私なりのこだわりの回路をラインアンプに適用してみたいと考え、果たして最新のオーディオ用オペアンプに音質面で勝てるのか確認したいと考えたのが、今回の挑戦のきっかけです。

ディスクリートアンプについて

今回製作したアンプは、S1604_BTL方式モノラルDCパワーアンプで採用した回路構成とほぼ同じですが、改めて特長を紹介します。初段はDual J-FETを使った差動アンプで、ペア性能および温度特性は良好です。それをカスコード接続で使用しJ-FETを理想的な状態で動作させています。トランジスタを使用した定電流回路を採用して初段の差動アンプを安定動作させます。2段目はオーソドックスな差動回路ですが、選別品のペアトランジスタを使用しています。バイアス回路もトランジスタで構成して終段のコンプリメンタリペアを安定動作させます。終段も選別トランジスタでコンプリメンタリ構成として裸特性の改善を狙いました。終段はバイアス電流を10mA流していますが、600Ω負荷とした場合に理論上は12Vpp出力までA級動作をします。いろいろ書きましたが、回路はオーソドックスな差動2段+ドライバ構成のアンプです。そのすべてが裸特性の改善につなげるために取った対応です。発振対策の追加を反映した最終回路図を改めて掲載します。

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挑戦相手

勝敗の決着の前に、MUSES01についても改めて言及しておきます。「従来音質向上を実現する際の障害になっていた材料、チップサイズ、生産性などを意識せず音質を追求したオペアンプ」と唱われています。回路に関する情報は一切公表されていませんが電源電圧範囲や、電圧利得のスペックが他オペアンプに比べて劣っていることから、オーディオ用の回路を意識した設計となっていると推測されます。出力段は私が使用する負荷範囲(1~2KΩ前後)において、おそらくAB級動作をしていると考えられるため、簡単な確認をしてみました。負荷1KΩを接続して消費電流をモニタしながら正弦波を入力します。入力電圧を上げていくと消費電流が8mAから9mAに増えることを確認しました。この結果からも、いくらオーディオ用設計とはいえLSI設計のしがらみが残っていると推測でき、そこに勝機があると考えました。

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音だし勝敗

組み合わせるパワーアンプは、最近常用しているS1605 パラレルシングルパワーアンプです。音を聴いた最初印象は、「なんて芯のある音がするのだろう!」です。音楽が安定して聴こえます。初めに私の音質確認定番のBJ2を聴きました。低音の量感もあり、中域も今まであまり聴こえてこなかった音が聴き取れます。音の分離が良いということでしょうか?高域はレベル感がありますが、素直なためうるさくなりません。ディスクリート電源+オペアンプの組み合わせにて、電源にMUSESを追加してバランスをとりましたが、その際にはボリュームを上げる必要がありました。ディスクリートアンプとの組み合わせでは、ボリュームを上げずとも、バランスがとれています。つづいてアコースティックギターを聴きます。弦をつま弾く感じが生々しく、響きも美しいです。女性ボーカルのハイトーンもうるさくならず、透明感があります。ビッグバンドの管楽器も生き生きなります。時間も忘れていろ聴いてしまいました。この結果から、私の主観的な判断ですがこの勝負、ディスクリートアンプに軍配が上がりました。(バランス変換ボリューム2設計編の冒頭にBTL方式DCパワーアンプとの組み合わせ再生時の音の印象も紹介しています。2017.02.28)

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まとめ

2017年最初の製作に約1ヶ月間おつきあいいただきありがとうございました。前の記事でコメントしたとおり、結果が良かったので今回の設計をオペアンプ相当の標準基板としたいとおもいます。まだまだ私自身のオーディオへの興味は尽きません。時間、場所、お金があれば・・・なんて考えてしまいます。引き続きおつきあいいただければ嬉しいです。

 

おわり(音楽の女神への挑戦)