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パワーアンプの周波数特性(番外編7)

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番外編7

前回につづき、製作済みのパワーアンプの周波数特性の測定を行います。

BTL方式A級DCパワーアンプ

終段およびドライバ段のトランジスタは、選別対応するためft=15MHzと特性を欲張らずに(サンケン2SC3851A/2SA1488A)入手性(安いものを大量に入手)を優先して選定しました。また、発振対策も攻めた定数選択をしたわけではなかったので、周波数特性が気になっていました。前回のプッシュプルアンプの測定では、ホット側のみの測定の考慮を忘れていたため、約0.4W出力時の測定となりましたが、今回は基準電圧を見直して約0.1W(8Ω)出力時の測定に変更しました。

測定および結果

測定方法は基準入力電圧以外前回同様です。その基準入出力電圧(1KHz)は 48mV/0.44Vで、ゲインは19.2dBでした。測定結果は以下のとおりです。前回測定したプッシュプルアンプの負帰還時の特性を一緒に載せています。

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DCアンプなので低域はフラットです。高域は600KHzで-0.4dBと測定範囲内ではほぼフラットです。トランジスタアンプの特性としては、まずまずだとおもいます。真空管アンプの特性と比べると文字通り隔世の違いがありますが、今までこの高域の特性差を聴感上の差として意識したことはありませんでした。音楽ソースがCDということも影響しているかもしれません。

パラレルシングルパワーアンプの周波数特性

最後に一番最近製作したパラレルシングルパワーアンプの周波数特性を測定します。1KHz時の基準入出力電圧は、42mV/0.44Vで、ゲインは20.4dBです。測定結果は以下のとおりです。低域は30Hzあたりから下がり始め、10Hzで約5dBダウンしています。高域は3KHzあたりから下がり始め、15KHzあたりで3dBダウンしています。正直パワーアンプとしてはひどい特性です。さしずめFM放送の電送特性とでもいいましょうか?

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念のため、別チャンネル(R)も測定してみましたが、ほぼ同じ特性でした。1KHzの基準入出力電圧は44mV/0.44Vで、ゲインはぴったり20dBでした。

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パラレルシングルパワーアンプ完成時の音の印象を過去の記事にさかのぼってピックアップしてみました。

・帯域はややナロー
・NS-1000Mが欧州製のフロア型スピーカーのように鳴る
・低音は予想よりも良く鳴る
・低音の床をふるわす超低域はプッシュプル方式に分がある

それなりに、この特性を表現しているような気はしますが、これほどの特性となっているとは想像できませんでした。原因を探るために回路図を改めて確認します。

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低域の特性は、終段のカソードの電解コンデンサの容量を増やせば改善できると思います。現状100uF/50V品が接続されていますが、特性測定時の出力波形が歪みぎみなので、増やしても音質改善につながるか疑問が残ります。おそらくシングル用のトランスの特性に起因していると思われます。1000Mが欧州製のフロア型スピーカーのような音で鳴るのは、この特性にもとづく色づけのような気がします。写真は10Hz測定時のものですが、出力波形(黄色)がひずみ始めています。

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高域の特性は、2段構成のシングルアンプでゲインをかせぐために、初段の負荷抵抗値を高めに設定した事と、プッシュプルアンプの初段は、1回路で1つの終段を駆動しますが、パラレルシングルアンプの場合1回路で2つの終段を駆動するため、初段の出力抵抗値が2倍の影響を与えます。さらにグリッド回路の入力容量も2倍となっているため、このような高域特性になっていると推測します。2段構成でパラレルとする場合、初段からパラレル構成とすれば上記の影響をなくす事ができると思いますが、そもそもこの出力クラスのシングルパワーアンプではたしてパラレル構成とする意味があったのかも確認してみたい衝動にかられてしまいました。それでも気に入った音を出しているので、当面このまま使い、時間をかけて対策を考えたいとおもいます。

まとめ

今回f特測定にダミー抵抗を使用しましたが、スピーカーのインピーダンスは周波数によって大きく変わります。一方、真空管アンプの終段のロードラインは、負荷インピーダンスによって影響を受けますが、これら両事象をどのように考えたらいいか気になりました。BTL方式DCパワーアンプの特性測定した際に、前回までの記事で紹介したディスクリートアンプ化したバランスボリュームと組み合わせて久々に音楽を聴いてみましたが、なかなか良かったです。アンプの基本回路がそろった事で、良い部分がより際だった結果とでもいいましょうか?この組合せで今度はピアノ曲を聴きまくってしまいました。次回からは、バランス変換ボリュームの改造について紹介したいとおもいます。

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おわり(パワーアンプの周波数特性)