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バランス変換ボリューム2(製作編1)

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製作編1

ディスクリートアンプ製作開始時定番のトランジスタのhfe測定を行います。

コンプリメンタリペア選別

バランスボリューム用アンプのディスクリート化の時と同様に終段トランジスタのコンプリメンタリペアの選別を行います。NPNは2SC1815GR、PNPは2SA1085GRと前回同様です。バランスボリューム用アンプのディスクリート化の際は、コンプリメンタリペアが4つ必要でしたが、今回は6ペア必要となります。このため、今回はNPNを40個、PNPを20個購入しました。せっかくなので、今回は選別に関して少し詳しく紹介します。

トランジスタの特性

トランジスタのhfe(直流電流増幅率)は重要なパラメーターです。今回購入したトランジスタはNPN, PNPともにGRランクで、hfeの選別範囲はどちらも200~400です。今まであまり気せず、実際に使用するコレクタ電流を流してhfe測定をしていましたが、改めてデータシートを確認してみました。グラフはhfe-Ic特性です。

■2SC1815 hfe-Ic特性

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■2SA1085 hfe-Ic特性

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グラフを見ると、実用範囲ではhfeはコレクタ電流に依存しない事がわかります。その代わり、周囲温度Taに大きく依存しています。これが熱暴走につながるバイポーラトランジスタの特性の一つです。前回測定時に電流安定まで時間がかからなかった事から、Ic=10mA, Vce=5V程度であれば自己発熱による温度変化は殆ど起こっていないものと思われます。逆に40個測定している間の部屋の温度を一定にしておく必要があると言えます。また、実使用時もペア特性が要求されるトランジスタは出来る限り接近して実装するか、熱結合して実装すべき事がわかります。せっかくデータシートを参照したので、ついでにft-Ic特性も転載します。

■2SC1815 ft-Ic特性

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■2SA1085 ft-Ic特性

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トランジスタのftとはトランジション周波数の事で単位はMHzです。このパラメーターは簡単に言ってしまうと、増幅性能がなくなる周波数で、数値が大きい程高周波特性が良いと言えます。どちらもデータシート上は最小値80MHzと唱われていますが、Ic=1mA時の最小値です。両トランジスタともにIc=50mA付近で最大となり、今回終段で使用するIc=10mA時の特性は300MHz程度と良好です。データシートを見出すと止まらなくなってしまうので、今回はこの辺にしておきます。

測定ジグ

今までも簡単に紹介してましたが改めて紹介します。ジグが対応するNPN, PNPの測定回路はそれぞれ以下のとおりです。ベース抵抗Rbとエミッタ抵抗Reは他の値も選択できます。(実体写真参照)

■NPN hfe測定回路

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■PNP hfe測定回路

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回路は安定したhfe測定ができるように、コレクタ接地(エミッタフォロワ)としています。ジグはNPN/PNPへの対応および、複数のIc値レンジに対応できるようになっています。回路の組み替え対応は、Arduino(汎用マイコン基板)を使った際に購入したピンソケットとジャンパーワイヤーで対応しています。

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Ic調整用ボリュームは、アンプでも使っている多回転半固定ボリュームを使い調整の精度を高めています。被測定用のトランジスタの装着は、レバー付きのDIP IC用のソケットを流用しました。写真の電源用と記載のピンソケットは分岐用に設けています。基板上の8pinDIP IC用のソケットは変換基板に取付けたdual J-FETのIdss測定用に実装しています。測定回路に必要な抵抗もピンソケットとジャンパワーヤーで選択可能としています。

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Icのモニタは、Re(エミッタ抵抗)にかかる電圧を測定しますが、メーター式のテスターを使用しています。感覚的に電流の大小が瞬時にわかるので好都合です。このテスターも年代もので、なんらかの実習の際にキットとして配布されたものを組み立てたものです。(キャッチ写真参照)Ib測定のためにベース抵抗の両端電圧Vrb読みとりますが、そのためのテスタはデジタル式が便利です。これも大学の実習(生まれて初めて差動アンプを設計製作した)時に秋葉原まで買いにいったものです。30年以上経過していますがまだまだ使えています。どちらも使用期間を考えるとコストパフォーマンスはかなり高いと言えます。

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今回はジグの紹介にスペースをとってしまいましたが、次回は「当たるも八卦コンプリメンタリペア選別は運次第」hfe測定結果を紹介します。

 

つづく(製作編2)