妥協編1
バランス変換アンプの設計ミスのため、製作の方針を見直します。
妥協編
前回、格好良く「復活編?つづく」としましたが、1週間考えましたが妥協解しかみつからなかったため、サブタイトルを変更しました。
対策案
対策案として以下の2案を検討しました。
案1)反転アンプと非反転アンプのみをディスクリート化し、入力段のボルテージフォロワをオペアンプとしたハイブリッド構成とします。入力段のボルテージフォロワの実装スペースを確保するために、電源を3端子レギュレータ構成として、電源基板空いたスペースにボルテージフォロワを実装します。
案2)入力段のボルテージフォロワと出力段の非反転アンプを兼用し、チャンネル当たり2つのアンプですませます。
2つの案の特徴と製作の方針
案1)電源が3端子レギュレータ構成、入力段がオペアンプを使ったボルテージフォロワとなり全回路をディスクリート化する事ができません。入力段のボルテージフォロワがアンバランス動作となり、電源に信号電流が流れます。
案2)反転出力と非反転出力信号にディレイが生じます。そのかわりディレイがあるものの回路はバランス構成となり、電源に信号電流が流れません。当初の予定どおり、電源も含めた全回路がディスクリート化できます。
暫く考えた結果、今回はディスクリート化が1つの目的なので、反転アンプのディレイを確認した上で案2で製作を再開することとします。
基板改造
初めに実装済みのバランス変換アンプを反転アンプに改造します。改造する反転アンプの回路は以下のとおりです。
反転出力側の出力段およびそのバイアス回路、帰還回路を削除します。基板上には不自然な空白エリアができましたが、気にしないこととします。
部品削除したハンダ面は、ハンダ吸い取り網で余分なハンダを取り除きます。改造基板ですが、見栄えも最低限整えられたとおもいます。
動作確認
改めて調整をやり直します。手順はボルテージフォロワと同じです。調整結果は以下のとおりです。
念のため、反転アンプの周波数特性の確認も行いました。測定した範囲では特性はフラットです。
次に回路全体の動作確認を行います。ボルテージフォロワ出力を反転アンプに入力して、バランス変換動作を確認します。1KHz/1Vppの正弦波を入力して反転・非反転出力をモニタしました。写真のとおり正しくバランス変換されています。
反転アンプのディレイ
バランス信号合成後の反転アンプのディレイの影響は、下記の2点です。
1)周波数が高くなるに従い位相が遅れる
2)偶数次歪みの抑圧量が下がる
測定は、500KHzの矩形波を入力し、反転アンプの入出力波形の比較を行いました。写真はバランス出力波形です。
反転アンプ出力にリンギングが観測されますが、測定した範囲(600KHz)よりも高い周波数にピークがあると推定します。信号の変化点を拡大してディレイを確認します。
写真からは0.039uS程度の遅れが観測できました。この遅れ時間は、25.6MHzに相当し、20KHzに対する位相に換算すると約0.3°となります。この数値の影響度はわかりませんが、この特性を理解した上で音を聴いてみたいとおもいます。リンギングの影響を確認するために、20KHzの矩形波を入力してみました。(キャッチ写真参照)この写真にはリンギングが確認できませんが、掃引速度を上げて観測すると、上記の写真のリンギングが確かに観測できました。この結果から影響は小さいと考えられます。参考としてボルテージフォロワのディレイも測定してみました。誤差かもしれませんが、ディレイ量は反転アンプより小さい事が観測されました。
次回はもう1チャンネル分の実装を進めます。
つづく(妥協編2)