マルチアンプ実験4(修理編1)

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修理編1

実験1で壊してしまったA級BTL DCパワーアンプで1000Mウーファーを鳴らすために修理をします。

実験4

前回実験3でNS-1000Mマルチアンプ駆動して良い結果が得られましたが、ウーファーの駆動にエルサウンドのBTLパワーアンプを使用しました。さらに強力なA級BTL DCパワーアンプで鳴らしてみたいと考え、重い腰を上げて修理をすることにしました。

A級BTL DCパワーアンプ

昨年(2016年)の4月頃に、学生時代から暖めてきた構想を元に設計製作したモノラルパワーアンプです。入力はdual J-FET+カスコード接続の差動方式で、出力はバイポーラトランジスタによるパラレルコンプリメンタリー方式によって低出力インピーダンスを狙いました。出力段電源のトランスはセンタータップ付きのAC12V/5A巻き線を持ち、平滑用コンデンサは10,000uF x10個を搭載し、出力8W/8Ωクラスのモノラルパワーアンプとしては破格の容量となっています。

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症状

実験1でフルレンジユニットを2個使ったネットワーク方式の2wayスピーカーを組み立ててマルチアンプシステムの比較元の音出しを行いましたが、その際に配線がショートしている事に気づかずにこのアンプを接続して出力を上げてしまって壊してしまいました。具体的な症状は電源の大元に入れている2Aのヒューズが飛びます。終段のトランジスタがショート状態で壊れている事が原因と推測しています。終段の電源トランスの2次巻き線は12Vなので、1次側の2Aのヒューズが飛ぶということは、2次側に17A以上の電流が流れていることになります。

故障個所の特定

作業に入る前に終段およびドライバ段のトランジスタを観察します。Hot/Coldチャンネルともに、外観上異常はありませんでした。

■終段のトランジスタ

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■ドライバ段のトランジスタ

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次に終段のパラレルコンプリメンタリトランジスタを切り離して、ドライバ段までの動作を確認します。

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ドライバは基板上に実装され、フィードバックも基板内でかけているので終段を外しても基板単体で動作します。Hot/Coldチャンネルを同時に確認します。終段の切り離しは、各チャンネル共に+/-電源とNPN/PNPのそれぞれベースの入力および出力の5ライン、合計10ラインを外します。早々に終段を切り離した状態で電源オンしてみます。このアンプはコンセントを挿すと初めに電圧増幅段の電源が入り、LEDが赤く点灯します。緊張しながら終段の通電の為にSWをオンしました。ブンというトランスの唸りとともに一瞬にしてLEDが消灯しました。予想に反して、ヒューズが飛ぶ原因は終段ではありませんでした。

ドライバ段の確認

次はドライバ段の確認をします。ドライバ段を切り離して同様に確認をします。

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この状態の終段用の電源の負荷は電源LEDのみです。先ほど同様に確認を行います。コンセントを挿すとLEDが赤く点灯します。今度は大丈夫と思いながらSWをオンしました。またしても悪夢の繰り返し、ブンというトランスの唸りとともにLEDが消灯しました。こうなると、原因は終段用の電源回路もしくはトランス自体ということになります。予備用のヒューズが底をつきそうです。

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次回、さらに原因の絞り込みを行い修理を続けます。

 

つづく(修理編2)