バランスHPアンプ製作(製作編1)

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製作編1

前回の記事で設計、および部品選定できなかった部分の検討を行い、平行して基板の製作準備を開始します。

ケースの選定

従来の製作では、タカチ電機のUS-260LHを使用してきました。今回は実装基板が1枚増えるため、このケースでは収まりそうにありません。タカチのカタログを確認したところこのシリーズにはまだ1サイズ上のものがありました。US-320LHです。シリーズ最大サイズのものとなりますが、型式が示すとおり幅が320mmとなり、今まで使ってきたものより60mm大きくなります。全体のサイズはW320xH84xD230と使用する基板を長手方向に3枚横並びが可能です。詳細の配置検討は後回しとしますが、このケースを仮決めとします。

ヘッドフォンジャック

前回の記事の部品表には、設計構想で掲げた2.5mm 4極ステレオジャックが見つからず、3.5mm 4極ステレオジャックを掲載しましたが、マルツオンラインにラインナップされていたため設計構想どおり2.5mm品を採用します。これで通常のヘッドフォンの誤挿入によるショートを防ぐことができます。

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念のためショートした際のアンプの保護用として2Ωを出力に入れていますがショートさせないに越したことはありません。

トランジスタの選別

製作編恒例のトランジスタの選別からスタートします。

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初めにオーディオ用の東芝製のバイポーラトランジスタ2SC1815GR/2SA1015GRです。(本記事アイキャッチ写真参照)すでに生産終了しているため購入できない事も覚悟していましたが、各20個入手しました。hfe測定は過去に実施した条件で行い、手持ちの残りも含めて選別対象としました。

■NPNのhfe測定回路

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■2SC1815GR hfe測定結果

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水色の網掛け部分が、使用済みで欠品していた部分で、今回購入した物の測定結果を記載しています。前回はGR品でありながらほぼ全てのトランジスタのhfeが200を割っていましたが、今回購入ロットは半数が200を越えていました。続いて2SA1015GRのhfe測定を行います。同様に残りの在庫も含めて選別対象としました。

■2SA1015GR hfe測定結果

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2SA1015GRは在庫のhfeは200を10%以上、上回っていましたが、今回購入したロットは200のすぐ上のレベルで、コンプリメンタリ品の確保には都合のいいロットと言えます。コンプリメンタリペアの選別は後日改めて行います。

セカンドソース品

東芝の2SC1815/2SA1015が在庫のみの販売になっていることから、UNISONIC TECHNOLOGIES(UTC)のものがセカンドソースとして秋月電子の通販サイトにラインナップされています。

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価格はオリジナルと同じに設定されています。通販サイト上にもFAQが掲載されていますが、要約すると以下のとおりです。

・ユニソニックは台湾の半導体製造メーカーでディスコン品を多く生産している

・このトランジスタの仕様書上にはオリジナル品との互換性に関する記載はない

・互換品として使用する時は使用者が仕様書を確認いただき判断してください

・大量に使用する際には、試作・実証実験によって動作を事前に確認してください。

ということで、仕様書を比較してみます。最初に電気的特性を比較します。上の表がオリジナルで、下がセカンドソース品です。

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掲載された数値はCob maxを除き同等です。次にftのグラフを比較します。左がオリジナルで、右がセカンドソースです。

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Ic=10mAくらいまでは同レベルとなっていますが、オリジナルはIc=50mAでft=500MHzとピーク値となりますが、セカンドソース品はIc=10mAでピーク値ft=400となります。続いてfheのIc依存特性の比較です。同様に左がオリジナルで右がセカンドソース品です。

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オリジナル品はIc=100mAまで特性をキープしますが、セカンドソース品はIc=30mAくらいからhfeの値が低下します。総じてIcが大きなレンジはオリジナル品の方が良好な特性となっていました。音質は特性に直結していませんので、最終的には音を聴いてみる必要があるとおもいますが、トランジスタの音質比較はどうやるべきなのでしょうか?今後の課題としておきたいとおもいます。次回は引き続き、使用トランジスタのパラメータ測定を続けます。

 

つづく(製作編2)