バランスHPアンプ製作(製作編3)

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製作編3

hfe測定時の温度上昇が大きかったので終段の放熱の再検討を行い、初段J-FETの変換基板実装を行います。

終段の放熱設計

前回の記事で紹介した2SC3851A/2SA1488Aのhfe測定で、想定よりも高いの温度上昇を確認しました。実使用時の放熱が心配になり改めて検討してみます。hfe測定時のトランジスタの損失は約0.5W(5V x 0.1A)です。実使用時は、電源電圧が9Vでアイドリング電流が70mAのため、トランジスタのアイドル時の損失は0.63Wになります。初めにデータシートを確認してみます。参考となるのはPc-Ta定格ですが、このクラスのトランジスタでは定格に謳われている可能性が高いです。

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今回は放熱器なしで使用する予定なので、グラフ中の一番下のラインを確認します。余裕をみて周囲温度Ta=50℃条件でPcの定格を確認します。2SC3851Aが約1.8W, 2SA1488Aが約1.2Wと読みとれます。この結果から実使用時の条件が十分範囲内に入っているので、放熱器なしで問題ないと言えます。たいした事ではありませんが、このグラフをみると、NPNとPNPでは同一条件時のPc定格値はPNPの方が小さく、グラフの作成仕様自体もなぜか異なる点が気になりました。一応、hfe測定時の損失が0.63WとなるようにIc=130mAとしてhfe測定を行い実際の温度上昇の確認を行ってみました。温度測定はタニタのマルチユースの温度計を使用しました。見た目は調理用の油温計と同じですが、園芸や趣味に幅広く対応する事を謳っています。測定範囲は-50℃~250℃で、センサーは棒状の先端2cmの範囲とのことです。早速計ってみます。放熱器が当たる面にセンサー部分を押し当てますが正確な測定には無理があります。

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最高で42℃の測定結果を確認しましたが、熱の伝導効率が悪く、センサー部分からの放熱も無視できないことから、実際には50℃くらいになっているものと思われます。熱容量および表面積が小さい物の温度計測には、熱電対を使うか、非接触測定をしないと正確な温度測定は難しい事を改めて感じました。ともかくこの結果から放熱器無しでいけると判断しました。

J-FET変換基板実装

それではHPアンプの製作に戻ります。次は初段のJ-FETを変換基板に実装します。東芝の2SK2145ですが、表面実装チップパッケージ品しかないため、いつものとおり変換基板に実装し連結ソケットを使い8pin dipソケットに挿して使用します。J-FET現品はこんな感じで提供されます。

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最初の頃は見るからに実装に不安がつのりましたが、今では慣れてしまい、変換基板へ実装後にIdss測定を行えばその後はノントラブルとなっています。そうは言うものの変換基板への実装は手間がかかります。最初にゲート端子1カ所を変換基板のパターンに合わせてハンダ付けします。次に反対側の3つの端子(ドレインとソース)ベタっとハンダ付けして吸い取り線で余分なハンダを取り除きます。最後に残ったゲートをハンダ付けして終了です。この段階で、各端子と基板の端子間の導通と、隣接端子間のショートの確認をテスタで行います。

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続いて連結ソケットへをハンダ付けします。Idss測定後のハンダ付けの修正を考慮して連結ソケットの差し込み量は最小とします。

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今回必要な4セットの実装が完了しました。

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次に実装完了したJ-FETのIdssの測定を行います。当初はIdssのペア特性の確認を行う事を目的としていましたが、今までの経験から確認が不要な程、値が揃っていることから、「正しく実装されている事」の確認が主目的となっています。測定回路は以下のとおりです。

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トランジスタのhfe測定で使用したジグにdipソケットも実装済みで、ジャンパワイヤの組み替えでIdss測定にも対応できます。

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実装した4セット分の測定結果は以下のとおりです。

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内蔵された2チャンネル分の偏差は小さく、大きなものでも約1.7%でした。Idssの大きな順に左右チャンネル分の初段に使っていきます。これで実装部品の前準備が完了したので、次回はプリアンプから実装を進めていきます。

 

つづく(製作編4)