製作編25
位相補償コンデンサの容量を調整して発振対策を行いましたが、発振が止められなかったため、状況を整理して改めて対策を検討します。
状況の整理
前回は、いきあたりばったりに対策及び効果確認を行い、泥沼に入ってしまったので状況を整理します。確認した対策のパラメータは、位相補償コンデンサ容量、アンプのゲイン、負荷の有無です。確認を行った組み合わせを表にまとめてみました。
■発振対策効果確認状況
この表から以下の事が言えます。
・ゲイン1倍の場合は位相補償用コンデンサの容量、負荷の有無によらず発振
・ゲイン2倍の場合は負荷接続時のみ発振
この結果から、対策方法としてはいまいちですが、ゲインを2倍として出力に直列に抵抗を入れて効果を確認してみます。
対策効果確認
現状の出力回路には、ショート時の過電流防止用に2Ωの抵抗が入っています。
2Ωに直列に抵抗を接続して効果を確認します。簡単に確認するために出力用の基板端子台へ抵抗のリードを接続し、反対側はヘッドフォンジャック用の配線をハンダしました。
最初に試したものは、手元にあった比較的小さい抵抗値の物から10Ωを試しました。Rチャンネルのみ対策して電源を入れます。無負荷状態の時は発振はしません。一旦電源を切ってヘッドフォンを接続し電源を入れます。オシロの画面には無情にも発振波形が現れました。次に手持ち在庫の小さい抵抗値の物から68Ωを試してみます。先ほどと同様に、Rチャンネルのみ対策をして確認を行いました。今度こそと思いながら電源を入れましたが、オシロの画面には発振波形が現れました。次は抵抗値100Ωですが、このまま抵抗値を上げていっても解決しない気がしてきたところで、1点追加確認をしてみる事を思いつきました。今回の対策確認はRチャンネルのみなので、Lチャンネルは確認時に発振しています。この発振の影響を受けている可能性を考えて、Lチャンネルの配線(出力端子台の接続)を外して確認を行ってみることにしました。Lチャンネルは無負荷となり、ヘッドフォンを接続しても発振しません。
恐る恐る電源を入れたところ、予想が的中してヘッドフォン接続状態でも発振しない事が確認できました。次に出力に接続する抵抗を10Ωに戻して、L/Rチャンネルともに簡易対策を行ってみました。
改めて電源を入れて確認を行いましたが発振はしていませんでした。この結果からゲインを2倍、出力に10Ωの追加を対策とします。
改造と確認
決定した対策を基板へ実装します。現時点Rチャンネルの基板の位相補償用のコンデンサは47pFになっています。位相補償22pFで問題ないことは、Lチャンネル側で確認できているので、Rチャンネル側から対策を行い、同時に位相補償コンデンサを戻して確認します。基板を取り外し、初めに位相補償用のコンデンサを元使っていた22pFに戻します。写真はcold側のみ戻した状態です。
出力へ10Ω追加の改造は、現状付いている2Ωの交換も考えましたがやめました。改造が比較的大変だったことと、発振対策としての効果が未確認な事が理由です。簡単に改造する方法として、出力の端子台の脇に10Ωを追加することとしました。写真は改造後のものですが違和感なく追加する事ができました。
基板を元通りシャーシに取り付けて、一旦この状態で発振の確認を行いました。位相補償コンデンサを元に戻した影響もなく問題ありませんでした。Lチャンネルも同様の対策を行うために取り外しました。この基板は10Ωの追加のみです。
緑の配線が追加となりました。元々終段まわりは無理して詰め込んでいたため、抵抗2本のみの追加ですが、配線がごちゃごちゃした感じになりました。
動作確認
ヘッドフォンを接続して電源オンし、出力をオシロで確認しましたが無事発振は治まりました。試しに信号を入力して音を聴いてみましたが、バランス出力時はまずまずの鳴りぷりです。アンバランス出力はハムが聴こえています。やっと完成が見えて来た感じですが、次回はハム対策を含めて完成度アップを行います。
つづく(製作編26)