安定化電源製作(製作編4)

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製作編4

正電圧安定化電源回路の実装が完了したので通電確認を行います。

通電準備

通電確認にはトランスの代わりにユニバーサル電源を使用します。供給電圧はトランスの出力電圧AC12Vのピーク値に相当する+/-16.9Vとしました。念のため過電流保護も設定しておきます。1回路のみの無負荷の通電なので正負ともの100mAに設定しました。出力電圧調整用のボリュームをやや絞り(100Ω:400Ω)ドライバに十分な電圧がかかる設定としました。

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通電開始

電源オンし、基板に異常がないことを確認してからユニバーサル電源の出力電流値を確認しました。11mAを表示しており問題ありません。

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次に出力電圧を確認したところ、約10Vとなっていたため、VR1を調整して出力電圧を12Vに合わせました。正常に動作しているように見えますが、念のため出力をポケットオシロで確認をしました。結果は以下のとおり発振を確認しました。

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発振周波数は約500Hzで振幅は0.32Vppです。中途半端な発振です。まずはフィードバックトランジスタの位相補償用のコンデサの容量アップをしてみます。現在1000pFがついているものを0.01uFに変更しました。ハンダ面に直か付けしているので変更は容易です。(写真は変更前の1000pF)

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交換後、早々に通電してみます。出力波形をポケットオシロで確認したところ発振が止まっていることが確認できました。位相補償の容量については完成後の試験にて改めて見直します。下記は変更を反映した回路図です。

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続けて各部の電圧を確認します。回路図上、入力電圧を+16.3Vとしていますが、測定結果はやや高い16.6Vでした。今回使用したダイオードブリッジにショットキーバリヤダイオードが採用されているため順方向電圧が低くなっていることが原因を考えられます。

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測定結果を確認していきます。CRDには2.3Vがかかっており、ほぼ狙いどおりです。ツェナーダイオード印加電圧が6.12Vとやや低いですが、誤差範囲と考えます。負荷をかけた動作確認は後に回します。

負電圧安定化電源回路実装

次に-12V用の安定化電源回路を隣に実装します。正電圧回路で適用した発振対策を反映させた回路図は以下のとおりです。

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部品の極性が違うだけで回路自体は正電圧回路と共通です。正電圧回路と同様にフィードバック用のトランジスタから実装を開始します。

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写真のとおり、PNPトランジスタはテーピング品の為リードがフォーミングされています。気をつけないとリードの根本まで基板に入ってしまうため、基板を立てて(トランジスタを寝かせて)丁度良い位置で仮止め(ハンダ)して対応しました。部品の極性にのみ注意すれば、最初に実装した回路とほぼ同じになるので効率的に作業が進みました。平滑出力、安定化電源出力部の配線が異なりますが、ほぼ同じ配線で仕上がりました。

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回路2通電確認

回路1と同様にユニバーサル電源を使って通電確認を行います。前回同様に+/-12Vで過電流保護を+/-100mAに設定します。出力電圧調整用のボリュームも前回同様にプリセットします。(100Ω:400Ω)負電圧回路の通電は前回以上に慎重に行いました。

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電源オンした瞬間のユニバーサル電源の電流値が99mAとなり、過電流保護が働いています。すぐに電源を切って基板を確認しましたが特に異常は見つかりませんでした。電流のモニタを+電源に切り替えて電源を入れてみましたが、同様に99mAとなっています。今回の回路実装では、+電源に関係する部分はいじっていないでおかしいと思ったところで気がつきました。これは入力段の平滑用の電解コンデンサのチャージ電流と考えて、改めて電源を入れ直したところすぐに電流値が10mA程度まで下がりました。やれやれ。初期電圧出力は約-10Vで、ボリュームを調整して-12Vに合わせました。回路1と同様に各部の電圧を確認しました。

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結果は、回路1とほぼ同じ電圧となっていました。次回は引き続き回路実装を行います。

 

つづく(製作編4)