安定化電源製作(評価編6)

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評価編6

ポケットオシロ用プリアンプが完成したので、これを使って安定化電源負荷時の電圧変動がモニタできるか確認してみます。

プリアンプ評価残り

電圧変動モニタの前に、前回の記事で確認が漏れてしまったプリアンプの入力保護機能の動作確認を行います。保護はダイオードの順方向電圧を使った簡単なもので、+/-0.6Vで入力をクリップさせます。

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プリアンプの電源に+/-12Vを供給して、正弦波を入力し、入出力の波形をポケットオシロで観測しました。上の写真は1KHz/8.4Vpp出力時のもので正しく増幅されています。下の波形はさらに入力電圧を上げていった結果です。出力が12Vppで制限されていて入力保護が働いている事が確認できました。入力波形が歪んでいますが、入力信号の絶対値が0.6Vを越えた時点で発振器の負荷が重くなっている為と考えられます。良い保護方法ではありませんが、簡易保護なのでこのままとします。

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プリアンプを使ったモニタ準備

前回の確認時と同様に安定化電源をユニバーサル電源環境で動作させて電圧変動がモニタできるか確認をしてみます。安定化電源はユニバーサル電源のチャンネル1から+/-16.9Vを供給します。ジグ基板にはチャンネル2から+/-6Vを供給します。プリアンプのオペアンプの動作に問題ない事を念のためデータシートで確認します。

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データシートから推奨動作電圧の最小値が+/-3.5Vなので動作自体は問題ありません。また、供給電圧+/-15V時の最大出力が+/-14Vなので+/-ともに1Vの電圧ドロップが発生します。今回の供給電圧は+/-6Vなので出力を+/-5Vに押さえて使用すれば問題ないと考えられます。安定化電源出力をジグの負荷電流インとプリアンプのAC入力に接続します。ジグに発振器を接続し、ポケットオシロで負荷抵抗にかかる電圧とプリアンプの出力をモニタします。

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お試しのモニタ結果

波形は1KHz正弦波状に負荷電流を振って流した状態のモニタ結果です。

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青の波形が負荷抵抗にかかる電圧で、黄色がプリアンプで10倍に増幅した安定化電源出力変動波形です。負荷抵抗は50Ωなので波形から平均電流が40mAで、60mA振幅(10mA~70mA)で正弦波状に電流が増減しています。このときのオシロ上の安定化電源の出力電圧変動は70mVppに見えていますが、プリアンプで10倍に増幅してるので実際は7mVppとなります。前回の確認時よりも負荷電流の変動量を上げていますが、全く観測できなかったものが観測できるようになりました。たかがオペアンプを使った10倍のアンプですが、あなどれません。この結果から周波数1KHz時の出力インピーダンスは以下のとおり算出できます。

Z1KHz = 7 x 10^(-3) / 60 x 10^(-3) = 0.12Ω

それらしい、まずまずの結果が得られました。正しく測定されている事を確認するために、負荷の変動周波数を10Hzに下げてみました。モニタ波形は以下のとおりです。

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1KHz時と同様に出力インピーダンスを算出します。

Z10Hz = 3.2 x 10^(-3) / 60 x 10^(-3) = 0.053Ω

1KHz時と比べて約半分の出力インピーダンス値が算出されました。安定化電源に使用したトランジスタのhfeの周波数特性起因と考えられます。せっかくなので10KHz変動の結果も確認してみます。発振器の周波数を10KHzに上げたときのモニタ波形は以下のとおりです。

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他の周波数の時と同様に出力インピーダンスを計算します。

Z10KHz = 8.2 x 10^(-3) / 60 x 10^(-3) = 0.14Ω

1KHzの結果と比べて出力インピーダンスがやや高くなっています。これらの結果から測定は出来ていると考えられ、絶対値はともかく電源性能の比較測定には使えそうです。測定は安定化電源の位相補償コンデンサの容量を見直し、トランス環境で改めて行います。次回は比較用の三端子レギュレーターを使った電源を製作します。

 

つづく(評価編7)