安定化電源製作(評価編7)

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評価編7

比較用に三端子レギュレータを使った安定化電源を製作します。

三端子レギュレータ

ヘッドフォンアンプ用の電源で+/-12Vと+/-9Vを左右独立電源として標準基板に実装するために三端子レギュレータを使用しましたが、標準基板を使って+/-12V左右独立の電源基板を作ったことがありませんでした。今回は同条件で比較をする為に製作を行います。今まで三端子レギュレータのデータシートを真剣に確認した事がなかったので、これを機会に確認してみたいとおもいます。下記はNJM7812FAのデータシートの抜粋です。

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Quiescent Currentはレギュレータ自体の消費電流です。自作した安定化電源は設計時に消費電流を意識しませんでしたが、10~11mAとなっていました。それと比較すると4.3mAと半分以下です。Load regulationはDC状態の出力インピーダンスと等価と考えられ、このデータから出力インピーダンスを算出すると以下のようになります。

Zdc = 25 x 10^(-3) / 1.5 = 16.7mΩ

出力の周波数特性に関するデータは掲載されていませんでした。出力に大容量のケミコンを接続しても安定に動作することから周波数特性は抑えられているように考えられますが、測定が楽しみです。

回路設計

設計と言えるほどではありませんが、製作前に回路図を起こします。+/-12Vの左右独立電源として、出力には100uFの電解コンデンサと0.47uFのフィルムコンデンサを接続します。レギュレータの入力側にもそれぞれ専用に0.47uFのフィルムコンデンサを接続しました。

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三端子レギュレータ電源実装

ディスクリートの安定化電源と同様に三端子レギュレータに放熱器を付けます。ヘッドフォンアンプの+/-9V電源に使ったものと同じものを選択しました。

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安定化電源の出力トランジスタに使用したものよりもやや大きく、熱抵抗は20.0℃/Wです。30℃環境で1W消費しても温度上昇は問題ありません。最初に放熱器4個を基板実装できるように基板を加工します。その4個の放熱器に三端子レギュレータを取り付けていきます。今回も放熱器への取り付けはプラネジを使用しました。

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次は放熱器の背面に電圧出力用の端子台を取り付けました。

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AC入力から全波整流回路も、安定化電源のレイアウトを踏襲しました。最初にGNDの配線をします。全波整流回路のGNDと出力端子台のGNDを最初に配線します。このGND配線を基に電源回路の実装を進めます。最初にRチャンネル分の実装を行います。

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Lチャンネルは最初に実装したRチャンネルの配線をまねて実装します。

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ディスクリートの安定化電源よりも大きな放熱器を使いましたが、それでも実装はスカスカでいまいち格好が悪いです。

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通電確認

過去の経験を生かして1チャンネルごとに確認を行います。具体的には三端子レギュレータの入力配線を確認のチャンネルごとに行っていきます。はじめにRチャンネルの+12V出力の確認を行います。

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ユニバーサル電源から+/16.9Vを供給して確認を行います。無負荷時の供給電流が5mAとデータシートどおりの結果となっています。

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同様に各チャンネルごとに確認を進めていきます。

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最後のチャンネルの確認です。被覆電線の使用が抑えられてまずまずの実装ができました。出力電圧も問題ありません。これで比較用の三端子レギュレータ版の電源が完成しました。次回はジグの動作確認をかねて三端子レギュレータ版電源の-12V出力のお試し負荷試験をおこないます。

 

つづく(評価編8)