ポケットオシロDSO203校正(番外編16)

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番外編16

ポケットオシロスコープDSO203の校正が必要な事がわかり、電源の評価前に校正を行いました。

オシロスコープ校正

私のオシロスコープはDSO203というオープンソースのポケットオシロです。

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購入時にマニュアルの手順に従い校正を行いました。その後、使い勝手を良くするためにネットからダウンロードしたファームウェア、Wildcatに書き換えています。今回電源の測定を行う中で、電圧の表示値がマルチメータと大きく差があることに気づきました。気になりネット検索したところ、ファームウェアの書き換えを行った後は、必ずそのファームの仕様に従った校正が必要と言うことがわかりました。実は、前々回(評価編9)の位相補償コンデンサの決定記事の波形観測から校正済みのオシロを使用しています。それ以前の結果とレベルが異なりますが、今まで絶対値が影響する測定は行っていないので大きな影響はありませんでした。せっかくなのでファームウェアWildcat4.5使用時の校正手順を紹介します。尚、この作業が面倒な方向けに、校正済み品の販売サイトも多数見つかりました。

校正手順

通常の動作状態で「■」キーを長押しすると校正モードに入ります。

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初めに周波数の校正です。ポケットオシロの発振出力の周波数を1MHzに合わせます。先日導入した発振器の周波数カウンタ機能を使います。発振器の周波数カウンタモードは初めて使うので、事前に使い方を確認しました。機能設定をMSR-SELとして、Ext.INになっていることを確認します。次に機能設定を周波数測定モード「*F=」に変更してExt.INから信号を入力します。写真は20KHzの矩形波を入力している状態です。

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この結果から、周波数調整は必要ない事がわかりました。それでは調整にもどります。同様な操作と接続で周波数を読みとろうとしましたが読みとれません。しばし思案しましたが、調整時の信号出力はTTLではと思い当たり、発振器の接続を変更しました。背面パネルにアタッチメントを接続するとTTL入出力モードが使用できます。

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変換コネクタは、位置がずれても装着できるので注意が必要です。発振器の入力をTTL.INに切り替えます。

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この接続変更により無事周波数表示がされました。

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表示は、「1.000030MHz」と予想どおり調整の必要がない状態でした。念のため+/-のレバーで変更してみましたが、なんら変化がなく周波数調整機能は動いていないようです。結果OKなので「■」キーを押して次に進めます。

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次は写真の表を全て埋めていきます。最初はch-Aのゼロ調整です。ch-Aにプローブを接続し、入力をGNDに落とします。「■」キーを押すと各レンジの調整が自動的に行われます。

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写真は自動実行中の画面です。「ZERO」と「DIFF」欄に順番に数字が入ります。この動作が数回繰り返し実行されます。動作完了したら「>」キーを押します。

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次はch-Aの50mV/Divレンジのレベル調整です。表の上部に250mV-300mVと表示されるので、この間の電圧をch-Aのプローブに印加します。表中にはオシロスコープが認識する電圧が表示されるので、この値を実際に入力している電圧に合わせます。尚、写真は電圧未入力状態の為、3mV表示となっています。

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写真は0.1Vレンジ調整時のものですが、0.6Vの印加電圧に対して表示は608.8mVとなっています。+/-レバーを使ってこの表示を600.0mVに合わせます。尚、入力電圧を上限値にすると校正誤差が減ると考えられるので、できる限り上限の電圧を入力して調整を行いました。「>」キーで次のレンジに進みます。この操作を繰り返し全レンジの校正をします。私は電圧の入力にユニバーサル電源を使用しましたが、要求電圧が高くて作れない場合(10Vレンジは50-60Vを要求)は、準備できる最大電圧を入力し、その数値に合わせました。ch-Aの全レンジの調整が終わると再度ch-Aの調整をやり直すか確認が入ります。

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次に進める場合は「>」キーを押します。同様の手順でch-Bの校正も完了させます。

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表が全て埋まった状態で「>」キーを押すとch-Bの調整をやり直すか確認が入ります。

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「>」キーで次に進めると、調整結果を保存するかの確認メッセージが表示されるのでバッテリーモードの結果として保存しました。これで校正は完了です。

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調整後にch-Bに36Vを入力してみましたが、正しく校正が行われていました。

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次回は校正後のオシロを使って3種の電源の特性測定を行います。

 

おわり(番外編16)