女神たちの争い(製作編5)

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製作編5

2枚のフィルタ基板の通電確認が終わったので、チャンネルデバイダのシャーシに載せ替えて現行基板との音質比較を行います。

基板載せ替え準備

現行のチャンネルデバイダは、電源を定電圧方式から安定化電源に載せ替えて日がまだ浅いため、交換前に改めてじっくり音楽を聴きました。

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ひとしきり聴いたところで載せ替え作業開始です。

基板載せ替え

初めに、基板端子台への配線を全て外します。つづいて、基板を固定しているネジを外して基板を取り外します。通電確認を終えた2枚の基板をスタッドの上に置き、ネジ止めしますが、やらかしてしまいました。ボリュームと実装部品のクリアランスの考慮をしなかったために一部部品がボリュームのボディーと干渉しています。1点目は、フィルター用RCのコンデンサです。

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かろうじて実装時のフォーミングを変える(垂直に立てる)ことで、接触を回避できました。クリアランスは数ミリ程度です。2点目は在庫消化で使用した電解コンデンサMUSEです。

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ボリュームのモータ駆動用のギア部分のボディーに電解コンデンサが接触しています。クリアランスを取るには実装を変更する必要があります。但し、接触している電解コンデンサーは+電源用のもので、そのケース電位はー端子電位だとすると、電解コンデンサの被覆チューブが破れてショートしても問題はありません。という事で測定してみました。最初は700mV程度ありましたが、測定しているうちに見る見る下がっていき200mVを割りました。ずっとテスタのリードを当てているのは大変なのでその先は確認しませんでしたが、0V近くまで下がりそうな感じでした。電解コンデンサのケース部の等価回路はどのように考えたらいいかネットで調べてみたところ、いくつかのサイトに情報がありました。下記が縦型電解コンデンサのケース部の等価回路です。

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マイナス端子とケースは不安定な抵抗分(酸化皮膜や電解液等)で接続されているとのことでした。被覆チューブは絶縁目的ではないので、実装の際には接触しないように注意もありました。他の方から質問されたら実装変更すべきと答えますが、今回の場合の接触のリスクは低いと考えて自己責任でこのままとする事にしました。

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通電確認

基板単体で確認済みなので心配はありません。正規電源との組み合わせで再確認するとしていたオフセット電圧を確認しました。参考に交換前の測定結果も掲載します。

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スルー出力(MUSES01出力)のオフセットは総じて基板載せ替え前後であまりかわりませんが、LPF出力は全般的にやや大きくなっていました。数値をじっと眺めてみて初段のMUSES01を入れ替えてみる事にしました。結果は以下のとおりです。

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LPF出力のオフセット電圧の絶対値はあまり変化はありませんが、出力の差を減らすことができました。LPF出力はDCパワーアンプに入るため、出力オフセット電圧差が減る事でスピーカーにかかるDCオフセットを減らす効果が期待できます。

音質比較

早々に音を聴いてみます。システムは、マルチアンプ対応改造したヤマハのNS-1000Mを先日修理したEL34ppアンプでスコーカーとツイーターを、バランスA級DCパワーアンプでウーハーを鳴らします。ソースはCDで、USB-DACでバランス信号を出力しています。

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■Take Me To The Mardi Gras/Bob James(BJ TWO)

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最初の印象は、中低域の音の厚みです。それでいてベース、ドラムの音が重たくありません。中域の弦楽器の分離もいい感じです。

■卒業写真/井筒香奈江(LINDEN BAUM)

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ボーカルとウッドベースのシンプルな楽曲です。ウッドベース低域までナチュラルに伸びていて、オリジナルよりも迫力が増したように聴こえます。

■月が射す夜は/風(moony night)

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風の楽曲は厚いベースの音が特徴です。先に聴いた音の印象から、このCDを選択しました。ベースの音が重たくならずに迫力を増して鳴っています。

■Let's gloove/EARTH WIND & FIRE(天空の女神)

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本記事のタイトルに合わせて、聴いてみることにしました。このアルバムは、CDプレーヤーの発売を翌年に控えた1981年に発売されたものです。CD化前提でCDの特徴をアピールする事を意識した独特な音づくりで録音されている印象です。久々に聴きましたが、ベース・バスドラが重くならずに素直に低域まで伸びでいて、躍動感があり楽しく聴く事ができました。

まとめ

音の印象をまとめると、中域楽器の音の分離の良さと響き、低域が重く鳴らずに厚く鳴る事です。これはMUSES03のオペアンプとしての基本性能の高さおよび、2チップ構成としたことによる駆動能力の高さから、今回のアプリケーション(LPFアクティブフィルタ)にマッチしている為と思いました。値段は2,500円(秋月電子価格)と高く、ともするとディスクリートで組み上げた方が安上がりかもしれませんが、それなりの能力を持っている事が確認できました。MUSES03、また機会があれば使ってみたいと思います。

 

おわり(製作編5)