実験バッテリードライブ(評価編3)

f:id:torusanada98:20180315121408j:plain

評価編3

基板修理が完了したので、通電確認を行います。

通電確認

ユニバーサル電源を使って基板単体で通電します。オペアンプ故障の可能性もあるので、過電流保護設定を小さめ(50mA)に設定しました。緊張しつつ電源オンしましたが、異常は見あたりません。まずはユニバーサル電源供給電流を正常基板と比較しました。写真左が修理基板(R-ch)、右が正常基板(L-ch)です。

f:id:torusanada98:20180315121448j:plain

写真は+電源側ですが、ー電源もほぼ同等値で問題なさそうです。次に出力オフセット電圧を測定しました。比較用の定電圧電源使用時の結果は、バッテリー駆動前に念のため測定したものです。

f:id:torusanada98:20180315121527p:plain

供給電源が違うため、微妙に数値が異なりますが傾向は同じと判断して次の確認に進めます。

周波数特性測定

オペアンプのダメージの判断の一環として周波数特性の測定を行います。せっかく測定を行うので、今回は遮断領域の応答確認時に20dBのプリアンプを使ってみます。他の測定条件は、製作時と合わせて、2Vppの正弦波を10Hzから600KHzの範囲で入力して出力のレベルを観測します。上記の単体通電確認環境にジグ基板を追加して配線しました。

f:id:torusanada98:20180315121611j:plain

早速電源を入れたところ、ユニバーサル電源の過電流保護が働きました。基板単体では問題なかったと思いつつ、配線を見直しましたが異常は見あたりません。仕方ないので追加したジグ基板の+/-電源線のみ外して再度電源を入れてみました。結果は変わりませんでした。追加したジグの配線の残り(LPF出力とプリアンプの入力接続線)を外して電源を入れたところ、過電流保護は働かなくなりました。どうして?とおもいつつ回路を見直しましたが原因がわかりません。

f:id:torusanada98:20180315121706p:plain

試しにジグのAC入力端子を使用したところ問題ありませんでした。今回ジグ基板のDC入力端子は初めての使用となりますが、ここから信号入力した場合、ジグの入力保護用に入れているダイオード部分でラッチアップが発生しているのかもしれません。今回の測定は、遮断領域のみプリアンプを使用するので、AC入力を取り急ぎ使用し、原因の特定は後回しとしました。早速信号を入力してみます。まずは300Hzの正弦波を入力して波形を確認します。

f:id:torusanada98:20180315121745j:plain

一難去って・・・。出力波形が歪み、回路は正常動作していません。THR出力を確認したところ同様に歪んでいる事が確認されました。試しに入力バッファのMUSES01を交換したところ症状は改善しました。誤配線時に初段のバッファ用オペアンプの入力にマイナス電位が入力された事でダメージを受けた可能性があります。一方、2段目のオペアンプの入力は初段オペアンプ出力でマイナス電位の入力が打ち消されて保護されたと考えると辻褄があいます。この状態で改めて波形のモニタをしてみます。下記は500Hz(カットオフ周波数)入力時の入出力波形です。

f:id:torusanada98:20180315121818p:plain

左がHotで右がColdです。正しく動作している事が確認できました。この時の減衰量は、Hot/Coldそれぞれ、-4.5dBと-4.4dBとなっていました。これでようやく周波数特性の測定ができます。2Vppの正弦波を10Hzから入力し、出力波形をモニタします。通過領域は、出力信号レベルが高いのでダイレクトに信号をポケットオシロでモニタします。遮断領域に入り、出力レベルが下がったところでプリアンプを挿入します。図は、この手順で測定したR-chの周波数特性です。

f:id:torusanada98:20180315121902p:plain

以前行ったプリアンプ無しの特性測定では、減衰量-42dB程度まで確認できましたが、今回は約-63dBまで確認できました。遮断領域で使用した20dBプリアンプを使った結果と言えます。今回の測定は20KHzくらいまでは誤差を考慮しても正しく測定ができていると考えられ、CDの帯域の測定はできた事になります。次回は念のため、L-ch用フィルタの通電確認と周波数特性測定からスタートします。

おまけ

久しぶりに中国広州と上海に出張してきました。どちらも2000年初めの頃は月に2回くらい飛んでいましたが、当時と比べて格段に進んでいました。スマホさえあれば、財布がなくとも便利な生活ができる事が驚きでした。

■広州番禺市街

f:id:torusanada98:20180315121947j:plain

■広州空港国内移動時

f:id:torusanada98:20180315122018j:plain

 

つづく(評価編4)