安定化電源性能改善(試作編4)

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試作編4

マイナス電源を検討用に試作します。

マイナス電源試作

プラス電源を実装した脇に検討用マイナス電源を実装します。回路はプラス電源と素子の極性が異なりますが、同じなので、プラス電源の実装を平行移動した状態で実装を進めます。配置の検討が不要なので気が楽です。初めに、プラス電源実装と同様にGNDとマイナス電源配線の敷線位置を決めます。次に、両電源ラインとの位置をプラス電源に合わせて放熱器の位置決めをします。放熱器のボス用に基板のスルーホールを広げますが、新たなツールを買ってしまいました。

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基板用のドリルの刃セット(20本組)とピンバイスです。価格は刃のセットが718円で、ピンバイスが1,213円(税込み)でした。基板の穴開けくらいしか使わないため刃は安物のセットですませました。逆にピンバイスはいいお値段ですが、径0.1mm~3.2mmを4つのチャックを付け替えて対応します。使用しないチャックはなくならないように本体内に収納されています。

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実際にスルーホールを1.4mm径に拡げてみましたが、作業性が格段に向上しました。早速放熱器とトランジスタを取り付けてみました。

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次に、最初に決めた位置にマイナス電源とGNDラインを敷線しました。

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これで実装をプラス電源に合わせて進めれば完成します。わけなく実装が完了しました。

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ハンダ面はこんな感じです。

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見てのとおり、最初から位相補償用のコンデンサ1000pFを取り付けています。ベース抵抗も10Ωとしました。

通電確認

+電源の通電確認では説明を省略しましたが、出力電圧調整用VRを1.2KΩ:3.8KΩの位置にプリセットしました。ボリュームは時計回りで出力電圧が上がるつもりで実装しましたが、見事に間違えてしまいました。誤差アンプが反転している事を考慮しなかった事が原因です。今回は注意して実装を行いました。通電確認は、実装完了から1週間間が空きました。通電開始直前に念のため配線を確認したところ、ミスが見つかりました。オペアンプの電源とGNDの配線が逆になっていて、そのまま電源を入れたら酷いことになっていました。ややこしいですが、オペアンプの+電源端子にGNDラインをオペアンプのGND端子にー電源ラインを接続し直しました。ようやく通電開始です。電源オンし、出力モニタに発振波形はなく、電圧は約-9Vとなっています。出力を-12Vに合わせるために出力電圧調整Vrを回しましたが、レベルが変わりません。一旦電源を落とし、配線を確認したところ、またもやミスが見つかりました。基準電圧が入力されるハズのオペアンプの+入力端子(5pin)がオープンになっています。

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写真中央やや右上の位相補償用コンデンサ接続端子(6pin)の下の端子(5pin)に何も接続されていません。基準電圧を誤って6pinに接続していました。正しく接続しなおして通電再開です。今度は正しく電圧調整できるようになりました。調整後の各部電圧は以下のとおりです。

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矩形波応答

プラス電源と同様に矩形波応答の確認をします。ジグの供給電圧の関係で平均電流が下がりますが、矩形波の振幅を60mAppに合わせました。負荷電流変化点の出力電圧変動を確認しました。

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立ち下がり時は+電源よりも大きく、82mV、立ち上がり時は46mVでした。+電源試作の時は手持ち在庫の関係から位相補償コンデンサ容量を1000pFとしましたが、確認用に発注しておいた470pFが届いたので試してみます。

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発振する事もなく出力は安定しています。同様に負荷電流変化点の出力変動を確認します。

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立ち下がり時が78mVに改善しました。立ち上がり時は54mVと変化はありませんでした。さらに高域特性の改善を狙って、オペアンプの負荷抵抗10KΩに1.2KΩをパラに接続して確認を行いました。

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結果は以下のとおりです。

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負荷電流立ち下がり時は78mVと変わらず、立ち上がり時は、46mVに改善しました。この結果をまとめると以下のとおりです。

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この結果を反映してマイナス電源回路は以下のとおりとします。

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次回は周波数特性の確認をおこないます。

 

つづく(試作編5)