安定化電源性能改善(試作編5)

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試作編5

マイナス電源の周波数特性測定と、マイナス電源で適用した対策をプラス電源にも適用してみます。

マイナス電源周波数特性

過去記事の「安定化電源の製作」で測定したマイナス電源の測定結果をおさらいしてみます。

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マイナス電源で採用した三端子レギュレータは、負荷に追加した100uFの電解コンデンサの影響をプラス電源ほど受けず、全帯域で良好な結果となっていました。現行の安定化電源は、全帯域でインピーダンス面で三端子レギュレータに劣っています。それでは早速特性の測定を行ってみます。

周波数特性の測定

矩形波応答測定時と同様に、ジグのダイナミックレンジの関係から、正弦波電流の波高値を0mAと60mA(60mApp)として測定を行いました。電圧変動の周波数特性は以下のとおりです。

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この結果を60mAで割ってインピーダンスに変換します。

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結果を見ると10KHz以下の帯域では、現行の安定化電源よりも良好な結果となっていますが、それ以上の帯域では逆転しています。三端子レギュレータの結果との比較では、全帯域でやや劣っています。プラス電源の結果と比較しても、中低域で劣った結果となっています。(下記はプラス電源の測定結果)

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マイナス電源で適用した追加対策の弊害の可能性も捨てられないため、2個の対策(位相補償コンデンサオペアンプの負荷抵抗)を元に戻して測定を行いました。下記が比較結果です。

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僅かな差ですが、追加対策によって中低域で悪化、高域で改善していますが、結果がプラス電源ほど良くない事の原因ではありませんでした。念のため測定時の波形を比較してみます。

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左がプラス電源、右はマイナス電源測定時の波形です。測定波形に微少な発振波形が乗っていることで、電圧変動のPP値が大きく観測される事が結果悪化の原因でした。GNDの配線等変えて確認しましたが、状況に変化はありませんでした。一旦、この状態で先へ進める事とします。

プラス電源追加対策

マイナス電源で適用したオペアンプ位相補償コンデンサ容量変更と、オペアンプの負荷抵抗の変更をプラス電源にも適用して確認をしてみます。

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負荷抵抗10KΩにパラに接続した抵抗を1.2KΩとした意図は、最終仕様で負荷抵抗を1KΩとする事を考慮したためです。1.1KΩの抵抗があれば万全でしたが。測定波形は以下のとおりです。

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今回の効果を理解するために、今までの結果を整理してみました。

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大幅改善したものの、三端子レギュレータ版にはいま一歩届いていません。検討を先に進めますが、ひきつづき改善について考えたいとおもいます。

追加対策プラス電源周波数特性

念のため、追加対策した状態でプラス電源の周波数特性の測定を行います。手順は今までと同じなので省略します。下記が電圧変動の周波数特性測定結果です。

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この結果を60mAで割ってインピーダンスの周波数特性に変換します。

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マイナス電源の測定結果と同様に中低域で微少は発振波形のようなもので、結果が悪化しています。記事を書いていて1点気づきましたが、ポケットオシロの電圧変動観測チャンネルがプラス電源測定時とそれ以外で異なっています。これから常用基板の製作を行いますが、その特性測定時に測定に使用するチャンネルの影響を確認してみたいとおもいます。次回は、常用電源基板の製作にとりかかります。

 

つづく(製作編1)