2018真空管オーディオフェア(番外編24)

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番外編24

前回に引き続き真空管オーディオフェアを紹介します。

イベントルーム講演3

タイトルは、「24ビット/96kHz録音, リニア生データの実力を聴く」です。講演者は加藤しげき先生で、企画は「ラジオ技術」のアイエー出版社です。

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最初に使用機材を紹介します。昨年同様にプリアンプ、パワーアンプともにマックトンの真空管アンプが使用されていました。

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パワーアンプは、MS-2000で、昨年使用されたMS-1500と見た目はあまり変わりませんが、出力がさらにパワーアップし、真空管アンプでありながら200W+200Wの高出力を叩き出します。出力部は、ロシア製のKT120をパラレルプッシュプル構成として高出力を実現しています。プリアンプは、XX-7000で、昨年使用されたXX-5000から更新されていました。HPを参照するとプリアンプでありながら出力段を3極管のパラレルSEPP方式としているとの事でした。スピーカーは、JBL4429を使用する予定でしたが、調子が悪く急遽マックトンで試聴用に使用しているJBLのS143が使用されてました。

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発売は2001年なので使い込まれていると推察されます。35cmウーファーにホーンツィーターの2way構成にスーパーツィーターが追加されています。それでは講演の紹介に進みます。下記が曲目リストですが、殆ど加藤先生が録音に携われたものだそうです。今回の講演では、「アンビエンス」と「レベルの話」がフィーチャーされました。1曲目は「I'm Getting Sentimental Over You」です。1曲目という事で自信の録音の選曲かとおもいますが、奥行き感、定位ともに申し分がなく、スピーカーが負けている印象でした。96kHz/24bitで録音されたものをマスタリングしてCDにしたものとの事でした。

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■アンビエンス

ブラスとサックスの重なりパートをエンジニアに任せると、ブラスが大きくなる傾向にあるとの事など現場の裏話がありました。楽器の音をそのまま録るとつまらない音になり、ルームアンビエンスを録ってまぜるか、マシンで付加するかエンジニアの技量にまかされる部分のようです。次の曲「Lester Leaps In」は、テナーのカルテットでしたが、デッドに録ったとの事で、ミュージシャンとやりあった上で発売されたとの事でした。各楽器の音が明瞭で、テナーがオンに聴こえます。先の説明にあったとおり、華やかさはあまり感じられず、普通に録った印象の音です。録音は96kHz/16bit 2chでレベル調整した程度との事でした。

■レベルの話

CDの聴感上のレベルは、信号の密度で決まるとの事です。アナログ時代は0VUを基本に、デジタルでは-20VUを基本とされていて、エンジニアは大きな音で入れたがり、デジタル録音の場合、この20dBにいかに収めるかに苦心していると紹介されました。その為のツールはいろいろあるとの事で、「South Of The Border」はアンビエンスとリミッタの機材を使った楽曲との紹介で演奏されました。事前の説明を聞いたからか、つくられた感のある音に聴こえました。録音はマルチトラック96kHz/24bitをトラックダウンしたものとの事です。

■汽車の音

昨年の講演では、碓井峠のスイッチバックの音が披露されましたが、今回は場所は説明がありませんでしたが、昭和40年代終わりに中央線スイッチバックで録音されたSLの音でした。レールの継ぎ目を越えるときの金属音、蒸気機関車のツチームの音、哀愁を感じさせる汽笛の音、普段聴く事ができないものを聴く事ができました。録音は7インチスピード6mmテープがマスターとの事でした。

■まとめ

演奏された楽曲は、加藤先生が録音に携われたものなので、それぞれ録音時の説明がリアルで興味深く講演を聴くことができました。

その他目についたもの

■ハットオーディオラボ

昨年はカセットデッキの実演をされていましたが、今年はオープンリールテープデッキがデモで使用されていました。(アイキャッチ写真参照)デモの後半から会場に入った為、すでに説明パートは終わっていました。後で入場時に配布されたパンフレットを見たところ、このオープンデッキは、発売が予定されているもので、予価550,000円がつけられていました。下記がパンフレットに掲載された製品情報です。

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この記事を見ると、30年保証をうたっていて信頼性への自信が感じられます。メカ部のプッシュSWは、現在私が製作中のATTユニットで採用したものと同じもののようで、手作り感があふれています。我々の世代は、みなオープンリールデッキにあこがれを抱いているのではないでしょうか?ランニングコストを考えると現実的ではないのかもしれませんが。

おまけ

ここ最近のオーディオイベントでは、会場で高校時代の同級生と合流しています。今回も、山梨から上京して会場で合流しました。昼に一時間程、会場の近くのタリーズで軽食を穫りながら情報交換をしましたが、結局彼は12時頃に会場到着し、3時前には会場を後にしたため、ほぼ私と話をして帰った印象です。私も同じですが、オーディオの趣味の話ができる機会がほとんどなく、この情報交換もイベントの楽しみとなっています。

 

おわり(番外編24)