チャンネルデバイダーのVR制御(まとめ編2)

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まとめ編2

前回に引き続きATTユニット製作のまとめを行います。

マイコン基板

今回の製作で単純にリレーを使って分圧させるだけではおもしろくないので、私のオーディオ製作では初となるマイコンを使って、リレー制御することにしました。マイコン基板の選択肢はいくつかありますが、以前にジグ用途で一度さわった事のあるArduino UNOを選択しました。価格は3,240円(2018/12 amazon価格)で入手性も良く、開発用の統合環境が無償でダウンロードできます。Arduino UNOの仕様を再掲載します。

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統合環境(IDE)はエディタとコンパイラ、デバッカで構成されます。趣味の開発環境としては十分です。

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ソフトはArduino言語ですが、ほぼC++と同仕様です。私はC言語で実用ソフトを組んだ経験がなく、心配な部分もありましたがネット上にいろんな情報があり、なんとか完成させることができました。キーのチャタリング処理、割り込みを使った表示の点滅処理、I2Cのコマンド発行等、トレーニング用とも言えるソフト仕様で、デバッグを楽しむ事ができました。何れかの機会に、また使ってみたいと思います。

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リレーのマイコン制御は、リレー動作のばらつきによる切り替え時の不定状態を回避するために、切り替え前100msでミュート処理をして分圧設定を切り替えて、100ms後にミュートを解除させています。実用上、この処理は違和感はありませんでした。

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表示基板

Arduinoの周辺ユニットとして販売されている中から4桁の7セグLED表示ユニットを選択しました。コマンドはI2Cによるシリアル入力です。正面パネルへの取り付けを考慮して基板を2段構成として実装を行いました。

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7セグの点灯部のみ見せる為にスモークタイプのアクリル板をカバーとして採用しました。アクリルの加工も初めてでしたが、ほぼ満足できる見栄えに仕上がりました。詳細はケース加工の章で振り返ります。デバッグは、シールド基板に7セグモジュールを実装して行いました。ネット上にサンプルコードがあったため苦労せずに実装ができました。デバッグ時に割り込み処理内で暴走するバグが発生しましたが、これもネット上の情報に助けられてつぶす事ができました。

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ケース加工

ケースはタカチ電機のUS-320LHを選定しました。以前にバランスHPアンプ製作時に使用したものです。今回の製作では実装する基板数が多いため、大きめのケース選定をしましたが、これでもギリギリのサイズです。リアパネルには、XLRパネルコネクタが全部で12個つきます。手加工しきれないと考えて、タカチの加工サービスを利用しました。CADの図面データを準備すれば、1台の加工でも対応してもらえます。

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見積もりを確認後、12日で現品が到着しました。ケース代込みで26,767円でした。

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さっそくXLRパネルコネクタを取り付けようとしたところ、取り付け用のネジの位置が少しずれていて、合計24の穴の後加工を行ったのは苦い経験です。

フロントパネル加工

今回の一番のポイントは、センターに表示用の角穴を開けて、全面をスモークのアクリル板で覆う構造の実現です。近くのホームセンターで使えそうなアクリル板を調達しました。アクリルサンデーEXブルースモークタイプです。厚みが2mmで全光線透過率は19%のものです。

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アクリル板の加工用に購入したものは、プラバン用のカッターと、アクリル板用のツールとして販売されている穴開け用のビットです。

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専用ビットは刃が半月状になっていて、大量に発生するアクリルの切り子が逃げやすい構造になっています。加工はパネルサイズにカットする事と、穴開けのみなのでそんなに大変ではありませんでした。

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組立

今回は、実装基板および部品のサイズと比べてケースサイズに余裕がなかったので、思いの外実装に苦労しました。特に3枚目のATT基板3の実装では、投げ出してしまいたい衝動にかられました。実装上の工夫としては、基板間隔が稼げないために、隣り合う基板の実装高さを変えて、端子台への配線をやりやすくしました。それでもフロントおよびリアパネルの実装部品との干渉を確認しつつなので、自由に高さを設定できずに苦労しました。

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それでもなんとか全基板を納める事ができましたが、万が一故障したときの修理を考えると正直うんざりしてしまいます。

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構想開始が2018年の6月で、完成が2018年の12月なので、今年の後半はほぼこのATTユニットをつくっていた事になります。最終ゴールは、NS-1000Mのフルマルチアンプ駆動なので、まだ一通過点ですが、ゴールを目指して引き続き製作を続けていきます。長い間おつきあいいただきありがとうございました。

 

おわり(まとめ編2)