チャンネルデバイダ製作2(構想編)

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構想編

NS-1000M用のバランス3wayチャンネルデバイダの製作を構想します。

フルマルチアンプ化

今の私のシステムは、NS-1000Mをセミマルチアンプ駆動しています。ブロック図は以下のとおりです。

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私が考えるマルチアンプシステムの大きなメリットの1つは、ネットワークを介さずにウーハーをダイレクトに駆動できる点です。一般的にウーハー用のネットワークは、信号ラインに直列にコイルが挿入され、その直流抵抗によってウーハーから見た実行的なダンピングファクタが低下します。マルチアンプ方式によってウーハーをダイレクトに駆動すると、スピーカーによってはオーバーダンプとなってバランスが悪くなる場合もあるかもしれませんが、NS-1000Mは強力に駆動した方がいい感じでした。このメリットはすでにセミマルチアンプ駆動化によって享受できています。残りは、スコーカーおよびツイーターとアンプ間に入るアッテネータとネットワークの影響の排除がメリットとなります。

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その代わりに、チャンネルデバイダのアクティブフィルタによってアンプの段数が増えてしまいます。このプラスマイナスのメリットデメリットをどのように考えたらいいか迷っていましたが、NS-1000Mはすでに購入後30年が経過し、ネットワークのコンデンサの劣化が懸念されるため、とにかく一度フルマルチアンプ化した音を聴いてみる事にしました。昨年後半の3way用のアッテネータは、上記の考えに基づいて製作を行ったものです。

回路構想

フィルター回路は、現状のセミマルチアンプシステム用のチャンネルデバイダにも採用したサレンキー方式のアクティブフィルターを採用します。特徴は、CRのみで2次のフィルターが構成でき、Q値も定数の選択で設定可能です。まずはサレンキー方式のアクティブフィルター回路をおさらいします。初めに現状のチャンネルデバイダーに搭載しているLPF回路です。

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fc=1/(2πC2R2)

R2=kR1

C2=C1/k

上記の式でk=2.4とするとバターワース特性、k=1.4とするとベッセル特性、k=1でCR2段の特性となるとの事です。LPFのアクティブフィルタは、遮断域のアンプのゲインが十分に大きくないと、所定の特性が得られないので、オペアンプの選定に考慮が必要です。続いてHPF回路です。

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fc=1/(2πC2R2)

R2=R1/k

C2=kC1

LPF回路式のCとRを入れ替えた計算式となっています。上記の式を使ってNS-1000Mのカットオフ周波数500Hzと6KHzのフィルタを設計します。

バランス調整

ここで言うバランスとは、Low/Mid/Highの音量バランスの事です。一般的にマルチウェイスピーカーシステムのスピーカーユニット自体の能率は、ウーハーに比べてスコーカーおよびツイーターを高く設定し、高い分をアッテネータで下げて調整しています。NS-1000MもMidとHighのアッテネータを搭載しています。

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マルチアンプ駆動の場合、このアッテネータをスキップする為、別にバランス調整用にボリュームが必要となります。チャンネルデバイダの使い勝手を考えて、MidとHigh用のアクティブフィルタの前に4連ボリュームを入れて、その出力を一旦ボルテージフォロワで受けてからアクティブフィルタに入力する事にします。

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上記回路図では、Mid-chにアンプが3段も入り、音への影響が懸念されますが、仕方がありません。スピーカーのネットワークとどちらの影響が大きいかがポイントとなります。次回はアクティブフィルタの設計を行います。

 

つづく(設計編1)