チャンネルデバイダ製作2(設計編1)

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設計編1

サレンキー方式アクティブフィルターの設計を行います。

NS-1000Mのネットワーク

1000Mのネットワークは、クロスオーバー周波数が500Hzと6kHzで遮断特性は-12dB/Octです。スピーカーユニットは3wayともに正相接続されています。クロスオーバーポイントでディップが発生しないのは何らかの秘密がありそうです。まずは一旦、上記の仕様どおり、アクティブフィルターの定数を計算してみます。

500Hz LPF

現行のセミマルチアンプ駆動用のチャンネルデバイダの定数と同じでもいいのですが、改めて設計してみる事にしました。サレンキー方式LPF回路および計算式を再掲載します。k値は群遅延一定となるベッセル特性とするため1.4としています。

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fc=1/(2πC2R2):C2(uF)xR2(kΩ)=0.3183

R2=kR1:R2=1.4xR1

C2=C1/k:C2=C1/1.4

C2として誤差の小さいフィルムコンデンサで入手可能な定数からまずはR2を算出し、C2、R2とk値からR1とC1を算出しました。抵抗は24系列からフィルムコンデンサは6系列から入手性を確認しながら定数を決めました。最後に抵抗とコンデンサの決定値からk値を算出してk値の初期設定値との差が少ないパターンに決めました。

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赤枠内が決定した定数です。k値が1.4よりやや大きくなっていますが、これで進めます。

500Hz HPF

上記と同様の手順で定数を決めていきます。

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fc=1/(2πR2C2):R2(kΩ)xC2(uF)=0.3183

R2=R1/k:R2=R1/1.4

C2=kC1:C2=1.4xC1

LPFと同様にC2とR2を決めますが、カットオフ周波数が同じ場合はR2とC2は同値となります。R1とC1はk値から算出し、それぞれ24系列と6系列から選択しました。

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LPF同様に赤枠内が決定した定数です。

6kHz LPF

500HzLPFと同様に算出式を出します。

fc=1/(2πC2R2):C2(uF)xR2(kΩ)=0.0265

R2=kR1:R2=1.4xR1

C2=C1/k:C2=C1/1.4

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表中のコンデンサはpF表記としています。10000pFは0.01uFと同値です。

6kHz HPF

最後のHPFの定数もLPFと同様に決めます。

fc=1/(2πR2C2):R2(kΩ)xC2(uF)=0.0265

R2=R1/k:R2=R1/1.4

C2=kC1:C2=1.4xC1

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部品選定

初めにオペアンプを選定します。「女神たちの争い」2018-01-26の記事に掲載したMUSESの仕様比較表を再掲載します。

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アクティブフィルタの理想的は特性を実現するには遮断域に十分なゲインが必要です。この表を見るとMUSES03が一番有利ですが、1チップ1回路の為、基板実装を考え、あきらめてMUSES8920にする事とします。入力段のボルテージフォロワは音が気に入っているMUSES01としました。バランス調整用のボリュームは、三栄電波がアマゾンで販売するアルプス電気の4連ボリュームRKシリーズ(50k/A)にしました。いつも購入しているボントンのモーター付きの物の方が圧倒的に安い(2,160円)ですが、今回はモーターがじゃまになるのであえて三栄電波のものを選択しました。三栄電波は直販も行っていますが、価格(3,090円)が同じだった為、購入手続きが簡単なアマゾンで購入しました。

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上記で決定した定数とオペアンプを回路図に反映しました。

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次回は電源回路の設計からスタートします。

P.S.今回のアイキャッチ写真は、通勤時に持ち歩いているネタ帳です。

 

つづく(設計編2)