設計編3
電源設計が完了し、ロードラインが引けたのでアンプの回路を確定させます。続いてシャーシの選定してシャーシ設計を開始します。
アンプ回路設計
下記はEL34ppアンプの回路図です。
この回路を踏襲して設計します。具体的な変更点は以下となります。
・出力管をEL34x2から6N6Pに変更
・出力トランスをソフトンRX-40-5から春日無線のKA-8-54P2に変更
・B電源電圧を175Vに変更
・ロードライン設計に合わせてバイアス用定数を変更
下記が上記変更を反映した回路図です。
回路を簡単におさらいします。初段と終段ともに差動回路です。半導体を使った定電流源を使用して、理想的な差動回路動作をさせます。初段は1mAの定電流ダイオードを使用します。終段も30mAの定電流ダイオードがありましたが、特性が今一つだったので、オリジナル回路と同様にトランジスタを使った定電流回路としました。終段入力部のバイアス回路は複雑ですが、ボリュームが接触不良を起こした際の保護のために回路を組んでいます。出力トランスの二次側の8Ωタップをセンタータップとして使用前提ですが、トランス入手後にセンタータップとして使用できるか事前に確認する予定です。
センタータップは4Ωタップが正解でした。詳細は2019-07-05「真空管HPアンプの製作(製作編13)」を参照ください。
シャーシの選定
構想編でリストアップした仕様のうち、シャーシ選定に関連する項目を抜粋して再掲載します。
・できるだけコンパクトに納めたい
・安全に運用できるようにボンネットが必須
ボンネット付きのケースで思い当たるものは、前にも使ったリードのMKシリーズしかおもいあたりません。
リードのMKシリーズのラインナップを確認してみます。下記がシリーズの仕様一覧です。
いままでの製作で使用したケースは、MK-380でした。できれば今回はMK-300に納めたいところです。搭載場所を考慮する必要のある大物部品をリストアップしてみます。
・電源トランス(W89xD76xH69)
・出力トランス2個(W72xD51xH57)
・MT管ソケット4個(固定金具最大径34.5)
・4連ボリューム(W28xD45xH32)
・HPジャック(φ10.7xD21端子含む)
・ACインレット(W30.8xD27xH18.8端子含む)
・ヒューズホルダ(φ12.2xD33端子含む)
MK-300のフットプリントはW300xD160です。トランスと真空管の配置はできますが、シャーシに取り付ける他の部品(ボリューム等)の配置に制約がでそうなので、弱気ですが、MK-350を選択する事にしました。
部品配置検討
MK-350は従来使用したMK-380よりもシャーシ厚が薄く40mmです。影響を受けそうな部品の寸法を確認します。
・4連ボリューム(軸から端子先端まで約18mmセンター配置時の余裕なし)
・電源トランス(シャーシ内厚さ32mmと余裕なし)
・ハンドル兼SWガード(別途選定)
余裕はありませんが、シャーシ内に納める事はできそうです。大物部品を並べてみます。左右シンメトリーの配置とし、電源トランスは重いのでシャーシセンター配置としてみました。
ボリュームは、フロントセンターとする事で、電源トランスとの間に配置可能です。電源トランスとリアパネル間には、電源基板を配置します。選定した出力トランスは、固定用のネジ穴以外、配線引き出し用の丸穴のみなので、出力トランス下は空きスペースとなります。従って、ACインレットとヒューズホルダは自由に配置ができそうです。
ハンドル選定
今まで製作したパワーアンプの正面パネルとリアパネルには、ハンドルをつけています。もともとは、ボリュームやスイッチのガードの為に取り付けたところ、移動時に思いの外便利だったため、取り付けを標準にしています。今回はシャーシ厚が40mmと薄くなった為、新たにハンドルを探してみました。近所のビバホームで探してみたところ、1/2インチ管(4分管)固定用の金具がありました。
ネジはインチネジで1/4インチです。ナットをストッパ代わりに取り付けて使用します。この状態でパネル面から20mm出っ張ります。ボリュームのつまみとトグルSWの飛び出し量は15mm程度なのでガードとしても有効です。次回は部品配置図を製作してシャーシ加工図を作成します。
つづく(設計編4)