トランス唸り対策(番外編29)

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番外編29

真空管HPアンプを製作中ですが、2回に渡り1000Mマルチアンプ駆動システムのウーハー駆動用のA級BTL方式DCパワーアンプのトランスの唸り対策を行います。

1000Mマルチアンプ駆動システムその後

大げさなシステムとなってしまいましたが、バランス3wayマルチアンプシステムにより、1000Mがモニターの本領を発揮できている印象です。週末に時間を忘れて聴きいってしまい、いきおい製作の時間が圧迫されてしまいます。システム構築のまとめ編で紹介したスコーカーチャンネルのハムは現状放置していますが、それよりも、最近、ウーハーチャンネル用のパワーアンプのトランスの唸りが時折酷く、優先対策課題となっています。

A級BTL方式DCパワーアンプの電源

BTL方式は、アンプから見た負荷インピーダンスは、1/2となり8Ωのスピーカーはアンプから見ると4Ωを駆動している事になります。使用しているA級方式のDCパワーアンプは、発熱を押さえるために終段の電源電圧を下げていますが、その代わりにスピーカーの駆動力を高めるために、トランスの電源容量を定格出力時の電流に対して余裕を持った選定をしています。この選定は、通常のアンプの定格出力電圧に対して、定格出力電流を大きく取っている為にパワーアンプとしては特殊な要求となっています。

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そもそもトランジスタアンプ用として販売されているトランスの種類が少ない中で、特殊な要求の電源トランスは販売されていません。この様な理由から仕方なく汎用の電源トランスから選定をしています。選択肢は広がりますが、唸りに対しては不利になっています。汎用トランスから選んだ定格は6V-CT-6V/5Aですが、オーディオ機器以外の周辺装置の動作状況によって盛大に唸るときがあります。

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対策の経緯

ネット情報によると状況によりレベルが変化する唸りの原因は、トライアックやインバーターによる位相電力制御機器による電源のDCバランスのズレ起因との事で、以前にダイオードブリッジによる対策を試した経緯があります。その時の結果は「DCパワーアンプ製作まとめ編3(2016-08-08)」で紹介していますが、効果が小さい上に音質への影響があった為に試作したきり使用していませんでした。

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他の対策

さらにネット検索をすると、絶縁トランスを電源ラインに入れる事で改善するとの情報があったので、試してみる事にしました。理屈はおそらく、絶縁トランスを入れる事でアンプに供給する電源のDC成分がなくなりパワーアンプのトランスの唸りが押さえられるのだとおもいます。

トランスの選定

今まで絶縁トランスを扱った事はありませんが、手始めにどんな物があるか調べてみました。

■Z-510C/東栄変成器

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価格:19,850円

容量:510VA

特徴:コンセントとタップ機能搭載なのでそのまま使用できます。

■LZ11-01KF/豊澄電源

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価格:25,793円

容量:1KVA

特徴:1次2次管に静電シールド付き

■TZ11-500A2/豊澄電源

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価格:19,900円

容量:500VA

特徴:1次2次管に静電シールド付き

容量を求めるとそれなりの値段となってしまいます。効果が確認できていないトランスに2万円以上コストをかける事に気が引けた為、勢いオークションサイトをチェックしてみました。さすがヤフオク、絶縁トランスで検索するといくつか候補がヒットしました。その中で中古品ですが、理想的な絶縁トランスを見つけました。1500VA, 見た目の状態は良いとの事ですがノークレーム品で3,140円スタートです。1万円くらいまで覚悟してオークションに参加しましたが、結局約5,300円で落札できました。次回は落札した絶縁トランスを現状のシステムに組み込んで効果の確認と音を聴いてみます。

 

つづく(番外編30)