真空管HPアンプの製作(製作編10)

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製作編10

初段の配線が終わったので、終段用のバイアス基板の実装を行います。

バイアス基板

バイアス基板には2つの回路を実装します。1つ目は、終段のIpのバランス調整用の回路です。終段の2つのグリッド電圧のバランスをボリュームとC電源を使ってとります。2つ目は終段のプッシュプル回路の電流の和を一定にする定電流回路です。下記の点線枠内の回路を実装します。

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基板上には3極(GND, -5V, カソード)と2極(2つのグリッド抵抗)の端子台を実装します。

バイアス基板実装

最初に端子台の位置を決めます。配線の取り回しを考慮して、グリッド抵抗接続用の2極の端子台は終段の真空管側に、3極の端子台はアンプのリア側の位置に配置しました。

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端子台を仮留めしたら次はボリュームの位置出しをします。ボリュームは運用状態でボンネットだけ外せば調整できるように端子台と反対面に実装します。基板のスルーホールの数の関係でボリュームのセンターが基板のセンターからずれてしまいました。

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シャーシのボリュームアクセス用の穴位置をそこまで考慮しておくべきでした。基板を取り付けるとこんな感じになります。

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それでもシャーシ外からボリュームへのアクセスができ調整は問題ありませんでした。グリッドバイアス回路から実装を行います。ボリューム以外は抵抗のみですが、全て端子台取り付け面に実装します。いまひとつすっきり実装できませんでしたが、完了しました。続けて定電流回路を実装します。エミッタバイアス用の2Vのツェナーダイオードの購入が漏れていました。在庫を確認したところ3.6V品があった為、定数変更して実装を続ける事にしました。回路は以下のとおりです。

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なんとか実装完了しました。

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続けて2枚目の実装を行います。アンプのレイアウトは左右対称の為、基板の部品実装も左右対称とします。

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最初に実装した基板を見ながら実装を進めましたが、左右対称の為に頭が混乱します。

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通電確認

通電確認前に、シャーシに実装してみました。

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他の実装部品との干渉もなく問題なく取り付けができました。一旦基板を取り外して通電確認を行います。電源はユニバーサル電源から供給しました。初めに定電流回路の動作を確認します。終段真空管のカソードの想定電圧が6Vなので、カソード接続用の端子台に6Vを印加しました。ユニバーサル電源の電流の読み値は約28mAでした。ほぼ設計どおりの結果です。続いて、グリッドバイアス回路の動作確認をします。ユニバーサル電源から-5V端子に電源を供給します。一部ハンダ不良があって手直しをしたものの動作上は問題ありませんでした。ボリュームセンター位置でグリッド抵抗用の端子台電圧が2つともに約-3,8Vで、ボリュームを回すと各端子電圧は対称に動作し、0Vまで変化します。ここではたと問題に気づきました。バランス調整用のバイアス回路が約-3.8Vとなるので、この時のカソード電圧は約2.2Vまで下がり、定電流回路のトランジスタに電圧がかかりません。もっと考えてから定数変更をすべきでした。

バイアス回路設計変更

バイアス回路と定電流回路ともに定数の見直しをしました。

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ツェナーダイオードの代わりに、LEDの順電圧(約1.8V)を使用する事にしました。定電流ダイオードと併用なので、実用になると考えます。グリッドのバイアス回路は分圧抵抗を4.7KΩから47KΩに変更しました。この変更で調整の範囲は小さくなりましたが、ボリュームセンター時のグリッド電圧が約-1.2Vとなります。見直した回路に従い実装を変更しました。

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改めて通電確認を行います。初めに定電流動作の確認をします。電流値は31mAで問題ありません。

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ユニバーサル電源から供給する電圧を下げてゆき、動作限界を確認しました。その結果3.5Vまで印加電圧を下げても動作する事を確認しました。もう1枚の基板も同様に実装変更を行い動作確認を行いました。最近ミスが多いので、気を引き締めねば!次回は終段回路の配線を行います。

 

つづく(製作編11)