真空管HPアンプの製作(製作編14)

f:id:torusanada98:20190623010937j:plain

製作編14

ハム対策を継続します。

ハムの原因の特定

ハムの音をよく聴いてみると、低周波成分はL/Rで同レベルで、ジーという高調波成分はL-chの方がやや大きく聞こえます。この状態で各部配線や部品に触ってみてノイズの変化から原因を特定してみます。トランジスタアンプの感覚でいろんな部分に触ると感電するので慎重に行いました。その結果L-chの方がやや大きい高調波成分は、ボリュームと段間のカップリングコンデンサ部で発生している事がわかりました。GNDに落とした銅板をその2カ所に入れるとL-chの高調波成分のレベルが下がり、ノイズがセンターから聴こえるようになりました。ボリュームは、L-chがトランスに近い側にあり、影響を受けやすくなっているようです。一方、L-chの段間のコンデンサのフロント側は、AC電源の1次ラインがトグルSWへ配線されていて、その影響を受けているようです。v

f:id:torusanada98:20190623011000j:plain

これでL/Rのバランスは取れるものの抜本的な対策とはならないため、この改造は躊躇しました。頭を冷やすために毎週末の定例のポタリングにでかけました。

試しに

いままでの検討で、かなり悲観的な気持ちになってきていましたが、基本方針の変更も含めて最後のわるあがきをする事にしました。音の観点から、今まで無帰還構成で考えていましたが、ゲインを下げる為に負帰還をかけてみる事にしました。試しに、47kΩ抵抗を4本(バランス入力アンプなので)取り付けて、100%帰還をかけてみました。改造はL-chのみで、抵抗をボリュームに取り付けて、配線はワニグチケーブルで仮接続しました。あまり期待せずに電源オンしました。この結果、うそのようにハムが消えました。この状態で音楽を再生したところ、ボリューム位置が10時あたりで通常音量となり、ゲイン設定もよさそうな感じで、対策としていけそうです。無帰還の伸び伸び鳴る感じは捨てがたいですが、いたしかたありません。意を決して正規改造する事にしました。帰還ラインは、ベルデンの2芯シールドケーブルを使用します。シールドラインはトランスの2次側は接続しますが、ボリューム側はカットします。

f:id:torusanada98:20190623011046j:plain

帰還抵抗は両チャンネルで合計8本になりますが、ボリュームの端子に取り付ける事にしました。ボリューム端子とボトムカバー間のクリアランスはあまりないので、端子をよけてボリュームのボディー面に取り付けました。見栄えはよくないですが、なんとか取り付けができました。

f:id:torusanada98:20190623011136j:plain

この状態で音を聴いてみます。電源オンして無音状態でヘッドフォンを装着しました。先ほどまで、あれほど悩まされていたハムがきれいに消えました。おそらく今回の負帰還で20dB程度フィードバックがかかったため、電圧換算で1/10くらいにノイズレベルが下がったものと思われます。後でアンプの周波数特性の測定をしてみる予定ですが、その際にオーバーオールのゲインから、無帰還時のゲインも算出してみたいとおもいます。

仕上げ

今回のハム対策で、無意味なものも含めていくつか配線変更を行ったため、束線をやりなおしました。最終的には以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20190623011225j:plain

最後にボトムカバーの処理をします。最後に追加した帰還抵抗とボトムカバーのショートを防止するために、ボトムカバー側に絶縁テープを貼りました。

f:id:torusanada98:20190623011314j:plain

見栄えはよくないですが、使用時には見えない為、気にしない事にします。アイキャッチ写真はボトムカバーを取り付けた完成写真です。次回は設計情報のまとめと、音聴き、特性の測定を行います。

 

つづく(製作編15)