真空管HPアンプの製作(製作編15)

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製作編15

製作が完了したので、設計のまとめ、音聴き、測定を行うつもりでしたが・・・。

設計のまとめ

製作の最後で何点か設計変更したので、設計情報をアップデートします。最初にアンプの回路図を更新します。変更点は以下のとおりです。

・帰還回路の追加

・トランス2次の極性変更

・トランス2次のGND接続変更

・電源電圧の変更

・入出力端子に極性追加

・トランス2次側の負荷抵抗変更

カップリングコンデンサの容量変更

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続いて、電源回路を修正します。変更点は以下のとおりです。

・B電源系の電圧測定結果の反映

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発振対策

製作後恒例の周波数特性の測定の測定をする為に、出力へポケットオシロを接続して出力波形を確認したところ、入力のボリューム位置により発振する事がわかりました。具体的にはボリュームを絞った状態では問題ありませんが、、上げていくと発振します。

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発振周波数は167kHzで、レベルは0.5Vppです。先に掲載した回路図を眺めてみると、帰還量がボリューム位置で変化し、ボリュームを上げると、帰還量が100%以上となっていました。取り急ぎ、全ボリューム位置で帰還量が100%以下とならないように帰還抵抗R05とR06を100kΩに変更してみます。まずはL-chのみ改造して効果を確認したところ発振が止まったので、対策として採用しました。ボリューム端子付近に実装された帰還抵抗を4本交換しました。

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これで発振は止まりましたが、アンプのゲインが6dB上がったため、静かな環境でかすかにハムの音がきこえます。ハムの音質はプリウスが低速でモーター走行する際の疑似モーター音のような感じで耳につきにくいですが、この音質から、あまり根拠はありませんが、電源トランスの漏洩磁束をアンプの回路が拾っている感じで、対策のハードルが高そうなので、この状態で一旦様子をみることにしました。

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周波数特性の測定

改めて周波数特性の測定を行います。ヘッドフォンの代わりに47Ωの抵抗を負荷抵抗接続用ラグ端子に追加接続しました。この追加で47Ωの抵抗が3本パラレル接続される事になります。入力信号は、発信器出力をバランス変換アダプタに入力してバランス信号化してヘッドフォンアンプに入力します。入力と出力ともにHotの信号をポケットオシロで観測しました。尚、ヘッドフォンアンプのボリュームはMaxの位置で測定を行います。入力を0.5Vppとして周波数を10Hzから1MHzまで変えて出力波形をモニタしました。アイキャッチ写真がこのf特の測定風景です。

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L-ch、R-chほぼ同じ特性で、ゲインは約6dB、低域は10Hzまでフラットです。段間のカップリングコンデンサを4.7uFとしている事が効いているようです。高域は約40KHzからゲインが上がり、約100KHzでピーク(約13dB程度)となりそれ以上の周波数でゲインが落ち込みます。音を効いた限りでは、高域のピークを感じさせる印象はまったくありませんでしたが、対策を検討してみました。簡単に接続できる事から、終段のグリッドバイアス用端子台にコンデンサを追加で接続してみました。

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下記の特性は150pFを接続したときのものです。

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この対策によってピークは5dB以下に下がりました。但し、ゲインが上昇する周波数も40KHzから30KHzに下がっています。結局オリジナルの状態で、音質上気になる点がなかったので、本対策は保留としてこのまま様子を見ることにしました。今度こそアンプは完成です。次回は改めて設計情報の整理と音聴きを行います。

 

つづく(まとめ編)