EL34ppパワーアンプ製作2(製作編15)

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製作編15

終段Ipバランス調整用基板が完成したので、終段の配線を行います。

Ipバランス基板取り付け&配線

初めに、L-ch用の基板を取り付けます。スタッドは2本ですが、一方の取り付けナットと端子台のクリアランスが小さく、ボックスレンチが使えませんでした。仕方ないので小型のモンキーで締め込みました。最初に-5VとGND配線をします。-5Vはすぐ脇の配電用の平ラグへ、GNDは電源トランス脇のGND配電用のLラグへ接続しました。

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手間はかかりますが直角配線を心がけます。R-ch用基板も同様に取り付けと配線を行いました。

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GND配電用のLラグ脇にシャーシ内を横断する電線を敷線しています。Ipバランス調整用基板への配線は一旦ここまでとして、終段真空管ソケットへの配線をおこないます。

終段配線

改めて回路図を参考に掲載します。

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初めにL-ch真空管のグリッド抵抗2.7kΩを取り付けます。真空管ソケットの端子に直接ハンダ付けしました。

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続いて3極管接続用の100Ωをスクリーングリッドとプレート用の端子へ取り付けました。

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次はカソード配線をします。カソードはサプレッサグリッドと接続してそれをさらにもう一方の真空管へ接続します。

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サプレッサグリッドは、今まであまり意識してきませんでしたがこれを機会に調べてみました。5極管登場前に4極管が開発されました。3極管の増幅率をプレート電圧を上げずに高める為に、スクリーングリッドを儲けましたが、プレートから反射放出された二次電子がスクリーングリッドに吸収されて安定動作出来なかった為に普及しなかったそうです。この問題を解決する為にプレートとスクリーングリッド間にサプレッサグリッドを設けて反射放出された二次電子を再反射させてこの影響を排除したものが5極管です。余談はこのくらいにして製作に戻ります。上記で配線したカソードを基板のカソード用の端子台に接続しました。

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写真の柄杓型の敷線は単なる拘りです。次は先に取り付けたグリッド抵抗に初段出力を配線しました。

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続いて、Ipバランス調整用のグリッドバイアス配線します。

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カソード配線と同様に柄杓型の配線としました。次は、出力トランスの一次配線を行います。配線を行う前にIp観測用に一次巻き線の直流抵抗の測定を行います。テスタで単純に直流抵抗値の測定を行うだけで、結果は以下のとおりです。

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トランスの一次用の電線は、導体が単線ではないため、フォーミングが意図したとおりにできずに苦労しました。合わせて電圧モニタ用のチップジャックの配線および、トランス二次側の中点のGND配線も行いました。この状態で一気に束線してなんとか敷線のフォーミングを整えました。

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トランス二次側の中点配線とプレート電圧モニタ用チップジャック配線のフォーミングはこんな感じです。

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Lチャンネル側も同様に配線しました。

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入力配線

配線最後は、入力信号ケーブルです。私が製作した装置のXLRコネクタ配線は、1992年のAES規格に従って全て2pinをHotとしています。使用するケーブルはいつものとおりベルデンの1503Aです。

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反対側は、初段真空管ソケット脇のLラグへ接続しました。

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このケーブルのフォーミングも苦労しましたが、束線によって固定して以下のとおりとなりました。

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これで全ての配線が終わりました。次回は通電と調整を行います。

 

つづく(製作編16)

EL34ppパワーアンプ製作2(製作編14)

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製作編14

初段の配線が終わったので、終段のバイアス回路と定電流回路基板を製作します。

基板構成

シャーシ加工の際に概要を紹介していますが、完成後に使用状態で終段のIpバランス調整ができるように基板に実装したボリュームをシャーシ上から調整できるようにしています。

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この為、両面基板を採用し、ボリュームのみハンダ面に実装します。ボリュームを所定の位置に仮ハンダして、端子台の位置を決めます。改めて回路図を掲載しますが、赤枠で囲った部品を基板に実装します。

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-5VとGNDを2極の端子台で、カソードと2つのグリッドを3極の端子台で接続する事にしました。配線先の位置を考慮して2つの端子台の位置を決めました。

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3極の端子台は、写真上で基板の下端に配置した方が配線長が短くできますが、基板端は基板の下端にそって電線を通す事になり、端子台接続がやりにくくなりそうなので、左サイドに配置しました。

基板部品実装

最初にIpバランス調整回路を実装します。基板が小さい為、効率的な部品配置を心がけました。

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続いて定電流回路を実装します。トランジスタには放熱フィンを取り付けていませんが、データシートによると使用温度範囲で約1Wまで放熱フィン無しで使用可能です。回路図にも記載していますが、このトランジスタの消費電力は約0.5Wと余裕はありませんが、問題なしと判断しています。せめてもリードからの放熱も期待してリードを長めに実装しました。

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実装基板のハンダ面はこんな感じです。

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R-ch用基板実装

実装回路は同じですが、端子台を左右逆に取り付けます。これによって部品実装も変わります。

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1枚目の基板と同様にIpバランス調整回路から実装します。実装が左右反転しているので、頭が混乱しますがなんとか実装完了しました。

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続いて、定電流回路を実装します。1枚目の実装基板を見つつ、頭で左右を反転して同回路を実装します。無事2枚目の基板実装も完了しました。

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動作確認

通電時に使用する基板固定ジグを作成しました。ダンボールに固定用のスタッド2本を立てた簡単なものです。

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さっそく通電確認を行います。本来であればカソード端子には20Vを印加しますが、ユニバーサル電源の上限が18.45Vだったので、上限設定としました。

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しょっぱなから定電流回路が正常動作しません。

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本来であれば70mA流れるはずのところが、11mAしか流れていません。11mAは基準電圧回路の消費電流と考えられ、トランジスタが動作していないとするとつじつまが合います。ハンダ面を確認したころこ、トランジスタのエミッタ接続部にハンダ不良が見つかりました。

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再ハンダしたところ、所定の電流が流れるようになりました。

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続いて、Ipバランス調整回路の動作確認です。この回路も初期通電時不良でした。部品面の抵抗のリード接続部のハンダ不良が原因でした。グリッドバイアス調整範囲は0V~約4Vでした。もう1枚も同様に通電確認を行い2枚ともに正常動作の確認ができました。2枚目の基板の定電流源の電流値は67mAです。

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完成した基板をシャーシに取り付けてみました。1号機は左右ともに同一実装基板でしたが、今回は配置を対称とした為、今回の方がいい感じがします。

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次回は終段回路の配線を行います。

 

つづく(制作編15)

EL34ppパワーアンプ製作2(製作編13)

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製作編13

電源の配線が完了したので、初段の配線と通電確認を行います。

カップリングコンデンサ用Lラグ板取り付け

初段と終段間のカップリングコンデンサ取り付け用に、初段管と終段管の間に4極のLラグ板を取り付けます。このフィルムコンデンサは海神無線のCROSS-CAP_0.47uFの在庫が復活しなかったため、0.82uFとなりました。

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外形が少し大きくなるため、実装に気を使います。Lラグ板に先にコンデンサを取り付けてから、配線やシャーシとのクリアランスを確認して、Lラグ板の取り付け位置を決める事にしました。各チャンネル2個フィルムコンデンサを取り付けます。できる限りコンパクトに仕上げるように、端子をフォーミングしています。

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コンデンサを取り付けたLラグ板を初段管と終段管ソケット間に置いて、位置を決めました。位置出しがしやすいように、初段の真空管ソケットの手前側の端に合わせて、穴開け位置を決めました。反対側の穴開け位置を決めるために、紙に位置出し用の目印をつけて、定規の代わりとしました。

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上で作成した紙定規を使って、反対側の取り付け穴の位置を決めてφ3.2の穴を開けます。

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穴のバリを取り、それぞれLラグ板を取り付けます。取り付けの際に、先に配線済みのヒーター配線とのクリアランスを確保するために、ヒーター配線の敷線を修正しています。

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これで初段配線の準備が完了しました。

初段配線

配線の紹介前に改めて回路図を掲載します。

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最初にグリッド抵抗2.7kを取り付けます。真空管ソケットのグリッド端子へ直接ハンダ付けしました。

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グリッド抵抗はそのままにして、カソードに定電流ダイオードを取り付けます。定電流ダイオードは、初段用に取り付けたLラグ板にハンダ付けしました。2個のカソード端子をつないで、さらに定電流ダイオードに接続します。(写真茶色の配線)

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次は、先に取り付けたグリッド抵抗へ入力配線を行います。黄色がHot, 白をCold配線としました。入力でノイズを拾いにくくするため、ループをできる限り小さくする事を心がけて敷線しています。続いて、入力抵抗10KΩを取り付けました。先にゲート配線をハンダしたラグ端子に直接ハンダしています。反対のリードは、2本を接続して、そこからGND配線を行いました。

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次に、負荷抵抗150KΩをカップリングコンデンサを取り付けたLラグ板の端子に接続しました。真空管との接続は緑の電線です。150KΩの反対のリードは2本を接続してB電源に接続しました。

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写真は、間違って終段用のB電源に配線しています。反対のチャンネルも同様に配線し、電源の配線も修正しました。初段用電源配線は橙の電線を使用しています。

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通電確認

初段のみで通電確認を行います。初めに真空管を挿さずに、通電を行って真空管ソケットの各端子電圧を確認しました。

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確認結果は以下のとおりです。

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結果は特に問題ありませんでした。電源電圧が+/-5Vくらいの範囲で変動しているため、測定のタイミングにより、結果の辻褄があわなくなりますが、そこは変動を考慮して数値を拾いました。一旦電源をオフして、電源コンデンサの放電を待ってから、真空管を装着しました。どきどきしつつ上下反対の状態で電源オンしました。(本記事のアイキャッチ写真参照)ヒーターが安定して点灯したところで各端子の電圧を確認しました。確認結果は以下のとおりです。

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Ipは一番小さい値は0.77mAで、一番大きな値は0.8mAでした。1.5mAの定電流ダイオードを使用していますが、やや大き目な電流値となっています。次回は、終段のバイアス調整回路基板の製作を行います。

 

つづく(製作編14)

EL34ppパワーアンプ製作2(製作編12)

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製作編12

引き続き電源回路の配線を行い通電確認を完了させます。

電源回路配線

前回記事のアイキャッチ写真にはすでに写り込んでいましたが、配電用の平ラグ端子基板を製作します。全12端子を初段用B電源、終段用B電源、C電源用に3つに分けました。C電源の配線先が多いので、片側6端子をC電源用とし、反対側の3端子づつを初段用と終段用に分ける事にしました。3種類の端子群をポリフェノール被覆電線で接続して、固定用のスタッドに取り付けました。

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写真右の上3端子が終段用B電源で、下3端子が初段用B電源です。各端子群へ、電源基板から配線しました。

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手間はかかりますが、後からの確認のしやすさを考慮して配線を行いました。

電源ランプ配線

電源ランプはC電源で駆動します。電源基板上に電流制限抵抗を実装済みなので、配線のみです。電源ランプ用LEDからは細い2本の電極が出ているので、いつものとおり電極間のショートを防止するためにカットした基板をとりつけてから電線を配線しました。

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電線には赤と黒の2極を使用し、先に配線した電源スイッチ用電線にそって電源基板まで敷線しました。基板上の端子台は、-電源とGNDなので、赤のラインをGND、黒のラインを-電源に接続します。この状態で点灯確認を行いました。

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なかなかいい感じになってきました。現状のシャーシ内部の状態は以下のとおりです。

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電源通電確認

全ての電源回路の配線が完了したので、改めて通電確認を行います。現状は最終的な負荷電流を流していないため、参考確認となります。初めに各部の電圧をテスタで確認してみました。確認結果は以下のとおりです。

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初段用B電源出力は無負荷状態なので、終段用B電源と同じ300Vとなっています。リップルフィルタ用のダーリントントランジスタには11Vがかかっていますが、発熱を押さえるために印加電圧を押さえています。完成後に必要な電圧がトランジスタにかかっていることを改めて確認する予定です。C電源用の三端子レギュレータには、現状約7Vの電圧がかかっていますが、平滑用の電解コンデンサが50uF(100uF直列)と非力な為、この電圧もアンプ完成後に改めて確認したいとおもいます。それぞれの入力電圧波形をACカップルモードで念のため確認を行いました。写真上側がリップルフィルタ用トランジスタ入力波形で、下側が三端子レギュレータ入力波形です。

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それぞれのリップル波形の波高値は、116mV, 960mVと現状は十分な電圧がトランジスタおよび三端子レギュレータにかかっている事が確認できました。この波形を見て一瞬違和感を感じました。1点目は、三端子レギュレータの倍電圧回路は1つの電解コンデンサは50Hz周期で充電されるのに両波形の周期はかわりません。よく考えたら、直列の電解コンデンサが交互に充電されるため、このリップル波形も100Hzとなる事で納得ができました。2点目は、チャージが開始されるタイミングは2つの波形で異なるように感じました。波形をよく見てみると、両波形の立ち上がり開始ポイントはほぼ同じで、チャージの完了タイミングが異なっている事が理解できました。という事で、最初に感じた違和感はなくなりました。次回は初段の配線を行います。

 

つづく(製作編13)

EL34ppパワーアンプ製作2(製作編11)

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製作編11

電源基板を完成させて通電確認を行います。

電源基板

電源基板には、2系統の回路が搭載されます。B電源とC電源です。電源回路の一部の部品は基板外に実装されます。赤の点線で囲った部品はシャーシ実装部品です。

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前回電源基板の部品実装を完了したと思っていましたが、上図を確認したところ、三端子レギュレータ入出力のフィルムコンデンサーの実装を忘れている事に気づきました。実装場所がなく、レギュレータの前後に接触を覚悟して実装しました。幸いこの三端子レギュレータの発熱は少ない為、リスクはないとおもいます。

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せっかく基板を取り外したので、三端子レギュレータの入力確認用に基板ポストを追加しました。MUSE脇の整流用ダイオードの実装を考慮しておけば追加は不要でしたが、実装時にそこまで考えが及びませんでした。

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これで電源基板への部品実装は完了です。

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改めて電源基板をシャーシに取り付けてみました。取り付け時に基板実装されたダーリントントランジスタとヒューズホルダの端子が干渉して取り付けずらいですが、取り付けてしまえば、クリアランスは確保できています。

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電源回路シャーシ部品取り付け

初めにB電源用平滑回路コンデンサの配線を行います。電解コンデンサはすでに取り付け済みなので、フィルムコンデンサを並列に接続します。Lラグ端子固定用の穴を利用しました。

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配線は、電解コンデンサ取り付け部にハンダ付けして、電源基板の端子台へ配線しました。

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通電確認1

この状態で一旦通電確認を行います。確認用に電源トランスの2次配線を行いました。B電源は前回の記事で整流用ダイオードをトランス側に取り付けたため、その中点を入力用端子台へ接続しました。入力のGND端子はその2次巻き線のセンタータップを接続しました。C電源用入力端子台へは、5Vの2次巻き線を接続しました。ACインレットに電源コードを挿して電源オンします。発煙等なく一安心です。B電源の平滑出力電圧は、約300Vです。負荷はリップルフィルタ基準電圧生成用の約100KΩの抵抗のみなのでほぼ無負荷状態です。C電源出力は、-5Vと設計どおりの出力電圧となっていました。

電源回路部品シャーシ実装続き

電源オフして、平滑用電解コンデンサのチャージが放電されるのを待ちます。次はリップルフィルタ用トランジスタの配線を行います。各端子に電線を接続して、活電部に熱収縮チューブを被せました。

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各電線は以下のとおりです。

赤:エミッタ

橙:コレクタ

黄:ベース

この状態で、トランジスタをシャーシに取り付けました。取り付け用の穴のある金属部はコレクタ電位となっているため、絶縁放熱シートを挟んでプラスチックネジで固定しました。シャーシにあけた固定用の穴は、取り付け前に入念にバリ取りを行っています。

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次はリップルフィルタ用のコンデンサの取り付けを行います。全波整流用コンデンサ取り付けと同様にLラグ端子へ取り付けます。100uF/400Vの電解コンデンサと0.47uF/450Vフィルムコンデンサを並列接続します。

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続いて、その隣に初段用電源出力部のフィルタコンデンサを同様に取り付けました。

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この部分は実装が込み合ってしまったため、メンテナンス性が悪くなってしまいましたが仕方ありません。取り付けたコンデンサと電源基板間の配線を行います。後から見て確認しやすいように電線の色を変えて、かつ手間はかかりますが、直角配線を行っています。次回は残りの電源配線を行い通電確認2を行います。

 

つづく(製作編12)

EL34ppパワーアンプ製作2(製作編10)

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製作編10

ヒーター点火確認が終わったので、電源基板の実装を行います。

電源基板端子台配置

1号機の電源基板の配線接続は、基板ポストを使用し、ポストの端子に電線を直接ハンダ付けしていました。メンテナンス性が悪く、接続の信頼性も劣ります。

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今回は、その後に採用した基板端子台を使用します。部品の実装面積は基板ポストに比べて1.5倍以上占有するため、最初に配置を決めます。回路図を眺めつつ、基板端子台を基板上に並べてみました。端子台は並べ終わったものの、電源回路が残ったスペースで実装できるか不安です。

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写真下側左寄りの端子台は、電源トランス接続用です。写真右下の端子台が電源出力用です。基板右の3極の端子台がリップルフィルタトランジスタ接続用です。写真上の2極の端子台は、電源ランプ接続用です。基板上に端子台を配置した状態で、シャーシ上のスタッドへ基板を取り付けてみました。

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リアパネルに実装したACインレットとヒューズホルダとのクリアランスが気になりましたが大きな問題はありませんでした。

基板実装

真空管アンプでは、トランジスタアンプ程の大電流は流れませんが、GND配線は基準なのでいつものとおり、ポリウレタン線で最初に配線しました。

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続いてB電源の部品実装と配線を行います。写真右の端子台は、全波整流用の電解コンデンサ接続用です。その脇の抵抗は、リップルフィルタ用基準電圧生成用の分圧抵抗です。写真左の3極の端子台はリップルフィルタ用のトランジスタ接続用です。その脇にダーリントン接続されるトランジスタを配置しました。

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次にB電源出力部のフィルムコンデンサと、ダミー負荷抵抗100KΩをB電源出力用基板端子台脇に実装しました。

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続いて、初段用電源出力部のフィルタ用抵抗を初段電源出力端子台脇に実装しました。さらにC電源(-5V)生成用の倍電圧整流回路の電解コンデンサを2個実装しました。電解コンデンサニチコンオーディオ用MUSEです。

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ここでC電源出力用端子台の実装忘れに気づきました。基板の端に端子台実装スペースは残っていません。初めによく考えて端子台配置を検討しておけば、3極の端子台を多用して、端子台の実装数を減らす事もできたのに、と後の祭りです。仕方がないので、ヒューズホルダとのクリアランスを考慮して、基板内側にC電源出力用端子台を実装する事にしました。合わせて追加実装した端子台脇に三端子レギュレーターを取り付けました。

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この状態で、シャーシへ実装して部品間のクリアランス確認をしました。追加した端子台とヒューズホルダが基板装着時に干渉して、取り付けがやりにくいですが、実装してしまえば、それなりのクリアランスが確保できています。

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基板のハンダ面はこんな感じです。

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B電源用全波整流回路ダイオードは、電源トランスの端子に直接実装しました。ダイオードのリードには、ショート防止の為に、電線の被覆をチューブとして被せています。

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きりがいいので、今回はここまでとして、次回はトランスと電源基板を接続して電源回路の通電確認を行います。

 

つづく(製作編11)

EL34ppパワーアンプ製作2(製作編9)

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製作編9

残りのヒーター配線から製作を再開します。

ヒーター配線

電源トランスに採用したPMC-190HGには6.3Vヒーター用2次巻き線が3つあります。ヒーターの負荷電流とトランス各巻き線の定格電流値でヒーター回路を決めています。各チャンネルのEL342本を1つの巻き線で、初段用の12AX72本を1つの巻き線でヒーター電力を供給しています。残りのヒーター配線は、R-ch終段EL34の2本分です。前回同様に2本の電線を捻ってフォーミングして使用します。

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ヒーター配線が終わったので全体を見直したところ、R-ch初段の配線の間違いに気づきました。

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12AX7は双三極管のため、内部に2個のヒーターを内蔵します。2個のヒーターの片側が共通の端子に接続され、反対側が独立の端子に接続されています。

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これにより、ヒーター電圧が6.3Vと12.6Vの2つが選択できます。今回の間違いは、共通端子を0Vとするところ、反対に接続してしまいました。動作は問題ありませんが、特性差の要因となるので直しました。次に、ヒーター用巻き線の0V端子をシャーシGNDに接続します。未接続の場合、カソード間との電位差が不定となり、思わぬ不具合の要因となります。

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これでヒーター配線は完了です。

ヒーター回路通電確認

まずは、真空管を装着せずに電源オンして各真空管ソケットのヒーター用端子に所定の電圧がかかっている事を確認しました。特に問題ありませんでした。続いて真空管を装着してヒーター点火の確認を行います。真空管は今回もアマゾンで購入しましたが、EL34は4本、12AX7は2本、特性の揃った選別品を注文しています。写真のとおり、各真空管の特性の測定結果が外箱のシールに印刷されています。

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12AX7には2回路分のIpとgmが、EL34には測定条件と、その時のIpとgmが記載されています。組み合わせは後で決めるとして、ヒーター点火確認後に、元の箱に戻せるように箱を管理しました。箱から真空管を取り出してソケットに装着します。EL34はベースキーの位置を合わせて差し込みます。装着には端子部が壊れる心配する程力が必要でした。12AX7は端子の配置に合わせて差し込みます。EL34程、装着には力は必要ありませんでした。6本の真空管の装着が終わり、どきどきしつつ電源オンしました。チンチンと音を立てながら、真空管内部がオレンジ色に変わります。30秒程で一定の明るさになりました。

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冬の真空管は格別です。見ているだけで心が暖まる気がします。12AX7の点火状態は以下のとおりです。

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ソケットの向きを変更した甲斐があり、捺印が正面を向いています。Golden Dragon製なのでプレミアム感はありませんが、自己満足の世界です。続いてEL34の点火状態です。

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捺印は、やや右を向いていますが気にしません。名残惜しいですが、このままでは作業が進まないので、真空管を取り外して作業ができる状態に戻します。真空管は間違えないように元の箱に戻しました。せっかくなので、真空管の特性の一覧表を作成しました。

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次の通電時に組み合わせを決めるために使用します。キリがいいので、今回はここまでとして、次回は電源基板の組立を行います。

 

つづく(製作編10)