2022年末を聴く(番外編44)

番外編44

2022年の1年を振り返りながら年末の番組を聴いてみたいとおもいます。

2022年個人的な振り返り

2022年、年度で言うと2021年度に還暦を迎えました。1986年に大学院を修了してから約36年間の社会人生活ですが、振り返るとアッと言う間の印象です。現在は家電事業から撤退した某メーカーのオーディオ事業部に配属されましたが、ナカミチブランドODM品のCDプレーヤーの改版を担当したものの、その後開発されたばかりのCD-ROMドライブの担当となり、以降オーディオ製品の設計に携わる事はありませんでした。

その後、2012年末まで光ディスク事業に携わりましたが、離れる1年前には、台湾メーカーとの合弁を模索する為に台北に約10ヶ月間でしたが単身海外赴任した事は中小企業ではできない経験をさせてもらいました。

その後縁あり、工業用の空調機の設計製造する現在の会社に移り10年目という状況です。60歳で雇用延長制度を利用して嘱託社員となりましたが、仕事が忙しく後任を育ててこなかった事から業務、勤務、給与等変わらずに仕事を続けています。私の仕事を切り出して後任に任せるという事で負担は減る方向ですが、なかなか思惑どおり進みません。あせらずに続けていきたいと思います。

2022年ブログ振り返り

今年は純粋な製作が2機種と改造1機種という事でトータル3案件のみで1年間を楽しみました。下記が記事の履歴です。

2022-01-11 サブウーハーの製作

2022-05-27 真空管アンプ負帰還

2022-06-21 12chアッテネータ2検討

サブウーハーの製作では、私にとっては本格的に木工に取り組みました。道具もそろえたので今後の製作に生かしたいと思っています。

真空管アンプ負帰還では、1番最初に製作した真空管アンプ、バランスA級EL34ppアンプに負帰還をかけました。現在はスコーカー駆動用として使用しています。他のチャンネルとゲインを合わせる為に入力段にオペアンプを追加した事から、電源オフ時のボツ音が発生します。電源オフ時にスピーカーケーブルを外す運用対応していますが、今後対策をしたいと考えています。

2022年最後の製作は私にとっては大作となりました。4連モーターボリュームをマイコンで連動制御するもので、ものになるかわからない状態で検討を進めてきましたが、なんとか完成させる事ができました。使い勝手はモーターボリュームを使ったアッテネーターとしては上々です。

年末を聴く使用システム

今年はトランジスタ式A級BTLヘッドフォンアンプを使用します。真剣にヘッドフォンで聴く機会は、年末の年1回となっています。TVの音声を光デジタル信号として分離するために分配器を使っていますが、その前にHDMIセレクタを接続するとうまく同期がとれませんでした。HDMIセレクタのリモコンを壊してしまった事もあり、HDMI2.0に対応したHDMIセレクタを新調しました。

HDMI切替機の買い替えは成功でした。従来の切替機はHDMI分配器と直列接続した場合に、同期が外れて映像および音声が途切れていましたが、映像の途切れはほとんど発生しなくなりました。なんらかの拍子に映像の同期外れが発生しても音声の途切れはありません。今回視聴に使用したシステムは以下となりました。

せっかくシステムを更新したので、すべて再放送でしたが2022年に録りだめた音楽番組を端から聴いてみました。「井上陽水 LIVE 2011 POWDER」「クイーンライブ'75 at オデオン ロンドン」「チューリップ in 武道館」どれもいい感じに聴く事ができました。

2022年末を聴く

最初は12/26にNHK BSで放送された「迫力のマルチ画面!指揮なしのオーケストラ第九に挑む」です。この番組は朝日新聞のコラムで取り上げられていたため、気になって見てみました。番組冒頭で1つの演奏を作り上げていく過程をドキュメントし、より本番の演奏を楽しむ事ができました。演奏中の状況を最大9面マルチ画面によって、奏者の動きや表情を見ることができました。

収録された音のバランスは大変良かったとおもいます。普段第九をあまり聴く事がないので、断定的な事はいえませんが、多楽器大音量の出だしは指揮者ありの方が思いっきりが良いように感じました。奏者それぞれが楽譜を理解しそれが一つにまとまる事で、違う魅力を感じる事ができたとおもいます。次はNHK紅白歌合戦です。

今年も視聴率をキープする為に必死の努力が感じられました。映像も含めたエンターテインメント性で目を耳を引いた楽曲をピックアップします。「ららら♪をみんなで/Mela!」「初心LOVE/なにわ男子」初めてちゃんと聴きましたが人気がある事が解った気がしました。「シンデレラボーイ/Saucy Dog」など。正直なところ、ついていくのがやっとという感じです。2022年の新曲で知っていた曲はごく僅かでしたが、メルセデスベンツEV車のCMで使われていたONE PIECE FILM REDの主題歌「新時代/ウタ」が印象的でした。(本記事アイキャッチ写真参照)ONE PIECEはマンガもアニメも見た事はありませんが、キャラクター(アバター?)が本人の持ち歌で紅白の舞台に立った事はまさに新時代という感じがしました。あまりまとまりがありませんが、今回の年末を聴くは以上です。本年も気ままにやっていきたいと考えていますが、おつきあいよろしくお願いします。

 

番外編44(おわり)

12chアッテネータ2検討(まとめ5)

まとめ5

バランス3wayマルチシステム用12chアッテネーター製作の総まとめをします。

機内配線

電源一次配線は以下のとおりです。

写真上がリアパネル部で、下がフロントパネル部です。電源基板配線は以下のとおりです。

バッファアンプ用の+/-電源線のみ三つ編みにして使用しています。アナログ用電源とデジタル用電源のGNDは、電源基板内では独立しており、シャーシGNDで接続しています。フロントパネルモーメンタリースイッチ配線は以下のとおりです。

モーターボリュームのモーター配線は以下のとおりです。

配線には平衡ケーブルを使用しています。ポジション検出用ボリューム配線は以下のとおりです。

最後は信号配線です。ベルデンの1503A2芯シールドケーブルを使用しています。

これで配線のまとめは完了です。

表示

ATT-2は2行16桁のOLEDパネルを使って表示を行っています。今回初めて有機EL方式のパネルを使用しましたが、液晶方式に比べて表示がハッキリしていて見やすいです。電源オン直後にオープニング画面を表示して、その後通常画面表示に遷移します。オープニング画面は以下のとおりです。

機種名とソフトバージョンを表示します。通常画面への遷移は以下のとおりです。

写真ではわかり難いですが、表示を左にスクロールアウトさせています。開発途中で撮影したものなので、ソフトバージョンが低くなっています。電源オン直後は、減衰量-34dB設定でミュートオン状態となります。その時の画面は以下のとおりです。

写真ではわかりませんが、ミュートオン状態なので、減衰量表示-34dBが点滅しています。この状態でボリュームを操作すると表示は以下のとおり遷移します。

キー受付後にターゲットの減衰量と「>>」が表示され、調整完了で「>>」表示が消灯します。

パネルキー

フロントパネルには電源スイッチと3つのモーメンタリスイッチがあります。

モーメンタリスイッチの機能は以下のとおりです。

 緑:減数量ダウン(音量大)

 黒:減衰量アップ(音量小)

 赤:ミュート(on/offアルタネート)

リモコンキー

リモコンは以下のとおりです。

他製品の在庫流れ品だとおもいます。この為未使用のキーもあります。使用キーとその機能は以下のとおりです。

 VOL+:減衰量1ステップダウン

 VOL-:減衰量1ステップアップ

 >>|:減衰量2ステップダウン

 |<<:減衰量2ステップアップ

 ▲:ミュートオフ

 ▼:ミュートオン

 0~9:減衰量-10dB~-19dB設定

数字キーを使うと、通常使用減衰量域をほぼカバーしているのでリモコンを使った操作は快適です。

仕様

まとめのまとめ

構想開始が今年の5月頃なので、完成までに約半年かかりました。タイトルが示すとおり完成まで本当にものになるか確信がもてませんでしたが、満足できる状態に仕上がりました。従来のリレー式ATT-1に比べて操作性も格段に向上しました。欲を言えば、キーのマルチ受信機能も欲しいところですが、ソフト処理なので今後の課題としたいとおもいます。この製作により私のNS-1000Mのマルチアンプシステムは以下のとおりとなりました。

長期にわたりおつきあいいただきありがとうございました。

 

おわり(まとめ5)

12chアッテネータ2検討(まとめ4)

まとめ4

ケース組立に関するまとめを行います。

ケース選定

製作済みのDAC-1とデザインの統一をするために、タカチ電機工業のOSシリーズを使用しました。フロントパネルに取り付ける部品も共通なので、フロントパネルの構造および部品配置もDAC-1に合わせました。納める部品の量がDAC-1に比べて多い為、奥行き寸法の大きい、OS-32-43SSに決定しました。

ボトムシャーシ加工

実装部品はバッファアンプ基板2枚、電源トランス2個、電源基板1枚、arduino UNO、モーターボリュームAssy、モーター駆動基板1枚です。配置概要は奥左側に電源関係部品を、奥右側にバッファ基板を、手前側にマイコンおよびモーターボリュームAssyとマイコン基板を配置しました。ボトムシャーシ加工図は以下のとおりです。

取り付け穴加工を行い、部品を取り付けた状態は以下のとおりです。

リアパネル加工

リアパネルには、XLRパネルコネクタ12個と、ヒューズホルダ、ACインレットを取り付けます。自前で加工する場合は、XLRパネルコネクタ取り付け用にシャーシパンチを使ってφ25の穴を12個あける事になります。シャーシパンチの穴あけには力が必要で、12個もあけると、パネルが歪んでしまいます。対策としてタカチ電機の加工サービスを使用しました。サービスを使用する前提で、XLRパネルコネクタの穴のサイズをφ24としました。加工図面は以下のとおりです。

この図面をタカチ電機のWebページから送信して見積りを入手後、加工依頼をしました。タカチ電機は実労5日納品を唱っていますが、代理店とのメールのトラブルでケース入手に約半月もかかってしまいました。加工済みのリアパネルは以下のとおりです。

部品を取り付けたらリアパネル完成です。

フロントパネル加工

フロントパネルには、モーメンタリースイッチ3個、表示パネル、赤外線受信ユニット、電源スイッチを取り付けます。表示パネルおよび赤外線受信ユニット取り付け部を隠すために、アルミパネル上にスモークのアクリルパネルを被せる構造としました。あるみパネルの加工図は以下のとおりです。

その上に被せるアクリルパネルには、電源スイッチとモーメンタリースイッチ3個を取り付けます。加工図は以下のとおりです。

表示パネルと赤外線受信ユニットは、アルミパネルに取り付ける為、皿ネジを使ってフロントパネル表面のアクリルパネルとの干渉を避けています。

表示パネルの角穴の切断面は、表示の光が反射して見にくくなる事を防ぐ為に黒のマジックで塗っています。

表示パネルと赤外線受信ユニットの取り付け状態は以下のとおりです。

上記アルミパネルに加工済みのアクリルパネルを被せて、スイッチ4個を取り付けたらフロントパネルの完成です。

ケース組立

作業性を考慮して、リアパネルのXLRパネルコネクタに2芯シールドケーブルをあらかじめ配線した状態でリアパネルを取り付けました。

この状態で、リアパネルをケースにとりつけました。だいぶ完成型が見えてきました。

次回は今回の製作の総まとめを行います。

 

つづく(まとめ5)

12chアッテネータ2検討(まとめ3)

まとめ3

赤外線リモコンのソフト実装も含めてarduino UNOのソフトとバッファ基板、電源基板のまとめを行います。

赤外線リモコン

使用したリモコンと赤外線受信ユニットは、昨年DAC-1にリモコン機能を追加した際に購入したものです。

赤外線受信ユニットは一般品ですが、リモコンは各キーを押した際に発信されるコードがカスタムとなっています。公開されていた参考ソフトを理解して一部不具合を修正して使用しました。参考ソフトはべた書きでしたが、割り込み処理に対応させて実装しました。

arduinoソフトウェア

今回実装した機能は以下のとおりです。

1)キー入力

2)リモコン入力

3)モーターボーリューム制御

4)ミュート制御

5)表示制御

作成したソフトの基本構造は以下のとおりです。

setup()とloop()はarduino言語に従っています。loop()中のk_statはswitch文で分岐処理を行っています。各処理中のローカルループやdelay文によるwaitを避けるため、wait処理を抜ける条件ループに入る部分でbreak文でswitch分岐処理を抜けて、全体の処理を極力回すようにしています。これによる効果の為か、loop()の先頭で行っているミュート時の減衰量点滅のソフト処理も違和感はありませんでした。

出力バッファー回路

この回路の目的は、減衰量が後段のアンプの入力インピーダンスの影響を受けないようにする事です。合わせてミュート回路も実装しました。12chアッテネーターなので、出力バッファーも12ch必要となります。ATT-1では、出力部のミュート回路を省略したため、12ch分を1枚の基板に実装しましたが、今回はL-ch/R-ch用として2枚の基板に実装しました。回路図と実装基板は以下のとおりです。

リレーは2cタイプを使ってますが、現状の設計は信号ラインにスイッチを直列に入れてます。音質への影響を考えると、ミュート時にスイッチオンする回路構成にすべきだったとおもいました。下記波形は、上から「1KHz入出力波形」「1MHz入出力波形」「リレー制御波形」です。

上記入出力波形は、オペアンプをmuses01に交換前のものですが、特性に差異はないと考えて再測定は行っていません。リレー制御波形の下の波形は操作コイル制御波形です。立ち上がり時にサージが発生していますが、対策用のツェナーダイオードでレベルが押さえられています。

電源回路

本機の電源回路はアナログ系とデジタル系を完全分離しています。アナログ系はバッファアンプ用電源で+/-12Vです。デジタル系は、+12V/+6V/+3.3Vの3系統です。回路図は以下のとおりです。

整流出力電圧を極力抑えて、放熱器を使わない設計としています。下記写真は実装基板です。

次回はケース加工のまとめを行います。

 

つづく(まとめ4)

12chアッテネータ2検討(まとめ2)

まとめ2

モーターボリューム駆動回路とその制御についてまとめます。

モーター駆動回路

採用したモーターボリュームの仕様は以下のとおりです。

モーターは正転と逆転が必要なので2端子へ双方向に電流を流す必要があります。駆動回路のドライバにはバイポーラトランジスタを使用しました。回路図は以下のとおりです。

オペアンプは、単電源で出力電圧範囲の広いNJM13404を使用しました。電源電圧を6Vとし、正逆転時ともに、モーターの標準駆動電圧4.5Vをキープできるように設計しました。入力は0/5Vで、Cont1とCont2の一方のみ5Vを入力するとモーターが回転します。両方5Vを入力すると貫通電流によりドライバ用トランジスタが破壊するので制御に注意が必要です。モーターボリュームは3個なので、上記回路を1枚の基板に3系統実装しました。

マイコン制御

arduino UNOを使ってモーターボリュームAssyの制御確認を行いました。写真は実験用システムです。

最初にキーを押すごとに微少ボリュームをアップ/ダウンするソフトを作成して、0~-35dBまでのポジション電圧を決めました。ポジション電圧はarduino UNOのA/D入力ポートを使って10bit精度で読みとった電圧値(mV)です。その各電圧値となるようにキー操作でモーターボリュームを動作させて、制御時の誤差の確認を行いました。

結果はVolミニマムから2回アップダウンを繰り返して、各減衰量の最大偏差の確認を行っています。精度は高いとは言えませんが、使えるレベルと判断しました。参考に4連ボリューム自体の偏差も確認しました。

精度を上げる為に、モーターをPWM波形で駆動しています。Dutyは67%としました。但し、長距離移動時は精度よりも速度が必要な為、移動距離によって切り替えます。下記はフル移動時の制御波形とポジション電圧波形です。

上がモーター駆動波形で、下がポジション電圧波形です。目標位置に近づいたタイミングで駆動波形をPWMに切り替えています。

表示

今回初めて有機EL方式のOLEDパネルを使用しました。採用したパネルは以下のものです。

秋月電子から1,580円で購入しました。通信はI2Cの3.3V仕様です。arduino UNOと接続の際は双方向のレベル変換回路が必要です。レベル変換回路も秋月電子で購入しました。

まずは参考ソースをコンパイルして表示の動作確認をして、必要な表示機能を理解していきました。下記が機能確認用のシステムです。

マイコンの回路図は以下のとおりです。

OLEDパネルとマイコン基板配線は以下のとおりです。

OLEDパネルの機能理解に手こずりましたが、本製作に必要な表示機能の確認ができました。

シールド基板実装

arduinoから沢山の制御信号を出力するために、今回初めて電線を斜めに挿すタイプの端子台を採用しました。シールド基板には端子台以外に表示パネル制御用にレベル変換回路も実装しました。

arduino UNOに実装するとこんな感じになります。

端子台を隣接して配置しても電線を差し込む事ができます。arduino UNOとのクリアランスも確保できています。

次回はarduino UNOのソフトについてまとめます。

 

つづく(まとめ3)

12chアッテネータ2検討(まとめ1)

まとめ1

今回から数回にわたり、完成した12chアッテネータ製作のまとめを行います。今回はモーターボリュームAssyについてまとめます。モーターボリュームAssyは本製作の心臓部となりますので、製作記事とダブりますが詳細を改めて説明します。

検討開始

バランスマルチアンプシステムを構成する場合の課題1つはアッテネーションをどうするかです。システム構築当初から考え続けていました。その解決策の1つが現行アッテネーターATT-1でした。リレーを使って12chアッテネーターを構成しています。減衰量の分解能をあげる為には、沢山のリレーを実装する必要があります。リレーを増やすと配線も複雑となり、パターンの規模が大きくなりハムに対して不利になります。ATT-1は、実用上最低限の減衰量に絞る事でリレーの数を減らしました。(基板1枚でバランス1Way分)

昔購入したCDを聴いているだけであれば、大きな問題がありませんでしたが、最近購入したCDは録音レベルが10dB以上高く、思い通りの音量調整ができない事態が発生していました。これは所謂音圧戦争の弊害です。この問題を解決する為にATT-2の製作を決意しました。

ATT-2構想検討

ATT-2を設計するにあたり、いろんな方法を考えてみました。

1)リレーの数を増やす

2)多連ボリュームを探す

3)4連ボリュームをメカニカルに結合する

4)4連ボリュームを同期制御する

1)項はATT-1のリレー配線をさらに複雑にすると思うと選択できませんでした。2)項はすでに十分探していましたが、そんな都合のいいものはありません。3)項はメカ工作は自信がないので、消去法で4)項で進める事となりました。

モーターボリュームAssy

モーターボリュームの軸に位置検出用のボリュームを取り付け、ボリュームの回転角制御をするシンプルなアイデアです。4連ボリュームを3個並べて、それぞれの軸にボリュームを取り付けます。軸の連結には内径φ6のアルミスペーサーを準備し、両端に固定用にタップでネジ穴をつくりました。

この固定用スペーサーを3つ作り、4連ボリュームとボリュームの軸を連結しました。

それぞれのボリュームを固定する為のアルミ板を作り台座に固定しました。アルミ板は、位置精度を上げる為、2枚をセロテープで止めてボリューム取り付け穴3カ所と取り付け板固定用L字金具固定用の穴4点をあけました。

取り付け板2枚は手元にあった合板に取り急ぎ木ネジで固定しました。

見た感じはいいですが、このAssyは失敗でした。位置検出用のボリュームを回す為の必要なトルクが大きく、モーターボリュームのクラッチが滑ってしまい動作しませんでした。途方に暮れつつ対策部品を探したところ、超低トルクのボリュームが見つかりました。早速購入して取り付けてみました。

早速モーターを動作させてみましたが、動作はするものの途中で動かなくなる等、スムーズに動作しません。試しに、検出用ボリュームの固定用のナットと取り付け板の木ネジを緩めたところスムーズに動作するようになりました。信頼性に懸念はあるもののこの方法で対処するしかありませんでした。次回はモーターボリュームAssy駆動基板とその制御についてまとめます。

 

つづく(まとめ2)

12chアッテネータ2検討(製作編43)

製作編43

配線が完了したので、動作確認をして音を聴いてみます。

動作確認

減衰量および、そのばらつきの確認は、バラック状態で実施済みなので、今回は全チャンネルの出力確認のみを行います。初めに出力オフセット電圧を確認しました。確認は、信号未入力状態でミュート解除して、全出力用端子台の出力電圧をマルチテスターで測定しました。電圧値は、各チャンネルでばらつきはありますが、全て1mV以下となっていました。次に正弦波を入力して、出力波形をモニタします。発信器出力をアンバランス-バランス変換ユニットに入力して信号をバランス変換してATT-2に入力しました。

確認はR-ch/Low-chから1つづつ行っていきます。信号として1KHz/1Vppを入力しました。下記はR-ch/Low-ch hot/0dB時の入出力波形です。

入力はそのままで、減衰量をあげていきました。次第に出力波形がノイズが目立ってきました。下記はR-ch/Low-ch hot/-20dB時の入出力波形です。

L-ch/Low-ch hot/-20dB時の波形を確認しましたが、ノイズは乗っていませんでした。ざっと配線を見直しましたが特におかしな点は見つかりません。念のため、オペアンプを予備品と交換してみましたが、症状に変化はありませんでした。改めて配線を見直して見たところ、入力用XLRパネルコネクタと出力用パネルコネクタGND間の抵抗値が約40Ωとなっていました。測定範囲を狭めていったところボリューム出力とバッファ基板の入力端子台GND間に問題がある事がわかりました。入力端子台のGND端子を一度ゆるめて、差し直して締め直しました。

写真上の一番右の3極端子台の真ん中です。締め直しの前後で見た目の違いはありませんでしたが、抵抗値は0Ωとなりました。改めてR-ch/Low-ch hot/-20dBの入出力波形を確認してみます。

出力波形のノイズは消えました。同様に全チャンネルの出力波形を確認しましたが、他には問題はありませんでした。これで確認作業は完了です。

音聴き

最初に現行のアッテネータATT-1で音を聴いて耳を慣らしてから製作したアッテネータATT-2につなぎ替えました。ミュートを解除して減衰量を下げていくと徐々に音が大きくなっていきます。音は、ATT-1に比べて平板な印象です。赤外線リモコンを使った操作は、ATT-1の操作性に比べて格段に良くなりました。録音レベルの大きなCDは一旦ダイレクトに-19dBとしてから、キー操作で-22dB前後に調整します。録音レベルの小さなCDはダイレクトに-10dBとしてから、キー操作で-8dB前後に調整しました。現行のアッテネータATT-1は、リレーの切り替えタイミングのばらつきを考慮して、減衰量変更時に一旦ミュートをかけていましたが、ATT-2では通常のボリューム操作と同じでミュートはかけていません。ボリューム操作時の音への影響も感じられません。今回の製作の目的、アッテネータの操作性の改善は達成できました。

音質改善

ATT-2のバッファ基板にはMUSES8920が搭載されています。MUSES01を搭載する予定でしたが、市場の在庫がなかった為に代替搭載しました。

一方、現行のATT-1のバファ基板にはMUSES01が搭載されています。

ATT-1は予備機となるので、オペアンプの載せ替えを行いました。

音聴き前に念のためオフセット電圧確認を行いました。R-ch/Mid-ch hotのオフセットが約2.6mVとやや大きい事を確認しましたが、Mid-chは真空管アンプの為スピーカーユニットへの影響はないので、音聴きを進める事にしました。MUSES8920時との音の違いの印象は以下のとおりです。

・音はあっさりした印象から艶のある印象に変わった

・低音の持続感がある

プラシーボ効果も含まれていると思われますが、このまま運用する事にします。次回からは本製作のまとめを行います。

 

つづく(まとめ編1)