真空管アンプの製作(EL34pp)設計編2

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設計編2

前回の設計編1でアンプの回路設計が完了したので、今回は電源の設計を行います。本当は、アンプ回路設計と電源設計を何度も行ったり来たりしましたが、その課程は省略してます。

電源トランスの選定

今回の電源に要求される仕様は以下です。
・ヒーター電圧=6.3Vで総電流容量=6.6A
・B電源=270~280Vで総電流容量=150mA
・C電源として-5Vの供給ができる

条件に合うトランスという事で、ノグチのPMC-190HGを選択しました。この選択も出力トランス同様に余裕を取りすぎのかも知れませんが、出力トランスに続く重要部品と考えて決めました。主な仕様は以下のとおりです。
・AC180, 200V, 220Vx2 DC190mA出力
・6.3V/3A3回路、5V/3A1回路
・オリエントコア使用のEI伏せ型
・SR磁気シールド付き

B電源の設計

B電源は、AC220V出力を全波整流し、その出力をトランジスタを使ったリップルフィルターを通して作ります。リップルフィルターには高耐圧のトランジスタを使用しますが、高耐圧の物は総じてhfeが小さいため、ダーリントン構成とします。2SC3309及び2SC5122共にVceo=400Vで2SC3309のPc=20Wです。
220Vを全波整流すると、無負荷理想状態でDC308Vとなり、トランスの性能と負荷電流に依存しますが、ダイオードのドロップを含めて0.95倍前後まで実負荷時の電圧が下がります。仮に整流出力を290V、出力電圧を270Vとしてフィルター定数を決めます。この電源回路には両chで約150mAの電流が流れるため、トランジスタの消費電力は3Wとなります。実装時にはトランジスタ本体をシャーシに取り付けて放熱する予定です。
初段用のB2電源は、B1電源にCRの1次フィルターを入れて作ります。終段の電源の影響を初段電源に与えない為の配慮です。R=1.8kΩ, C=100uFとしてカットオフを1Hz以下に設定しました。電流は約3mAなのでB1電源に対する電圧降下は5.4Vとなります。尚、回路図中の電圧値は、製作後の測定値を記載しています。

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C電源の設計

今回使用予定のない5V/3A巻線を使います。C電源へのこだわりはあまりないので、簡単に-5Vの三端子レギュレーターですまします。この電源で電源ランプ(LED)も点灯させるため、供給電流は13mA程度を見込みます。AC5Vの理想整流後無負荷電圧は7V程度なので、レギュレーターにかかる電圧が2Vとなり、余裕がありません。整流を倍電圧方式として電圧をかせぎ、出力電圧に対する余裕を増やしました。

A電源

点火方式は回路を簡略化するためにAC点火とします。6.3V/3A巻線が3つあるので、それぞれEL34_Lch用、EL34_Rch用、12AX7用と真空管2本づつに供給します。ハム対策として各巻線の片側をGNDへ落とします。

つづく(製作編1)