BTL_A級DCパワーアンプ設計編2

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設計編2

本アンプの電源の設計方針から具体的な設計までを紹介します。

電源設計方針

構想編でも触れたとおり、A級BTL方式はホットchとコールドchの電源電流の和は一定となり、信号電流に依存しません。すなわち、音が電源回路の影響を受けにくいと考えられるため、電源回路はこらずに、また電力増幅段用の電源は部品の質よりも量を投入する方針としました。

電圧増幅段用電源

この電源には下記仕様が要求されます。
・電源電圧は、+/-13.5V
・電源電流は、約26mA(Hot + Cold =モノラル分)
・負荷変動は原理的に無いため、1次電源電圧変動吸収のために簡易定電圧化する
上記要求を総合して、ツェナーダイオードトランジスタで定電圧化することとしました。

電力増幅段用電源

この電源には下記の仕様が要求されます。
・電源電圧は、+/-8.6V
・電源電流は、約1.6A(Hot + Cold =モノラル分)
上記仕様を実現する方法として、大容量平滑コンデンサを使った全波整流回路を採用します。

電源制御仕様

・コンセントに接続(AC100V入力)すると電圧増幅段電源オン
・トグルSWオンにて電力増幅段電源オン
・電源ランプは、赤/緑の2色点灯。コンセントインにて赤が、SWオンにて緑が点灯
実回路にてSWオフ時に各部品に過剰な電圧、電流が流れない事を確認する予定です。

部品選定

1.トランス
手頃なオーディオ用トランスが見つけられなかったため、汎用のトランスから選択しました。東栄変成器の機内用トランスですが、種類が豊富なうえに基本、在庫販売のようで、ビルダーの強い見方です。トランジスタアンプ用ではないので、電圧増幅段用と電力増幅段用に2個選定が必要ですが、価格がオーディオ用に比べて安いので、設置場所の確保さえクリアできればかえって好都合です。そのうえ一次側は90V, 100V, 110Vのタップがあるので出力電圧の微調整も可能です。今回選定したのが、電圧増幅段用はJ-161で、16V/1Ax2の二次巻線を持ってます。電力増幅段用はJ-125で、センタータップ付きの12V/5Ax1の二次巻線を持つもので、今回は6V/5Ax2として使用します。価格はそれぞれ1838円と2940円でした。

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2.トランジスタ
良さそうなダーリントントランジスタがあったので選定しました。TTD1509BとTTB1067Bで、どちらも25円と手頃です。スペックは放熱器なしでPc=1.5W, Ic=2A, hfe=2000minで、電圧増幅段用電源には十分な性能です。

3.平滑用電解コンデンサ
電力増幅段用の電源の性能は、平滑用の電解コンデンサの容量でかせぐ方針です。マルツオンラインで日本ケミコンSMGシリーズの10000uF/16V品が10個セットで2080円で販売されているのを見つけました。日本ケミコンSMG品のネットでの評判は、標準品でありながら音は素直とのことだったので、各チャンネルに1セット(10個)づつ使うこととしました。BTL小出力仕様は電源電圧を低くできるため安価でコンデンサ容量を稼ぐことができました。(本記事のキャッチ写真参照)

4.整流用ダイオード
電圧増幅段は要求電流値が小さいため、特段こだわらずに60V/2A品を選定しました。電力増幅段は、平滑コンデンサ容量が+/-合わせて100,000uFあるため、ピークサージ電流60A品を選定しました。定格電流は4Aですが、フィンなしで2.3Aが唱われています。片chの終段電流は1.6Aなのでフィンなしで使用します。

5.電源ランプ回路
2色発光のLEDランプを使用し、スタンバイ時に赤点灯させ、動作時に緑点灯させます。この論理を2回路のトグルSWで実装します。
下記がこの電源の回路図です。

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つづく(製作編1)