BTL_A級DCパワーアンプ製作編2

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製作編2

今回は、ケースと放熱器について紹介します。

ケースの選定

A級アンプはアイドル時の発熱が最大となります。発熱量に見合った放熱器を選定して機外に放熱させる事は、アンプの寿命にとって大変重要です。ケースの選定では、必要なサイズの放熱器を納めて、機外への放熱ルートの確保が必要です。そんな事を考えながら、ケースメーカーのHPを眺めていたところ、タカチのHYシリーズが目にとまりました。下記がHYシリーズの特徴です。ケースを選定することで放熱対応がクリアでき、さらにオーディオアンプとして重要なポイントと考えている「見栄え」も悪くありません。
HYシリーズ特徴
 1.熱対策を考慮した縦型ヒートシンク形状自然空冷ケース
 2.ヘアーライン処理されたアルミ押出材使用

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モノラルアンプの設置状態を考慮して、HYシリーズ中で幅が一番小さい230mmタイプに注目しました。奥行き寸法は、最近シリーズが拡充されて330mmも選択できるようになりましたが、私の選定時には231mmの物しかありませんでした。高さは選択肢がありましたが、そのまま放熱器の寸法となるため、3機種に絞って詳細を検討しました。色はシルバーとブラックがあり、ブラックの方がカッコいいと思いましたが、加工時のキズが目立つ事を心配して、候補はシルバーとしています。

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放熱器温度見積

両サイドの放熱器をそれぞれホットch, コールドchで使用します。設計編1の結果から、それぞれのchの発熱量は12Wとなり、この時の温度上昇量は、公表されているそれぞれのケースの放熱器の熱抵抗値を使い「12w x熱抵抗値」で計算できるので、周囲温度を35℃とした際の放熱器温度を見積もりました。この結果からは、3機種ともに、放熱の観点から選択可能レベルと考えられますが、50℃越えのH=99mmを避け、H=149mmも分厚くなりすぎるため、H=132.5mmのHY133を優先候補としました。

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ケースサイズ

順序が逆になりましたが、HY133タイプのフットプリント(230 x 231mm)に必要な部品が全て収まることを確認します。以下が中に実装する大物部品です。余裕はありませんが、なんとか納められるレベルです。詳細の配置は端子等の外装部品を取り付け後に改めて検討することとします。

1.アンプ基板2枚
 放熱器へスタッドを立てて縦姿勢で放熱器に固定
2.電圧増幅段用電源基板
 72 x 47mm 1枚
3.電力増幅段用電源基板
 95 x 72mm 1枚
4.電圧増幅段用電源トランス
 88 x 59mm H=60mm
5.電力増幅段用電源トランス
 110 x 76mm H=81mm

パネル加工

アルミ押出材ヘアライン仕上げで見た目は良いですが、パネル厚が3mmあり、ドリル以外、手加工による穴開けができません。あきらめきれずにいろいろ考えをめぐらせている時に、タカチのHPのカスタム加工サービス案内が目にとまりました。概要は以下のとおりです。

タカチカスタム加工サービス

・1台から受注可能
・タカチの全ての製品が対象
・CADデータで図面を送付すると初回のみ1000円引き
・受注確定後の通常納期は3日目発送(穴開加工のみ)
・スーパー納期対応可能(受注確定後翌日発送。加工費は通常の1.75倍)

真空管アンプ製作時に二次元CADを導入した勢いもあり、見積もり次第ですがこのサービスをトライしてみることにしました。メーカーHP上から申し込みフォームを送ったところ、対個人への直接取引はしていないとのことで、代理店の候補が送付されてきました。その中に、普段部品の購入でお世話になっているマルツオンライン様が載っていたので指定をしましたが、その後はマルツオンライン様と図面、見積り等のやりとりを行い、発注確定させました。ちょうどゴールデンウィークの時期となり、納期が心配でしたが、うたい文句どおり発注確定後の実働3日目発送が守られました。気になる費用ですが、2台分のケース代と加工費で、38,320円でした。ケースの定価が約11,500円なので、1台当たりの加工費が約7,500円となります。参考として、送付した図面を掲載します。但し、両サイドのターミナルガード用の穴4つは、自前で穴開けしたものです。

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到着次第部品取り付けを行いましたが、一部図面の不備でリワークしたことは内緒にしておきたいとおもいます。(本記事のキャッチ写真参照)

 

つづく(製作編3)