BTL_A級DCパワーアンプ製作編6

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製作編6

今回ようやっと2台の組立を完了し、とりあえずの音だし、その印象を紹介します。

エージング

片ch分を組み上げてエージングがてら約1時間の音だしをしました。まずまずの印象です。午前中に音だしを終えて、午後に天板を閉める前に再度通電確認をするために、終段の電源を入れたところ「ぼそっ」というノイズがスピーカーから発生。テスターで出力の電圧をはかったところ、cold chが+側に張り付いていました。組み上げ早々に修理となってしまいました。

修理

製作編5の最後に書いたとおり、いきなり放熱器取り外し=完全バラシが必要となります。まさに蓋をして今週の作業を終えようとしていた、日曜の午後のインパクトとしては想像に違わず大きく、具体的な対応は翌週に持ち越しました。そのまま修理を行っていたら、間違いなく二次災害を起こしていたとおもいます。写真は天板・底板に隠された放熱器とフロント、リアパネル連結部分です。全部で8カ所ありますが、修理対応の為(固定用ネジへのアクセスの為)に底板の4カ所に無理しても穴を開けておくべきでした・・・。

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一週間、具体的な手順の書き出しや、作業のイメージトレーニングを行い、万全な準備で翌週作業を開始しました。完全にバラして基板単品状態で通電して各部の電圧をチェックします。フィードバックがかかっているため、ほぼ全てのポイントの電圧が異常に見えます。まずはNFBループを切りますが、今度はゲインが上がり動作が不安定になります。この状態でも原因の絞り込みができず、仕方がなので初段を切り離し初段から順に各部の電圧を確認していきます。初段は問題ないことが確認でき、2段目が原因と特定されました。2段目のハンダづけは問題ありません。それ以外で故障の可能性がある部品は、トランジスタ3個ですが、確認した電圧とトランジスタ故障のストーリーが描けません。もしやとおもい、発振対策のC01の片足を外したら、所定のバイアス電圧に戻りました。早々にC01のディップマイカコンデンサを取り外し、抵抗値を計ったところ、数100KΩの値となり絶縁不良を確認しました。このディップマイカは125円とコンデンサとしては、高級品なため、真空管アンプ検討時の物を使い回したもので、外観を見ると小さなキズがあり、これが絶縁不良の原因かもしれません。たまたま購入していた新品に交換して基板をもとどおりに配線し、バラック状態で直ったことを確認しました。デップマイカが故障するはずがないとの思いこみから原因の特定に時間がかかってしまいました。その後、完バラ状態から組立をやりなおして修理が完了しました。この修理と再組立でまる1日費やしてしまい、気力は2日分を使ってしまったため、もう片chの組立はさらに翌週へ持ち越しです。やれやれ。その週末の残りの時間は気力の復活の為、片chで音聴きして過ごしました。

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もう1台組み上げ

2台目の組立は、1台目の経験が生かせますが、同じ作業に繰り返しという精神的な負担からプラマイゼロというところでしょうか。逸る心を抑えきれずにミスをします。XLRパネルコネクタから基板までの配線にバランス用2芯シールド線を使いましたが、Hot/Coldを専用に配線したため、1芯は未使用となります。Hot chのアンプ入力端の接続を未使用の芯線をつないでしまったことで6dB小さな音となってしまい、また手の掛かる修理が必要かと冷や汗を流しました。

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音だし

全体的に素直な音ですが、もの足りません。1000Mの密閉型のウーハーの駆動は十分できていますが、躍動感が欠けています。別の言い方をすると遅れて重低音がやってくる感覚といいますか。経験上電源の影響を受けていると推定しました。電力増幅段の電源は、回路の特性から、質より量の設計方針としましたが、この方針が誤っている気がしてきました。全波整流用のコンデンサは、標準品の10,000uFの電解10個と0.47uFフィルムコン2個のみの構成です。ネットで電解コンデンサインピーダンス特性を確認したところ、この構成では、音楽再生で重要な中音域の電源インピーダンスが下げられていない事が容易に推定できました。BTL構成は、信号電流が電源に流れないと考えてましたが、よくよく考えてみると、Hot chとCold chはフィードバックが正しくかかった結果の電流値の和は一定となりますが、その大前提となるそれぞれのアンプが正しい動作をするためには、電源のインピーダンスが必要な帯域で十分小さくなっている事が必須との結論に至りました。早速、検討用の部品をネットで物色し、次週の検討に備えて発注をかけました。次の記事では、この検討結果の紹介と製作のまとめを行います。

 

つづく(まとめ編1)