バランス変換ボリューム製作(設計編)

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オーディオ復帰

本ブログ記事の中で時期的に一番最初に遡ります。真空管アンプの製作の構想編でも書きましたが、オーディオに関連するローカルな会合に呼ばれて参加することに決めたことで、社会人になって遠ざかっていたオーディオの趣味に復帰することにしました。久々にオーディオセットに火を入れましたが、再構築が必要な状況を確認しました。特にアンプは学生時代に設計製作したDCアンプですが、作って以来メンテしていないため、間違いなく電解コンデンサは容量抜けしていると思われます。修理は後回しとして、取り急ぎリファレンスシステムの再構築が急務ということで検討しました。大手メーカー製のアンプには、価格を含めると魅力的な物が見あたらなかった為、以前パッシブプリを購入したことのある、エルサウンドのモノラルバランス方式アンプを購入することにしました。スピーカーのバランス駆動は、学生時代からいつかはやってみたいと考えていた方式です。ソースはマランツの普及機クラスのCDプレーヤーの改造品ですがまだまだ健在です。普及機クラスのCDプレーヤーにはバランス出力はないため、アンバランス-バランス変換にボリュームをつけたユニットを製作することとしました。いずれフルバランスシステムを構築しても、アンバランス機器の接続は必要となるので、それなりの物を準備しておきたいと思います。

アンバランス-バランス変換

方法としては、トランス式とアンプ式に大別できますが、トランス式は食わず嫌いのためアンプ式で進めます。図は非反転アンプと反転アンプを並列させたものです。シンプルですが、反転アンプのRが入力抵抗となるため、むやみに入力抵抗値を上げることができません。何が接続されるは判らない部分なので、入力抵抗はそれなりに高く設定しておきたいところです。

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次の回路は、入力が非反転アンプのみとなるので、入力抵抗はある程度自由に設定できますが、初段の非反転アンプ出力を反転アンプに入力して反転出力を生成するため、原理的に正相と逆相で位相ずれが発生します。せっかくのバランス駆動なのにと考えてしまいます・・・。

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最後の回路は、最初の回路の欠点を入力にボルテージフォロワを入れて対策したものです。非反転、反転アンプの両方へボルテージフォロワの出力を供給するため正相、逆相間で位相ずれはありません。但し、アンプの段数が増えてしまうことが欠点です。音の鮮度の観点からは極力段数は減らしたいところですが、今回はこの構成でまず試作をし、様子を見て必要であれば初段のボルテージフォロワを削除したいとおもいます。

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回路設計

初段のボルテージフォロワの入力抵抗は47kΩとします。2段目は、非反転、反転ともにゲインを2倍としました。肝心のオペアンプですが、JRCのMUSES8920Dを選定しました。オーディオ用に開発されたものですが、価格は手頃な480円です。購入予定のエルサウンドのパワーアンプは、反転アンプ方式で入力抵抗が4.7kΩと小さいため、2kΩのボリュームを選択しました。前出のバランス方式ボリュームと同様にボリュームMAXで出力をショートすると、出力段のオペアンプ出力がショートしますが、個人使用のため運用注意を対策とします。

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電源回路

手頃なトランスが見つからず、+/-12V 60mA品を2個使用することにしました。記事を書いている今であれば、もっと別の選択肢をとっていたとおもいますが、趣味に復帰したばかりで通販サイトの情報も乏しかったため仕方がありません。左右独立電源と言えば聞こえがいいですが、容量を稼ぐために仕方なく独立電源を採用しました。安定化は安易に三端子レギューレーター使用し、安定化後の電解コンデンサは定番のオーディオ用電解コンデンサー、ニチコンMUSE 100uF品を選択。オペアンプ2個の駆動だけなので物量は必要無しと判断しました。その代わり、アンプ基板側にも同じく100uF+0.1uFを実装し、電源の質の確保を狙いました。

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次回は、製作および音だし、調整について紹介します。

 

つづく(製作編)