小型スピーカーメンテナンス(FE103)改修編

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改修編

スピーカーの残りの仕様および改修について紹介します。

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バスレフ方式

図は現品から起こしたこのスピーカーエンクロージャーの図面です。見てのとおりバスレス方式となっていますが、この方式はスピーカーユニット後面から発する低音をヘルムホルツ共鳴によって増強位相反転させ前面ダクトから放出させて低域の音量をかせぐことが特長です。共振周波数をfdとするためのダクト長Lはいくつかの前提条件がありますが、以下の式で算出できます。

 

L=30000S/V/fd^2
L=ダクタト長(cm)、S=ダクト断面積(cm^2)、V=容積(l)、fd=共振周波数

 

製作当時の設計情報が残っていないので、この式を使って本エンクロージャーの共振周波数を算出します。尚、容積Vはダクトの占有体積を差し引いています。

 

本エンクロージャーのダクト共振周波数fd=78Hz
L=8.5, S=12, V=7.1

 

当時のユニットと今回購入するユニットでは、微妙に特性が変わっていますが、どのように変わったのか念のため確認しておきます。表は新旧ユニットの仕様比較表です。また参考として両ユニットの周波数特性も掲載しておきます。

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●FE103周波数特性

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●FE103En周波数特性

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仕様の中で目につく違いとしては、振動系質量が2.7gから2.55gへと軽くなっている点です。この影響なのかf0周波数が80Hzから83Hzに上がっています。周波数特性のグラフを比較すると低域に関してはf0の差以上に違いがあるように見えます。高域の正面の特性(2KHz以上)は旧品の方がレベルが高くなっていますが、周波数特性の上限周波数は逆に現行品の方が高い値(22KHz)となっています。とは言えf特の差は大きくない為、音のバランス的には新旧で大きく変わらないと見ていますが、さらに踏み込んで言えば今回購入したFE103Enの方が低音・高音のバランスがやや良いかも知れません。この仕様を前提にエンクロージャーの設計を再確認しておきます。ダクトの面積は一般的に振動板有効面積の10%~40%程度に設定されます。このスピーカーでは約24%に設定されていますが、比較的小さめでダクトの効果を欲張っていません。ダクトの共振周波数はf0の94%の周波数設定としており、周波数的にも欲張っていません。現在の私がこの設計を見ても悪くないセッティングだと思いました。

スピーカーユニットの状態

写真は、コーン紙が変色しているユニットのエッジ部分です。エッジとコーンの接着が剥がれて隙間が空いています。これでは、振動によってコーン紙が他の部分に当たり高調波が聞こえるのも仕方ありません。どうすればこんな状態になるのか、はたまた片チャンネルだけこのようになったのか不思議です。もう片チャンネル側は埃がついていますが、外観上の問題はありませんでした。

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FE103En

今回は値段の関係で、楽天に出店しているムラウチから購入しました。9/20に注文して9/23に届きました。2本セットで税込送料込で10808円でした。ガスケットと木ネジ4本が付属しています。FE103Eは台湾製造に変わったとの情報がありましたが、今回購入したFE130Enはmade in chinaとなっていました。(本記事キャッチ写真参照)

次回はユニットの交換および音聴きを紹介します。

 

つづく(メンテナンスまとめ編)