2016インターナショナルオーディオショウ(番外編1)

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番外編1

次はシンプルなシングルアンプの製作を検討していますが、充電期間を設けることもかねて、9/30~10/2の3日間国際フォーラムで開催された2016インターナショナルオーディオショウの見学報告をします。

東京インターナショナルオーディオショウ

1983年に輸入オーディオショウとして初回開催され、その後1997年に開催場所を東京国際フォーラムに移して日本のオーディオブランドも加わり東京インターナショナルオーディオショウに改定されて開催されているとのことです。昔は日本のオーディオブランドの展示の担い手としてエレクトロニクスショーがありましたが、2000年に家電だけでは集客が見込めなくなったことからCOM JAPANと統合されて現在CEATEC JAPANとして開催されています。現在、CEATEC JAPANには大手家電メーカーの出展がされておらず、オーディオ製品の展示は東京インターナショナルオーディオショウが担っている状況です。その昔、私もオーディオメーカーの一員としてエレクトロニクスショーのメーカー展示を行ったことがありますが、準備および開催当日を含めて学園祭のような雰囲気で、まさに年に1度のお祭りの様相でしたが、1点大きな違いとしてそれなりの予算があり、そこからコンパニオンのお姉さま方も雇われたりと、大変きらびやかな思い出になっています。

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展示

開催案内からフロアマップを転載しました。各部屋ともに50名程度のお客様が入ると満杯の状態となります。どの部屋も入るのがやっとの状態でしたが、まずは入室して気長に説明やデモを聴きます。そのうちに人の入れ替わりによって徐々に良いポジションに移動できました。その為各ブース30分以上は滞在し、最長FOSTEXのブースには1時間15分くらいいました。ということで、私が気になった5社を回るのがやっとでしたが、それらのイベントの状況を感想を含めて2回に分けて紹介します。初回はスピーカーのデモを行っていた2社です。

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ヤマハミュージックジャパン

今年(2016年)の7月に発売されたNS-5000のデモが行われていました。NS-1000Mを意識したスピーカーということで、発売情報が出たときから気になっていた製品です。一番の特長はZYLONという高強度繊維糸100%で作られた振動板をもつユニット群です。各ユニットの口径は3cm, 8cm, 30cmということで、1000Mと似ていますが、唯一スコーカー径が1000Mの8.8cmより小さくなっています。ZYLONですが、入手したカタログによると「ベリリウムに匹敵する音速と情報量を有しながら固有の音色的キャラクターを持たない」と説明されていますが、この表現からはベリリウムを使いたいが使えないジレンマを感じます。エンクロージャーはどちらもブックシェルフタイプですが、1000Mが密閉型なのに対しバスレフ型が採用されています。なぜかカタログ中にはバスレフポートに関する記述がなく、仕様一覧にのみ記載されている状態でした。不思議におもいネットで調べたところ、一般的なバスレフ効果を狙ったものではなく、ウーハーの振動による背圧を逃がすために設置されたとの説明がありました。塗装は6面ともにグランドピアノ同等の黒鏡面ピアノフィニッシュが採用されて見た目は美しいです。1000Mの背面は他の5面とは異なり塗装は手抜きとなっています。価格はというと、1本75万円とのことで、私が1000Mを購入した価格10.8万円に対して数段高価なものとなっています。

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説明が長くなりましたが、デモは女性のコンパニオン+操作員による、再生中心のものとなっていました。一般的にデモ会場の音響条件は良くないため聴いた音の印象は考慮する必要があります。中高域は落ち着いた音の印象でした。低域は部屋の処理が悪く、ブーミーぎみとなっていて思慮のないお客様にはバスレフの弊害のように聞こえてしまわないか心配で、スピーカーがかわいそうに思いました。音量の割にはウーファーの振動板のストロークが大きく、背圧を逃がすバスレフポートによるものと思われます。写真のパネルにもあるとおり、アンプはアキュフェーズが使用されていましたが、後で訪れたアキュフェーズのデモ会場にはNS-5000も設置されていました。(デモのメインはTADのスピーカー)デモの印象ですが、今回私がみたデモ5社の中で一番残念に感じました。お金をかけてやるからには展示のコンセプトを実現させるだけの準備をしないと逆効果となってしまいもったいないです。たとえば今回の場合であれば、「部屋の環境を整える」、「ブーミーが目立たないソースを選択する」、「事前に部屋の調整状況説明した上で聴いてもらう」、「説明中心のイベントにする」等やりかたはいろいろあったのではとおもいました。

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フォステクスカンパニー

毎時、0分から40分間デモが行われました。私は1.5コマ滞在しました。最初のコマは途中からでしたが、スピーカーシステム(既製品)のもので、次のコマがスピーカーユニットのものでした。説明および操作は会社関係者が行っており、再生中心のデモですが、合間合間に技術説明や営業トークが入り好感がもてる内容でした。入室した時は、GX100Basicのデモが行われていました。10cmウーハー+2cmツイーターの2Wayバスレフ方式の小型スピーカーです。見た目とは異なり悠々と鳴ります。低音もフラストレーションをあまり感じません。ツイーターはマグネシウムリッジドーム、ウーハーはアルミニウム合金の振動板が使用されています。さすがに能率は低く82dBです。そこは組あわせられて使用されていたアキュフェーズのアンプがカバーしていました。数曲聴いた後で、アンプ内蔵のアクティブサブウーハーCW200Bを組み合わせての試聴です。(写真下に半分だけ写っているもの)パイプオルガン曲をまずは無しで聴き、その後追加して違いを楽しませてもらいました。最後に同社フラグシップのG2000a(写真の右奥)で同じ曲を聴いてこのコマは終了となりました。普段なかなかできない比較試聴を短時間でできたことと、説明者の製品の良さを伝えたい気持ちがこもったトークがなかなか良かったです。部屋のセッティングも良かったとおもいます。

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次はスピーカーユニット紹介のコマです。最初に発売となったばかりのFE83-Solのデモです。SolのシリーズはFE103から始まり、数量限定で発売されることが1つの特徴ですが、FE83-Solも限定3000台とのことでした。またSol共通の特長として説明があったのは、2層抄紙ESコーンが採用され、その構造は表層と基層の配合するパルプの材質を変えている事と、磁気回路のポールピースに銅キャップをかぶせて電流歪を低減させて中高域の明瞭間を上げている点でした。

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デモは、違いを聴いてもらうために最初は標準のFE83En+バスレフボックスで(写真参照)、つづけてFE83-Sol+バスレフボックスのデモが行われました。音の厚みの違いが聴きとれました。デモのソースはオーストラリアのアカペラグループのCDで、このユニットのボーカルの再生はフルレンジの定位の良さも相まって、すごく良かったです。長所を活かす考え抜かれた選曲だと感じました。

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次に発売発表されていない(発表は近々)専用のバックロードホーンのボックスに入れての試聴(写真参照)です。最初の曲はマドンナの曲でバックロードホーンとはいえさすがに低音が寂しい感じを受けましたが、実力をありのまま聴かせる姿勢は好感が持てました。尚、このFE83-Sol用のバックロードエンクロージャーは今月(10月)発売予定とのことでした。

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最後はFE108-Solx2個+BK1082バックロードホーンボックス+T90Aホーンスーパーツイーターの組み合わせのデモです。FE108-SolはFE103-Solをベースにバックロード用に進化させたユニットとの事です。m0が2.5gから2.9gに上がり、それに伴いf0が85Hzから70Hzに下がっています。このユニットを2個使用し、T90Aを上に載せて試聴です。大型ブックシェルフに匹敵するパフォーマンスの確認ができました。但しお値段は、FE108-Solが1個19,000円、エンクロージャーボックスが1台113,000円、スーパーツイターが1個23,000円と高級ブックシェルフスピーカーに勝るお値段(購入当時のNS-1000Mよりも遙かに高い)となっています。デモ自体は決してなめらかな進行ではありませんでしたが、お客様へ商品の長所を伝えたい気持ちがわかり満足できる内容でした。

次回はアンプ3社の展示・デモについて紹介します。

つづく(番外編2)