バランス入力シングルパワーアンプ製作(製作編5)

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製作編5

シャーシへの大物部品の取り付けが完了したので、配線を行っていきます。

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配線の進め方

私の真空管アンプ製作は昨年(2015年)の12月に木村哲さん著の「情熱の真空管アンプ」という本を購入して、勉強したところから始まりました。それまでは「真空管アンプなんて・・・」と考えていたため真空管と関わりはありませんでした。そんな事でこの本が私の真空管アンプに関するバイブルですが、この本の中で勧めている失敗しない組立の進め方は、ブロックごとに配線を行い、その都度通電確認を行うというものです。今回もこの方針に従って配線を進めていきます。

電源1次側配線

作業に入る前に、現時点のシャーシ内部の状態を紹介します。左右の出力トランスから各4本づつの電線が出ていますが、配線作業のじゃまになるので束ねておきます。正面パネルとリアパネルに取り付けたハンドルですが、建材の流用のためにシャーシ内部に無駄に飛び出して邪魔です。次回製作の機会があれば建材ではなくハンドルを物色したいとおもいます。

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本題に戻り電源1次配線を進めていきます。関係する部品は、ACインレット、ヒューズホルダ、トグルSW、サージキラー、電源トランスです。トランジスタアンプでは、回路系全体のインピーダンスが低いため、極力太い電線を選択しましすが、真空管アンプはインピーダンスが比較的高いため太さにはこだわらずに、配線の仕上げを考えてφ0.65のすずメッキの被覆単線を使用します。正面パネルのトグルSWへの配線は、ハムの発生を防止する為に2本の線をよりました。単線のよりは綺麗にできませんね。配線は完成後の見栄えを考えて、直線・直角曲げを基本に行いますが、単線ならではの対応です。サージキラーは、部品の配置効率とサージの発生元を押さえる観点から、電源トランスの端子へ取り付けました。以上の配線が終わったところで、ヒューズホルダにヒューズをセットして、AC100Vを通電します。トランスの各巻き線に無負荷時の所定の電圧が出力されることを確認しました。

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真空管ヒーター配線

初段の真空管は12AX7ですが、頭の数字の12はヒーター電圧を示しています。真空管の端子配置を見てのとおり、ヒーター巻き線のセンターが端子出力されていて、ヒーター電圧としてメジャーな6.3V駆動できるようになっています。その際の必要電流は150mA x2/6.3Vです。初段真空管2本分のトータルヒーター電流は600mAなのでトランスの1巻き線(3A/6.3V)で駆動します。

■12AX7端子配置

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終段のEL34のヒーター電流はは6.3V/1.5Aです。片ch分2本のヒーターをトランスの1巻き線(3A/6.3V)で駆動します。尚、電源トランスPMC-190HGは6.3V/3A巻き線出力を3本もっていますので、この構成のアンプにはうってつけの仕様です。ヒーターはAC点火としていますのでハム発生防止のために、電源1次側と同様に電線をよって配線します。また、ヒーターの片側をGNDに接続しないとハムが発生するとのことなので配線しますが、アンプの基準GNDを後でLラグ端子でつくる予定なので、忘れずに接続することにします。

■EL34端子配置

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ヒーター点火確認

まずはソケットに真空管を挿さずに電源をオンし、所定の端子にAC6.3Vが出力されていることを確認します。問題なければ続いて真空管を挿してヒーター点火を確認します。真空管内部がぼーっと光始め、その際に熱膨張でチンチンと音がします。これが真空管アンプの情緒の大きなポイントだとおもいます。(本記事のキャッチ写真参照)この確認ですでにアンプが完成したような錯覚をしてしまいます。ずっと見ていたいとおもいますが、Ipを流さずにヒーターを長時間点火することは真空管にダメージを与えるとのことなので、点火の確認できた時点で電源を切ります。なごり惜しいですが、真空管を取り外し次の作業に備えます。次回は電源回路を製作します。

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つづく(製作編6)