製作編10
終段回路の実装を完了したので、終段単体動作確認を行います。ここにきてミスを連発させてしまい、恥ずかしい話ですがありのまま紹介します。アンプの特徴をストレートに表現するためにタイトルを変更しました。
終段単体動作
真空管を挿さずに電源オンして、まずは真空管ソケットの各端子電圧を確認します。特に異常はなかったので、終段真空管の単体動作確認を行います。両チャンネル4本のEL34をソケットに挿し、Ip測定用にマルチメーターのリード端子を所定のチップジャックに挿します。Ip調整用のボリュームをIpが最小となる位置にセットします。いつも最初の通電はどきどきします。前回のS1503の時は、4本中の1本が閃光を放つトラブルが起きましたので余計にどきどきしますが、意を決して電源オンします。ヒーターが点火し、ちんちんと音を立てながらヒーターの明るさが増していきます。ここまではすでに確認済みなので安心して見ていられます。30秒ほどして真空管が暖まった頃合いで、マルチメーターの値を見ると約5Vとなっていました。Ip調整用のボリュームを回してIpを上げていきます。所定のIp=40mV時の電圧の読み値は約17Vです。ボリュームを回すと電圧値が上がっていきますが、フルボリュームとしても約8V位にしか上がりません。Ipに換算すると約19mAです。一旦ボリュームを絞り、隣の真空管の確認をします。全く同じ状況を確認したところで、きな臭いにおいとともに、線香のようなうっすらとした一筋の煙が電源基板側から上がったので、あわてて電源を切りました。
電源基板の確認
本望ではありませんが、こんなに直ぐに基板端子台のありがたみを実感することになるとは・・・。
基板を取り外し配線をB電源用の入力から確認したところ、すぐに原因がわかりました。基板上の全波整流入力が、リップルフィルタへ正しく接続されていませんでした。回路図で示すと以下のとおりです。
GNDラインは、別系統から接続されていましたが、B電源は3.3KΩを経由してダーリントントランジスタのベースをとおり出力されてました。ダーリントンのトランジスタはコレクタが接続されていないので、直列の2個のダイオードとして動作したと考えられます。煙はおそらくこの3.3kΩの抵抗が発したもので、抵抗の表面を見るとうっすらと変色が確認できました。
この時の動作は、グリッドバイアスを調整してIpを上げようとすると、3.3kΩの抵抗で電圧が喰われてしまい、所定のVpが真空管にかからなかったと考えると、調整時の状況と辻褄があいます。修理は表面の変色が確認された3.3kΩの抵抗の交換と、ダーリントントランジスタにベース電流として過剰な電流が流れたと考えられるので、念のためトランジスタ2個も交換しました。
修正修理完了再確認
電源基板を元通りに取り付け、まずは真空管を挿さずに各部の電圧の確認を行います。電源オンして一呼吸して電圧測定を行おうとしたところ、今度は派手に電源基板から白煙が立ち登りました。すぐに電源を切りましたが、あまりの状況にしばらくぼーぜんとしてしまいました。アンプはそのままの状態で、私自身をクールダウンするために一旦買い物に出ました。
電源基板再確認
自宅に戻り基板を確認したところ、B電源のパスコンとして実装したフィルムコンデンサの表面に異常を見つけました。
再度電源基板を取り外し、さらに該当のコンデンサを取り外して確認しました。酷い状態です。トラブル発生前にも何回か電源を入れていましたが、修正修理直後のあのタイミングでトラブル発生するとは製作者へのインパクトを計っていたのではと勘ぐってしまいます。
原因はB電源のパスコンを耐圧を遙かに越えて実装したことによる絶縁破壊でした。具体的には無負荷で300Vを越える部分に125V耐圧のフィルムコンデンサを実装していました。S1503ではちゃんとしていたのに・・・。
これが原因であれば、他の電子部品へのダメージはないと考えられます。コンデンサ横に実装された基板端子台のボディーに焦げ跡がありますが、交換するまでのことはないと判断しました。(本記事のキャッチ写真参照)修理は基板上から当該コンデンサを削除して、かわりにS1503同様にパスコンを電源供給用のラグ端子側に接続することとします。
今回はこのトラブルで予定の進行となりませんでしたが、次回は改めて終段管の単体動作確認を行います。
つづく(製作編11)