バランス入力シングルパワーアンプ製作(製作編12)

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製作編12

帰還抵抗を除き回路の組立が完了したので、通電確認を行い、問題なければ音出しをします。

アンプ通電確認

初段回路の実装が完了したので、初段管の12AX7をソケットに挿し電源オンします。真空管を挿したままひっくり返して通電したくないので、作業台のワークの間をあけてその上にアンプを乗せてシャーシ下から覗き込める状態としました。

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ヒーター動作確認の際に紹介が漏れてしまいましたが、S1503製作の際に購入した12AX7にはついていなかったシールがガラスのボディーに貼られています。真空管は発熱するので、剥がそうとしましたが、ぶちぶち切れてしまい剥がす事ができませんでした。もしや耐熱シールと考えてそのままにしていますが、問題ないでしょうか?

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通電確認前に、EL34と同様に選別情報を掲載します。12AX7は双三極管なので1つの真空管に2セットのパラメーターが表示されてます。それぞれの値は表のとおりです。Ipの値が今回の使用時よりも2倍以上大きいため、特性差はより広がると思われます。

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通電確認に戻ります。初段管のヒーターが明るくなり安定したところでB1電源とB2電源の電圧を測定します。それぞれ270Vと265Vで、電位差が5Vです。B2電源の1次フィルターの抵抗値が1.8KΩなので、B2に流れる電流は、2.78mAとなります。初段の差動回路の定電流ダイオードの電流値が1.5mAなので両チャンネルで3mAとなり正常動作をしていると考えられます。下の電源回路図は、アイドル状態の電流値も見直ししたもので現時点の最終版です。S1503に比べて負荷電流は10%程度増えています。

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アンプ動作の確認

一旦電源を切り、片チャンネルのダミー抵抗を取り外し、代わりに動作確認用のスピーカーを接続します。このスピーカーは、市販のノーブランド品ですが、ユニットをFOSTEXのFE83に交換したものです。

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まずは、入力無しで電源オンします。30秒程度経ってヒーターが暖まったところでムム!ハム発生。正直なところショックですが、このレベルであれば原因特定と対策は後回しとします。続いて信号入力します。現状のシステムからバランスボリューム出力を切り離してこのアンプと接続します。ボリュームを一旦絞ってCDを再生状態とし、ボリュームを徐々に上げていきます。やった!音が出ました。音を聴いた限り正常動作してそうです。一旦電源を落として、もう片チャンネルも同じ確認をします。同様に正常動作の確認ができました。

音出し

ハムのレベルはリッスニングポイントでも聞き取れるレベルなので、対策は必須ですが、音楽再生時にはマスクされてしまうレベルなので、早々にスピーカーをNS-1000Mに切り替えて音を聞いてみました。第一印象は、のびのびと音楽が鳴ると感じました。EL34pp機と交互に2曲づつを順繰りに聴いて音の比較を行いました。(本記事のキャッチ写真参照)写真手前が今回製作のアンプで、後ろのボンネットが被っているのがS1503(EL34PP)です。シングルアンプのゲインは、別途測定予定ですが現時点で無帰還なのでEL34pp機よりもやや高くなっています。帯域はややナローな印象ですが、これも無帰還に起因しているんでしょうか?

音の比較

ハム対策は後回しとして、いろいろな音楽を比較再生してみました。女性ボーカル、男性ボーカル、交響曲、Jass、ピアノ曲など。

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音像の奥行きがEL34pp機と比べてより感じられます。のびのびと音楽が鳴るように聴こえるのは、このせいでしょうか?特に弦楽器がいい感じです。低音も予想していたよりも良く鳴ります。パラレルシングルとしたためでしょうか?NS-1000Mが欧州製のフロア型スピーカーのような感じで鳴っています。シングルで真空管アンプの世界に入り、その後プッシュプル機に手を出し、またシングル機に戻る人が多いと言われますがこのような感覚に魅了された結果でしょうか?いくらでも聴き続けてしまいそうですが、一旦ハム対策に戻り、改めて音の比較を行いたいとおもいます。

 

つづく(まとめ編1)