音楽の女神への挑戦(製作編5)

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製作編5

ディスクリートアンプ基板の部品実装と動作確認を行います。

回路図変更

部品実装前に、回路図を見直しました。抵抗の買い忘れで一部抵抗値を変更しました。入力抵抗は10kΩに変更して、ボルテージフォロワ構成とするために、ー入力端子の入力抵抗を削除しました。2段目のエミッタ接続の半固定抵抗を調整値を考慮して1kΩとしました。

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部品配置

95x72mm基板に2回路分のアンプを実装します。出来合いのシャーシに基板実装するため正面パネルに取り付けられたボリュームの干渉も考慮する必要があります。これらの要求からアンプ2回路を基板の長手方向に並べることにしました。入出力は、+/-電源とバランス信号入出力が必要で、3極の端子台を3個搭載します。+/-電源を信号入力用端子台と並べて配置することとしました。

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初段の実装と通電確認

実装範囲を明確にするために、1チャンネル分の基板領域の両端に+とーの電源ラインを引きます。電源とバランス入力用の端子台を基板の長手方向に均等に並べて実装しました。領域を仕切るための電源線と電源の端子台を接続しパスコン用の電解およびフィルムコンデンサも配線します。電解コンデンサは100uF/25VニチコンFG品です。仕切の電源線を起点として初段の+側から部品の実装を始めます。初段は+からー電源に向けて半固定抵抗、カスコード用のトランジスタ、初段FET、電流源用トランジスタと多くの部品が並びます。基板スペースを有効利用するため、ラジアル品の部品は立てて実装しました。カスコード接続用のトランジスタは、選別No3とNo14(hfe=180)を、定電流源用トランジスタはペアにならなかったNo.17(hfe=181)を、初段のFETは選別No1(Idss=4.5mA)をそれぞれ使用しました。

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初段の実装が完了した時点で通電確認を行います。ユニバーサル電源から+/-12.1Vを供給します。半固定抵抗を中点に調整して電源を入れます。各部の電圧は以下のとおりです。(ソース電位が間違っていましたので修正しました。2017.01.28)

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残り部品の実装

2段目は、初段に比べて実装部品が少ないですが、半固定抵抗がパネルのボリュームと干渉しない配置とする考慮が必要です。差動のトランジスタは、選別No1とNo13(hfe=231)を使用します。エミッタの半固定抵抗は、時計回りで抵抗値が小さくなりバイアス電流が大きくなるように配線しました。出力段バイアス調整用のトランジスタはペアとならなかった選別No18(hfe=169)を使用しました。バイアス調整用の半固定抵抗も時計回りで抵抗値が小さくなり、バイアス電圧が大きくなるように配線しました。2段目の発振対策用のコンデンサは通電してから対策容量を確定させて実装します。終段のコンプリメンタリペアは、NPNを選別No2(hfe=195)、PNPは選別No9(hfe=204)を使用しました。

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動作確認

いよいよトータルの通電です。2段目のエミッタ接続の半固定抵抗およびバイアス用トランジスタの半固定抵抗ともに抵抗値を大きくなるようセットして電源オンします

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終段のトランジスタがカットオフしていることを確認して、2段目のバイアス電流を調整します。両負荷抵抗4.7kのコレクタ側の電圧が-0.6前後になるように調整します。バランスがとれない場合は、初段の半固定抵抗で調整します。ある程度調整できたら、終段のエミッタ抵抗間の電圧をモニタしながら、2段目のバイアス調整用の半固定抵抗値を小さくしていきます。終段のトランジスタに電流が流れ出したところで、出力に発振波形が観測されました。気にせず終段のバイアス電流を上げていき、調整値の半分の5mA程度の状態で発振対策を行います。2段目に発振対策用のコンデンサを接続して様子をみます。ディップマイカコンデンサは価格が高いので、検討用にセラミックコンデンサを用意しました。10pFでは治まらず、22pFで発振がとまりました。この容量でディップマイカコンデンサを発注します。

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発振が治まったところで、終段のバイアス電流を10mAまで上げて、最後に出力のオフセット電圧を初段の半固定抵抗で調整しました。調整完了時点の各部の電圧は以下のとおりです。

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続けて正弦波による入出力確認をおこないます。本記事キャッチ写真は、1KHz/0.9Vppの信号入力をしたときの入出力波形です。上段が入力、下段が出力波形です。また、下図は周波数を約600KHzに上げたときの入出力波形です。私の発信器の上限周波数ですが、目立った減衰は認められませんでした。

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動作上問題はなかったので、残り3回路分の実装を進めていきます。次回はリピート作業の為、作業量のわりに説明があまりいらないので、記事が薄くなる懸念がありますが、気にせず実装完了を目指します。

 

つづく(製作編6)