バランス変換ボリューム2(製作編6)

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製作編6

バランス変換アンプを実装した基板にボルテージフォロワを実装して片チャンネル分を完成させようと考えていましたが・・・

回路実装

残りのエリアに引いた電源線にパスコンを実装し、先に実装した端子台から給電します。このエリアには電源の端子台の代わりに入力信号用に2極(アンバランス信号入力用)の端子台を実装します。初段の実装はバランス変換アンプとほぼ同じです。

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バランス変換アンプと比較して、帰還用の抵抗が3本少ないですが、見た目の実装はほとんど変わりません。初段の実装が終わった段階でいつもどおり通電確認を行います。各部の電圧は以下のとおりです。

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2段目以降の実装

バランスボリュームの基板への回路実装と同じですが、バランス変換アンプ実装でより効率的な配置ができたので、その一部を反映させました。写真からはバランス変換アンプとの実装部品の差がわかります。

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発振対策は、バランスボリュームと同様に2段目の非反転側を22pF、反転側を10pFとしています。バランス変換アンプの周波数特性と同様の結果とならないか気になるので、調整後に確認を行う予定です。

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通電・調整

バランス変換アンプの調整で、より手順を明確にできたので、その手順を実行してみます。VR2とVR3を抵抗値を大きくプリセットします。電源オンし、2段目の非反転側の負荷抵抗の出力側(終段のベース電圧)の電圧が-0.6V前後となっていることを確認します。つづいて2段目の反転側のコレクタ電圧をVR2で-0.6Vに調整します。次に、VR3で終段のアイドリング電流を調整しますが、終段の2本のエミッタ抵抗間の電圧が200mVに合わせます。最後に出力のオフセット電圧をVR1で調整します。この手順を数回繰り返すと調整が完了します。調整後の各部の電圧は以下のとおりです。

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周波数特性の測定

バランス変換アンプで、2段目の発振対策アンバランスな容量が周波数特性に影響していました。反転アンプの帰還の影響と考えていますが、念のためボルテージフォロワの周波数特性を確認します。過去に製作したボルテージフォロワと同様に2段目の発振対策の定数はアンバランスとしています。早速周波数特性の測定を行いますが、バランス変換アンプの測定と同様に基準電圧は1Vppとしています。測定結果は以下のとおりです。

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全帯域で-0.18dBと0dBを少し割っていますが、これは測定誤差でしょうか?測定範囲内では、フラットでしたので、予想どおりバランス変換アンプの結果は、反転出力の帰還の影響と言えます。これで片チャンネル分の回路の実装が終わりました。

片チャンネル全体動作確認のはずが・・・

念のためボルテージフォロワ出力をバランス変換アンプに入力して、回路全体の動作確認を行います。その確認のために日を改めて電源を入れたところ、バランス変換アンプの各出力オフセットが-0.22Vとなっていました。先に触れたとおり、バランス出力で見るとオフセットは押さえ込まれています。この事象について改めて検討をしてみます。下図がバランス変換アンプのブロック図です。

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回路の使い方は、反転入力が接地されていて、非反転入力から信号を入れますが、ここでは出力オフセットを議論するため、非反転入力も接地しています。アンプの裸ゲインA=∞とおくと、アンプの正相および反転入力電圧Vi+とVi-が等しくなり、その結果出力Vo+とVo-も等しくなってバランス出力が0となります。ここまでは問題ありませんが、アンプの入力Vi+とVi-は等しくさえあればどんな値をとってもこの系は安定します。その値をViと置くと、アンプの出力は、

Vo+=3Vi-=3Vi
Vo-=3Vi+=3Vi

となり、出力オフセットもどんな値でも安定します。言い換えると非反転・反転それぞれの出力オフセットに対して負帰還はまったく寄与せず、アンプの裸特性にのみ依存することになります。その裸特性もコールドスタート時に0.2V以上の値となることからこの回路でバランス変換することは断念せざる得ません。ここまでおつきあいいただき、大変申し訳ありませんが、本製作に関して少しお時間をいただきたいとおもいます。

お恥ずかしい状況となってしまいましたが、次回までに方針を決めたいとおもいます。

 

つづく(復活編?)